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[E3 2007#09]大幅に改良された「BioShock」のデモを見た!
BioShockの舞台は,海底都市ラプチャー(Rapture)である。ここは,モラルによってがんじがらめになった地上から逃れた,自由奔放でアウトローな人間達が集まる桃源郷だ。1930年代のアールデコ華やかなりし頃から移住が始まり,第二次世界大戦や冷戦期にも,アメリカやロシアといった国から追われた科学者や芸術家,音楽家などが集い,自分達の思うままの生活や研究を続けていた。
やがて,遺伝子改良技術の発達により,住人達は自販機で売られる“プラズミッド”という薬品を使うだけで,一定期間,特殊能力を発揮できるようになった。しかし,この薬品の副作用によって凶暴な人間が増加してしまい,瞬く間にラプチャーは内部から崩壊したのだった。
そして1960年代,このラプチャー付近に本作の主人公を乗せた飛行機が落下。……ゲームはここからスタートする。九死に一生を得た主人公は,ラプチャーに続くエレベーターの入り口を発見。見るも恐ろしい世界で,生き残りをかけた冒険を余儀なくされていくのである。
また新たに,ゲーム開始時からプレイヤーに交信してくるAtlasという人物の存在が判明したのだが,ゲームデザイナーのKen Levine氏によると,ラプチャーのどこかに取り残されているAtlasの家族を,主人公に救出してもらおうという思惑があるそうだ。Atlasは,主人公の位置や迫り来る危機を把握できる場所(コントロールルームのような場所)にいて,家族救出の代償としてガイド役を務めてくれるのである。
Atlasの存在によって,苦しそうなミュータント達のうめき声や効果音,音楽しかなかった以前のバージョンと比べ,非常に分かりやすいゲームへ変貌したといえるだろう。
デモではもう一つ,ゲーム中盤と思われるミッションが披露された。これはいわゆる“ディフェンス系”のミッションで,方々から襲い掛かってくるミュータント達から,新しい扉が開くまでの一定時間を生き延びるというもの。扉の奥には封鎖されていたコントロールルームがあり,ラプチャー内部に酸素を供給していた人工栽培の樹木を蘇生させようというのである。
デモを担当した開発者はすぐさま,ミュータントが触れると感電ショックを与えるロープのようなElectronic Wireを両壁に渡し,別の場所では自らの遺伝子改良で得た小さな竜巻を起こすトラップも設置。また,敵の体が上昇したときに爆破するよう,天井に爆弾を貼り付けた。さらに,NPCは体力が減るとヘルスパックで治癒しようとするので,そこにも毒ガスが破裂するような罠を仕掛けておく。
火炎攻撃は周囲のオブジェクトにも燃え広がり,椅子や本箱なども次々と燃えていく。プレイヤーはこれを,「Half−Life 2」のグラビティガンのようにテレキネシスで持ち上げ,投げつけることが可能で,燃え盛る椅子を相手に投げつける攻撃などが興味深い。この炎は,当然ながら敵の体や死体にも燃え移り,焼けただれていくスキンテクスチャの様子などは,さすが年齢制限18歳以上の作品らしい描写だ。
このように,物理効果による“環境”を利用した戦いもBioShockの醍醐味の一つである。火のついた敵はそのまま燃え死ぬこともあるが,近くの水溜りで転げ回り,自らの火を消すこともあるといった,高度な思考ルーチンも持っている。
とにかく,これまでのBioShockのデモからは想像できなかったほど激しいバトルが続き,かなりアクション性の高いホラーアドベンチャーに生まれ変わっていたことが判明した。筆者の記憶の中にある,Irrational Gamesの昔の名作「System Shock 2」らしいゲームプレイに近づいてきたともいえる。
今回のデモはXbox 360版のものだったが,PC版も同じく8月に発売される予定。シングルプレイヤー専用であることに変わりはないものの,自動ターゲッティングシステムは取り払われ,ドラッグ&ドロップ型のインタフェースになっているなど,PC向けの対策にも手抜かりがない。
BioShockはUnreal Engine 3をベースにしているものの,水や氷,炎などの効果では,独自のグレードアップが行なわれている。水の表面などは,去年のデモでも感嘆するほどキレイだったが,今年のデモでは,現時点で業界トップクラスの効果に仕上がっている。グラフィックス,AI,物理,音響,そしてLevine氏らしい濃厚なストーリーに至るまで,大作の雰囲気が漂う。BioShockは,20時間近いゲームプレイに加えてリプレイバリューも高く,目の肥えたゲーマーも十分に魅了させてくれるタイトルとなるのは間違いないだろう。(ライター:奥谷海人)
- 関連タイトル:
バイオショック 日本語版
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