イベント
転生・PvP・第4の種族。長期展望が垣間見えた「ECO祭2007」
昨年のECO祭とは少々趣を変え,ECOを扱ったサイトやblogの運営者72名を招待する形となったECO祭2007では,開発サイドや広報関係スタッフからの先行情報提示や,新しく「ECO初心者さん応援団長」に就任した山崎琴音さんのお披露目などが行なわれた。
大型アップデートの直後,かつ年末に向けた各種アップデートの狭間ということもあってか,昨年よりやや小ぢんまりとまとまっていたが,ECOの今後の展開に関して,実に重要な情報も飛び出したECO祭2007。その詳細をお伝えしよう。
恒例の“スケブトーク”で抱負が語られた「生ECO放送局」
正午にはいよいよECO祭り2007が開幕,昨年に引き続きDJレオ氏の司会進行で,まずは「ECO放送局」の現役パーソナリティ2人,松来未祐さんと原田ひとみさんが,ECOのマスコットでもある「タイニー」の帽子をかぶって登場。またガンホー側からは「教授」こと浅間達雄氏と,「助教授」こと水落貴嗣氏,PRを担当する「トミー平原」こと平原智子氏と「シナモンしおじー」こと塩島百合さんも参加して,昨年度も行なわれた「生ECO放送局」が開始された。
そこでは昨年と同様にスケッチブックを使い,各自の2007年を振り返る思い出話や2008年の抱負といったトークが繰り広げられ,松来さんからは,ゲーム内の「家」である「飛空庭」を作りたいという希望が述べられたほか,ECO歴の長い原田さんは,自分がゲーム内で使っている男性キャラクターに関して「色黒になってもてもてになりたい」と発言するなど,生ECO放送局は終始賑やかに進行。ガンホーサイドの登壇者からも「これまでECOで語られなかったものを語っていきたい」といった抱負が,いわば今日のイベントの前振りのような形で示された。
レベル10までのキャラが多いのは……「ECO白書2007」
ECOでは,新規プレイヤーの数はもちろんのこととして,それとは別に2アカウント目を使うプレイヤーも多いことが,この結果につながったと思われる。
2アカウント目のキャラクターは,より多くのアイテムを保管するため,つまり種族や職業ごとに設定されているアイテム所持量制限への対応策として使われている。くじやアイテムチケットなど,次々と発表される豊富で可愛らしいアバターアイテムが人気のECO。だが,それは同時に,所定の機会が過ぎてしまうと入手が困難になるアイテムを,捨てるに忍びないプレイヤーが増えるということでもある。2アカウント目はいわば,“捨てられないアイテム”を保管するための「第二倉庫」として利用されているのだ。
またECOでは,ログアウトすると代理のマリオネット(人形)達が売買をしてくれる“ゴーレム露店”を出せるが,そのシステムを活用し,メインキャラクターで狩りを続けながら,そのキャラクターが入手したアイテムを,2アカウント目で出した露店に「0円買取」させることで移動倉庫代わりとする,といった定番プレイスタイルもある。
いささか余談に踏み込むが,こうしたプレイそれ自体を見ると,システムの裏をかいた利用方法にも見えなくはないが,その発展形として,プレイヤーが一丸となって決められたアイテムを何十万個といった分量で大量に集め,有志がそのアイテムを買い取る専用の「募金箱」を設置する,といった形でも使われており,「プレイヤーの考え出した新たな遊び方」として注目されている。
ともあれ,持っていたいアイテムを持っているためだけに,セカンド以降のアカウントを作らねばならないというのは,あまり前向きな話ではない。倉庫容量については,ガンホーの浅間氏からも,現状はそちらで対処していただいているものの,何らかの対応はしていきたいとの発言も聞かれた。
なお,ゲーム内でプレイヤーキャラクターが所属でき,所属国家の通行証が不要になったり,専用クエストが受けられたりと,メリット面でさまざまな違いが出てくる,東西南北の「騎士団」の所属状況についても発表されたが,こちらは,「SAGA1」の頃から重要なクエストが多く,国境の出入りが多かった北軍所属者が最も多いという結果となり,実際に,会場を訪れたプレイヤーでも北軍参加者が最も多かった。
また,最後に現在のプレイヤーの最長ログイン時間(81万2862分で約564日。なお,ECOのサービス開始から現在までの日数は約740日間)が発表されると,会場側では驚くやら納得するやら,さまざまな声が上がり,開発側からは「非常に嬉しい限りですが,健康には十分注意してくださいね」といった言葉も飛び出していた。
特別企画「六地蔵巡りの旅」
会場では実際に巡ったお寺で集めた朱印も披露されたほか,来場者には後刻,最初に手渡されたお土産のほか,消費アイテム「ECO六地蔵御守り」のアイテムIDが渡されることも伝えられ,現実世界とゲーム世界を繋ぐ企画となっていた。
期待の高まる今後のECO。「ECO特別発表会」その1
「ゆく年くる年ECOの年」と題された本ステージではまず,来たる12月7日のECO「SAGA7」実装と同時に新曲を発表するアイドルグループ「桃」の山崎琴音さんが登場。今後「ECO初心者さん応援団長」として活動していくとの報告が行なわれた。
16歳の琴音さんは自身がECO初心者。「サマーソルトキックを繰り出したい」との理由から,スカウトを目指してプレイを開始したものの,モンスターが可愛く,クエストのためとはいえ倒してしまったモンスターにチャットで「ごめんね」と言ったら周囲に笑われた……などと,初めてのECOプレイの感想を述べた。
アイテム関係ではそのほかに,2008年の新たな正月アイテムとして用意された「ニンジン凧」について「当初は空に浮かべられたマンドラニンジンが,恐怖の表情をするという設定だったんですが,おめでたいお正月のアイテムということで,ニコニコ顔に変更されました」などといった裏話も飛び出していた。
「SAGA7」に関しては,天界に向かう最大の難関となるボス,タイタニアドラゴンの設定画が公表されたほか,タイタニア世界が広がると世界地図を覆っていた雲が晴れて見えていくようになることや,一部プレイヤーが事前に予測していたとおり,天界で出会う新たな種族マーメイドに変身できる「マリオネット・マーメイド」が実装されることなど,多くの情報が提供された。なお,マリオネット・マーメイドには「真珠2個」が関わってくるといい,「女の子は綺麗なものが好きですから,今から準備しておいてくださいね」とのヒントも,その場で明かされた。
特別発表会その2「もっと優しい,コミニュケーションの広がるECOに」
翌12月3日に周知された「ゲストID」についてだが,こちらはPC用のメールアドレスさえあれば,面倒な手続きは一切不要で,ECOの試遊を始められるというもの。以前の「おためしID」よりさらにハードルを低くし,手軽に遊べるように考えられたシステムだ。このシステムで参加しているキャラクターには,名前の脇に若葉マークが表示される。
ゲストIDでのプレイには,不正行為に利用されないよう,プレイヤー同士のアイテムトレードや露店売買は一切できないという制限がつくため,「パーティを組む場合にはくれぐれも「ドロップアイテムのランダム取得」をオンにしておいてください」とのことだった。
なおスクリーンでは,使えるスキルのヒントとして「大召喚ブースト!」「私を信じて!」「飛空庭全方位斉射用意ー!」といったセリフがチラ見せされた。現役プレイヤーの間でタタラベ(鍛冶屋)職の命(?)とも言われ,何はなくともDOGEZAとすら言われるスキル名が入った「俺のDOGEZAを受けてみろ」のセリフには,会場からも大きな笑いが巻き起こっていた。また,そのスキルの中には,ネコマタが全員踊りだす「ネコマタ音頭」といったものもあるとのことで,楽しいスキルになることは間違いないだろう。
また,まだ名称などは不明だが,2008年にはエミルの世界のファーイーストにある「アンデッド城」で,初心者から高レベル帯のキャラクターまで,さまざまなルートを通りながら大人数で力を合わせて遊べる“何か”が実装されるとのこと。「どかーんと遊べるものになる予定です」とのことなので,期待して待とう。
特別発表会その3「今後のECOと『次元を超えて』」
これは,各季節やアップデートごとに行なわれるゲーム内イベントに参加していると,アニバーサリーイベント開催中,特定の場所で「思い出星」をもらえ,該当イベントに関わるストーリーを垣間見たり,集めた星をアイテムと交換したりできるというもので,1周年記念の折にも開催された。再会できるNPC達もさらに増えて,ボリュームアップである。
まず「SAGA7」で加わったタイタニアの世界(天界)だが,こちらは基本的に,これまで遊んできたエミルの世界のパラレルワールドとなり,エミル世界でのアクロニア大陸にあたる地域は,タイタニア世界では「花びらが舞う空中大陸」になるという。
また,タイタニアの世界と対になるドミニオンの世界(魔界)についても概要が明かされ,平和に見えるエミルの世界にも騎士団の対立のような争いの色が見られるように,戦いを旨とする種族ドミニオンの世界は,プレイヤー同士の対戦「PvP」が基本となるような世界になるとのこと。ただし,PvPにおいてもハートフルで多くの人が楽しめる形にしたい,という開発側の意向で,闘争の中にも安らげる,ほっとできる何かが用意されるようだ。
ECOの世界については,過去にある大きな出来事があって,本来は別々のパラレルワールドであった3世界がつながってしまったのだ,という設定がある。今後,その次元を一つにした黒幕「第4の種族」がついに登場,三つの世界に関わっていくのだという。
また同時に,「次元」を越えることで,プレイヤーキャラクターが新しい力,新しい姿を持てる「次元転生(仮名)」が行えるようになり,これは装備できるアバターアイテムにも関わってくるらしい。“転生”に関してはECO内で,育成した能力自体は初期化されてしまうが基本能力の上限が上がっていくという形で,ペットに対して同名のシステムが実装されている。また,ガンホーがかねて運営するMMORPG「ラグナロクオンライン」に同名のシステムがあり,おそらくはそれに類するものとして構想されているのだろう。
発表会の最後には,ノーザンシティの地下にある「真のノーザンシティ」や,エミルの世界にもまだ残されている立ち入り禁止の場所,メタモーバトルなどの活用をはじめ,スキル,フレンドシステムの登録人数上限(現状では100名)など,さまざまなシステムの調整等も含め,これまでに寄せられたプレイヤーの要望に順次取り組んでいきたいという運営側の姿勢と抱負が語られた。
浅間氏からは「ネコマタと一緒に入れるかどうかは不明ですが,温泉は強くプッシュしているので,そうしたハートフルな内容や,釣り,マージャンといったちょっと変わった内容も取り入れていきたいと思います」との,お楽しみ部分も追加で伝えられて,今後に大きな期待を残す締めくくりとなった。
ECOもやはり,転生職とPvPに今後の展望を置いているということには,MMORPGのライフサイクル全般に明るい読者であれば「ああ,やっぱりね」という感想を抱いたかもしれない。だが,ECOの作品としての勝負は,その独特の世界観とキャッチフレーズにふさわしい内実を,そこにどうやって盛り込むかに懸かっているといえよう。PvPに「ハートフル」さを,お馴染みの転生職に三つの世界を絡めようという方針表明は,まさしくその課題に向き合う姿勢の表れといえる。
まだ具体的な形こそ見えてこないが,制作陣が共有する,ある種の問題意識を垣間見られただけでも,今回のイベントには大きな意義があったと,個人的には思う。
「デコブログ」とのコラボレーションも
そしてプロダクション・アイジーとトランスコスモスが出資するamimoLLPの新ブログサービス「デコブログ」が,ECOの新たなコラボレーションパートナーとなる。壇上にはトランスコスモス 専務取締役 森山雅勝氏も加わり,デコブログの概要説明と,コラボレーション内容についての説明が行われた。
ECOはそこに,「デコレーションアイテム」としてネコマタ「杏」やタイニーなどのキャラクターが使える,といった形で参入し,今後はブログ上でも実際にゲームと連動するような企画が考えられていくようだ。
森山氏は石川氏からの紹介でECOと出会ったと言い,ブログの詳細を来場者に説明,小悪魔はいわゆる「人工無脳」でしゃべりますが,会話のバリエーションは豊かです,といったことのほか,テイストのまったく異なるものが集まると,逆に融合しやすいこと,そのため,今回のECOとのコラボは,森山氏自身が楽しみにしているといったことなどを語った。
エヴァンジェリストを重視しWebコミュニティの活用を図る
最後のステージ挨拶では,今回登場した全員が一堂に会し,相手を指差す「君に憑依」というキーワードで終幕となった。
また帰りがけには,先に告知されていた「六地蔵御守」のゲーム内アイテムチケットのほか,大人気の超レアアイテム「ねこ日和(ロシアン)」や「空飛ぶじゅうたん」,ベジスティックセットなども含めた“りあるがちゃ”の引き換えも行なわれ,遠くから足を運んだプレイヤーにも満足の一日となっていたようだ。
なお,会場で先行発売となった第9弾のアイテムチケットは,12月7日より全国で発売される。詳細は公式サイトを参照のこと。
その席で森下氏は,現在のオンラインゲームシーンでは,多くの人がブログでプレイ日記を書くことから,コラボレーションをお願いしたと述べ,うわべだけでなく中身のあるコラボレーションにしていきたいという抱負などを語った。一方の森山氏からは,今回のコラボレーションは小悪魔キャラクターを描くプロダクション・アイジーと,もともと一緒に仕事をしていた関係でECOの話が出,「ブログとオンラインゲームの距離が近いこともあり,ガンホーさん側から話をいただきました」という経緯が,それぞれ語られた。
また石川氏は,日本ではアニメ/映画とゲームの間に垣根があるが,海外では日本よりもはるかにその垣根が低く,それが日本にもインターネットを通じて伝わってきているという見解を示した。
またその話題に関連して森下氏は,ECOも今後は,タイなど日本のエンターテイメントに関心の高い国をはじめとして海外に進出していきたいという,今後のビジネス展開について語り,スタート当初に予告されていた内容が2年かけて実装,もしくは実装の目処がついてきたECOに関し,海外展開も視野に入れたさらなる広がりの可能性を示唆していた。
サービス2周年を迎えて,ようやくゲーム世界の全貌が見えてきたECO。長期にわたるオンラインゲームサービスの宿命を意識して,キャラクターレベルのまき直しである転生のシステムと,ハイレベルコンテンツとして一つの定番であるPvPを持ってきたことは,ある意味実に理に適った措置である。先ほども少しコメントしたとおり,あとはそれを,純国産MMORPGの利点たる,きめ細かなストーリー性と背景世界の構築に,どう合致させていくかが大きな課題といえよう。
戦いの中にハートフルさを,ありふれた転生システムでなく,三つの世界と合致したキャラクタープランを,という,ある意味アクロバティックな課題に対し,開発陣はどのような解答を用意してくるのか。今後のアナウンスに,引き続き注目していきたい。
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エミル・クロニクル・オンライン
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