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[E3 2005#109]「Unreal Tournament 2007」がついに始動
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印刷2005/05/21 23:58

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[E3 2005#109]「Unreal Tournament 2007」がついに始動

■Unrealエンジン3を採用したUT2007がMidwayから
 初日のE3 2005会場で「Unreal Tournament 2007」(以下UT2007)の大段幕を見つけ,あらためて意外に思えたのが,発売元がこれまでのAtari社でなく,Midway社になっていたことである。Midway社は,ここしばらくPCゲームのエントリーがなかったものの,最近になって「Area 51」「Rise and Fall:Civilization at War」などを立て続けに制作発表し始めており,ラインナップの多角化を狙っていたようだ。そんな中,フラッグシップ作品となるべくUT2007が発表されたのである。
 UT2007は,ムービーの発表が専用シアターで行われ,Midway社のブースを取り巻くように列ができていた。その内容は,初代「Unreal」以来のアンリアル世界を,順を追って説明するというもので,最後には大段幕にも写っていた新しいマルコム軍曹が登場。自分の顔グラフィックスやロケットランチャー,バギーなどを過去の2作品(Unreal TournamentとUnreal Tournament 2004)のものと比較してみせながら,実際のUT2007マップへと進んでいった。

 そのマップは,どこかアメリカのキャンパスや議事堂を思わせるような,両側にビルが並ぶ歩行専用道路を中心としている。マルコムが立つのは,その道路を見据えた噴水広場で,すでに敵が遠方から攻撃を始めていた。さらに,ラプターやマンタはグラフィックスが一新して再登場していたし,とくにスコーピオンは細部まで描かれており,周囲の敵を切り倒しながら進んでいくのがすさまじい。
 グラフィックスはUnreal 3として知られる最新のエンジンを使用しており,少し紫が強調されたような薄暗い都市の雰囲気は,以前の技術デモとよく似ている。ちなみに,GDC 2005では,技術デモに登場した都市で実際の戦闘が行われているシーンが見られたが,あれは今回Epic Games社から発表されたXbox 360のローンチタイトル「Gear of War」だったようだ。



■UT2004よりも新たなプレイヤーを引きつけられるように
 Midway社ブースの内部では,開発元のEpic Games社により実際のデモも行われており,UT2007のリード・レベルデザイナーを務めるJames A Brown(ジェームス・A・ブラウン)氏に,ゲームに関する詳しい説明をしていただいた。デモそのものは,会場のムービーで見せていた"e3city"マップとまったく同じものだったが,ブースではブラウン氏自らが実際にプレイしていた。

 まず,「Unreal Tournament 2004」(以下,UT2004)のゲームデザインは,失敗とは言わないまでもファンを満足させるには十分でなかったと,ブラウン氏は自責する。今でも多くのプレイヤーを持つUT2004だが,確かに慣れるのには時間がかかるため,新しいプレイヤーの取り込みはうまくいっておらず,歴戦の熟練プレイヤー達ばかりが楽しんでいる。
 これを打開する策については後述するが,前作で得たプレイヤー達からの要望を考察することで,これまで以上に入念なゲームデザインに努めているとのことだ。
 Unrealエンジン3の制作会社というと,新技術フェチのようなイメージもあるが,彼らもこうした葛藤を抱えつつ,まずデザインありきでゲームを制作しているのだろう。しかし,そもそもデザインチームにより広い開発オプションを与えているのは,ユーザーフレンドリーなUnrealエンジン3の開発ツールであることも忘れてはならないだろう。
 UT2007では,8つのチームをフィーチャーする。シングルプレイヤーモードにおけるプレイヤーのチームとジェイコブのチーム,そしてジャガーノート(Jaggernaut),アイアンガード(Iron Guard),ナクティ(Nakhti),ネクリス(Necris),クラル(Krall),そしてザ・コラプト(The Corrupt)となる。ネクリスは,オリジナルのUnreal Tournamentからの復活で,後述するとおり数々の搭乗兵器も用意されているように,本作のストーリーのカギとなるようだ。
 使用できる兵器は,現在のところ10種類程度が確定しており,リンクガン,ショックライフル,AVRiLなどほとんどの兵器が持ち越された。ただし,アサルトライフルとミニガンに変わって,デュアル・エンフォーサーライフルとトリディアム・スティンガーが加わっている。




■新しいゲームモード,Conquest
 UT2007の最大の特徴は,新しいゲームモードが追加された点にある。現在Conquestと呼ばれているそれは,二つのチームに分かれて戦い,お互いのベースの掌握を目指すというものだ。Onslaughtとコンセプトは同じだが,マップをシームレスに描き出すUnreal 3エンジンの恩恵を受けて,非常に広大なものになっており,プレイヤー人数によっては複数のマップが繋がっているものもあるという。
 UT2004のOnslaughtでは,要地を掌握して補給路を断つような戦いに始終する。しかし,プレイヤーのヘルスが減少するのは止められず,長期にわたっての戦略的な戦いはできないままだった。
 Conquestの場合,このような戦略ポイントにはバンカーが存在する。そこでヘルスパックを入手したり,乗り物などのアセットを作成するというリソースマネージメントの要素が加わり,かつマップ上のバンカーを多く占拠しているほど,アセットが生成されるスピードも上がるという。
 まだ何人のプレイヤーが参加できるのかは煮詰められていないが,Conquestでは1ゲームの長さも長期化するのは必然で,デスマッチやCTF(キャプチャー・ザ・フラッグ)とはまったく違うゲームとして,プレイヤーの間では受け取られるのではないだろうか。
 マップが広いぶん,乗り物の数も増える予定で,アメリカで発売された「UT2004:Editor's Choice DVD Edition」からAxonの搭乗兵器9種類を再利用。さらに,Necris系の乗り物を9種類追加することとなる。Necrisは,これまでのバギーやタンクのような実世界的なタイプとは違う,よりオーガニックなルックスの搭乗兵器になるだろうとのことだ。
 ちなみに,デモに登場したスコーピオンは自爆させることもでき,ゴリアスに衝突するまでにプレイヤーが脱出装置を使って飛び出し,スコーピオン本体はゴリアスやバンカーに突っ込ませるというような手段もとれるとのことだった。そのためにロケットブースターまでをも装着しているというブラウン氏の解説に,筆者はなぜか日本軍が戦時中に開発した「桜花」を思い浮かべてしまった。脱出しないままロケットブースターをセットしたときの,目の前に広がる風景はどのようなものになるのだろう……。

 もちろんラダーシステムを装備し,とくに今回からはプレイヤーのステータスに合わせて能力差のないようにマッチメイキングする機能を取り入れる予定だという。Conquestモードと引き替えに,ゲームサーバーであまり人気のないAssault,Domination,Bombing Runは削除されるとのことだった。
 Unreal Tournament 2007は,筆者の見たところUT2004よりもオリジナル作品のプレイスタイルに似ている。リリースはまだまだ先のことだが,会場での評判から言っても,2006年度のヒット作となるのは間違いなさそうだ。(奥谷海人)

  • 関連タイトル:

    アンリアル トーナメント 3 英語版 日本語マニュアル付き

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