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Logicool G「PRO Wireless」「PRO HERO」レビュー。重量約80gのワイヤレスと約83gのワイヤードは軽量マウスの最適解か?
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印刷2018/09/06 00:00

レビュー

重量約80gのワイヤレスと約83gのワイヤードは軽量マウスの最適解か?

PRO Wireless Gaming Mouse
PRO Gaming Mouse

Text by BRZRK


 2018年9月6日,Logicool G(日本以外ではLogitech G)製のワイヤレス&ワイヤード両対応マウス「PRO Wireless Gaming Mouse」(国内製品名:PRO LIGHTSPEEDワイヤレスゲーミングマウス,以下 PRO Wireless)が国内発売日を迎えた。

PRO Wireless Gaming Mouse(国内製品名:PRO LIGHTSPEEDワイヤレスゲーミングマウス)
メーカー:Logitech International
問い合わせ先:ロジクール カスタマーリレーションセンター 電話:050-3786-2085
実勢価格:1万7900〜1万9900円程度(※2018年9月6日現在)
画像集 No.002のサムネイル画像 / Logicool G「PRO Wireless」「PRO HERO」レビュー。重量約80gのワイヤレスと約83gのワイヤードは軽量マウスの最適解か?

 Logitech International(日本ではロジクール,以下 Logitech)独自開発となる光学センサー「HERO」の第2世代モデル「HERO 16K」を搭載する初のマウスにして,HEROセンサー搭載マウスとして初めてLogitech独自のワイヤレス給電技術「POWERPLAY」対応,そして公称重量はバッテリー込み80gという衝撃のスペック,そしてメーカー想定売価1万8380円前後(税込1万9850円前後)という,「G900 Chaos Spectrum Professional Grade Wired/Wireless Gaming Mouse」「G903 LIGHTSPEED Wireless Gaming Mouse」(以下順に,G900,G903)を彷彿とさせる高い価格設定で,かなりの注目を集めていた製品だ。

 果たしてPRO Wirelessは「とことん軽いワイヤレスマウス」を求めるゲーマーの期待に応えてくれるのか。期待の新製品をチェックしていきたいと思う。

 なお,PRO Wirelessと同じ9月6日付けでLogicool Gからは,ワイヤードマウス「PRO Gaming Mouse」(※発表当時の製品名は「Pro Gaming Mouse」)のセンサーをPixArt Imaging製の「PMW3366」からやはりHERO 16Kへ変更したとされるマイナーチェンジモデルも発売になる。こちらの国内製品名は「PRO HERO ゲーミングマウス」(以下,PRO HERO)だが,本稿ではPRO HEROについても適宜言及していくつもりだ。

新型PRO Gaming Mouse(国内製品名:PRO HERO ゲーミングマウス)
メーカー:Logitech International
問い合わせ先:ロジクール カスタマーリレーションセンター 電話:050-3786-2085
実勢価格:7100〜7900円程度(※2018年9月6日現在)
画像集 No.003のサムネイル画像 / Logicool G「PRO Wireless」「PRO HERO」レビュー。重量約80gのワイヤレスと約83gのワイヤードは軽量マウスの最適解か?

 テストに先立ってお伝えしておくと,2製品の主なスペックは表1のとおりとなる。

画像集 No.070のサムネイル画像 / Logicool G「PRO Wireless」「PRO HERO」レビュー。重量約80gのワイヤレスと約83gのワイヤードは軽量マウスの最適解か?


クセのないシンプルな形状のPRO Wirelessと,初代PRO Gaming Mouseとまるっきり同じPRO HERO


画像集 No.004のサムネイル画像 / Logicool G「PRO Wireless」「PRO HERO」レビュー。重量約80gのワイヤレスと約83gのワイヤードは軽量マウスの最適解か?
 完全新作となるPRO Wirelessは,左右対称形状を採用する製品だ。PROシリーズ初のマウスとなったPRO Gaming Mouseは「形状こそ左右対称ながら,サイドボタンを搭載するのは左側面のみ」という仕様だったが,PRO WirelessはG900やG903と同じく,左右側面へサイドボタンを2個ずつ搭載する仕様になっている。
 サイドボタンの長さは前後方向のいずれも実測約18mmで,幅は最も太いところで実測約5mm。パッと見だとサイズが違って見えるが,それは微妙に形状が異なるがゆえだ。

PRO Wirelessを4Gamerの比較用リファレンスマウス「Gaming Mouse G500」と並べたところ。縦幅と横幅ともにPRO Wirelessのほうが少し小さい
画像集 No.005のサムネイル画像 / Logicool G「PRO Wireless」「PRO HERO」レビュー。重量約80gのワイヤレスと約83gのワイヤードは軽量マウスの最適解か? 画像集 No.006のサムネイル画像 / Logicool G「PRO Wireless」「PRO HERO」レビュー。重量約80gのワイヤレスと約83gのワイヤードは軽量マウスの最適解か?
画像集 No.007のサムネイル画像 / Logicool G「PRO Wireless」「PRO HERO」レビュー。重量約80gのワイヤレスと約83gのワイヤードは軽量マウスの最適解か?

 また,これまたG900やG903と同じだが,PRO Wirelessのサイドボタンはマグネットによる固定式となっており,取り外して,製品ボックスに付属するカバーと交換することで,任意のボタンを物理的に無効化できる。基本的には利き腕で持ったときの外側――右利きなら右サイドボタン2個――の無効化というのが考えられるが,サイド1ボタン化したり,そもそもすべてのサイドボタンを無効化したりすることも可能だ。

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PRO Wirelessと付属品一覧。“刺股(さすまた)ケーブル”と,ワイヤレスアダプター&USBポート変換アダプター,そしてボタン部のカバー4個が製品ボックスには入っている
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こちらは右側面でサイドボタンを外し,カバーと並べたカット。Logitech G/Logicool Gのブランドカラーである水色部分にマグネットが埋め込んであり,ボタンおよびカバー部のプラスネジにくっつく仕様だ
サイドボタンは横から見るとカマボコ型で2mmほど突き出すような形状になっている(左)。着脱式なので,片側だけカバーに変更したり(中央),全部塞いでしまったりすることもできる(右)。G900&G903とよく似た仕様だ
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左右メインボタンはセパレートタイプ。わずかに凹みがあり,指を配置しやすくするガイドの役割を果たしている
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 サイドボタンを除くと,PRO Wirelessが搭載するボタンは左右メインおよびセンタークリック機能付きスクロールホイールのみとシンプルだ。実測約77.5gという本体重量を実現するためか,ホイールは“肉抜き”してあって,ここもG900&G903とよく似ている。ただ,スポーク部分の形状が異なるので,流用ではなく,新規に起こしたパーツということになるだろう。
 その横幅は実測約7mmで,内側の同5mmほどをラバー素材が覆うタイプ。ラバー部分には細かく溝が入っていて,大量の凹凸で滑り止め効果を出している。

 ホイールは1回転24ノッチで,カチカチとした抵抗感は最小限になっており,,指先にあまり力を入れずとも簡単に回すことができる。それでいて,いま述べたラバー部の滑り止めがよく機能しているため,意図した以上に回転してしまうことはまずない。筆者の感覚で言わせてもらうと,非常に快適だ。

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“肉抜き”済みのスクロールホイール
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スクロールホイールの操作感は軽く,かつしっかりしている

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 本体両側面はほんのわずかに内側へ向いて凹んだ形状となっている。最近の「ゲーマー向けマウス業界」で流行している「側面に滑り止めのラバーシートを貼る」といった措置はされていないが,凹みのおかげもあって,握り方にかかわらず,親指と小指でしっかりホールドできるため,激しく動かしていて指が滑ってしまうようなことはなかった。

本体側面の凹み具合はおとなしめ。指をどう配置してもフィットしやすい形状になっている
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センサー部を挟んで写真左がDPI順繰り変更ボタンだ。反対側にあるのはワイヤレス動作時の電源スイッチである
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 ところで,先ほどボタンの数について触れたとき,DPI設定変更用ボタンが上面カバー部からなくなったことに気付いた人もいると思う。ではそれはどこに行ったのかという話だが,PRO Wirelessにおいては本体底面だ。昔から,プロゲーマー向けを謳うマウスではポピュラーな配置だが,Logitech G/Logicool Gのマウスとしては非常に珍しい。「PRO」Wirelessとして,かなり思い切ったデザインをしたと言えそうだ。

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本体底面全景
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カバーを取り外したところ。ここにはPRO Wireless専用ワイヤレスレシーバーをしまっておくためのスペースがある。大会など外出先へ持って行くときに便利だろう
 底面全体を見ると,ソールは大小計5枚。本体奥側(=左右メインボタン側)に長い円弧的なものが1枚と,センサー(=レンズ)を囲むオーバル(長円)型のものが1枚,手前側(=「G」ロゴ側)に小さな円弧が3枚という内訳である。
 底面の丸いカバーは,冒頭で紹介したPOWERPLAYを実現するためのワイヤレス給電システム「POWERPLAY Wireless Charging System」(以下,POWERPLAY WCS)を利用するためのもので,POWERPLAY WCSに付属の充電モジュール「POWERCORE」を取り付けると,POWERPLAYを利用できるようになる。POWERCOREを取り付けた状態でも本体実測重量は約82gだった。

 なおPRO HEROの外観は,少なくとも筆者が細かくチェックした限り,初代PRO Gaming Mouseと完全に同じ。なので,見た目については2017年3月30日掲載の記事を参照してもらえればと思う。

PRO Wirelessと比較するとPRO HEROは本体側面がくびれていない。ここが持ちやすさという意味では人を選ぶ可能性があるだろう。また,スクロールホイールのエッジが立った印象だったり,DPI変更用ボタンがスクロールホイールの手前にあったり,本体底面に操作系はなかったりと,同じPROシリーズでもかなり違うのが分かる
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後方から見比べるとPRO HEROのほうが背が低く,平べったい印象を受ける(左)。サイドボタンは丸みを帯びたPRO Wirelessと異なり,PRO HEROのほうはやや尖った形状だ(右)
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 ……といった感じで,本体は初代PRO Gaming Mouseそのものといった感じだが,1つ,ケーブルが変わったことは指摘しておきたい。初代PRO Gaming Mouseだと布巻き仕様だったのが,PRO HEROでは細いビニール皮膜のものに変わっているのだ。
 ケーブルの太さは実測約2.9mmで,布巻きケーブルと比べると若干硬めになったが,非常に馴染みやすく,梱包時についた若干のクセも簡単に直すことができる。ケーブルは変わったが,取り回しやすさは変わっていないと言っていいだろう。

こちらはPRO HEROとGaming Mouse G500を並べたところ。PRO Wirelessよりも一回り小さめのサイズだ
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さまざまな持ち方に広く対応できるPRO Wirelessの本体形状


 左右対称形状で,サイドボタンの配置も物理的に変更できるため,右手用としても左手用としても利用できるPRO Wirelessだが,左右対称形状であるがゆえに,右手用マウスでお馴染みの「薬指と小指を置くための膨らみ」的なものはない。そしてこの場合往々にして薬指と小指を置く場所に困ることになるのだが,その点でPRO Wirelessはどうかというのが,形状面での重要なチェック項目となる。
 今回も,定番の「つかみ持ち」「つまみ持ち」「かぶせ持ち」に加え,かぶせ持ちをベースとしつつ小指と薬指を立たせ親指も立たせるという,筆者独自の持ち方ではないかと考えている「BRZRK持ち」の4パターンでPRO Wirelessを握って操作してみることにした。その結果は以下のとおり,写真とキャプションでお伝えしたい。

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つまみ持ちの例。両側面の凹み具合が小さいこともあって,親指と小指の配置場所を自分に合うところに置くことができる。結果として,自然体で操作可能だ
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つかみ持ちの例。親指が奥側(=左右メインボタン側)サイドボタンの下に来るよう握り込み,手のひらでマウスの後部を包むようにホールドすると,安定感が出て快適に扱える
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かぶせ持ちの例。側面の凹みが小さいため,本体との間に無駄な空間が生まれてしまうこともなく,薬指と小指ベタ置きできる。接地面が増えることでグリップ力も増して快適だ
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BRZRK持ちの例。とくに不満もなく快適に操作できる。筆者個人としては気持ち少しだけ斜めに握るようにするとより握りやすく感じたのだが,このあたりは手のサイズとの兼ね合いかも

 実際にPCのデスクトップ操作やゲームプレイを何度も行ってみたが,どの持ち方でも非常に使いやすい。一般に,左右対称形状のマウスで左右の凹み量が大きいと,薬指と小指を配置できる場所が限られてしまい,また,指と本体との間に予期せぬ隙間が生じて安定感を奪っていくのだが,PRO Wirelessでそういう心配は無用だ。過去に左右対称形状のマウスを使って違和感を覚えたことのある人ほど,PRO Wirelessの「しっくりくる具合」には感心するのではなかろうか。


テストに用いた統合ソフトウェアはHUBでなくLGS


 PRO Wireless(とPRO HERO)はいずれもUSBクラスドライバで動作する,いわゆる「ドライバレス」のマウスだが,DPIやレポートレートなどの設定を行うためには,統合ソフトウェア「Logicoolゲームソフトウェア」(日本以外では「Logitech Gaming Software」,以下 LGS)が必要だ。4Gamerでお伝えしているとおり,Logitech G/Logicool Gは現在,新世代の統合ソフトウェア「Logitech G HUB」(以下,HUB)のオープンβテスト中で,筆者もできればこちらでテストしたかったのだが,全世界のレビュワーに配布されたソフトはLGSのバージョン9.02.61だったため,今回はこちらを使ってのテストとなる。

「オンボードメモリ」(左)か「自動ゲーム検出」(右)かの選択を説明抜きに求められる,“初見殺し”の仕様は健在。前者は,マウス内蔵のフラッシュメモリに最小限の設定内容を保存するモード,後者はLGSの設定をフルに使うモードとなる。大会などでも使いたいなら前者を,自宅でしか使わないなら後者を選ぶのがベターだが,結局Logitech G/Logicool Gはこの説明をしないままHUBへ移行することになるようだ
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 どちらの動作モードを選択した場合でも,メインメニュー左上のところでバッテリー残量は確認可能だ。また,給電用のUSB Micro-Bケーブルを本体に差した直後の数秒間は「充電が始まったこと」を,充電が終わって抜いた直後の数秒間は「おおまかなバッテリー残量」をそれぞれ,スクロールホイール手前に隠れている3連LEDインジケータの表示から確認できるようになっている。

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給電用ケーブルを差すと,LEDインジケータの点灯数が1→2→3→1……と切り替わって,充電が始まったことを教えてくれる
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充電ケーブルを抜くと,その後数秒間にわたって,「現時点におけるバッテリー残量」を知らせてくれる

こちらは「オンボードメモリ」を選んだときの設定メニュー。ボタンの割り当てとDPI設定,レポートレートの組み合わせを最大5つのプロファイルに保存できる
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 以下,本稿ではフル機能を使える「自動ゲーム検出」を選択した前提で話を進めるが,LGSの右下に並んだアイコン群から「ボタンのカスタマイズ」を選ぶと,基本のボタン割り当てだけではなく,対応するゲーム(などのアプリケーション)を起動したときに自動的にボタン設定が切り替わるような設定も行える。
 また,右下のアイコン群から「ポインタ設定をカスタマイズする」を選べば,マウスのDPI設定を50刻みで最大5パターン登録して,マウス本体側の切り替えボタンから順繰りに変更したり,USBレポートレート(≒ポーリングレート)を125/250/500/1000 Hzから変更したりできる。このあたりは従来のLGSと同じだ。

ボタン周り,センサー周りの設定項目は基本的に従来どおり。ただし,G900およびG903から引き続き「サイドボタンのどこを無効化するか」選択できる機能を持つのはHEROセンサー搭載マウスとして初になる。カバーを使わない場合もこちらから任意のボタンだけ有効にすることはできるわけだ
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 マウスパッドの特性に合わせてセンサー出力を微調整し,リフトオフディスタンス(Lift-off distance,マウスを持ち上げたときにセンサーが反応しなくなる距離)を短く最適化できる機能を搭載しないのは,既存のHEROセンサー搭載モデルと同じ。それこそG900やG903といったPMW3366センサー搭載の上位モデルでは利用できるので,この点はある意味で(少なくとも現状は)退化ということになるだろう。

LEDイルミネーションはGロゴ部とDPIインジケータを個別に設定できる
画像集 No.041のサムネイル画像 / Logicool G「PRO Wireless」「PRO HERO」レビュー。重量約80gのワイヤレスと約83gのワイヤードは軽量マウスの最適解か?
 PRO Wirelessは本体上面部のGロゴ部と,DPIの変更時に短時間点灯するDPIインジケータLED――前述したバッテリー関係のインジケータと共用――のLEDをカスタマイズできる。ただ,LEDを消灯したときの公称バッテリー駆動時間が60時間のところ,LEDを有効化すると48時間にまで短くなるので,POWERPLAYによる給電を行うのでなければ,Gロゴの点灯(や点滅)は無効化してしまったほうがいいかもしれない。

PRO WirelessとPRO HEROのロゴ部(※PRO HEROはライン部も)でイルミネーションの色の出方を見たカット。上段左から順に赤,橙,黄,中段左から緑,水,青,下段左から紫,桃,白だ。紫と白から分かるとおり,やや青が強いのだが,それ以外は妥当な感じの色が出ている
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こちらはDPIインジケータ。5段階の光らせ方はLogitech G/Logicool G製マウスでお馴染みのパターンだ
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第2世代HEROセンサーは優秀ながら,LIGHTSPEEDワイヤレスの挙動には謎が


 ここからはテストに入っていこう。冒頭で紹介したとおり,PRO WirelessとPRO HEROはいずれもHERO 16Kという第2世代HEROセンサーを搭載している。第2世代HEROセンサーでLogitech G/Logicool Gは光学レンズの改良とアルゴリズムの改善によって,設定可能なDPI全域において正確なトラッキングを可能としたとのことだが,それをデータや体感レベルで確認できるかというのがチェックポイントになるだろう。

●テスト環境
  • CPU:Core-i7 7820X(8C16T,定格クロック3.6GHz,最大クロック4.3GHz,共有L3キャッシュ容量11MB)
  • マザーボード:MSI X299 TOMAHAWK(Intel X299)
    ※PRO Wirelessのレシーバー延長ケーブル,PRO HEROのケーブルはいずれもI/Oインタフェース部のUSBポートと直結。PRO Wirelessのレシーバーはマウスの近く,半径200mm以内に設置
  • メインメモリ:PC4-19200 DDR4 SDRAM 8GB×4
  • グラフィックスカード:MSI GeForce GTX 1080 GAMING X 8G(GeForce GTX 1080,グラフィックスメモリ容量8GB)
  • ストレージ:Intel SSD 600p(SSDPEKKW128G7X1,NVM Express 3.0 x4,容量128GB)
  • サウンド:オンボード
  • OS:64bit版Windows 10 Pro

●テスト時のマウス設定(PRO Wireless,PRO HEROとも)
  • ファームウェアバージョン:15.0.18
  • LGSバージョン:9.02.61
  • 電源モード:高
  • DPI設定:400 / 800 / 1600 / 3200 DPI(※主に800 DPIを利用)
  • レポートレート設定:1000Hz
  • Windows側マウス設定「ポインターの速度」:左右中央
  • Windows側マウス設定「ポインターの精度を高める」:無効

 まずは,センサー性能をチェックする「MouseTester」からだ。
 ここではARTISAN製マウスパッド「飛燕MID」上で,DPIの設定を400,800,1600,3200と切り替えながら,レポートレートを1000Hzで固定したPRO WirelessとPRO HEROそれぞれを一定のリズムで振り,その挙動をログで確認することになる。

 テストは「マウスパッドの上でマウスを高速に左右に振る」というシンプルなもので,今回はマウスごとに4種8枚のグラフを掲載する。グラフはY軸のプラス方向が左への振り,マイナス方向が右への振り,横軸がms(ミリ秒)単位での時間経過を示す。
 DPI設定値ごとにグラフを2枚用意してあるが,どちらも青い点は実際にセンサーが読み取ったカウントだ。一方,青い波線は左だとカウントを正規化したもの,右はカウント同士をつないだものとなるので,見やすいほうを参照してもらえればと思う。

 というわけでPro Wirelessからテスト結果を見てみよう。

画像集 No.081のサムネイル画像 / Logicool G「PRO Wireless」「PRO HERO」レビュー。重量約80gのワイヤレスと約83gのワイヤードは軽量マウスの最適解か? 画像集 No.082のサムネイル画像 / Logicool G「PRO Wireless」「PRO HERO」レビュー。重量約80gのワイヤレスと約83gのワイヤードは軽量マウスの最適解か?
400 DPI設定時。カウントが大きく飛んでいるのが確認できた。飛んでいるところ以外は正規化された線の上にあって,きれいなのだが……
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800 DPI設定時。こちらでもカウントの飛びが生じている。3つ連続で飛ぶ症状も確認できた
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1600 DPI設定時。変わらずカウントが飛んでいる
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3200 DPI設定時。やはり飛んでいる

 記憶力のいい読者はピンときたと思うが,この大きく飛ぶテスト結果は,先にミニレビューをお届けしている「G304 LIGHTSPEED Wireless Gaming Mouse」(以下,G304)とほぼ同じだ。むしろ「2つ飛び」している分だけ悪化している,とも言えるが,4GamerではG304のテスト結果を受けてLogitech International(以下,Logitech)本社に症状を伝え,さらに今回のテスト結果についても掲載に先立ってレポートを入れている。

画像集 No.089のサムネイル画像 / Logicool G「PRO Wireless」「PRO HERO」レビュー。重量約80gのワイヤレスと約83gのワイヤードは軽量マウスの最適解か?
Logitechから送られてきた「とくに問題のないテスト結果」。Windows 8.1ベースのシステムで,PRO WirelessとG240マウスパッドを組み合わせたときのものだという
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段ボール全体をアルミホイルで覆った,自作の簡易電波暗室に手を突っ込んで,G240マウスパッドと組み合わせたテストも行ってみた。写真はその様子だ
 それに対するLogitechの回答は,「テストしたが,手元では問題ない」というものだった。右に示したスクリーンショットは,数ページにわたるLogitech本社の回答より,PRO Wirelessと「G240」マウスパッドを組み合わせたときのデータだが,4回のテストを通じて,筆者の手元で生じたような問題は起こっていないことを示している。

 では問題は筆者の環境に起因するものなのか。それを確かめるべく,まず筆者の自宅にある別のPCでも試したが,結果は変わらなかった。異なる個体も用意したが,やはり変わらずだ。
 さらに4Gamerの会議室に持ち込んで新旧2台のPRO Wirelessを試したが,結果はやはり変わらず。最後は「段ボールの6面にアルミホイルをくまなく巻いた,簡易電波暗室(もどき)」の中にやはり新旧2台のPRO Wirelessを突っ込んだ状態(※右の写真がそれだ)でもテストしたが,やはり結果は変わらずである。

 では,マウス側の問題なのだろうか。筆者の自宅に戻り,あらためて今度は新しく入手したほうのPRO Wirelessでワイヤード接続を行ってテストしたときの結果が下のグラフだ。

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400 DPI設定時。カウントが大きく飛ぶようなこともなく良好に見える
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800 DPI設定時。400 DPI時と同じく,カウントが大きく乱れたりはしていない
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1600 DPI設定時。あえて言えば振り返し前後の加減速で少しだけカウントが乱れているが,少なくともワイヤレス接続時と比べればはるかに良好だ
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3200 DPI設定時。ここでも大きな乱れは出ていない

 ご覧のとおり,大きな破綻はない。つまり,HERO 16Kセンサーやそれを制御するマイクロコントローラ,PCとのUSB接続周りには問題が出ていないわけである。となると現状の結論としては,Logitech G/Logicool G独自のワイヤレス技術であるLIGHTSPEED周りの問題と結論付けせざるを得ない。
 本件については引き続きロジクール,そしてLogitech本社とやりとりをしていく予定,というか現在もキャッチボールを続けている最中だが,現時点で考えられる可能性としては,

  • Logitech本社のテストで使ったWindows 8.1では問題ないが,筆者の使ったWindows 10 April 2018では問題が発生する
  • 日本独特の電波環境と,HEROセンサー世代のLIGHTSPEEDは相性が悪い
  • 筆者の手元にあるPRO Wirelessが2台ともLIGHTSPEED周りの個体不良である

といったところだろうか。続報が得られたら,また稿をあらためてお伝えしたいと考えている。

 なお,今回の話において1つ注意してほしいのは,ワイヤレス接続時の「カウントの飛び」が,実際のゲーム中に何か負の影響をもたらしたりはしていないということだ。筆者は新旧のPRO Wirelessを使って,ここまで軽く2桁時間をFPSとTPSのプレイに費やしているが,ゲームプレイで「カウントの飛び」が原因と思われる挙動に見舞われたことは一度もない。
 「体感できないならいいじゃないか」という意見はもっともなので,その点は読者1人1人の判断に任せたいが,ここまで何十回もPRO WirelessでMouse Testerの検証を繰り返してきた身としては,「問題はないと思うけれども,100%信頼するには若干の不安が残る」のも,また確かである。

 さて,次にPRO HEROだが,こちらも結果は下に示したグラフ画像のとおりとなる。

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400 DPI設定時。振り返しで少しだけ乱れが見られるものの,全体的に良好と言える
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800 DPI設定時。400D PI設定時と同様,減速してから逆方向へ振り返して加速する一連の流れでわずかに乱れるものの,総じて良好な追従性を見せている
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1600 DPI設定時。2425msのタイミングで少し怪しげな挙動を確認できるものの,とくに大きな問題はない
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3200 DPI設定時。1950msから1975msにかけてカウントが狂っているのが確認できる。ただ,それ以外に目立ったカウントの飛びは認められない

 こちらの結果を見る限り,まずまずの結果を残していた初代PRO Gaming Mouseと比べても,PRO HEROはトラッキングの正確性が向上している印象だ。1600および3200DPI設定時にやや飛ぶ傾向が見られるが,プロゲーマーの多くは800 DPI以下を好んで使うので,そう大きな問題ではなさそうだ。

 続いては前段で最適化機能がないことを指摘したリフトオフディスタンスである。
 ここでの計測方法はシンプルで,マウスパッドを交換しながら,「厚みの異なるステンレスプレートを重ねていき,マウスの反応が途絶える高さを0.1mm単位で探る」というものだ。

 結果は表2のとおりで,サーフェスキャリブレーション(=マウスパッドに対するセンサー出力の最適化)を行わずとも,すべてのテスト条件でPRO WirelessとPRO HEROは4Gamerが合格ラインとする2mmを下回ってきた。
 PRO Wirelessのほうがより短いが,その理由は後段で考察したい。

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 センサー検証の最後は直線補正の有無だ。Logitech G/Logicool GはHEROセンサーの直線補正を「体感レベルではなく,完全に無効化した」としているが(関連記事)が,その仕様がHERO 16Kでも変わっていないかどうかを見ることになる。
 ここではWindows標準の「ペイント」で線を引き,操作とは異なるラインが引かれたりしていないかを確認したが,その結果は以下のとおりだ。PRO Wireless,PRO HEROとも,直線補正がかかっている場合に感じられる「引っ張られるような感覚」もなく,イメージどおりのラインを引くことができた。今回も直線補正は入っていないと言っていいだろう。

上段がPRO Wireless,下段がPRO HEROのテスト結果。いずれも「不自然にまっすぐなライン」が出ていない
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 続いては入力遅延の検証である。
 ここでは「マウスをクリックしてから音楽制作ソフト上のシンセサイザーが音を鳴らすまでの時間」をチェックすることで,入力が反映されるまでの遅延を,第1世代HEROセンサー搭載のワイヤレスマウス「G603 LIGHTSPEED Wireless Gaming Mouse」(以下,G603)でゲーム用動作モードである「HI」を選択した状態,そして4Gamerのリファレンス機材である初代PRO Gaming Mouse」および「Razer DeathAdder Elite」(以下,DeathAdder Elite)という2つのワイヤードマウスと比較することになる。
 テスト方法はざっくりと紹介すると以下のとおりだ

  1. テスト対象のマウスを定位置で固定する
  2. マイクスタンドに吊したRazer製マイク「Razer Seirēn」を,マウスの左メインボタンすぐ近くに置く
  3. Windowsから音楽制作ソフト「Fruityloops」を起動。同アプリ上にあるソフトウェアシンセサイザの鍵盤をクリックする
  4. クリック音をRazer Seirēnで集音しつつ,「XSplit Gamecaster」を使って,「Razer Seirēnで集音した音」と「Fruityloops上の鍵盤で鳴った音」をミックスし,映像として録画する
  5. 動画編集ソフト「AviUtl」で,音声をWaveファイルとして切り出す
  6. サウンド編集ソフト「Audacity」でWaveファイルを開き,クリック音とシンセサイザの音が出るまでの時間を計測する
  7. テストを連続30回行ったうえで,ブレ対策のため最初の5回をカット。6回めから30回めの平均を取ってスコアとする

 結果は表3のとおりで,PRO WirelessはLIGHTSPEED効果もあって非常に速い。DeathAdder Eliteとほぼ同じ平均値で,初代PRO Gaming Mouseまであと一歩なのだから,文句なしだろう。
 対するPRO HEROのほうは初代PRO Gaming Mouseに迫るスコアで,文句なしにトップクラスである。ワイヤードマウスの中でも屈指の速さを持つ製品だと言って差し支えない。

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「G900&G903直系」を感じさせる,複雑な内部構造のPRO Wireless。PRO HEROが搭載するセンサーは?


 テストを終えたところで,最後に分解して内部をチェックしてみよう。
 まずはPRO Wirelessだが,底面のソールをすべて剥がし,その下に出てくる7個のネジを外すと,上面カバー部を底面から分離させることができる。

上面カバーを取り外した状態。右が奥側(=左右メインボタン側)だが,メイン基板にスイッチが載っていない,珍しい構成なのが分かる。一方,上面カバーの内部はバッテリーも含めてみっちりと詰まった印象だ
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 メイン基板は事実上,HERO 16Kセンサーと電源部の部品,そして各種接続端子しか載っていないという,非常にシンプルなものになっている。Logitech Gのシルク印刷がなかったらマウスのメイン基板だと言われてもピンと来ないかもしれない。
 センサー搭載面の背面にはワイヤレス接続対応のNordic Semiconductor製マイクロコントローラ「nRF52840」を搭載しているので,「『Cortex-M4』ベースの32bit ARMプロセッサ採用」ということになる。

メイン基板のHERO 16Kセンサー搭載面(左)とその背面(右)。少なくとも初期のHEROセンサーにはなかった「HERO」のシルク印刷,そしてスイッチ類を一切搭載しないという珍しい基板レイアウトが目を惹く。センサーの型番は「Hg1」だろうか
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 ちなみに新開発のレンズユニットは,センサーに填め込むような格好で装着してあった。取り外してみると,確かにこれまでなかったような形状をしている。

センサーに填め込んだ状態のレンズユニット(左)。右は取り外したところだ
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 天板部の各種コンポーネントはネジ留めされているのだが,ネジを外していくと,複数のサブ基板が組み付けられた内部シャーシをまるごと取り外すことができる。G900&G903で初採用となった「複雑な構造の軽量シャーシを採用することで,強度を確保しつつ軽量化を図る」コンセプトは,PRO Wirelessで発展したというか,よりシンプルな実装になった印象がある。

上面カバーから取り出したサブ基板付きシャーシ。いくつものパーツがシャーシに組み付けられているのが一目で分かる
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 シャーシには,左右メインボタン用スイッチとスクロールホイールが載る基板と,左右サイドボタン用スイッチが載る基板合計2枚,そしてLEDの載る基板が取り付けられている。
 左右メインボタン用スイッチとスクロールホイールが載る基板は,3連のLEDインジケータが載る小さな基板とリボンケーブル経由でつながっているのだが,端子部が非常に薄く,ちょっとした負荷でも壊れてしまいそうだったため,取り外しは断念した。全体としてかなりの詰め込み具合であり,分解の難度は極めて高い。

左右メインボタン用スイッチとスクロールホイールが載る基板。左右メインボタン用スイッチはオムロン スイッチアンドデバイス製で,5000万回の押下に耐えられる仕様の「D2FC-F-K(50M)」だった。スクロールホイールのところにはTTC製ロータリーエンコーダも搭載する
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サイドボタン用スイッチもオムロン スイッチアンドデバイス製だが,ぱっと見た限りでは型番を確認できなかった。薄型スイッチのようだ
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左右メインボタンを押したときに反力を生むための金属製バネはPRO Wirelessも搭載(左)。これにより,スイッチ自体が元に戻ろうとする力だけに頼ることなく,ボタンを正位置に素早く戻すことができる。また,スイッチが斜めレイアウトになっている点も押さえておきたい。右はボタンの底面側で,スイッチを押す部分には,硬いソールのような素材が貼ってあった
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PRO HEROの上面カバーと底面部を分離させた状態
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PRO HEROの搭載するレンズユニット
 一方,PRO HEROのほうだが,内部構造は基本的に初代PRO Gaming Mouseと同じだった。ただそれだけに,センサーの物理形状がPRO Wirelessと異なる……というか,G603と同じもののように見える。センサー上の型番らしきシルク印刷も「Hg11」でG603から変わっていない。Logitech GはPRO HEROが搭載するセンサーをHERO 16Kだとしているのだが(関連リンク),基板上に載っているセンサーを見る限り,初代HEROセンサーそのものといった感じだ。

 ひょっとすると,PRO HEROが搭載するセンサーは初代HEROとハードウェア的には同じもので,DPI設定範囲を拡張しただけという可能性もあるのではないかと筆者は考えている。
 テストの段で後述するとした「PRO WirelessのほうがPRO HEROよりリフトオフディスタンスが短い理由」も,前者のみ新しいレンズを採用しており,最適化が進んだというのは,納得できるところだと思うがどうだろうか。

PRO HEROのメイン基板,センサー搭載面(左)とその背面(右)だ。搭載するセンサーの型番らしきシルク印刷はHg11となっており,サイズもPRO Wirelessが搭載するものより小さく,組み合わせられるレンズユニットの形状も異なるため,HERO 16Kではなく初代HEROセンサーのように見える
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 なお,左右メインボタン用のスイッチがD2FC-F-K(50M)で,スクロールホイール手前のボタンとサイドボタン用のスイッチがKaihua Electronics製という構成は,初代PRO Gaming Mouseと同じだ。センサー以外の仕様はやはり初代PRO Gaming Mouseと同じという理解でいいだろう。

スイッチ類を確認してみたカット。Kaihua Electronics製スイッチでは「RD04ZA」「RD04ZB」といった文字も確認できるのだが,これが何を意味するのかは分からない。センタークリック用スイッチの詳細は不明だ
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搭載するマイクロコントローラはSTMicroelectronics製の「STM32L100R8T6」で,これもPRO Gaming Mouseと同じ
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金属製テンションシステムを採用するのと,メインボタン用スイッチを押す機構にソールのような素材を採用しているのも同じだ


PRO Wirelessはセンサーのカウント飛びを加味してもなお有力な軽量ワイヤレス。PRO HEROは妥当なマイナーチェンジ


製品ボックス。PRO Wirelessのほうが厚い
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 センサー評価のところがすっきりしないのだが,発売日時点の評価をまとめよう。PRO Wirelessは,センサー性能テストにおける「体感はできないが,しかしデータ上は露骨に生じるカウントの飛び」が気になるかどうかがすべてだ。それ以外のテスト結果は文句なしに良好で,また,形状も極めて万人向けである。
 POWERPLAYを個人的にも使っている筆者としては,HEROセンサー搭載マウスとして初めてPOWERPLAYに対応してきたことも大きく,個人的にはとても気に入っている。

 最悪,シビアな戦いのときだけはワイヤードで接続するという選択が可能なので,とにかく軽く,遅延周りの不安もないワイヤレスマウスを探していて,かつ,よいマウスのためなら多少のコストは厭わないというのであれば,PRO Wirelessは,センサー周りの消化不良部分を加味してもなお有力な選択肢になるだろう。
 先に述べたとおり,4GamerではロジクールおよびLogitechとこの問題についてやりとりを継続中なので,また何かあればお伝えしたい。

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 対するPRO HEROのほうだが,第1世代PRO Gaming Mouseと比べて,ハードウェア面の違いはほとんどないと言っていいだろう。センサー性能や速度性能といった部分は互角か互角以上で,唯一の「サーフェスキャリブレーション機能がない」という弱点も,筆者としては「そもそもリフトオフディスタンスが短いから,まあこれはこれでいいんじゃない?」と感じている。
 PRO HEROで何かが画期的に進化した印象はなく,あえて言えばその点が残念だが,もともとPRO Gaming Mouse……というか,PRO Gaming Mouseのベースモデルでもあり,G304などでも採用例のある定番の小型筐体が,最新の光学センサーを搭載してきたという点で,これから小型軽量のワイヤードマウスを使っていきたいという場合には選択肢になるはずだ。

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PRO Wirelessをパソコンショップ アークで購入する

PRO HEROをパソコンショップ アークで購入する


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