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Logicool Gのワイヤレスマウス「G603」レビュー。自社開発の新世代センサー「HERO」を搭載した製品は信頼に足るか?
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印刷2017/10/07 00:00

レビュー

Logitech/ロジクール自社開発の新世代センサー「HERO」を搭載した製品は信頼に足るか?

G603 LIGHTSPEED Wireless Gaming Mouse

Text by BRZRK


G603 LIGHTSPEED Wireless Gaming Mouse(国内製品名:G603 LIGHTSPEED ワイヤレス ゲーミング マウス)
メーカー:Logitech International
問い合わせ先:ロジクール カスタマーリレーションセンター 電話:050-3786-2085
実勢価格:8600〜9500円程度(※2017年10月7日現在)
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 国内発売の直前になって,搭載する光学センサー「HERO」が,PixArt Imagingとの共同開発ではなく,独自開発の完全新作であると明らかになった,Logicool G(日本以外ではLogitech G)のワイヤレスマウス新製品「G603 LIGHTSPEED Wireless Gaming Mouse」(国内製品名:G603 LIGHTSPEED ワイヤレス ゲーミング マウス,以下 G603)。
 PixArt Imaging(以下,PixArt)製センサーを採用したままでは不可能なレベルでセンサー周りの最適化を行うことで,PixArtとLogitech本社の共同開発となる光学センサー「PMW3366」と同等の性能を確保しつつ,バッテリー駆動時間を大幅に引き伸ばすことに成功したというのが大きな特徴となっている。このあたりの詳細はインタビュー記事をチェックしてもらえれば幸いだ。

「G603」が採用する光学センサー「HERO」は,独自開発の完全新作だった。Logicool GのChris Pate氏に,新型マウスの秘密を聞く


 では,Logitech International(日本ではロジクール)独自開発のHEROセンサーを搭載することで,G603はどのようなマウスに仕上がったのか。BRZRK氏によるレビューをお届けしたい。
 それに先だってお伝えしておくと,G603の主なスペックは以下のとおりとなっている。

●G603の主なスペック
  • 基本仕様:光学センサー搭載ワイヤレスタイプ
  • 搭載センサー:「HERO」
  • ボタン:左右メイン,センタークリック付きスクロールホイール,ホイール手前×1,左サイド×2
  • トラッキング速度:最大400IPS
  • 最大加速度:40G
  • フレームレート:未公開
  • 画像処理能力:未公開
  • トラッキング解像度:200〜12000 DPI
  • USBレポートレート(ポーリングレート):1000Hz(※LIGHTSPEED接続&「HI」設定時),125Hz(※LIGHTSPEED接続&「LO」設定時),88〜133Hz(※Bluetooth接続時)
  • オンボードフラッシュメモリ:内蔵
  • データ転送フォーマット:16bit/axis
  • リフトオフディスタンス:未公開
  • LEDイルミネーション:非搭載
  • 公称最大バッテリー駆動時間:500時間(※「HI」設定時),18か月(※「LO」設定時)
  • 公称本体サイズ:68(W)×124(D)×43(H)mm
  • 公称本体重量:135.7g(※単3型乾電池2個搭載時),112.3g(※単3型乾電池1個搭載時),88.9g(※マウス単体)
  • マウスソール素材:未公開
  • ケーブル長:未公開(※USBレシーバの延長用ケーブル付属)
  • 対応OS(※LIGHTSPEED接続時):Windows 7以降,macOS 10.10以降,Chrome OS,Android 3.2以降
  • 対応OS(※Bluetooth接続時):Windows 8以降,macOS 10.12以降,Chrome OS,Android 5.0以降
  • 発売予定時期:2017年9月21日
  • メーカー直販価格:8750円(税込9450円)
  • 保証期間:2年間


外観はG403WL&G703とほぼ同じ。それだけにG603では中身の違いが際立つ


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 G603は,Logitech G/Logicool Gの従来製品となるワイヤレス&ワイヤード対応マウス「G403 Prodigy Wireless Gaming Mouse」(以下,G403WL),そしてG403WLの後継で,ケーブル不要のワイヤレスマウス充電システム「POWERPLAY Wireless Charging System」と組み合わせて利用できるワイヤレス&ワイヤード対応マウス「G703 LIGHTSPEED Wireless Gaming Mouse」(以下,G703)と基本形状を同じくする右手用マウスとなっている。一言で言い換えるなら,Microsoft製ワイヤードマウス「IntelliMouse Explorer 3.0」(以下,IE3.0)の,新しいクローンだ。

4Gamerの比較用リファレンスマウス「Gaming Mouse G500」と並べたところ。サイズはわずかにG603のほうが小さい。メインボタンの高さもほぼ同じだが,それゆえにサイドボタンの大きさの違いが印象的だ
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 G403WLおよびG703との決定的な違いは,以下の7点である。

  1. (冒頭でも紹介したとおり)搭載するセンサーがG403WLとG703のPMW3366からLogitech/ロジクール独自のHEROに変わっていること
  2. G403WLとG703がワイヤレス&ワイヤード両対応なのに対し,G603は“6系”の従来製品である「G602 Wireless Gaming Mouse」と同じく,ワイヤレス専用であること
  3. ワイヤレス接続技術として,G403WL&G703と同じ「LIGHTSPEED」だけでなく,Bluetoothも選択できること
  4. 動作モードとしてゲーム用の「HI」だけでなく,「ゲーマー向けマウスとしての性能を持たない,オフィスモード」としての「LO」も選択できること
  5. G403WLとG703がバッテリーパックを内蔵するのに対し,G603は単三形乾電池1〜2本を搭載する仕様になっており,重量や重量バランスが変わっていること
  6. G403WLとG703がセパレート型の左右メインボタンを採用するのに対し,G603は天板と一体化したワンピース型の左右メインボタンを採用しており,クリック感が変わっていること
  7. G403WLやG703が側面に採用するラバー素材がなく,つや消しのマット加工が施されたプラスチックになっていること

G603はワイヤレス専用なので,G403WLやG703などに付属する,「ブラインドでも着脱しやすくする,先端が刺股状のケーブル」は付属していない。USBレシーバーを引き回すためのケーブルが付属しているだけで,マウス側の接続インタフェースもなしだ。一方,バッテリーパックを内蔵するG403WLやG703と違い,単3型乾電池駆動となるG603には標準でアルカリ乾電池が2個付属している
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左右メインボタンは天板と一体化している(左)。右は側面に寄ったところで,天板部と色の異なる側板部はマットな質感のプラスチックになっている
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 センサー性能は後ほど検証したいと思うが,この時点で指摘しておかねばらないこととしては,重量の問題がある。

天板カバーを取り外したところ
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 G603は天板カバーを外すことで2基の単3型乾電池スロットがあり,アルカリ乾電池やリチウム一次電池といった使い切り乾電池や,ニッケル水素電池といった充電式乾電池からユーザーが選んで,2本もしくは1本を搭載できる。2本搭載するとバッテリー駆動時間を最大化でき,1本ならバッテリー駆動時間が半分になる代わりに乾電池1個分の軽量化を行えるというのがLogitech G/Logicool Gのアピールポイントだが,何が問題かというと,乾電池を2個入れた状態でも,1個をどちらかのスロットに入れた状態でも,G603は本体の手前側(=左右メインボタンの反対側)に重心が偏る,テールヘビーなマウスになってしまっているのだ。

乾電池は2個取り付けても1個しか取り付けない状態でも利用できる。公式には,付属の単3型乾電池を2個搭載した状態でHIモード時に500時間,LOモード時に18か月。Logitech G/Logicool Gは別途「HIモードで4〜6か月使える」という目安も示している(関連記事
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 乾電池を1個にしたときに生じる,左右の重心ズレはほとんど気にならないのだが,それだけに,ローセンシ設定でマウスを動かし,マウスパッドの端でいったん持ち上げるような操作を行ったときの違和感が大きくなってしまう。
乾電池を取り付けたG603はとにかくテールヘビーだ
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 ハイセンシ設定を好み,「ゲーム中にマウスを空中へ持ち上げるようなことはまずない」という人なら大丈夫だろうが,そうでない人にとって,G603の重心設定は看過できない問題となる可能性がある。
 個人的には,側面も,滑り止め素材を張らないのであれば,せめてテクスチャや溝を設けて滑り止めにしてくれれば,持ち上げるときのグリップ力を上げて,重量バランス対策にできたのではないかと思ってしまう。

ソールは本体奥側と手前側にそれぞれ弧を描くものが1枚ずつあり,それとは別にセンサーホールを囲む小さなオーバル状のものが1枚の計3枚ある
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 決定的な違いの3.と4.で挙げた,接続方式と動作モードの切り替えは,本体底面のボタンとスライドスイッチで行える。ボタンはLIGHTSPEEDとBluetoothの切り換え用,スライドスイッチはHI,LO,電源オフの3段階を切り換える。G603がゲーマー向けマウスとしてフルポテンシャルを発揮できるのはLIGHTSPEED接続かつHIモードのときだけで,それ以外では,消費電力を抑えた「オフィスモード」的なセンサー性能で動作することになる(関連記事)。
 なお,LIGHTSPEEDとBluetoothではLIGHTSPEEDが優先となり,USBワイヤレスレシーバーが差さっているPCとG603がペアリングされている場合,当該PCとBluetooth接続したい場合はUSBワイヤレスレシーバーを外す必要がある。ゲームに使うPCで動作モードを切り換えたい場合は,Bluetoothを使うのではなく,LOモードを使うのが得策だ。

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天板のカバー部。実際には土台部とカバーからなっており,この角度から見ると,土台とカバーの間に隙間があることを確認できる
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金属テンションシステム。素人考えだと「明らかに若干弱いんだから,4回巻けばいいんじゃないか」などと思ってしまうが,おそらくはそうすると硬くなりすぎるのだろう
 なお,これは「だからダメ」という話ではないが,G603の天板一体型メインボタンは,G403WLおよびG703と比べて,押下時の抵抗が若干弱い印象がある。
 ただ実のところ,「G603の天板一体型メインボタン」というのは,正確な表現ではない。G603の天板部は,プラスチック製の土台部とカバー部をネジ留めしたような構造になっているからだ。土台部とカバー部の間には隙間と,ユーザーが左右メインボタンを押下したときの抵抗をもたらす金属テンションシステムがあるという構造になっている。
 この金属テンションシステムは,最近のLogitech G/Logicool G製マウスで採用が進んでいるのと同じコンセプトのものだが,G603の場合,針金を3巻きしてバネとして使うことで,抵抗を生む仕様だ。筆者の記憶する限り,金属テンションシステムを「天板一体型メインボタン」に実装した例は初めてなので,この特殊性が,従来とは異なる押下感を生んでいるのではないかと思う。

 一方,デザイン上の細かな点,たとえば左右メインボタンには若干の凹みが入っていて,指を配置するときのガイドになるとか,スクロールホイールはラバー素材で覆ってあり,1周24ノッチであるとか,ホイールの手前には工場出荷時設定だとDPI設定の順繰り変更が割り当てられたボタンが1つあるとか,親指の配置場所である右側面に,いかにもIE3.0クローン的な凹みがあるといったあたりで,G603はG403WL&G703とそっくりだ。基本的には完成度の高いIE3.0クローンと紹介してしまって構わないだろう。

スクロールホイールは,太さが実測約10mm。表面には約0.5mm間隔で幅約1mmの溝がある。LEDイルミネーション機能がない一方で,形状自体はG703やG403WLのそれと同じに見える。ホイール手前にあるボタンの押下感は左右メインボタンとかなり近い印象だ
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マウス左側面は,手前側(=マウス後方側)が膨らみ,前後中央付近が凹んだ,IE3.0クローンらしいデザインになっている
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側板はつや消しのマット加工済みだが,大きなサイドボタンはそうではないので,ボタンだけ汚れがちょっと目立つ印象だ
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左サイドのボタン,実測サイズは奥側が前後方向約25mmで縦方向が約10mm,手前側が前後方向約22mmで縦方向約10mmと,こちらもG403WLおよびG703からの変更はないようだ。ボタン自体は1mm〜2mmほどの厚みがあるため,迷わず指先で操作できる
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本体右側面の表面加工は左側面と同じ。形状もG403WLおよびG703と変わらない。奥側(=左右メインボタン側)が底面に向かって広がっていくという,これまたIE3.0クローンではスタンダードなデザインだ。よほど手が小さいというのでない限り,薬指と小指を配置するのに難儀することはないだろう


IE3.0クローンらしい持ちやすさながら,重量バランスの偏りには要注意


 外観はG403WLおよびG703と同じながら,重心が異なるG603。それは持ち方にどのような影響を与えているだろうか。いつものように,「つまみ持ち」「つかみ持ち」「かぶせ持ち」といった一般的な持ち方と,かぶせ持ちをベースに小指と薬指を立たせ,親指も少し立たせるという,筆者独自の持ち方だと思っている「BRZRK持ち」も含めて,4種類でテストを行ってみた。

 結果は下に写真とキャプションでまとめたので,参考にしてほしい。

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「つまみ持ち」の例。IE3.0クローンゆえ,これといった問題点はないが,それだけに,マウスの重心が手前寄りにあるため,左右から均等に強く握らないと,持ち上げるとき手前側をマウスパッド上で引きずってしまうことがある。重心位置を加味した握りが重要な印象だ
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「つかみ持ち」の例。持ちやすさも,マウスの位置をセンターなどへ戻そうとして持ち上げるとき,強めに握らないとマウス本体の手前側がマウスパッドにこすれてしまうのもつまみ持ちと同じだ。慣れるまでは親指と薬指,小指でのホールドを強く意識する必要がある
画像集 No.026のサムネイル画像 / Logicool Gのワイヤレスマウス「G603」レビュー。自社開発の新世代センサー「HERO」を搭載した製品は信頼に足るか?
「かぶせ持ち」の例。べた付けをしている親指は指の付け根あたり,薬指と小指は指先から第一関節にかけての部分での握り込みを意識するとホールドしやすく,持ち上げたときにも後部をこすることなく操作できる
画像集 No.027のサムネイル画像 / Logicool Gのワイヤレスマウス「G603」レビュー。自社開発の新世代センサー「HERO」を搭載した製品は信頼に足るか?
「BRZRK持ち」の例。ラバー素材がないため,少し親指が安定しにくい印象。また,側面に立てている小指と薬指の先にやや力を込めながら持ち上げなければ,位置を直すときにマウス後部がずり落ちやすい

 実際に手に持ったとき,強く感じるのが,前段でも指摘した重心のアンバランスさだ。世にあるゲーマー向けマウスの中にはテールヘビーのものも少なくないわけだが,それと比べても,G603は「乾電池の重量が本体後方にのしかかる」感が強く,かなり重く感じてしまう。上の写真キャプションでも書いたとおり,ローセンシで動かして,そこからいったんマウスを持ち上げるとき,しっかり握り込んでおかないと手のひらからマウス後部がズリ落ちてしまうレベルだ。
 かぶせ持ちだと“症状”は緩和でき,またそれ以外の持ち方でも握り込む力の入れ具合次第ではあるが,操作にあたって不快な重さだと感じる人は少なからずいると思われる。


ひとまずは安定動作優先? LGSからは最小限の設定のみ可能


 これまでのLogitech G/Logicool G製マウスと同様に,G603も,USBクラスドライバで動作自体はするが,別途「Logicoolゲームソフトウェア」(日本以外では「Logitech Gaming Software」,以下 LGS)を導入することで,センサーやボタン関連のカスタマイズを行うことができるようになる。
 原稿執筆時点のLGSバージョンは8.96.81だが,LGSを導入して起動し,「オンボードメモリ」か「自動ゲーム検出」のどちらかを選ぶことになるというのもこれまでどおりだ。

ほぼ説明なしにオンボードメモリ(左)か自動ゲーム検出(右)の二択を迫られる,初心者に優しくないUIもこまでどおり。前者は,オンラインゲームなどでチート扱いされない最低限の設定だけをマウスに保存して使えるようにするモード,後者は制約なしにフル機能を使えるモードで,基本的には後者を選び,問題が発生したゲームタイトルでは前者に切り換えるのが正解だろう
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オンボードメモリの選択後,右下のアイコン群から「オンボードプロファイルをカスタマイズ」を選択した状態。ボタンへの機能割り当てと最大5段階のDPI設定,レポートレート設定を行えるが,アプリケーションごとにプロファイルを切り換えたりすることはできない
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 本稿では以下,自動ゲーム検出を選択した前提で話を進めていくが,LGSのメニュー右下に並んだアイコン群にある「ボタンのカスタマイズ」を開き,PCにインストール済みのゲームをスキャンして設定すれば,ゲームごとのボタン設定プロファイルを設定できるようになる。
 ここで設定しておけば,ゲームを起動するたびに,LGS側で自動的にプロファイルを切り換えてくれるので便利だ。

 また,アイコン群から「ポインタ設定をカスタマイズする」を開けば,最大5段階のDPI設定を50刻みで設定でき,USBレポートレート(≒ポーリングレート)を選び,かつ,いわゆる加速を無効化することもできるようになっている。

ボタンのカスタマイズ(左)とポインタ設定をカスタマイズする(右)のそれぞれメニュー部分。加速の項目は「アクセラレーション(ポインタ精度が向上)」という表記になっている。工場出荷時設定ではここが有効になるようだが,加速が有効だと,マウスを動かす速度によってマウスカーソルの移動距離が変わってしまい,ゲーム中だと,とっさのタイミングでマウスの反応が変わるので,特別な理由がない限り無効化しておいたほうがいいだろう。
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こちらはメインメニュー右下のアイコン群から「設定」をクリックして,設定ウインドウの「G603」タブを開いたところ。現時点ではファームウェアの更新を確認するための機能しかない
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 LEDイルミネーションを持たないこともあり,G603で設定できる項目は以上だ。こう書くと,既存のLogitech G/Logicool G製マウス,とくにG403WLやG703のユーザーは「あれ? マウスパッドに向けたセンサー出力のキャリブレーション機能はないの?」と思うかもしれない。かく言う筆者もその1人だったが,結論から言うと,少なくとも現時点で,G603に,いわゆるサーフェスキャリブレーション機能はない。HEROというセンサーの仕様上,「技術的に対応できない」可能性は極めて低いと考えられるだけに,可能性としては「いずれ実装予定だが,まだ実装されていない」か,「G603でLogitech G/Logicool Gは実装を見送った」かのどちらかだろう。
 歴史的経緯を考えると,後者の可能性のほうが高いと考えているが,こればかりは何とも言えないところだ。

LEDイルミネーションを持たないG603だが,最大5段階のDPIインジケータはある。DPI設定を変更すると数秒間点灯する仕様だ。色は最も低いDPI設定から順に黄,水,橙,紫,青で,ユーザー側でこの色を変更することはできない
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HEROセンサーの実力を探る


 さて,センサーの検証である。
 長らくPixArt製センサーのカスタムモデルを採用してきたLogitech G/Logicool Gにとって,HEROセンサーの採用は歴史的な出来事であるわけだが,その実力は本当にPMW3366と同等なのか。また,インタビュー記事においてLogitech G/Logicool Gのナンバー2であるChris Pate(クリス・ペイト)氏は,HEROセンサーの仕様上,直線補正が完全にゼロであることを謳っているが,それは体感できるのか。気になることだらけではあるが,順にテストを行っていきたいと思う。

 テストで使用したシステムとテスト条件は以下のとおりだ。

●テスト環境
  • CPU:Core-i7 7820X(8C16T,定格クロック3.6GHz,最大クロック4.3GHz,共有L3キャッシュ容量11MB)
  • マザーボード:MSI X299 TOMAHAWK(Intel X299)
    ※マウスのレシーバーはI/Oインタフェース部のUSBポートと直結
  • メインメモリ:PC4-19200 DDR4 SDRAM 8GB×4
  • グラフィックスカード:ASUSTeK Computer DUAL-GTX1070-O8G(GeForce GTX 1070,グラフィックスメモリ容量8GB)
  • ストレージ:Intel SSD 600p(SSDPEKKW128G7X1,NVM Express 3.0 x4,容量128GB)
  • サウンド:オンボード
  • OS:64bit版Windows 10 Pro

●テスト時のマウス設定
  • ファームウェアバージョン:8.0.17
  • LGSバージョン:8.96.81
  • DPI設定:200〜12000 DPI(※主に800DPIを利用)
  • レポートレート設定:125/250/500/1000Hz(※主に工場出荷時設定の1000Hzを利用)
  • Windows側マウス設定「ポインターの速度」:左右中央
  • Windows側マウス設定「ポインターの精度を高める」:無効
  • 搭載乾電池:アルカリ乾電池2個(※波形計測時以外は1個でも検証)

 まずは,「MouseTester」を用いたセンサー性能検証から始めたい。ここではG603をARTISAN製マウスパッド「飛燕 MID」と組み合わせたうえで,DPI設定は400,800,1600,3200,レポートレートは1000Hzという,いずれもデフォルトの設定で計測を行う。

 その結果をまとめたのが,下に示した4枚のグラフ画像だ。グラフはY軸のプラス方向が左への振り,マイナス方向が右への振り,横軸がms(ミリ秒)単位での時間経過を示している。
 青い点は実際にセンサーが読み取ったカウントで,青い波線はそれを正規化したものである。波線が滑らかで,その上に青い点が並んでいるほどセンサー性能が優れているという理解でいい。

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400DPI設定時。振り返しのタイミングでカウントが若干乱れるものの,それ以外は文句なしに良好な結果だ
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800DPI設定時。400DPI設定時とほぼ同じ傾向と言っていいだろう
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1600DPI設定時。基本的には400DPIおよび800DPI設定時と変わらないが,1か所だけカウントが飛んでいる
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3200DPI設定時。1600DPI設定時にあったカウンタの飛びは収まり,400DPIおよび800DPI設定時と変わらない傾向になった

 実際に計測結果を見てみると,横にマウスを振っているときにカウントと波線が乱れていないことに気付く。G403WLだと,少なくとも発売直後の時点ではマウスを横に振ったときの挙動がやや安定感を欠いていたのだが(関連記事),G603はその点で見事だ。横方向の移動時にキレイな線を描いていたものとしては最近だと「Razer Lancehead Tournament Edition」があるが,それよりも整っている印象を受けた。
 振り返しでは若干乱れ,また,1600DPI設定時はカウントの飛びも確認できた――気になって何度かテストし直したが,たまに出てくる――ものの,体感レベルでの違和感はないので,総合的にはかなりの実力を持ったセンサーだとHEROのことは評していいのではなかろうか。

 なお,言うまでもないことだが,以上のテストはHIモードで行ったものだ。では,Pate氏が「ゲームグレードではない」とするLOモードではどうか,参考までに800DPI設定でテストしてみた結果が下のグラフとなる。
 LOモードではレポートレートが125Hzとなっている点にも注意が必要だが,波形自体はかなり美しい。一般的なPC用途に向けたマウスとしては,LOモードでも申し分のないセンサー性能が得られると言えそうだ。

LOモード,800DPI設定時
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 次はリフトオフディスタンスである。マウスを持ち上げたとき,どれくらいの高さでセンサーの反応が途絶するかの検証だ。計測方法はシンプルで,厚さの異なるステンレスプレートを重ね,マウスの反応がなくなった時点の値を0.1ミリ単位で計測する。G603の場合は少なくともテスト時点においてサーフェスキャリブレーション機能がないため,そこがテスト結果にどう影響するかが気になるところだが,結論から先に言うと結果は良好だ。
 今回から検証に用いるマウスパッドの一部を入れ替えているが,表1にまとめたとおり,そのすべてで,4Gamerが最大ラインとしている2mmを下回った。ローセンシ設定でマウスを振り回しているとき,マウスを持ち上げたときにセンサーが誤作動する恐れはあまりないと言ってしまっていいだろう。

画像集 No.040のサムネイル画像 / Logicool Gのワイヤレスマウス「G603」レビュー。自社開発の新世代センサー「HERO」を搭載した製品は信頼に足るか?

 センサー周りのテスト,最後は「まったく入っていない」とされる直線補正だが,実際にWindows標準の「ペイント」で線を引いてみると,確かに体感できるレベルの補正は入っていないのが分かる。

さまざまに線を引いてみた例。引っ張られるような違和感は皆無だった
画像集 No.041のサムネイル画像 / Logicool Gのワイヤレスマウス「G603」レビュー。自社開発の新世代センサー「HERO」を搭載した製品は信頼に足るか? 画像集 No.042のサムネイル画像 / Logicool Gのワイヤレスマウス「G603」レビュー。自社開発の新世代センサー「HERO」を搭載した製品は信頼に足るか?

 Pate氏が述べているように,HEROセンサーでは補正機能自体が入っていない。そのため,調整によって直線補正を体感できないレベルに落とし込んでいたPMW3366系とはフィーリングに違いがあるのではないかと思う読者もいると思うが,少なくとも筆者は両者の間に違いがあるとは感じなかった。
 むしろ,補正機能を完全に無効化することはできないとされていたPixArtのセンサーを採用しつつ,HEROセンサーと同じ挙動を実現していたエンジニアの努力はすごいなという感想を抱いたりもした次第だ。

 センサーのテストを終えたところで,メインボタンの入力遅延も確認しておこう。「マウスクリックをしてから音楽制作ソフト上のシンセサイザが音を鳴らすまでの遅延」を,G603と,比較対象として用意したマウスとの間で比較することになる。
 ざっくりとした計測方法は以下のとおりだ。

  1. テスト対象のマウスを定位置で固定する
  2. マイクスタンドに吊したRazer製マイク「Razer Seirēn」を,マウスの左メインボタンすぐ近くに置く
  3. Windowsから音楽制作ソフト「Fruityloops」を起動。本アプリ上にあるソフトウェアシンセサイザの鍵盤をクリックする
  4. クリック音をRazer Seirēnで集音しつつ,「XSplit Gamecaster」を使って,「Razer Seirēnで集音した音」と「Fruityloops上の鍵盤で鳴った音」をミックスし,映像として録画する
  5. 動画編集ソフト「AviUtl」で,音声をWaveファイルとして切り出す
  6. サウンド編集ソフト「Audacity」でWaveファイルを開き,クリック音とシンセサイザの音が出るまでの時間を計測する
  7. テストを連続30回行ったうえで,ブレ対策のため最初の5回をカット。6回めから30回めの平均を取ってスコアとする

 G603は念のため,HIモードとLOモードの両方でテストすることとし,比較対象としては,以下の製品を用意した。ここまで名前が挙がっているマウスが中心だが,それとは別に「G403 Prodigy Gaming Mouse」(以下,G403)も追加している。

  • Pro Gaming Mouse(ワイヤード接続,ファームウェアバージョン110.2.16,LGSバージョン8.96.81,レポートレート1000Hz)
  • G703(ワイヤレス接続,ファームウェアバージョン14.0.4,LGSバージョン8.96.81,レポートレート1000Hz)
  • Razer DeathAdder Elite(ワイヤード接続,統合ソフトウェア2.21,レポートレート1000Hz)
  • G602(ワイヤレス接続,ファームウェアバージョン4700.001,LGSバージョン8.96.81,レポートレート500Hz)
  • G403(ワイヤード接続,ファームウェアバージョン3.3.11,LGSバージョン8.96.81,レポートレート1000Hz)

 その結果が表2だ。テスト環境下における,Razer SeirēnとFruitlyloopsの遅延を踏まえた相対的なものである点に注意してほしい。

画像集 No.034のサムネイル画像 / Logicool Gのワイヤレスマウス「G603」レビュー。自社開発の新世代センサー「HERO」を搭載した製品は信頼に足るか?

 G603は,Pro Gaming MouseやG403といった最速の製品と比べると若干遅いものの,トップクラスのスコアであることが分かる。少なくともゲームプレイにあたって「ワイヤレスモデルであるがゆえの遅延」を気にする必要は皆無と断言できるレベルだ。
 LOモードだと相応に遅延は大きくなるが,それでもG602より速いというのはちょっとした見どころだろう。LOモードでも数年前のワイヤレスマウスよりは確実に速いということが言えそうである。


分解し,HEROセンサー周辺のSPECULAR OPTIC SYSTEMに迫る


 最後は,気になるセンサー周りの実装を見るべく,内部構造をチェックしてみたい。Logitech G/Logicool Gのマウスらしく,底面部のソールを剥がして,その奥にあるネジをすべて取れば,底面部と,その上の筐体部――左右メインボタンと一体化した上面カバーの「下」にある部分を本稿では便宜的にこう呼ぶことにする――を分離させることが可能だ。

底面部と筐体部を分離させた状態
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 上の写真を一見して分かるのは,左右メインボタンのスイッチが筐体側にあることと,スクロールホイールおよびホイール手前のボタン用スイッチが,メイン基板とは別の基板に載っていることだろう。またこの時点で,Logitech G/Logicool Gが「SPECULAR OPTIC SYSTEM」(スペキュラオプティックシステム)と呼ぶ光学機構のレンズが特殊であることも確認できる。

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筐体側。メイン基板の上に,スクロールホイールとホイール手前側ボタン用スイッチの載ったサブ基板が重なる構造になっている
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メイン基板とはリボンケーブルでつながったサブ基板を取り外したところ。この時点でHEROセンサーの姿を確認可能だ
サブ基板からスクロールホイールを外したところ。センタークリック用のスイッチは正体不明ながら,スクロールホイール手前側のボタン用スイッチはオムロン スイッチアンドデバイス製の「D2FC-F-7N」だった。スクロールホイール用のロータリーエンコーダはKaihua Electronics製である
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底面部からメイン基板を取り出したところ
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 底面部の3分の2程度を占める,比較的コンパクトなメイン基板は,上面側にHEROセンサーを中心とするSPECULAR OPTIC SYSTEM,底面側にNordic Semiconductor製のBluetooth 5.0対応マイクロコントローラ「nRF52832」を搭載する構成になっている。LIGHTSPEED接続用のマイクロコントローラや設定保存用のフラッシュメモリは姿が見えないので,おそらくHEROセンサー側にマイクロコントローラ機能やフラッシュメモリ機能を統合しているのだろう。

メイン基板の上面側(左)と底面側(右)。主だったチップはHEROセンサーとnRF52832しかない。HIモードでHEROセンサー側,LOモードでnRF52832側のマイクロコントローラを使って接続しているのだとすれば,たしかに挙動がまったく異なるのも納得である
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HEROセンサーを含むSPECULAR OPTIC SYSTEM。スライドで示されていた形状ほぼそのままである。レンズユニットは従来のLogitech G/Logicool G製マウスのそれとは明らかに異なっていて,とても興味深い
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 HEROセンサーの詳細は,Chris Pate氏が語った内容を除けば,まったく分からない。チップ上の「68」やら「Hg11」やら「VB032917」といったあたりが内部型番的な何かなのだと思うが,ならそれが何を意味しているのかは,Logitech G/Logicool Gがさらなる情報を開示しない限り,今後も不明のままだろう。

メインボタンのスイッチは定番のD2FC-F-7N(20M)
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 筐体側の見どころは,左右メインボタンのスイッチ用が各1枚,そして左サイドボタンのスイッチ用が1枚,計3枚の小さなケーブルがケーブルでつながった状態で,まるで埋め込んであるかのようにして取り付けられているところだろう。
 メインボタンのスイッチはオムロン スイッチアンドデバイス製の「D2FC-F-7N(20M)」,そしてサイドボタン用スイッチはやはりオムロン スイッチアンドデバイス製で,印字が「E57」とだけあるものになっていた。

サイドボタン用スイッチの載るサブ基板に寄ったところ。スイッチには「E57」という刻印があった
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ここまであえて説明してこなかったが,筐体部の手前側にはUSBレシーバーを格納するためのスペースがある。持ち運ぶときの紛失予防に使えるわけだ
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 というわけで,G603の内部構造は,単3型乾電池を2個搭載するためのスペースを確保しつつ,できるかぎり軽量にしようという意図が汲み取れるものになっていた。
 また,基板上の構成部品が非常に少ないのも目を惹くところだ。HEROセンサー自体は「完全オリジナルの,なんだかすごいやつ」くらいの認識しかできないが,これだけ部品が少ないと,中長期的には製造コストの引き下げに寄与するのではなかろうか。

※注意
 マウスの分解はメーカー保証外の行為です。分解した時点でメーカー保証は受けられなくなりますので,本稿の記載内容を試してみる場合には,あくまで読者自身の責任で行ってください。分解によって何か問題が発生したとしても,メーカー各社や販売代理店,販売店はもちろん,筆者,4Gamer編集部も一切の責任を負いません。また,今回の分解結果は筆者が入手した個体についてのものであり,「すべての個体で共通であり,今後も変更はない」と保証するものではありません。


形状とHEROセンサーに違和感なし。それだけにテールヘビーさが気になる


製品ボックス
画像集 No.059のサムネイル画像 / Logicool Gのワイヤレスマウス「G603」レビュー。自社開発の新世代センサー「HERO」を搭載した製品は信頼に足るか?
 以上,G603を見てきた。注目のHEROセンサーについて言えば,リフトオフディスタンスの手動もしくは自動調整機能を(少なくとも今のところ)欠くのだけが玉に瑕ながら,そのリフトオフディスタンスは文句なしに優秀で,かつセンサー性能も上々だ。少なくとも,「非PixArtのセンサーを採用すること」に不安をおぼえる必要はないように思う。もし何かあればファームウェアのアップデートで対応可能というのも心強い。
 しかもそれでいて,テストしていて乾電池の交換が必要になることはなかった。さすが,ゲーム用途で使っても数か月は大丈夫という省電力さを誇るマウスのことはある。

 ただ,それだけに気になるのが,乾電池を1個しか搭載しない状態でさえ感じる,そのテールヘビーさだ。センシティビティ設定(≒DPI設定)やプレイスタイル次第で,致命傷にも,まったく影響のない仕様ということにもなるので,あくまでも個人的な見解として述べさせてもらうが,最近メインで使っているマウスがG703である筆者の立場からすると,この重量バランスの悪さは「ない」レベルである。
 ゲーム中にマウスを持ち上げることなんてない,という人なら大丈夫である可能性も高いので,購入前に一度,乾電池2個と1個の違いも含めて実機を握って,確認してみることを強く勧めたい。

画像集 No.060のサムネイル画像 / Logicool Gのワイヤレスマウス「G603」レビュー。自社開発の新世代センサー「HERO」を搭載した製品は信頼に足るか?

 実勢価格は8600〜9500円程度(※2017年10月7日現在)。間もなく市場から消える見込みであるG403WLの実勢価格が8000〜1万円程度(※2017年10月7日現在)と,ほぼ変わらない実勢価格なので,「どちらがいい?」と聞かれれば個人的には重量バランスの問題がないG403WLのほうを推すが,「充電せずに数か月使えるワイヤレスのゲーマー向けマウス」により惹かれるのであれば,G603は考慮に値するだろう。

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