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「G700s」「G500s」「G400s」レビュー(前編)。新生となったゲーム周辺機器ブランド「Logitech G」第1弾マウスのポイントを押さえる
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印刷2013/04/28 00:00

レビュー

Logitech G(Logicool G)ブランド第1弾を飾るマウス3モデルは何が変わったか(前編)

G700s Rechargeable Gaming Mouse
G500s Laser Gaming Mouse
G400s Optical Gaming Mouse

Text by BRZRK


 Logitech(※日本ではロジクール)が,従来からあったゲーマー向け製品ブランド「G-Series」を再編し,新たに「Logitech G」(Logicool G)としての展開を始めたということは,2013年4月18日の記事でお伝えしたとおりだ。また同日,Logitech G(Logicool G)の新作マウスである,

  • G700s Rechargeable Gaming Mouse(以下,G700s)
  • G500s Laser Gaming Mouse(以下,G500s)
  • G400s Optical Gaming Mouse(以下,G400s)

ファーストインプレッション記事も掲載している。

G700s Rechargeable Gaming Mouse(左),G500s Laser Gaming Mouse(中央),G400s Optical Gaming Mouse(右)
メーカー:Logitech
問い合わせ先:ロジクール カスタマーリレーションセンター 電話:050-3786-2085(平日9:00〜19:00)
実勢価格:G700s - 8900〜9980円程度,G500s - 6300〜6980円程度,G400s - 4900〜5480円程度(※いずれも2013年4月28日現在)
画像集#044のサムネイル/「G700s」「G500s」「G400s」レビュー(前編)。新生となったゲーム周辺機器ブランド「Logitech G」第1弾マウスのポイントを押さえる

 ただ,そのファーストインプレッション記事でも予告したとおり,筆者はその後も継続してテストを行った。今回はその結果を基に,Logitech G(Logicool G)の新作マウス第1弾となる3製品の評価を,前後編に分けて行っていきたいと思う。
 なお本稿では,ファーストインプレッション記事をすでに読んでくれている前提で話を進めていく。なので,未読の人は,一度目を通しておいてもらえれば幸いだ。

Logitech「G700s」「G500s」「G400s」ファーストインプレッション。ゲーマー向けの新型マウスは従来製品の耐久性向上版か



リファイン版ということで

基本的な形状は変わらない


 ファーストインプレッションで言及したとおり,G700sとG500s,G400sでは,「Science Wins」(勝利の方程式)というキーワードに基づいて,手のひらが触れる部分には疎水性のあるコーティング,メインボタン部には手垢の付きにくいコーティングがなされている。一方,基本形状は“リニューアル前”から変わっておらず,G700sは「Wireless Gaming Mouse G700」(以下,G700),G500sは「Gaming Mouse G500」(以下,G500),G400sは「Optical Gaming Mouse G400」(以下,G400)と,それぞれ同じ形状,同じボタンレイアウトだ。

 以上を踏まえて,まずは以下,順に外観をチェックしていこう。なお,筆者のマウスレビューでは通常,重量の計測にあたって,ケーブル込みの重量と,分解して,ケーブルをコネクタから取り外した状態とを並記するが,前編の執筆時点では分解まで辿り着いていない。G500sとG400sからケーブルを取り外した状態の本体重量は後編でお知らせしたいと思うので,この点はご了承のほどを。


■G700s

パナソニック製の単三形充電池「エネループ」が標準で付属する。充電池の銘柄もG700と同じだ
画像集#022のサムネイル/「G700s」「G500s」「G400s」レビュー(前編)。新生となったゲーム周辺機器ブランド「Logitech G」第1弾マウスのポイントを押さえる
 G700sは,レーザーセンサー搭載で,ワイヤレス&ワイヤード両対応タイプとなる製品だ。実測サイズは79.8(W)×126.3(D)×45.9(H)mm。実測重量はバッテリー,ケーブルとも外した素の状態で約126gで,ワイヤレスマウスとして利用するために充電池を搭載すると約152gになる。また,充電用のケーブルを取り付けると約209gだ。ワイヤードマウスとして使うから充電池は不要という場合でもケーブル込みだと約183gあり,総じてかなり重い。

全13ボタンを搭載するG700s。スクロールホイールの近くに置かれた背の高いボタン(風のもの)は,ホイールの動作モード切替スイッチだ
画像集#026のサムネイル/「G700s」「G500s」「G400s」レビュー(前編)。新生となったゲーム周辺機器ブランド「Logitech G」第1弾マウスのポイントを押さえる
画像集#038のサムネイル/「G700s」「G500s」「G400s」レビュー(前編)。新生となったゲーム周辺機器ブランド「Logitech G」第1弾マウスのポイントを押さえる
 ボタン構成は,左右メインとセンタークリック機能および左右チルト機能付きスクロールホイール,左メイン脇×3,左サイド×4,スクロールホイール手前×1の計13個。スクロールホイールの手前にはボタンが2つあるように見えると思うが,本体奥側(=よりスクロールホイールに近いほう)は,Logitech製マウスの上位モデルでお馴染み,ノッチのある「click-to-click」(クリック・トゥ・クリック)モードと,指で弾くように回すと惰性で回り続ける「Hyper-fast scrolling」(ハイパーファースト・スクローリング)モードを切り替えるスイッチになっている。

 とにかくボタン数が多い印象のG700sだが,13ボタン中,左右メインボタンを除く11ボタンはいずれも,後述する「Logitech Gaming Software」(Logicoolゲームソフトウェア,以下 LGS)から役割を変更可能。標準だと,左メインボタン脇に並んだ3個あるボタンのうち,最奥側とその手前側にはDPI設定引き上げ/引き下げが,最も手前側にはバッテリー残量確認が割り当てられている。
 これら3つのボタンは硬めで,人差し指が触れたくらいでは“誤爆”しない。それぞれ異なる傾斜が設けられているため,意識して押し分けることも十分に可能だ。

左側面に張り出したスカートの先から側板とカバー部が隣接するところ(=側板の反対側)までの長さは最長で36mmもある
画像集#027のサムネイル/「G700s」「G500s」「G400s」レビュー(前編)。新生となったゲーム周辺機器ブランド「Logitech G」第1弾マウスのポイントを押さえる
 本体形状で目を引くのは,左サイドの4ボタンと,その下にある親指を置くところが大きく凹み,さらに,スカートが長くなっていること。左サイドにボタンが4個もあると,持ち方によっては親指の置き場に困るのではと思うかもしれないが,これだけ凹みが大きいと,置き場所の心配はない。
 左サイドボタンは,4個の中央が凹み,それぞれ端に向かって傾斜がキツくなっていく形状で,見た目以上に押し分けやすい。ただ,押下時に得られる感触はカチカチしておらず,なんというか,昔のゲーム機における[A][B]ボタン的な感触になっていた。このあたりがどうなっているのかは後編で確認したい。

違和感なく使っていける右側面。ちなみにLogitechは,長期間使い続けてもサンドグリップ加工が摩耗しにくいことを謳っている
画像集#028のサムネイル/「G700s」「G500s」「G400s」レビュー(前編)。新生となったゲーム周辺機器ブランド「Logitech G」第1弾マウスのポイントを押さえる
 一方の右側面にこれといった特徴はなく見えるが,薬指と小指を上下に並べて配置しても違和感はない。なかなかよくできている。
 なお,左右の両側面加工はサンドグリップだ。ファーストインプレッションでは「サンドグリップの目がG700sより粗くなっているような気もするが,個体差の可能性もある」と,断定を避けていたが,その後,Logitec G(Logicool G)部門を率いるLogitech本社のEhtisham Rabbani(エティシャン・ラバニ)氏から「G700からの変更はない」という回答が得られたので,ここに紹介しておきたいと思う。
 端的に述べて,G700sのサンドグリップは,マウスを持ったときに滑りにくく,指先が汗などで少しくらい湿っていても操作性へ負の影響が出にくいように思える。

画像集#016のサムネイル/「G700s」「G500s」「G400s」レビュー(前編)。新生となったゲーム周辺機器ブランド「Logitech G」第1弾マウスのポイントを押さえる
 充電用兼ワイヤード接続用となるUSBケーブルは,実測で全長約1.8m,太さ約4mmのビニール皮膜タイプ。G700のレビューを行ったfumio氏は,ワイヤードで使おうとすると,ケーブルの硬さが取り回しづらいと評していたが,それはG700sでもまったく変わっていない。要するに,基本的にはワイヤレスで使えということなのだろう。
 ちなみに,ワイヤレス接続用のUSB接続型レシーバを好きなところへ引き出せるケーブルのほうは,全長約1.6m,太さ約3mmとなっていた。


■G500s

 次はG500sだ。G500sの実測サイズは73.4(W)×129.2(D)×44(H)mmで,横幅はG700sより短いが,全長はむしろ長い。実測重量は,製品ボックスから取り出した状態でケーブル込み165gだ。また“5系”の始祖である「G5 Laser Mouse」以来の伝統となる「ウェイトカートリッジ」に,付属する錘(おもり)を取り付けることで,1.7〜27g重くできる。
 ……もともとケーブル込みで165gもあるマウスをさらに重くしたいかというのは別の話だが。

G-Series時代から伝統のウェイトカートリッジと錘が付属。カートリッジのどこにどの錘を載せるかで,重量バランスの調整が行えるというのがウリだ。ケーブル込みの最大重量は約192gに達する
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G500sのボタン構成。スクロールホイール近くのボタン(風のもの)はスクロールホイールの動作モード切替スイッチだ。ホイールの仕様はG700sと変わらない
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左から順にG700s,G500s,G400sのサイドボタン。G700sの左サイド4ボタンは変則的だが,「変わっている」という意味ではG500sも負けていない
 ボタン構成は,左右メインとセンタークリックおよび左右チルトスイッチ付きスクロールホイール,左メイン脇×2,左サイド×3の計10個。スクロールホイールの手前にホイールの挙動切り替えスイッチが用意されるのはG700sと同じで,ボタン周りはG700sをベースに若干の簡略化を図ったようなデザインになっている。

 そんなG500sのボタンで特徴的なのは――繰り返すが,G500でも同じだったので,G500sで初めてこうなったわけではない――サイドボタンだ。G500sでは,一般的なゲーマー向けマウスで約2個分のスペースに3個のボタンが配されているのである。
 G500を本気で使ったことのない筆者の場合,使い始めた最初の数時間は,とっさの瞬間に押し間違えることがあった。ただ,ボタンの形状が明確に異なり,指先で凹凸も感じ取りやすいため,指の動かし方に慣れさえすれば,親指の操作だけでで3つの異なるボタンを押し分けられるようになる。サイドボタン多用派からするとメリットは大きい印象を強く受けた。

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大きめに凹んでいる左側面。右側面ともども,サンドグリップ加工されている
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ケーブルは硬めだが,実使用上の問題はそれほどない
 形状面では,左側面部の,親指を配置する凹みの形状がG700sより小さくなって,底面に向かって広がるスカートも短くなっているのが目を引く。とはいえ,スカートの先端から,カバー部との境目まで,凹みは実測約28.4mmにわたって確保されており,親指の置き場所に困ることはまずないだろう。一方,右側面部では奥側(=メインボタン側)で少し横方向に張り出している部分があり,人によっては薬指や小指を置きにくく感じる可能性はある。
 なお,本体側面の表面加工はG500sもG700sと同じくサンドグリップ。こちらもG500からの変更はない。G700sと同様,使いやすい印象だ。

 最後にケーブルだが,全長は約2mで,太さは約3mm。布巻タイプとなっている。下ろしたては少し硬めの印象を受けるが,G700sのケーブルとは異なり,1週間も使っていればケーブルが馴染んでくる。なので,硬さが問題になることはおそらくないと述べていいのではなかろうか。


■G400s

スクロールホイールの仕様はもちろんのこと,その周辺のデザインも上位モデルとは異なるG400s。もっとも,MX518 Gaming-Grade Optical Mouseからは変わっていないのだが
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 最後は「MX518 Gaming-Grade Optical Mouse」(というか「MX510 Optical Mouse」)以来のデザインを踏襲するG400sだ。G400sの実測サイズは72.2(W)×130(D)×43.5(H)mmで,実測重量はケーブル込みで約133gとなっている。

 ボタン構成は左右メイン,センタークリック機能付きスクロールホイール,DPI変更×2,デフォルトDPI,サイド×2の計8個。「デフォルトDPI」というのは聞き慣れない言葉だが,これは,「デフォルトのDPI設定値」にワンボタンで戻す機能を持ったボタンである。デフォルトのDPI設定値は工場出荷状態だと800 DPIだが,これは後述するLGSから自由に変更できる。

 G400sも,上位モデルと同様,親指を置くことになる本体左側面が凹んでいる。G700sやG500sほどには大きくないが,それでもスカートの端からもう一方,本体カバー側と接する端までの長さは実測で約23mmあるため,指が太めの人でもマウスを握るうえで違和感を覚えることはまずないだろう。対する右側面はG500sと同じデザインになっているため,人を若干選ぶ。

 G400sで上位モデルと決定的に異なるのは,そんな側面の加工がラバーグリップになっていることだ。やはりG400から変わっていないので,G400のユーザーには説明不要ながら,このラバーグリップには表面に細かな凹凸があり,しっかりとマウスを握り込むことができる。Logitechによれば,同社の一般ユーザー向けマウス製品で採用されているラバーグリップとはまったく異なり,長期間の利用でも摩耗しにくいとのことだが,確かに触った感触も,たとえば「Wireless Mouse M235」などのラバーグリップとは別モノだ。
 ゲームで長時間使ったあとに見てみると,指紋の付着は確認できたが,とくに左側面だと,凹みのなかで影になる部分なので,見栄えへの影響はそれほど気にしなくていいだろう。

G700sやG500sのサンドグリップ加工とはもちろん感触が異なるものの,G400sのラバーグリップ加工には細かな凹凸があって,握りやすい
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 ケーブルは長さ実測約2.04mで,太さは3mmのビニール皮膜タイプ。G500sの布巻ケーブルと同様,若干の硬さは感じるが,こちらも1週間使っていれば慣れてきて,ケーブルに引っ張られるような感覚はなくなってくる。

ケーブルはビニール皮膜タイプ。G500sとは仕様が異なるが,「若干硬めだが実使用上の問題はない」という点では同じだ。なお,ファーストインプレッション記事でもお伝えしているとおり,G400sでは,マウス側根元部分の処理が従来製品であるG400から変わっている
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少し工夫をすれば持ち方を問わない3製品

G500sとG400sの握った感覚はほぼ同じ


 形状が変わらない以上,G700やG500,G400を使っていた人が乗り換える分には操作感も変わらないという話になるわけだが,G700sやG500s,G400sで初めてゲーマー向けマウスに触れる人もいるだろう。その人達に向け,「つまみ持ち」「つかみ持ち」「かぶせ持ち」「BRZRK持ち」の4つの持ち方でそれぞれ数時間プレイしたときの印象を,下記のとおり写真とそのキャプションでお伝えしてみたい。
 なお,使ってみたところ,G500sとG400sでは持ちやすさという観点で違いがほとんどなかったため,写真はそれぞれ載せる一方,キャプションは両製品で共通とすることをあらかじめお断りしておく。

■G700s

左から1・2枚め:つまみ持ちの例。サイドボタンを利用するとき,親指をマウスから離す必要がある。そのため,一時的に左方向からの支えがなくなってしまう。これを解消するには,親指で操作をする間だけつかみ持ちに変え,手のひらで挟むように持つ必要があった
左から3・4枚め:つかみ持ちの例。親指を立てすぎるとサイドボタンへのアクセスが難しくなるので,指の腹を使って持つようにするといいだろう
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左から1・2枚め:かぶせ持ちの例。右側面の高さがあるため,小指と薬指を伸ばした状態で配置しやすい。かなり快適にマウスを操作できる
左から3・4枚め:BRZRK持ちの例。親指を立てるとサイドボタンの操作が難しくなるものの,そこで指を寝かせるように伸ばすとコントロールしやすくなった
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■G500s&G400s

上下段とも左から1・2枚め:つまみ持ちの例。本体左手前側にある膨らみへ親指を配置するとグリップ感が増すのだが,サイドボタンとの距離が離れてしまう。そのため,サイドボタンを押す前提でいくなら,手前側にあるサイドボタンの下あたりに親指を配置する必要があるはずだ。このあたりに置くと,グリップ感の低下を最小限に留めつつ,無理なく自然に操作できるようになる
上下段とも左から3・4枚め:つかみ持ちの例。右側面の奥側にある横向きの膨らみが邪魔になり,薬指は若干置きにくく感じるかもしれない。解決策は「右側面の膨らみを上から覆うように薬指を配置すること。これで,かなり持ちやすくなる
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上下段とも左から1・2枚め:かぶせ持ちの例。右側面部の張り出した部分というか,右メインボタンの脇にあるスペースへ薬指を乗せると,相当に持ちやすい
上下段とも左から3・4枚め:BRZRK持ちの例。薬指と小指を右側面に配置し,親指は伸ばし気味に置くことで,快適に持てる
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 以上,一部の持ち方ではアレンジが必要ながら,基本的にはどの持ち方でも使っていけると述べていいだろう。個人的には,手のひらをベタ置きできる「かぶせ持ち」との相性が3製品とも最もよく,長時間のゲームプレイでも疲れにくい印象を持った。


Logitech Gaming Softwareは従来から変わらず

多機能だが,端的に述べて分かりづらい


 G700sとG500s,G400sは,Windowsのクラスドライバだけでも動作するのだが,本稿の序盤でも簡単に触れたとおり,統合ソフトウェアであるLGSをインストールすると,マウスの各種設定をカスタマイズできるようになる。
 LGSのホーム画面は下に示したとおり。ここではG700sを認識した状態になっているが,G500sとG400sでも,基本デザインに違いはない。上ペインにマウスイメージがどんと表示され,下ペインの左側で設定変更したいデバイスを選択し(※Logitech GのキーボードなどもLGSから制御する),下ペイン右に並んだ目的別アイコンをクリックして,それぞれのメニューへ遷移する,といった流れだ。

G700sを認識した状態のLGSホーム画面。下ペインの右側に並んでいるアイコンについては少し先で紹介する
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G400sを接続した状態のLGS。「オンボードメモリ」と「自動ゲーム検出」の切り替えスイッチは表示されていない
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 上ペインでマウスの右に切り替えスイッチが見えるが,これは,オンラインゲームなどのアンチチートツールから誤検出されないよう,最低限の設定内容をマウス内蔵のフラッシュメモリに保存するか(「オンボードメモリ」),LGSがインストールされているPCにおいて,アプリケーションの実行ファイル(exe)と関連づけることで,当該アプリケーションの起動に合わせて各種設定を切り替えながら利用するようにするか(「自動ゲーム検出」)を選択するためのものだ。
 オンラインゲームのアンチチートツールは,ゲーム以外のプロセスを監視しているのだが,ゲームとは別のプログラム同士が頻繁に情報をやりとりしているケースだと,それを「不正行為である」と認証するケースが少なくない。「オンボードメモリ」は,プロファイルの切り替えなどを行ったときに誤検出されないよう配慮したものだというわけである。
 ちなみに「オンボードメモリ」で保存した内容は,LGSがインストールされたPCでのみ有効だ。字面から受けるイメージだと,設定内容を別のPCでも読み出して利用できそうだが,そうではないので注意してほしい。外出時に好みの設定で利用したい場合は,LGSのインストーラをUSBフラッシュメモリなどへ入れて持ち運ぶのがいいかもしれない。

 さて,先ほど「最低限」という話をしたが,「オンボードメモリ」を選択した状態では,基本的なボタンの機能割り当てやポインタ速度関連設定,“繰り返し入力”を含まないマクロ機能を設定可能になる。
 一方,「自動ゲーム検出」を選択した状態では,より踏み込んだ設定を行って,プロファイルとして管理し,ゲームなどのアプリケーションに応じて切り替えることができるようになる。具体的には,プロファイルごとに異なるポインタ速度設定や機能割り当て設定,いわゆる「加速」の有無,X軸Y軸で異なるDPI設定,“繰り返し入力”を含むソフトウェアマクロ設定が可能だ。

 できることが異なっているため,ここを切り替えると,下ペイン右に並んだアイコンも切り替わる。「オンボードメモリ」を選択した状態で表示されるのは,ホーム画面に戻るための家アイコンと,マウスの傍らにNANDフラッシュメモリチップ(?)が描かれたアイコン,接続されたデバイスの基本設定やファームウェアアップデート関連およびLGS自体の設定をカスタマイズするための歯車アイコン,ヘルプを表示するためのはてなアイコンの4つ。これに対して「自動ゲーム設定」では,マウス&チップアイコンが消え,その代わりに,マウスに向かって2本の矢印が伸びるアイコンとマウスカーソルに歯車が寄り添うアイコンが表示され,前者ではボタン設定全般,後者ではセンサー周りの設定が行えるようになる。

G500sを接続した状態で「オンボードメモリ」(左)を選んだところと「自動ゲーム設定」(右)を選んだところ。右下に並ぶアイコンが変わる点に注目してほしい。「上ペインでボタンのところが光ったりしてるのは?」と思ったかもしれないが,LGSではボタン部の枠がゆっくりと明滅しているのだ。消灯状態と点灯状態が分かるようにスクリーンショットを撮っただけで,これ自体に深い意味はない
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 「オンボードメモリ」でマウスにチップが寄り添うアイコンを選んだときに表示されるのが下の画面で,ここではマウスの左右メインボタン以外のボタンに単機能や修飾キー込みのキー割り当て,最大5段階のDPI設定,レポートレートや管理マクロなどを,プロファイルとして5つまで保存できる。プロファイル切り替えボタンを設定しておけば,そのボタンから切り替えながら利用可能だ。

「オンボードメモリ」でマウスにチップが寄り添うアイコン(※アイコンにマウスオーバーすると「オンボードプロファイルをカスタマイズする」と表示される)をクリックしたときに表示される画面(左)。基本的な設定が可能だ。ワイヤレス対応のG700sでは,「電源モード」という名称のプルダウンメニューから,操作していないときにスリープモードへ移行させる頻度の設定も行える。右はボタンに機能を割り当てるためのサブメニュー「コマンド エディタ」
画像集#076のサムネイル/「G700s」「G500s」「G400s」レビュー(前編)。新生となったゲーム周辺機器ブランド「Logitech G」第1弾マウスのポイントを押さえる 画像集#077のサムネイル/「G700s」「G500s」「G400s」レビュー(前編)。新生となったゲーム周辺機器ブランド「Logitech G」第1弾マウスのポイントを押さえる

「詳細設定」でマウスに2本の矢印が向かうアイコンをクリックし,さらに「プロファイル」で下向きの三角形マークをクリックしたところ。プロファイルの追加はここから行える
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 「自動ゲーム検出」で表示される,マウスに2本の矢印が向かうアイコン(「ボタンのカスタマイズ」)から開ける画面では,画面上の「プロファイル」でプロファイルを作成したりコピーしたり,対象タイトルは洋ゲーが中心だが,「インストールされているゲームに向けてLogitechが最適と考えるプロファイル」を読み出す機能「新しいゲーム用のスキャン」を利用したりできる。
 そうしてプロファイルを用意したら,今度は左の「コマンド」から任意の機能をマウスのボタン部分へドラッグ&ドロップすると,機能を割り当てられる。「コマンド」には単一キーの押下などがあらかじめ用意されているが,ソフトウェアマクロなどといった特殊な機能は,[+]ボタンから作成可能だ。

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「新しいゲーム用のスキャン」実行結果。PCにインストールされているゲームタイトルが認識されたら,チェックを入れて[OK]ボタンを押せば,当該タイトルに向けたプロファイルが「プロファイル」メニューに登録される
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[+]ボタンを押して開ける「コマンド エディタ」。「オンボードメモリ」時に設定できるものと比べると項目が目に見えて増えている。ちなみに「テキスト ブロック」は文字列を登録できる機能だが,日本語はNG

 「自動ゲーム検出」で表示されるもう1つのアイコン(「ポインタ設定をカスタマイズする」)では,「オンボードメモリ」でマウスにチップが寄り添うアイコンが選んだときと似た画面が表示されるが,ここではボタン設定は行えず,代わりに,ソフトウェアベースの追加機能を利用できる。おそらく最も重要なのは加速の無効化だろう。「アクセラレーション」のチェックを外すと,LGSレベルでポインタの加速を無効化できるので,「自動ゲーム検出」を利用する場合はぜひ無効化しておきたい(※「オンボードメモリ」の場合はWindows側の「マウスのプロパティ」にある「速度」に頼ることとなる)。

 なお,歯車アイコンをクリックしたときに表示されるウインドウは下のとおり。ファームウェアアップデートに対応するのはG700sとG500sだけである点や,直線補正の有効/無効を切り替えられるのはG500sだけであることが,スクリーンショットから見て取れよう。

G700sとG500s,G400sをすべて接続のうえ,歯車アイコンを表示させたところ。LGSの設定を行う「一般」「プロファイル」タブの中身共通だが,マウス3製品それぞれのタブ項目は異なる。G500sにある「アングルスナップを有効にする」のチェックボックスが用意され,チェックを入れると,分かりやすいくらいの直線補正効果が適用される
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 LGSについて長々と説明してきたが,端的に述べて,非常に分かりにくい。
 Logitech(ロジクール)は今回,Logitech G(Logicool G)の発表において,わざわざ従来製品の製品ボックスまで新しくして全体イメージの統一を図り,「Logitech(ロジクール)がPCゲーム向けに本気」であることをアピールしているわけだが,これまでゲーマー向けデバイスに触ったことのない人が「へえ,こんなのあるんだ。試してみようかな」と思って購入し,LGSを導入したところで,その内容を理解できるかというと大いに疑問である。
 もちろん,G-Series時代から使い込んでいる人であれば問題ないとも思われるが,Logitech G(Logicool G)の展開にあたって,設計を抜本的に見直すべきとまでは言わないまでも(※言いたいが),せめて初心者向けの設定ウイザードくらいは用意してもよかったのではないか,とは思う。


 ……というわけで前編はここまで。後編では,「で,“s”なしの従来モデルと何が違うのか」という,キモの部分に踏み込んでみたい。

「G700s」「G500s」「G400s」レビュー(後編)。分解と挙動チェックで明らかにする新世代マウスの価値


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    Logitech G/Logicool G

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