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Core 2
  • Intel
  • 発表日:2006/07/27
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TDP 65W版Core 2 Quad,Q9550S・Q9400S・Q8200Sテストレポート。大きく下がった発熱量に注目
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印刷2009/02/14 11:00

テストレポート

TDP 65W版Core 2 Quad,Q9550S・Q9400S・Q8200Sテストレポート。大きく下がった発熱量に注目

 とくにこれといった告知もないまま,日本では2009年2月7日から販売が始まった,TDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)65W版のCore 2 Quad。登場したのは,プロセッサナンバー末尾に「S」のついた,

  • Core 2 Quad Q9550S/2.83GHz(以下,Q9550S)
  • Core 2 Quad Q9400S/2.66GHz(以下,Q9400S)
  • Core 2 Quad Q8200S/2.33GHz(以下,Q8200S)

Core 2 Quad Q9550S。sSpecは「SLGAE」となる
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の3製品だが,果たしてこれらは,自作派のPCゲーマーにとって,どんな意味を持つプロセッサなのだろうか。ゲーム用デスクトップPCを小型化,あるいは静音化したいというニーズを満たすものとして,魅力的といえる存在なのだろうか。

 4Gamerでは,独自に3製品すべてのボックス版を入手したので,主に消費電力や発熱を中心に,少しテストしてみたいと思う。

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sSpec「SLG9U」のCore 2 Quad Q9400S
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sSpec「SLG9T」のCore 2 Quad Q8200S


TDP以外のスペックは通常版と同じだが

価格は1〜2グレード分高め


 ある程度結論めいたことを先に述べると,消費電力の目安となるTDPが95Wの通常消費電力版(以下,通常版)と比べた場合,Q9550S/Q9400S/Q8200SにTDP以外の違いはない。
 TDP 65W版Core 2 Quadと,今回比較対象として用意したCPUの主なスペックは表1にまとめたとおりだが,TDP以外のスペックは基本的に同じと断じてしまってかまわないだろう。

※2009年2月14日現在(4Gamer調べ)
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プロセッサ底面で,Q9400S(左)とQ9400(右)を比較したところ。キャパシタの配置は変わっていない
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 ただし,表を見てもらうと分かるのだが,価格は同じどころか,ざっと6000〜1万円近く,TDP 65Wのほうが高い。この価格帯で6000〜1万円というのは,1〜2ランク上のCPUを購入できるほどの違いになるわけだが,果たして「TDP 65W」というスペックに,それだけの価値があるかどうかが,新製品の論点ということになる。

 さて,ここでお断りしておくと,機材調達の都合により,比較対象として用意したCPUは上の表1で示したとおりとなる。つまり,リビジョンも含め,いわゆる“Apple-to-Apple”で比較できるのは,Q9400Sと「Core 2 Quad Quad Q9400/2.66GHz」(以下,Q9400)のみ。Q9550Sの比較対象は,

  • R0ステップの「Core 2 Quad Q9650/3GHz」を,倍率変更により2.83GHzで動作させた状態(以下,Q9550(R0))
  • C1ステップの「Core 2 Quad Q9550/2.83GHz」(以下,Q9550(C1))

に,またQ8200Sの比較対象は,

  • R0ステップの「Core 2 Quad Q8300/2.50GHz」を,倍率変更により2.33GHzで動作させた状態(以下,Q8200)

になるので,この点はあらかじめお断りしておきたい。
 そのほか,テスト環境は表2のとおりだ。

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Rampage Formula
X48搭載,DDR2対応のゲーマー向けマザー
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) news@unitycorp.co.jp
実勢価格:3万2000円前後(2009年2月14日現在)
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 テストに当たっては,「ATI Catalyst Control Center」から,グラフィックスカードのファン回転数を40%で固定している。これは,最近のGPUクーラーが,ギリギリまで静音動作に留まろうとすることもあって,ファン回転数が切り替わるときに消費電力値が一気に上がることがあるためだ。
 なお,電力設定に関するものとしては,「Rampage Formula」のBIOSメニューから「Enhanced Intel SpeedStep Technology」(以下,EIST),「C1E Support」「CPU TM Function」をいずれも有効化。32bit版Windows Vistaの電力管理は「バランス」のデフォルトに設定している。


3製品とも,高負荷時の消費電力は10W減

パフォーマンスは通常版とまったく変わらず


 それでは,消費電力をチェックしていこう。消費電力変化のログを取得できるワットチェッカー,「Watts up? PRO」を用意し,

  • OS起動後30分放置した時点を「アイドル時」
  • CPUとメモリに負荷をかけ続け,システム全体の安定度をチェックするソフト,「Prime95」(Version 25.6 build 6)を30分間実行し,その間で最も消費電力が高かった時点を「Prime95時」
  • 「3DMark06 Build 1.1.0」(以下,3DMark06)「Game Test」を,3DMark06のデフォルトかつ4Gamerベンチマークレギュレーション6.0準拠の「標準設定」で一通り実行し,その間で最も消費電力が高かった時点を「3DMark06実行時」
  • 「Far Cry 2」付属のベンチマークツールを,DirectX 10モードの解像度1280×1024ドット,グラフィックスオプション「High」設定で3回ループ実行させ,その間で最も消費電力が高かった時点を「Far Cry 2実行時」

アイドル時における「CPU-Z」(Version 1.49)実行結果(※いずれもクリックすると別ウインドウで全体を表示します)
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とし,各時点の消費電力値をスコアとして取得した結果がグラフ1だ。

 アイドル時だと,今回試したCPUはいずれも最低クロックである2GHz(ベースクロック333MHz×6)まで動作クロックが下がるため,それほどの差はついていないが,それでもTDP 65W版のCore 2 Quadが,TDP 95Wのそれよりも3〜5Wほど低くなっているのは見て取れる。
 一方,今回のテストにおいて最もCPU負荷の高いPrime95時で比較すると,いずれも通常版と比べて10W前後低いスコアが出た。これを大きいと見るか,小さいと見るかは判断の分かれるところだが,CPU負荷が長時間かかる場合に,平均10Wの差が生じ続けると考えると,相応にインパクトはあるといえるかもしれない。

 なお,3DMark06,Far Cry 2でも,傾向そのものはPrime95と同じ。2タイトルで,Q9550SとQ9400S,Q8200Sの3製品間の消費電力に違いがほとんど生じていないのは面白いところだ。

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 続いて,TDP 65W版とTDP 95W版の間に,パフォーマンス面の違いがあるのかどうかをチェックしたのがグラフ2,3である。スコアは3DMark06,Far Cry 2の順にまとめているが,ご覧のとおり,ベンチマークスコアに違いはまったくないといっていい。「TDP以外のスペックは同じ」ということは,テスト結果でも裏づけられている。

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 以上を踏まえつつ,Q9550S/Q9400S/Q8200Sの消費電力について,もう少し踏み込んでチェックしてみよう。
 まずグラフ4,5は,3DMark06のGame Test実行時における消費電力変化をまとめたものだ。7分を超えることもあって,グラフ4は少々見づらくなっているため,「HDR/SM3.0 Graphics Test 2」部分をグラフ5に抜き出している次第だが,全体を通じて,TDP 65W版CPUが一段低いレベルで推移しているのは分かる。

※いずれもグラフ画像をクリックすると,より見やすい高解像度版を別ウインドウで表示します
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 Far Cry 2における消費電力変化をまとめたのがグラフ6となる。3回ループすることもあって,“ループの切り替わり”部分が2か所ほど大きな谷になっている。最も消費電力が高くなるのは,ループが終わる直前になっているようだ。
 そこで,1回めのループ部分を抜き出したのがグラフ7である。やはりここでも,Q9550SをはじめとするTDP 65Wモデルのスコアは一段低いレベルにある。

※いずれもグラフ画像をクリックすると,より見やすい高解像度版を別ウインドウで表示します
画像集#020のサムネイル/TDP 65W版Core 2 Quad,Q9550S・Q9400S・Q8200Sテストレポート。大きく下がった発熱量に注目
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小さなCPUクーラーでもよく冷える

TDP 65W版Core 2 Quad


 続いてCPU温度を見てみよう。計測にはモニタリングソフト,「HWMonitor Pro」(Version 1.03)用いることとし,基本的には消費電力測定時と同じように,各テスト実行時の最高温度をスコアとするが,アイドル時のみは最低温度を取得する。
TDP 65W版Core 2 Quadの製品ボックスに付属するCPUクーラー
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 ところで,TDP 65W版CPUの製品ボックスに付属するリテールCPUクーラーは,目で見る限り,45nmプロセス版Core 2 DuoなどのCPUクーラーと同じもののようだ。背の高さは,Q9550(R0)のボックス版クーラーと同じだが,通常版Core 2 Quad用CPUクーラーだと埋め込まれている銅柱が省かれ,ピュアなアルミ製ヒートシンクとなっている。

 テスト環境はPCに組み込まないバラック状態で,室温は約14℃。この環境で,試しにQ9550(C1)にこの小型クーラーを組み合わせてみると,Prime95時に75℃を記録するなど,かなり厳しい数字が出た。そのため,TDP 95Wとなる通常版Core 2 Quadの冷却には,Q9550(R0)のボックス版クーラーを用いることにしている。TDP 65W版とTDP 95W版CPUで,CPUクーラーは異なっているので,その点は注意してほしい。

 というわけで,テスト結果をまとめたのがグラフ8だが,なかなか衝撃的なスコアになっている。クーラーの能力的には間違いなく不利なTDP 65W版のほうが,圧倒的に低いCPU温度になっているのだ。
 しかも,Prime95時で比較したときのファン回転数はTDP 65W版が2100rpm前後,TDP 95W版が2300〜2500rpm前後で,筆者の主観になるが,動作音は前者は「静か」,後者は「うるさくはないが,そこそこ音はする」といったレベル。TDP 65W版のメリットは明らかといっていいだろう。

画像集#022のサムネイル/TDP 65W版Core 2 Quad,Q9550S・Q9400S・Q8200Sテストレポート。大きく下がった発熱量に注目

 TDP 65W版で比較すると,最も動作クロックが高く,L2キャッシュ容量も多いQ9550Sの温度が一番低いが,この理由は分からない。Q9400SとQ8200SはステッピングがR0なのに対し,Q9550SだけE0なので,「Q9550Sは選別版」という可能性もあるが,個体差という可能性も残されている。


3製品とも消費電力とCPU温度に大きなメリットあり

問題は一にも二にも通常版との価格差


製品ボックスはなぜかカエルのイラスト入り,ちなみにこのカエルは,特徴からして,南米のメキシコやパナマ,コスタリカに生息している「アカメアマガエル」という種類のようだ。コスタリカといえば,Intelのパッケージング工場があることで知られているが,関連があるのかどうかは分からない。ちなみに今回入手したTDP 65W版Core 2 Quadは,いずれもマレーシア工場でパッケージングされたものだった
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 3製品とも,性能は通常版とまったく同じ。消費電力は10W低く,発熱も相当低い。
 ……この事実をもって,1万円前後という価格差を納得できるかどうかが,Q9550S/Q9400S/Q8200Sの価値を決定することになるだろう。

 消費電力の10Wというのは,少々微妙な気がしなくもないが,発熱がかなり下がるのは,ゲーム用PCを小型化するに当たって魅力的なポイントであり,むしろ選択を後押しするのは,熱周りのほうかもしれない。
 願わくば,もう少し安価,せめて1グレード弱くらいの価格差になってくれれば,「個人レベルでできる環境対策」的な側面からも,注目度は高まると思うのだが。

  • 関連タイトル:

    Core 2

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