インタビュー
黄金の国「Zipang」がついに登場。「大航海時代 Online 〜El Oriente〜」インタビュー第1回目を掲載
3番目となる拡張パックである「El Oriente」は,Zipang(日本)を含む東アジアが実装されるなど,多くのプレイヤーから注目されている。どのような“日本”が登場するのかその詳細を教えてもらおうと,さっそく開発プロデューサー 竹田智一氏と,運営プロデューサー 渥美貴史氏に話を聞いてみた。
さて,これまで大航海時代 Onlineのインタビューといえば,ボリュームたっぷりに新要素の魅力をお伝えしたきたが,拡張パック「El Oriente」に至っては,そのボリュームを考えると1回でお伝えするのが厳しい。そこで今回のインタビューは,発表内容に合わせて掲載していくことにしたので,新情報の発表ごとに,ぜひインタビューにもお付き合い願いたい。
そんなわけで,インタビュー第1回となる今回は「新しい街」に関する情報を聞いてきた。
ジパングの街並みを紹介。「大航海時代 Online 〜El Oriente〜」最新情報第1回が公開
新しい海域と島を入れるだけでは足りない。“日本”の登場に開発/運営にも力が入る
本日はよろしくお願いします。では,今回発表された「新しい街」に関して聞いていきたいと思いますが,その前に,12月15日のサービス開始に向けての進捗はどのような感じでしょうか?
渥美貴史氏(以下,渥美氏):
そうですね,全般的な開発の佳境に入っているところです。それぞれのセールスポイントとなる一つ一つの仕様について,バランス面の調整や,不具合を取る作業を中心に行っています。
4Gamer:
というと,かなり詰めの段階に入ってるわけですね。
竹田智一氏(以下,竹田氏):
ええ。開発状況をパーセンテージで言うと,80〜90%といったところです。El Orienteは,日本が登場することもあり,我々がとても力を入れている拡張パックです。プレイヤーのみなさんには,ぜひとも良い物を提供させていただきたいです。
4Gamer:
プレイヤーとしても,日本が実装されるわけで,いろいろと期待感は高そうです。
渥美氏:
そうですね。プレイヤーさんももちろんですが,最初はこれくらいにしようと考えていたものが,El Orienteだから,Zipangだからということで,いろいろなものが大規模になりがちだったり,内容的にも凝った物にしよう! と開発チーム側の気合いが入っている状況です。その分, 運営視点から見たときの確認作業も大変になっています。
4Gamer:
なるほど,“日本”というキーワードで,作る側にも熱が入ってしまうというわけですか。
竹田氏:
ええ。今回は,ただ海域と島をぽこっと入れるだけでは全然駄目で,もっとこういうものが欲しいよね――と,あとから,あれもこれもという感じに,要素が増えていきました。
渥美氏:
そういったコンテンツの内容を良くするために精一杯,限られた時間のなか,調整に注力しているというのが,今の状況です。
西洋と東洋の出会いは違和感だらけ? 日本の街並みが登場
4Gamer:
分かりました。では,今回公開された内容から話を聞いていきます。まず,Zipangの「街」が公開されました。
渥美氏:
では,まずこの絵をお見せしましょう。
4Gamer:
まさに日本ですね。
渥美氏:
ですが,ぱっと見たときに「あれ,これが大航海時代 Online?」みたいに感じるかもしれません。
4Gamer:
たしかに,これまでの大航海時代 Onlineの世界観とは違っていますね。
渥美氏:
先日の東京ゲームショウ2009で行った,ネットエンターテイメントフェスタのステージイベントで,新しい街のヒントして一つだけ公開したのが「堺」の街でした。その公開前に,最初のその絵を見たときに「えっ?」と思いました。というのも,普段見慣れている航海者キャラクターが,日本の風景に入ったときに「こんなに違和感があるの?」と,素直に思ってしまったんですよ(笑)。
4Gamer:
そこまで違和感がありましたか。
渥美氏:
ええ。戦国時代らしい街並みや風景といえば,「信長の野望 Online」でさんざん見てきましたが,コーエーの作品はその時代の世界観をキチンと作り込んでいるので,「三國志」シリーズ然り,「信長の野望」シリーズ然り,キャラクターと世界観には,違和感が少ないと思います。
しかし,我々がよく知る日本の街並みにヨーロッパらしい人達がいると,こんなに違和感があるのかと真っ先に思いました。そして,先ほどの第2弾の絵なのですが……。
またまた風景に合わなそうなキャラクターを持ってきました(笑)。
4Gamer:
うーん,日本の街並みに“ペチコート”ですからね(笑)。なんというか,当時の日本人が初めてヨーロッパ人を見たときも,まさにそういった印象をもったのかもしれませんよね。
渥美氏:
そうかもしれません。話を戻しまして,この画像から伝わってくる部分について,UIなど大きく変わらない印象をお持ちになるかもしれませんが,El Orienteでは,大きな固まり固まりで仕様が入っています。これはまた別の機会でお話しします。今回は,この画像の街を含めた,新たに開かれる海域についてお話ししましょう。
まず,東アジア全域では,10数個の街が登場することが予定されています。
4Gamer:
10数個ですか……El OrienteのChapter1のテーマが「Zipang」ということを考えると,メインとなるのは日本の港になりそうですが,その数はどれくらいになるのでしょうか。
渥美氏:
今回お見せしたスクリーンショットにも出ている「江戸」のほか,発表会でご紹介しました「堺」。そして「長崎」の三つになります。東アジアの残りの街につきましては,Chapter2以降に乞うご期待ということにしてください。
4Gamer:
分かりました。ところで,発表会のときのインタビューでは,東アジアは難度の高い地域であり,日本は鎖国寸前ということを聞きました。たしかに,鎖国政策のなかでどうやって入港できるのだろうと気になっています。
渥美氏:
そうですね,時代的には日本が徳川の時代に移ってすぐの頃で,完全に鎖国するまでに猶予期間がありました。El Orienteでは,その期間をイメージしていただければいいと思います。
なので,入港許可はいつものとおりのシステムを踏襲し,許可があれば入港はできるようになります。
4Gamer:
なるほど。ちなみに東アジア圏の到達想定レベルはどれくらいですか?
渥美氏:
いずれかの職業レベルが40くらいかな?
竹田氏:
到達するだけなら,それくらいあれば行けると思いますが,想定レベルとしては50くらいを考えています。
4Gamer:
ほかに,厳しい試練があるとかは?
竹田氏:
いえ,そこまでの試練はないです。とはいえ,日本に向かう段階までに,(東南アジアや,南米に入港するための)勅命を受ける機会がありますし,それらをクリアしたプレイヤーであれば十分資格はあると思います。
4Gamer:
なるほど。ちなみに日本への到達にも勅命が?
渥美氏:
はい。日本へ到達する部分は,いままでの勅命という仕組みを利用しています。
竹田氏:
やはり日本って,プレイヤーとして最終目的のような,航海者になったからには辿り着きたい,そんな目標であって欲しいと思っています。もちろん,日本に着いたら終わりではありません。なので,それくらいのレベルを想定しています。
4Gamer:
高すぎず,低すぎずといった感じでしょうか。プレイヤーとっては,日本はカリカットに次ぐ大きな目標地点になりそうですね。
渥美氏:
次に,Zipangで新しく登場する衣装ですね。この画像をご覧ください。
羽織袴 |
小袖(男) |
小袖(女) |
4Gamer:
おお,見事な和服……ですが。
竹田氏:
これまた,すごくシュールな絵面になりました(笑)。
4Gamer:
江戸時代の風景に,金髪で着物ですからね。
渥美氏:
逆に今っぽくも見えたりするかもしれないですね(笑)。ハリウッド女優とかが来日したときに着ていたりするじゃないですか。
4Gamer:
ああ,試写会なんかでありそうですね(笑)。この違和感はやはり顔のグラフィックスによるものが大きそうですね。
竹田氏:
そうですね。これまで,キャラクターを外国人としてあまり意識はしていませんでしたが,和服を着せるとやはり日本人じゃないんだなと,強烈に思えます。
4Gamer:
こちらのNPC(日本人の「娘」)の顔は,すごく日本人っぽいですよね。ちなみに,服装は和服以外にはどのようなものが?
渥美氏:
今回は,着物っぽいような平常時の服を中心に紹介しましたが,実際はもう少し,いわゆる日本っぽい無骨な“アレ”もちゃんと用意しています。
竹田氏:
といっても,そんなに簡単には出てこないとは思います(笑)。なんとなく想像はついていると思いますが,やはり平和になった時分なので,それらを着てガチャガチャと歩いている人はいないですからね。手に入れるにはいろいろと苦労が必要になると思います。
もっとも,日本系の武具はなかなか手に入らないかもしれません。やはり,大航海時代の世界観で,みんなが日本の鎧を着ているというのもちょっと変ですよね。ですので,それなりにレアになるかもしれません。
4Gamer:
なるほど,どのようにして手に入るのか気になりますね。いくつかはまだ詳細が発表されていない,あの場所などで見つかりそうですが(笑)。
商人は世界にも注目を。街の発展度の上限引き上げで新たなアイテムが登場?
では,三つ目の「街の発展度の上限」の引き上げについてですが,これは日本の街だけですか?
渥美氏:
いえ,日本では投資できないので発展度の概念はありません。ヨーロッパなど既存の世界各地での話になります。世界中の街で発展度をさらに上げてもらうと,あんな物やこんな物が出てくるかもしれません。
4Gamer:
日本では投資できないのですか。
渥美氏:
はい。どういうことなのか,詳しくは次回以降にお話しします。
4Gamer:
分かりました。ちなみに,発展度の上昇で出てくるものは,おそらく各街で必ず登場するというわけではないですよね?
竹田氏:
ええ,そういうわけではなく,発展度が上がったどこかの街で登場するといった感じです。
これは,新仕様が登場することによってデータが増えていますので,例えばEl Orienteでは造船のシステムも強化されるのですが,新しい船パーツや船本体などの拡張されたデータが,発展度が上がったときに登場するといった形になると思います。
竹田氏:
新たに加わった仕様が,そういったところに隠されている可能性があるわけです。
4Gamer:
なるほど。そうなると導入後はあちらこちらの街で,投資合戦が行われて,発掘情報が飛び交いそうですね。どんな物がどの街で登場するのかも楽しみです。
広い世界の中の日本。日本を広くする特別な海域案もあった?
ところで,Zipang――日本の実装で一つ気になっていたのが,大航海時代 Onlineの地図の縮尺です。ほかの海域と同じ縮尺で日本が登場した場合,その大きさを考えれば,それこそ港が一つか二つしかないのでは……と思っていました。
竹田氏:
まず日本を含む海域の縮尺は,これまでと同じです。ですので,大航海時代 Onlineで広い世界を体験していると,「あれ? 日本ってこれくらいの大きさなんだっけ?」と感じるかもしれないですね。
全体的に東アジアは,意外とコンパクトにまとまっているという印象を受けるかもしれません。
4Gamer:
なるほど。そうすると日本を含めたそれぞれの街は,ほかの海域ではないような短い距離で隣り合いそうですね。堺と江戸も近いですし。
渥美氏:
そうですね。実は,最初の構想というか取り得た選択肢として,そういった部分のせめぎ合いがありました。ほかの地域と異なるスケールにするという方法もありましたが,そうすると違和感が出てきてしまいます。
竹田氏:
やはり,その海域だけスケールを変えると,いろいろとバランスなどに影響が出ます。
渥美氏:
一番大きく影響するものとしては,到達感はスケールに影響される部分が大きいと思います。ここで,スケールを極端に変えると,目的の海域に到達した! と思ってその海域に入ってみたら,そのゾーンのスケールがびよーんと広がって,まだこんなに航海しないと着かないの? と思ってしまうでしょうね。
4Gamer:
それは,よく分かります。大航海時代 Onlineでは,ある目的地を目指すと二つの到達感があるんですよね。一つはもちろん目的地で,もう一つが目的の海域という感じで。なので,目的地の海域に着いたときは,目的地まであともう少し! と,テンションが上がりますが,「さあ到着だ!」と思っていたのに,唐突に想像以上の距離に変わっていたりしたら,ちょっとガックリきそうです。
渥美氏:
そうですよね。
4Gamer:
そんな,世界地図で見ると小さな日本列島なので,もしかすると港町が一つあって,その奥地として街が登場するみたいな可能性もあるのかなと思っていました。
渥美氏:
それは,今後の拡張の選択肢という意味ではあるかもしれませんね。
4Gamer:
そうなれば日本だけの話ではなく,各国の内陸部などが気になってきますね。海だけではない,大航海時代という“時代”が楽しめそうです。
竹田氏:
そうですね。内陸に関してはこれまでも遺跡や古代都市という形で実装してきていますし,この時代は面白いネタがたくさんあるので、まだまだ拡張の可能性があると思います。
4Gamer:
大航海時代の陸上の物語にも期待したいですね。さて,話は変わりますが,現在,El Orienteに向けたプレイベントが開催中ですよね。プレイヤーからの反応はどうでしょうか?
渥美氏:
第1回「船出編」という形でスタートしていますが,史実に沿った形で寄港する港を選んだので,歴史に詳しいプレイヤーのみなさんにはそういった部分で好評をいただいています。あとは日本らしいアイテムとして,今回“落雁”という砂糖菓子のアイテムを配りましたが,いままでに見たことがないタイプのアイテムなので,日本風のものが出てきたと喜んでいただけたと思います。
あと,少年達のビジュアルは強烈でしたね(笑)。
4Gamer:
あの少年達はたしかに……(笑)。
渥美氏:
初めて少年達と出会ったときはインパクトがあったと思います。今回はほんの船出ということで,序章の位置づけですが,今後,第2弾,第3弾と話が展開していきます。察しの良い方はお分かりになっているかもしれないですが,最初順調に船出したあとは,どうなるのか……というところが今後のヒントですね。
4Gamer:
なにかただならぬ予感がしますね(笑)。
渥美氏:
ええ。プレイヤーのみなさんに「さあどうする!?」といった展開が待ち受けています(笑)。あと,El Orienteのサービス開始に向けて,だんだんと盛り上がって欲しいので,第1弾は日本を感じさせるお菓子と,初めて日本の格好をしたキャラクターとの出会いがありましたが,今後は,より日本の色が強いものが貰えるかもしれません。
以上のように,今回は日本の街に関する話を聞かせてもらったが,まだ未発表の単語もちらほら。スクリーンショットにある“不景気”や“進物”という文字などは,どのようにゲーム内で作用するのか気になるところだ。今後のインタビューでは,そのあたりについても聞いていくので,次回以降に乞うご期待を。
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