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2008年は「エコプロセッサ」の年に。インテル,2008年の展望を語る
45nmプロセスのCPU=エコプロセッサと
位置づけるインテル
さて吉田氏は冒頭,「2007年はインテルとしてはよい年になった。この勢いを2008年につなげていきたい」と,Intel/インテルの“勢い”を感じさせるセリフでプレゼンテーションを始めた。実際,2007年はCore 2 Duoが急速に普及し,Netburst Architectureの思わぬ失敗と,その後の一時的な停滞を完全に払拭することに成功した年といえる。吉田氏が「よい年だった」と振り返るのも当然だろう。
また氏は「45nmプロセスはトランジスタの集積度を2倍に,トランジスタのスイッチング速度を20%向上させると同時にスイッチングに必要な電力を30%削減した。リーク電流は解決が難しい問題だったが,これも1/10に抑えることができた」と続ける。さらに,45nm High-k製品が鉛フリーで,2008年にはハロゲンフリー化の比率を高めていくとし,「45nmプロセスで製造される製品を『エコプロセッサ』と位置づけている。インテルとして今後も環境を重視した製品を投入していきたい」と,同社の環境への取り組みを強調した。
従来,プロセッサ分野では性能が重視されてきたが,環境に対する関心の高まりと同時に発熱,消費電力といった問題がクローズアップされるようになっている。デスクトップ分野だけでなく(むしろ)サーバー製品に対して省発熱,低消費電力の要求が高まっていることもあり,環境重視はインテルに限らずプロセッサメーカー共通の課題。この課題への対応実績を声高らかにアピールできるのが,いまのインテルの強さだろう。
2008年はモビリティとデジタルヘルスを注視
「全世界的にモビリティが伸びておりインテルはモバイル製品に力を入れていく。2008年には45nmプロセス製品をノートPC向けに投入する」と述べ,Penryn世代のノートPC向けCPUをサポートするプラットフォーム「Santa Rosa Refresh」(開発コードネーム)や,10インチ以下の液晶を搭載するUMPCに向けた低消費電力プロセッサなど,2008年に投入予定となっている製品ラインナップの概要を紹介してみせた。
また,先の10大ハイライトのスライドにも出ているとおり,インテルはKDDIと共同でモバイルWiMAX企画会社を設立している。吉田氏は「WiMAXが立ち上がるのは2008年後半と考えている。インテルは2008年中にWiMAXに対応する製品を投入する」とWiMAXへの取り組みを紹介していた。
エンドユーザーがWiMAXを利用できる時期に関しては,やや歯切れが悪い印象だったが,これは今のWiMAXをめぐる状況から考えて致し方ないだろう。ご存じの読者も多いと思うが,日本でWiMAXに使用される予定の2.5GHz帯の認可をめぐって,ややゴタゴタが続いている。許認可関連についてインテルがはっきりしたことをいえるはずもなく「様子を見ながら」という姿勢になるのもやむを得ない。WiMAXをできるだけ早く立ち上げたいインテルとしては,なんとも歯がゆい状況かもしれない。
また,インテルが数年前から力を入れているシニア向けPCにも触れ,「シニアPCのガイドラインを作りメーカーに採用を呼びかけている。PCのバリアフリー化が必要だ」と述べ,て今後もシニア向けPCの普及に力を入れていくことも明らかにした。
ところで,プレゼンテーション終了後の懇親会で吉田氏は「50歳以上ではPCの普及率が非常に低い。普及させる努力が必要だ」とも語っていた。この発言の背景には,日本のPC市場が過去5年,ほとんど成長していない(※逆に販売数は微減傾向)という,インテルにとって懸念すべき事実があると思われる。開拓すべきは50歳以上,したがってシニアPCに取り組むという方向になっているわけだ。
- 関連タイトル:
Core 2
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