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[NVISION 08#07]NVIDIA,「nForce 200」非搭載の「Intel X58」マザーボードでSLIをサポート!
7月15日の記事でお伝えしているように,NVIDIAは開発コードネーム「Tylersburg-DT」として知られるIntel X58 ExpressプラットフォームでSLIをサポートすると発表済みだが,その対象はあくまでも「PCI Express 2.0インタフェースに,同社のPCI Expressスイッチチップ『nForce 200』を搭載したシステムのみ」だった。
しかしNVIDIAは,X58環境におけるライセンスポリシーを変更。nForce 200を搭載しないマザーボード製品についても,拡張する「Native Licence Program」を,同社のOEMおよびODMベンダー向けに提供するとした。NVIDIAでチップセットのテクニカルマーケティングを担当するTom Petersen(トム・ピーターソン)氏はX58を,「NVIDIA製チップセットを搭載しないマザーボードでSLIを利用できる,初めての製品となる」と説明する。
X58プラットフォームにおけるSLI構成は,PCI Express 2.0 x16×2や,同x16×1とx8×2の組み合わせに加え,x8×4もサポートされる。ただし,4スロット構成のシステムについては,あくまでも3-way SLIとPhysX用カードのスペースを確保したものだそうだ。
X58搭載システムで想定されるSLI接続形態。2/3-wayが柔軟にサポートされる |
nForce 200搭載システムでは,16レーン×3による,フルスペックのSLI構成が可能になる。「主流のゲームだと大きな違いは生まれないが,描画負荷の高いタイトルや,CUDAを利用するときは,nForce 200搭載環境のほうがそれなりに有利」とPetersen氏 |
Petersen氏は,この新しいSLIライセンスプログラムを,X58プラットフォームの発表と同期時に開始すると説明。氏は,あくまでも風の噂と断ったうえで,「X58のレビュワー向け評価ドライバは10月中旬に提供が始まり,11月半ばには製品が登場すると言われている」と述べ,仮にそのタイミングであれば,新しいプログラムを問題なくスタートできると自信を見せる。
さて,OEM/ODMベンダーに対してSLIのライセンスを提供するに当たっては,ライセンスを持たないシステムでSLIが動作するのを防ぐため,プロテクトをかけるとのこと。Petersen氏は,「OEM/ODMベンダーに対して,暗号鍵を埋め込んだシステムBIOSを提供。ドライバががこの暗号鍵とチップセットの情報などを照合し,『SLIライセンスが供与された製品である』と証明されたときにだけ,SLIが動作するようにする」と説明する。
なお,SLIの認証作業はNVIDIAの「Santa Clara Certification Lab」で行われ,ここで認証をパスしたものだけが,晴れてSLI対応のX58マザーボードとなる。IntelのX58マザーボード「Smackover」(開発コードネーム)が認証取得済みかどうかについての回答は避けたPetersen氏だが,「認証から特定のベンダーを排除するようなことはしない」と,オープンなものであることを強調していた。
これまでSLIのライセンスに関してはかたくなな態度を崩してこなかったNVIDIAが方針転換した背景は,「エンドユーザーやOEMベンダーに対して,SLIのエコシステムを提供することを優先させた結果」(Petersen氏)。NVIDIAは現時点でQPI(Quick Path Interconnect)を採用するハイエンドチップセットの投入を計画していないことも,NVIDIAがX58に対するSLIのライセンスプログラムを開始する大きな理由となっているという。
その一方で同氏は,「NVIDIAは,Intelとクロスライセンス契約を結んでいる。ライセンス上の制約によってQPIチップセットを投入していないわけではなく,2009年以降もチップセットビジネスは続けていく」と述べ,業界に根強く残る,「NVIDIA,チップセットビジネス撤退説」を否定してみせている。
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