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  • 発表日:2004/04/14
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グラフィックスメモリ512MBの真実2:GeForce 6800 Ultraで判断する512MBの価値
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印刷2005/06/14 16:53

テストレポート

グラフィックスメモリ512MBの真実2:GeForce 6800 Ultraで判断する512MBの価値

■GeForce 6800 Ultraにもグラフィックスメモリ512MBモデル登場

 グラフィックスメモリ512MBにどのような意味があるのかを考える本企画。先の記事(「こちら」)に続き,後編となる今回はNVIDIAのGeForce 6800 Ultraについて考えていきたい。

 GeForce 6800 Ultraには,最近になってグラフィックスメモリ512MBモデルが追加され,実際に数社から製品のアナウンスがあった。そんななか,エーオープンジャパンの協力により,グラフィックスメモリ512MB版のGeForce 6800 Ultraカード「Aeolus PCX6800ULTRA-DVD512」(以下6800Ultra 512MB)を2枚,そして,比較対象としてグラフィックスメモリ256MB版のGeForce 6800 Ultraカード「Aeolus PCX6800ULTRA-DVD256」(以下6800Ultra 256MB)を2枚借用できたので,比較しつつ話を進めていこう。
 6800Ultra 512MBは,同社の通販限定モデルという位置づけだ。1枚8万3790円という,いかにもハイエンド品な価格で,同社の通販サイト(「こちら」)から購入できる。

左:Aeolus PCX6800ULTRA-DVD512
中:Aeolus PCX6800ULTRA-DVD256。こちらは実勢価格6万8000円前後
右:一見同じデザインのようだが,並べてみるとグラフィックスメモリ512MB版(写真手前)のほうが長くなっている。追加されたメモリチップの一部用としてカード背面にヒートシンクを搭載するのも特徴だ
問エーオープンジャパン(info@aopen.co.jp)


グラフィックスメモリ512MB版Radeon X800 XLのテスト時と同様,今回もUltraSharp 2405FPW HASを利用した。24インチワイドタイプで,販価格は15万7500円(通常時)
問デル(0120-912-039)
 テスト環境は表1のとおりで,グラフィックスメモリ512MB版RADEON X800 XLのテストを行った環境とまったく同じ。ASUSTeK ComputerのnForce4 SLIマザーボード「A8N-SLI Deluxe」を利用しているので,NVIDIA SLI接続時におけるグラフィックスメモリ容量の影響についても考察する。
 しかし,6800Ultra 256MBにはAOpen独自の大幅なオーバークロック(以下OC)が施されている点に注意したい。詳しくは表2にまとめたが,6800Ultra 512MBと6800Ultra 256MBでは動作クロックが異なるのだ。
 この差がパフォーマンスに影響を及ぼすだろうことは容易に想像がつく。そこで,テストに当たっては,6800Ultra 512MBを6800Ultra 256MBと同じコア/メモリクロックまでOCした場合のスコアも計測した。なお,これは1枚差し時のみで,NVIDIA SLI(NVIDIA Scalable Link Interface,以下SLI)時はクロック変更を行えないため,同一クロックでの検証は行えていない。
 このほか,テスト環境はグラフィックスメモリ512MB版Radeon X800 XLの検証時に準じており,ディスプレイにはデル「UltraSharp 2405FPW HAS」を利用。フルスクリーンアンチエイリアシング(Full Screen Anti-Aliasing,以下FSAA),異方性フィルタリング(Anisotropic Filtering,以下Anisotropic)を切り替えながら,1024×768/1600×1200/1920×1200ドットの解像度で検証を行っていく。



■基本的にはRadeon X800 XLと同様のスコア傾向

 まずは「3DMark05 Build 1.2.0」の結果(グラフ1)を見てほしい。カード単体ではどの解像度でも6800Ultra 256MBが高いスコアを示している。理由はもちろん,6800Ultra 256MBの動作クロックが高いためだが,言い換えれば,現時点ではグラフィックスメモリの容量が増えるよりも,コアやメモリの動作クロックのほうがパフォーマンスに占める影響は大きいということになるわけだ。
 この傾向はSLI接続時にはより顕著になり,SLI接続時のスコアはカード1枚時よりも大きくなっている。
 一方,OCして6800Ultra 256MBと同じスピードで動作させた6800Ultra 512MBを見てみると,6800Ultra 256MBを上回るスコアを出しているのが分かる。しかし,1920×1200ドットでFSAAやAnisotropicを有効にすると,差が広がるどころか,むしろ狭まっていることを見るにつけ,グラフィックスメモリ容量の違いがスコアを左右しているとは考えづらい。やはりこれは,前編で指摘したのと同じように,グラフィックスメモリ512MB版が最新世代の製品であるため,回路や部品配置などの最適化が行なわれ,それがパフォーマンスの向上につながっていると判断するのが妥当のようだ。
 「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」(グラフ2)でも,傾向はまったく変わらない。スコアは基本的に動作クロックに比例し,6800Ultra 512MBはOC状態で6800Ultra 256MBを上回る。なお,SLI時にグラフィックスメモリ容量を問わずパフォーマンスが低下しているのは,同ベンチマークがSLIに対応していないためである。



 「DOOM 3」のTimedemoを用いて平均フレームレートを計測したグラフ3では,6800Ultra 512MBが善戦している。例えば,1024×768ドットでFSAAとAnisotropicを適用しない標準状態において,6800Ultra 512MBが,実クロックの高い6800Ultra 256MBをスコアでわずかながら上回っているのだ。この傾向は各種エフェクトを有効にしたり,解像度を上げたりしても基本的に変わらず,グラフ1〜2とは一線を画しているのが分かるだろう。SLI接続時でも6800Ultra 512MBのほうが6800Ultra 256MBよりもスコアが高いが,これはグラフィックスメモリ容量の大きさが効を奏していると判断すべきである。
 このとき,高解像度のほうが両者の差が少なくなっている点は非常に興味深い。グラフィックスメモリ容量が大きければ大きいほどグラフィックスチップがローカルで処理できる情報が増えるため,高解像度/高負荷でそのポテンシャルが発揮できるように思えるが,DOOM 3ベンチマークの結果はこれに当てはまらない。そもそもゲーム自体の演算負荷が高いDOOM 3では,高解像度,あるいは高負荷状態になると,まずグラフィックスチップの性能が頭打ちになり,グラフィックスメモリ容量によるパフォーマンスアップが表れ難くなるようだ。
 では,比較的負荷の軽いゲームならどうか。「Unreal Tournament 2003 DEMO Ver.2206」を利用して,グラフィックスカードの影響がより濃く表れるFlybyの結果のみをグラフ4に抽出したが,やはりここでも,わずかながら6800Ultra 512MBが,実クロックで勝る6800Ultra 256MBよりも高いスコアを付けている。
 また,DOOM 3と異なる点として,高解像度/高負荷環境でこの差が大きくなる傾向になるのが挙げられるだろう。1024×768ドットで比較した場合,6800Ultra 512MB/256MBのスコア差は2.7fps程度だが,1600×1200ドットでFSAA x4,Anisotropic x16を適用すると,差は6.2fpsまで開く。ただしSLI接続時には,グラフィックスメモリの容量差による影響は現れてこない。
 これは,負荷が少々高くなる「Unreal Tournament 2004 Demo Benchmark v099.7」でも同様だ(グラフ5)。ただし,Radeon X800 XLではグラフィックスメモリ512MB搭載版有利に働いたColossusにおいて,6800Ultra 256MBのほうが6800Ultra 512MBよりもスコアが高かったことは指摘しておきたい。GeForce 6800 Ultra同士の比較では,グラフィックスメモリ容量よりも実クロックの高さのほうが有効だったことになる。ひいては,512MBというグラフィックスメモリ容量による性能向上がすべてのマップにおいて期待できるわけではないということにもなるだろう。
 なお,Windows XP起動後のアイドル時,および3DMark05 Build実行時の高負荷時それぞれの消費電力を計測してみたが,グラフィックスメモリ容量が増えたことで消費電力が増大することは,やはりなかった(グラフ6)。

※グラフ5はデータが多く,いきおいグラフが巨大化しているため,Colossusのスコアを代表して掲載しています。全テスト結果をチェックしたい場合は,「こちら」を参照してください。


■結論:グラフィックスメモリ512MBにはどんな意味があるか

 前後編に分けて見てきたが,特定の条件において,グラフィックスメモリ512MBの影響は確かにあると言っていいだろう。GeForce 6800 Ultraのほうが,Radeon X800 XLよりもグラフィックスメモリ512MB化の意味があるとも言えそうだ。
 とはいえ,すべての状況において高いパフォーマンスが得られるかというと,決してそうではない。メモリ容量が大きいほうがより多くのテクスチャデータなどを扱えるため,性能は向上するはずなのに,なぜ現状ではそうならないのか。
 この理由は,Radeon X800 XLやGeForce 6800 Ultraといったグラフィックスチップのメモリインタフェースが持つバス幅が256bitであること,そして,搭載するメモリチップのバス幅が32bitであることにある。搭載メモリ容量が256MBのとき,Radeon X800 XLやGeForce 6800 Ultraは,32bit接続のメモリチップ8個(32×8=256ビット)に並列でアクセス可能だ。しかし,これが512MBの場合,16個のメモリは8個+8個の二重構造となり,グラフィックスチップは8個(256bit)ずつバスを切り替えてアクセスすることになる。つまり,現時点においては,512MBというメモリ容量は実質256MB+256MBなのだ。時系列的には,2系統の256MBメモリは同時利用できないのである。
 ただ,高解像度液晶ディスプレイの低価格化,新世代グラフィックスチップの登場により,PCディスプレイがより高解像度へシフトしていくことは容易に想像がつく。総じて確かに,512MBというグラフィックスメモリ容量は比較的高い解像度でフィルタリングを施したときそのメリットが見出せる程度だ。だが,グラフィックスチップのパフォーマンスが上がり,またゲームがより積極的に高解像度ディスプレイ対応を果たした暁には,512MBというグラフィックスメモリ容量は,より大きな存在感を持つようになるだろう。(宮崎真一)

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