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2026年のD23では,「KINGDOM HEARTS IV」(キングダム ハーツIV)が2027年後半に発売されること(関連記事),そしてキングダム ハーツをベースにしたアニメーションシリーズが制作中であること(関連記事2)が発表された。
「キングダム ハーツIV」の発売が2027年後半に決定。新たな冒険の舞台を紹介する最新トレイラー公開
スクウェア・エニックスは,「キングダム ハーツ」シリーズのナンバリング最新作となる「キングダム ハーツIV」を2027年後半にリリースすると発表し,最新トレイラーを公開した。トレイラーでは,新たな冒険の舞台として,映画「リメンバー・ミー」の世界が登場することが紹介されている。
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本稿ではその内容と現地ファンの盛り上がりをお伝えする。
加えて,パネルディスカッションに登壇した,ウォルト・ディズニー・ジャパンのDisney&Pixar Gamesディレクターを務めるガド 菜々(Nana Gadd)氏にも単独取材できたので,そのコメントもあわせて紹介する。
映画発表からシームレスにキングダム ハーツIVへ
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これは,ディズニーが今後公開する映像作品や舞台作品を披露するイベントだ。1万2000人を超えるファンと関係者が参加し,約2時間にわたって計29作品が紹介されるという大規模なものだ。
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制作決定は2025年に発表済みで,今回はトレイラーを含む映像と,アメリカでの公開日が2029年11月21日となることが発表されたのである。
リメンバー・ミー2のトレイラーが流れて,続編の世界観が見え始めたところで,思わぬ演出が始まった。トレイラーの中に突如,キングダム ハーツシリーズではおなじみの敵役「ハートレス」が現れたのだ。
実は,トレイラー自体が映画の映像からシームレスにつながっており,そのままキングダム ハーツIVの発表につながる……という仕かけだったのだ。
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それに続けて,キングダム ハーツ初のアニメーションシリーズの制作も発表となった。
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ディズニー,ピクサー,マーベル,スター・ウォーズなど,誰もが知る強力なブランドの作品が20本以上,続々と発表となったDisney Entertainment Showcaseのなかでも,キングダム ハーツのアニメーションシリーズは,サプライズという意味ではトップクラスだったのではないだろうか。
そんな発表の翌日に行われたのが,キングダム ハーツ25周年をテーマにしたパネルディスカッションである「DEEP DIVE into KINGDOM HEARTS」だ。
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パネルディスカッションを待つファンの熱気はすさまじく,基本的には事前登録が必要であるにもかかわらず,開始の1時間前から会場前は大変な混雑ぶりだった。
会場に入れずにサテライト会場からストリーミングを見たという参加者も多かったようなので,それほどファンの関心が高かったということだろう。次回があるなら,主催側にはもっと大きなステージを用意してほしいものだ。
入場の待ち時間に気づいたのは,ファンの多さだけでなく,そのファンが実に「熱い」ことだ。
コスプレをしている人も多いし,衣装すべてを着ていなくても,キーブレードを抱えている人の数が本当に多かった。しかも,そのほとんどが市販品ではなく「自作」のようだ。
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もともと熱心なディズニーファンが集まるD23なので,集まる人も「濃度高め」ではあるのだが,そのなかでもとくに思い入れが強いファンが集まっていたという印象だ。
野村氏のサプライズ登壇に沸く会場
実は,パネルディスカッションに野村氏が参加することは秘密だった。もちろんそれを期待したファンは多かったのだろう。そのため,野村氏の名前が読み上げられると,会場のボルテージは一気に上がった。
野村氏が公のステージに姿を見せるのは久々のことだ。会場の大歓声を受けた野村氏は,サプライズ登壇の大変さを笑いながら語る。
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野村哲也氏:(以下,野村氏)
「実は,今日の登壇は皆様へのサプライズにする予定だったので,到着以降,姿を見られないようにずっと裏で隠れていなければならなかったんです。無事に皆さんの前に立ててホッとしています」
今回のステージでテーマとなったのは,25周年を目前に控えたシリーズの今後だ。
話の軸となったのは,ディズニー作品との協業における考え方と,キングダム ハーツIVで目指すゲーム体験である。とくに,映画の世界を再現しながら,ゲームならではの遊びを作ることを,どう両立させるかが語られた。
キングダム ハーツの特徴は,ディズニーやピクサーの世界を次々に訪れ,それぞれで異なる冒険を楽しめることにある。
ただし,ワールドを選ぶ基準は,映画の知名度や映像的な魅力だけではない。安江氏は,新しいワールドを企画する際に,次のようなことを議論すると明かした。
安江 泰氏:(以下,安江氏)
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ゲームはプレイヤー自身が操作するインタラクティブなメディアですから,この部分の体験設計を本当に重視しています」
同氏は,1本のゲームにディズニーランドのような多彩なアトラクションを詰め込みたいとも語る。「キングダム ハーツIII」の「トイボックス」では,ロボットを操縦する戦闘を取り入れ,「パイレーツ・オブ・カリビアン」では海賊として航海し,空中,水上,水中,陸上をまたぐアクションをシームレスに展開した。
映画の舞台を用意するだけではなく,そこに入った瞬間に,その世界でしかできないことを感じさせる。ワールドごとに異なる遊びを用意することが,キングダム ハーツにおけるバラエティのある体験を維持するための鍵というわけだ。
4分間でも盛りだくさんだったトレイラー
気になってくるのが,キングダム ハーツIVでは,どのようなゲーム体験を目指しているのかという点だ。
野村氏は「昨日,全世界に向けて公開されたトレイラーのなかで,すでに現時点でほぼすべての情報が出てしまっています。ですので,今このステージで,皆さんにお見せできる,まったく新しいニュースがあるわけではないんですが……」と語りつつ,約4分間のロングトレイラーを披露した。
前日に公開された20秒の映像は,ロングトレイラーを,より幅広いファン向けに編集したバージョンだったわけだ。
完全版といえるロングトレイラーで目を引いたのは,物語の新情報以上に,ゲームとしての工夫だった。
たとえば,リメンバー・ミーにおける「死者の国」を舞台にしたワールドでは,ソラがミゲル,ヘクターとともに戦うのだが。音楽が物語の核にある同作らしく,ミゲルはギターを弾き,歌いながら戦闘を有利にする。
ヘクターは自身の骨を外して弾丸のように撃ち出し,腕をヌンチャクのように振り回す。
さらに,ミッキーマウスもプレイアブルキャラクターとして登場する。こうしたゲームならではの仕かけは,キングダム ハーツIVの特徴となる要素だ。
安江氏が,キングダム ハーツIVの新要素のなかでも重要なエリアとして挙げたのは,「スカラ・アド・カエルム」(Scala ad Caelum)だ。このワールドでは,王様ことミッキーを直接操作し,ソラと一緒にプレイできるという。
不思議な本へ飛び込むと,すべてが紙でできた絵本のような「ペーパーワールド」が現れる。
そこではミッキーが折り紙の要領で,紙のように薄いコピーを作り出す。そして壁の隙間を通り抜けたり,紙飛行機に変形して遠くまで飛んだりできるのだ。
安江氏:
「『ペーパーミッキー』になったり,逆に折り紙を巨大化させて『ジャイアントミッキー』になったり,さまざまな形に変化します。これらの『折り紙ミッキー』の特殊なアビリティを利用して,世界の仕かけやパズルを解き明かしていく,これまでにないパズルベースの非常にユニークなゲームデザインを取り入れています」
ソラのアクションとは異なるプレイアビリティを加えることで,ゲームのなかに別のリズムを作っている。これも,ワールドごとに異なる遊びを届けるという考えの表れだ。
重視される「彼ら自身」と「本物感」
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ガド 菜々氏:(以下,ガド氏)
「私たちが最も重要視しているのは,ディズニーのキャラクターたちが常に『彼ら自身であり続けること』です。
新しい状況や,キングダム ハーツのオリジナルストーリーに投げ込まれたとしても,ディズニーキャラクターは,常に映画の中の彼ら自身とまったく同じように反応し,行動する必要があります」
その原則を守るために必要なのが,「オーセンティシティ」(本物らしさ,忠実であること)だ。
これは決して,映画のストーリーを機械的になぞることを意味していない。キャラクターの魂やエッセンスを理解し,新しい物語に置いたときにも,その人物らしい反応と行動を保つことが必要になる。
ビジュアル面でも,シェーダやテクスチャ,画面の比率まで,もとの映画の世界に合わせて意図的に調整する。カメラワーク,カット割り,シーンのリズムにも映画のスピリットを宿らせることで,プレイヤーに「映画の中に入り込んだ」と感じてもらうためだ。
安江氏:
「オーセンティシティは,開発チームにとっても最も重要なキーワードです。プレイヤーには,本当に大好きな映画の中で遊んでいるという感覚を100%味わってほしい。そのため,キャラクターの細部や各ワールドの物語を驚くほど緻密に再現しています」
リメンバー・ミーにおけるミゲルとヘクターのアクションは,その具体例である。映画のキャラクター性とゲーム内での役割を重ね,プレイヤーが操作を通じて彼らの魅力に触れられるようにしているのだ。
ゲームの中でしか体験できない「ワールド価値」を求めて
野村氏は,シリーズ25年の歴史でとくに思い入れのあるワールドとして,「キングダム ハーツIII」に登場した「トイ・ストーリー」のワールド「トイボックス」を挙げた。
このワールドは,ゲームオリジナルの要素が強いものの,スクウェア・エニックスのクリエイティブチームとピクサーのストーリーテラーが密接に協力し,映画1作目のあとを舞台にした完全オリジナルの物語を作り上げたのだ。
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この姿勢はヴィランの扱いにも通じる。「ディズニー作品の悪役たちの魅力を引き出すことも毎回楽しいプロセス」と野村氏は述べる。
ヴィランたちは,キングダム ハーツ独自の物語に深く関わり,強い存在感を持つ。だが,原作のキャラクター性を変えてしまうことはない。キャラクターの本質を守ったまま,ゲームならではの新たな魅力を見せるわけだ。
キングダム ハーツには,特定の映画を原作に持たないオリジナルワールドもある。「ディズニータウン」はその代表例だ。モチーフになったのは,ディズニーランドの「トゥーンタウン」。映画の再現とは別の形でディズニーらしさが再現されている。
ガド氏:
「ディズニータウンの制作プロセスは,単に新しいゲームのロケーションを作るという作業ではありませんでした。重要だったのは,『ディズニーランドを訪れたときの,あの特別な感情』をゼロから創り出すという挑戦だったんです」
野村氏も,「抽象的なコンセプトや感情から世界を組み立てることは重要」と話す。というのも,映画を再現する場合に比べてゲームのギミックやシナリオを組み込みやすく,ソラたちを自然に物語へ巻き込めるからだ。
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安江氏は,「ディズニー映画のワールドを再現する時と同様,圧倒的なオーセンティシティに徹底的にこだわった」と話す。東京は開発チームのお膝元だ。
開発チームは,東京の街で大量の資料を収集して制作を進め,安江氏自身もランニングシューズを履いて街を走り回り,フィールドワークを行ったという。
東京らしさを実現したワールドの中でゲームが展開され,ソラはキーブレードのキーチェーンをフックショットのように使って屋上へ飛び,電線をグラインドし,街灯のポールや看板を利用して移動する。
写実的な都市のビジュアルと立体的な移動の組み合わせが,クァッドラトゥムにおけるゲームプレイの核になっていきそうだ。
こうしたゲーム全体の構築には,野村氏の明確なビジョンと,安江氏率いる開発チームの試行錯誤が必要だ。
野村氏:
「シナリオ作成やプロット構築の段階において,私はいつも,自分の頭の中に『これが完全な正解だ』という明確なビジョンを最初に描いています。しかし,その頭の中のビジョンを実際に三次元のゲームとして具現化するためには,安江率いる開発チームとの絶え間ない試行錯誤が必要不可欠です」
野村氏は,まずチームに自由にアイデアを出してもらい,「このアクションは物語のトーンに合うか」「このグラフィックは没入感を損なわないか」を何度も議論すると説明する。
実現が難しく調整が必要な案もあれば,物語上絶対に譲れない要素もある。その往復のなかで,遊びと物語のバランスを探っていくのだ。
キングダム ハーツ30周年へ向けて
冒頭にも述べたように,キングダム ハーツIVは2027年後半の発売を予定している。
これまで,シリーズ作品は何度か延期を繰り返してきたが,登壇した3人は「確実に2027年後半に発売する」と口を揃えた。
スクウェア・エニックス側だけでなく,ディズニー側も同じ発売時期を明言したことから,開発は順調に進んでいるようだ。
そして,25周年を記念した計画も進んでいるという。そのひとつがアニメーションシリーズの制作だ。
「まだ公にできない部分が多い」と野村氏は話す一方で,「アニメにもクリエイティブの根幹から深く関わっている」と説明した。
その上で,「25周年が間近に迫っている今,私の頭の中では,すでにその先にある30周年を見据えています」と野村氏は語る。
大規模なコンテンツの開発には,数年の時間がかかる。だからこそ今の段階で,30周年を視野に入れて走り出すことが重要なのではないだろうか。
ディズニーのディレクター,ガド 菜々氏単独インタビュー
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ゲーム内容の詳細を明かせる段階ではないため,今回は「ディズニーにとってキングダム ハーツとは」をテーマに話を聞いた。
――まずは,発表時の演出についてお聞きします。リメンバー・ミー2のトレイラーから,おそらくほとんどの人が気づかないままキングダム ハーツIVのトレイラーにつながるという演出でした。その意図は?
ガド氏:
「ディズニーファンに向けた映画の発表の場でゲームを発表するという部分もあったので,いかにシームレスに,かつ『実はゲームでした』というサプライズも含めて演出できるかというところを,スクウェア・エニックスの開発の皆様が,本当に知恵を絞ってくださいました。
ハートレスが「わーっ」と湧き上がるところでの会場の沸き上がりもすごかったですけれども,それが期待通りの反応につながって本当に嬉しいです。
――このD23で発表した価値があったなと思いますし,あの場の空気,生の雰囲気を味わった人が,最大の効果を得られたのかなと。
ガド氏:
「はい。もちろん発表されるタイミングは知っていたのですが,それでもやっぱり鳥肌が立ちましたね。本当に楽しんでいただけたんじゃないかなと思います。発表の瞬間の,皆様のリアクション動画なども,ちょっといろいろ検索して見てみたいなと思っています(笑)」
――今のディズニーにおけるキングダム ハーツの価値を教えてください。
25年も続いたこのフランチャイズが,ディズニーにとってどういう意味を持っているのか。ディズニー自身のIPであると同時に,そのディズニーとのコラボレーションのIPであるということが,どんな意味を持っているのでしょうのか。
ガド氏:
「ディズニーのゲームにおいても,本当に唯一無二の存在だと間違いなく思っていまして。25周年という節目を迎えること自体,ほかに類がないくらい,弊社(ディズニー)の中では非常に長いものです。
この歴史にずっとついてきてくださっているファンの方々がいるフランチャイズとしての価値はもちろんあります」
「パートナーシップという意味で,本当にキングダム ハーツが特別であるのは,弊社のIPを使っていただきつつも,野村さんの非常に魅力的なストーリーテリングというものと見事に融合して,ひとつのテーマを織りなしていることです。
こうした取り組みをしている作品としてもかなり類を見ないものだと思うんですよね」
「25年以上前に最初のチームを立ち上げて以来,脈々と続いてきた努力の結果だと思うんですけれども,本当に大切にしていきたい歴史を紡げていると思っています」
――ディズニーのゲームとしては,たとえば日本からは「ディズニー ツイステッドワンダーランド」(以下,ツイステ)という,非常に成功した作品があります。アニメにもなって,IPとしてゲーム以外へも広がっている。
キングダム ハーツもゲームとしてのIPがありつつ,さらに今度はアニメーションに展開されます。こうした流れは,ディズニーにとってどのような価値を持っていると考えていらっしゃいますか?
ガド氏:
「そのご質問をいただけたのは非常に嬉しいですね。ディズニーのゲーム部門としても,メディア展開によってさまざまなタッチポイントを広げていくことについては,本当に大切に取り組んでいます。
その先陣を切ったのが,まさにキングダム ハーツであったかなと。キングダム ハーツもゲームでありつつ,コンサートがあったりグッズがあったりと,本当にいろんな形で楽しんでいただけています」
「その礎の上で,ジャンルもターゲットも違うとはいえ,ツイステなども,別の形でどんどん広がっていけています。成功例が増えるにつれ,どんどんやれることも増え,まだまだやり尽くしていないのかな,広げていきたいなと思っています」
「キングダム ハーツも25年がたちましたけれど,まだまだやりたいことがたくさんあります。今回のアニメーションシリーズの発表が,その本当に第一歩かな,と」
――ディズニーの作品があって,コラボレーションがあって,またそこからディズニーのアニメーション作品ができるというようなサイクルは,やはり重視されているところでしょうか。
ガド氏:
「おっしゃるとおりです。我々はこれを『エコシステム』と呼んでいます。さまざまなタッチポイントをしっかりと回し,さまざまな場所で常に触れていただくことが,フランチャイズのファンを拡大するポイントです。そこはとても大切にしています」
――なるほど。そして,まずは2027年の後半にゲーム本編(キングダム ハーツIV)を楽しんでいただくという形になるわけですね。
ガド氏:
「はい。そうですね。そこがまず,大きなマイルストーンになります」



































