Barista Coffee
|
COMPUTEX TAIPEI 2017の開幕を翌日に控えた2017年5月29日,Kingston Technologyは,メイン会場の1つであるTaipei World Trade Center(TWTC)近くの喫茶店「Barista Coffee」で日本の報道関係者を対象とする説明会を開催した。
説明会では,ゲーマー向け製品ブランドである「
HyperX」初のマウスとして先日発表になったばかりの「
HyperX Pulsefire FPS」(以下,Pulsefire FPS)だけでなく,キーボードの新製品「
HyperX Alloy FPS Pro」「
HyperX Elite RGB」(以下順に,Alloy FPS Pro,Elite RGB)に関する説明も受けることができたので,本稿ではその内容をお届けしたい。
Alloy FPS Pro
|
Elite RGB
|
Pulsefire FPS
|
プロゲーマーにフォーカスしたAlloy FPS Proと,「残り40%のゲーマーに届ける」Elite RGB
まずはAlloy FPS Proだが,上で示した写真を見ただけでピンときた人もいると思う。そう,
4Gamerでレビューを掲載した「Alloy FPS」から,10キー部を省略したモデルだ。
Cherry MXキースイッチ採用のフローティングデザインとなるAlloy FPS Pro。ムダを削ぎ落とした,ミニマルな外観だ
|
世界を転戦するプロゲーマー向けと位置づけられるAlloy FPS Proだが,10キー部がない以外の仕様は「Alloy FPSと同じ」(Kingston Technology)。「Cherry MX Red」と「Cherry MX Brown」「Cherry MX Blue」メカニカルキースイッチを採用する3モデル展開で,キーに埋め込んである赤色LEDはハードウェアレベルで光り方を変更でき,キーはいわゆるフローティングデザインとなっており,USBケーブルは着脱可能……などなど,Alloy FPSの特徴はそのままAlloy FPS Proでも受け継いでいる。日本語配列モデルの市場投入予定がないところも従来モデルと共通とのことである。
[Fn]キーと[F6]〜[F12]キーおよびカーソルキーに,[Windows]キーの無効化機能を持つ「G」キーやいわゆるメディアボタン,LEDの輝度および光り方制御機能を割り当ててあるのもAlloy FPSと同じ。インジケータは「G」キーとCaps Lockのみで,Scroll Lockインジケータはない
|
底面の4点に滑り止めゴムを搭載し,さらにチルトスタンドにもゴムを装備。着脱式のケーブルは,差したときに横方向からテンションがかかっても端子にダメージを与えないよう,奥まったところへ差す仕様になっている。このあたりの仕様もAlloy FPSと同じ
|
|
|
ホームポジション配置を分かりやすくするため,ガンメタル調の交換用キーキャップが付属する。デモ機は交換済みだった
|
もう1つの新製品となるElite RGBは「残り40%のゲーマーに届ける」とKingston Technologyが謳う,多機能モデルである。
Kingston Technologyの独自調査によると,PCゲーマーの6割はFPSプレイヤーで,そのため,HyperXブランドは基本的にFPSプレイヤーをターゲットにした製品開発を行っているという。初のキーボード製品であるAlloy FPSやその10キーレスモデルとなるAlloy FPS Pro,そして初のマウス製品たるPulsefire FPSがいずれも製品名に「FPS」を含むのは,まさにそれが理由だ。
ただ,HyperXとして,それ以外のゲーマーを無視しているわけではない。そのメッセージを込め,MMOおよびMOBAをプレイする「残り40%」のために用意してきたのが,今回のElite RGBということになる。
Kingston Technologyの調査によると,4割のプレイヤーがMMOやMOBAを愛好しているとのことだった
|
搭載するキースイッチがCherry MXの3モデルとなっているのはAlloy FPSシリーズと同じながら,埋め込んであるLEDは約1677万色から色を選択できる,いわゆるCherry MX RGBとなった。
ファンクションキーがある列の奥にもう一列追加して,ゲームモード切り替えボタンやLEDイルミネーション調整用ボタン,あるいはいわゆるメディアボタン,サウンド出力音量調整ダイヤルを設けているのはイマドキだが,一方で,ユーザーの意見を取り入れた結果として,メインキーボード部の左右にキーを追加することは避けたという。
ファンクションキーの奥に一列追加し,ここにゲーマー向け多機能キーボードでお馴染みの機能を設けている
|
|
LEDは板面を照らすが,キーボードの“外”へは漏れない
|
また,ファンクションキーの列と追加の一列の間にはLEDの帯があるのだが,Kingston Technologyはこれを,ユーザーの意見を受けて採用したものだとしている。ゲーマーは(フローティングデザインを採用した結果としてLEDの光がキーキャップで反射して)LEDが板面を照らすのは好む一方,キーボードから机上へ光が漏れるのは嫌うという調査結果が得られたため,板面のみを照らすような帯を入れたのだそうだ。
着脱式のパームレストとUSBのパススルーポートも,ユーザーの意見を汲んだ結果の仕様とのこと。底面にはしっかり,滑り止め用のゴムが貼ってあった
|
|
|
Pulsefire FPSはなぜPMW3310センサーを搭載するのか
5月26日に発表となったPulsefire FPSは,FPS向けの右手用ワイヤードマウスだ。搭載するセンサーはPixArt Imaging製の「PMW3310」で,最近の「PMW3360系ブーム」を考えると,かなりコンサバな選択に思える。さらに言えば,設定できるDPI設定値は400
/800
/1600
/3200の4つで,追加ソフトウェアのようなものを使って後から設定値を細かくカスタマイズするようなこともできなかったりするわけだが,これはなぜなのだろう?
Kingston Technologyに確認したところ,これはセンサー性能とコストのベストバランスを狙った結果だ,という答えが返ってきた。「我々の調査によると,ゲーマーの90%はPulsefire FPSのサポートする4つのDPI値のいずれかでゲームをプレイする。また,PMW3310自体は最大5000 DPI設定が可能だが,3200 DPI以下のほうがセンサー性能は安定するのだ。さらに言えば,我々の検証で,PMW3360シリーズが高DPI設定時にバタつく現象を確認できた。HyperXは,FPSゲーマーが手にしやすい価格で,実際に使うDPI値のマウスを提供する」とのことである。
DPI値はスクロールホイール手前のボタンを押すごとに順繰りで切り替わり,DPIインジケータとして機能するLEDの色も赤→青→黄→白と変わる。「センサーも含め,全体的にスペックはBenQ ZOWIEのマスに似てるね」と,冗談半分で指摘したところ,担当者は笑っていた
|
ちなみに,Kingston Technologyは底面の実に33%をいわゆるテフロン加工済みソールが覆うこともメリットとして挙げていたので,その理由を尋ねてみると,これは厚みのある布製マウスパッドにマウスを押しつけてプレイするようなプレイヤーに向けた配慮とのことだった。小さなソールだと,マウスを押しつけた結果としてマウスが沈み込んだとき,ソールのエッジで滑りが阻害されることがあるため,そういう恐れがないよう,広いソールを採用したのだそうだ。
新しいスローガンも発表
日本語スライドで示された,HyperXの歴史。それまではQPADとのコラボ製品だったが,「Cloud Revolver」で初めてHyperX独自設計を採用したという
|
説明会でKingston Technologyは,
HyperXブランドのこれまでとこれからについても言及している。
2002年にオーバークロックメモリブランドとして立ち上がったHyperXは,2014年のヘッドセット第1弾「
HyperX Cloud」をもってゲーマー向け市場へ参入。2016年の「
HyperX Cloud II」以降の3年間で200万台のヘッドセットを出荷できたという。実績を積み重ねてきたHyperXにとって,2017年はゲームブランドとしての知名度確立を図る年になるそうで,そう聞くと,
ウメハラ選手とのスポンサー契約というのも,一連の動きの1つとして納得できるところだ。
もっとも,ウメハラ選手との契約イコール,アーケードスティックの投入ということではないので,その点は要注意。あくまで軸足はFPS向けデバイスに置き,そのうえで,ヘッドセットにより,格闘ゲームをはじめとするゲーム機市場を狙うとのことだった。
ウメハラ選手とのパートナーシップで,ゲーム機市場も狙う。今後はSNS上での情報発信も積極的に行うそうだ
|
2017年に誕生した新しいブランドスローガンは「WE’RE ALL GAMERS」。ALIENWAREの「WE’RE GAME」とちょっと似ている
|