「キネマ51」：第3回上映作品は神木隆之介主演の「桐島、部活やめるってよ」

[1]神木くん
主人公で映画部部長・前田役の神木隆之介。この映画を観た人の多くは，なぜか前田の話なのに「神木くん」と言ってしまう。かつては鉄道，現在は写真好きだという神木くんがかもし出す“こっち側”オーラへのリスペクトか？


[2]オーロラや大津の事件
アメリカ合衆国コロラド州 オーロラにある映画館にて2012年7月20日に発生した銃乱射事件と，2012年10月11日，滋賀県大津市で中学2年生の男子生徒が自殺した事件のこと


[3]私立の文武両道の進学校だと思うんですけどね
映画版の設定は定かではないが，原作の設定は県立高校。キネマ51メンバーは，推測と妄想でものを言うことが多い……


[4]「エレファント」（2003）
「ドラッグストア・カウボーイ」（1989）や「グッド・ウィル・ハンティング／旅立ち」（1997）などで有名なガス・ヴァン・サント監督の作品。前述の“コロンバイン高校銃乱射事件”をテーマに描いた群像劇。主人公である生徒役は，全員素人をオーディションで選び，役名も本名という，リアリティ溢れる作風で話題を呼んだ。カンヌ国際映画祭で，最高賞となるパルムドールを受賞


[5]「ショート・カッツ」（1993）や「マグノリア」（1999）
「ショート・カッツ」は，「M★A★S★H」などで知られる名匠ロバート・アルトマン，「マグノリア」は，「ブギーナイツ」で日本でも話題となったポールトーマス・アンダーソンが撮った，群像劇の代表作。どちらも10人以上の登場人物が，少しずつすれ違いながら物語が進むところや，大混乱とともに映画が終わっていく。支配人はこのあたりの共通点に思いを馳せながら，桐島〜を観ていたようである


[6]「高校大パニック」（1978）
石井聰亙（現：石井岳龍）監督が1976年に撮った8mm映画をリメイクした作品。福岡の高校を舞台に，受験ストレスが爆発し，銃を乱射しながら屋上に立てこもった男子生徒を描いたパニックムービー。主人公が警察に拘束されながら「オレは，勉強がしたいんだー」と叫ぶシーンは圧巻。


[7]前野朋哉
映画部部員・武文役。1986年1月14日生まれ。「剥き出しにっぽん」（2005）で石井裕也組のスタッフ兼俳優としてデビュー。自身監督最新作「ぱぴぃオールドマン」（2012）を発表したばかり。ちなみに，武文は劇中で「夢で，満島ひかりに会った」と語るのだが，デビュー以降関わっている石井裕也監督は，満島ひかりの夫である


[8]「うちの子にかぎって」（1984）に出演していた石堂 穣（岡田和人役）さんと大原和彦（居作竜太郎役）さん
“ドラマのTBS”の黄金期を支えた名プロデューサー八木康夫が手がけた，田村正和主演の1980年代を代表する学園ドラマ。1970年代の学生像とは一線を画した現代風な小学生達の，ませたセリフに衝撃を受ける大人も少なくなかった。中でも，女子達に嫌がられながら，いちいち屁理屈を並べ立てる岡田と居作は，強烈なインパクトを残すキャラクターだった


[9]「ゴーストワールド」（2001）
テリー・ツワイゴフ監督が，アンダーグラウンドコミックスを映画化したアメリカ映画。オシャレと絵を描くことが大好きなサブカル娘，イーニド（ソーラ・バーチ）と，金髪で美人なコンサバだけど辛辣なレベッカ（スカーレット・ヨハンソン）が，親友という関係だったのに，成長していくに従って徐々に距離が開いていくという，甘酸っぱい高校生活を描いた青春残酷物語


[10]「鉄男」（1989）
塚本晋也監督の名を世界に知らしめた1980年代サイバーパンクムービーの傑作。脚本・美術・照明・特撮・編集を，塚本監督手がけ，自身も出演。体がどんどん鉄に侵食されていく男（田口トモロヲ）と，謎の男との戦いを描く。現在2010年に製作された「鉄男 THE BULLET MAN」まで，3作が発表されている。本作品では，支配人が話しているように，本来普通の女の子が観るはずのないカルトムービー的な作品として紹介されている。このチョイスは原作には出てこない，映画オリジナル設定


[11]「黒の女教師」
2012年7月からTBS系で放映されている連続ドラマ。都立国文館高校の生物教師・夕子 (榮倉奈々)と古典教師・すみれ (市川実日子)，美術教師・彩 (小林聡美) の3人は，普段はさえない教師。しかし，実は“黒の女教師” という裏の姿をもっていて，高額の金銭と引き換えに学園内外で起こる問題を解決する仕事人だったという，スケバン刑事を髣髴とさせる異色学園ドラマ


[12]「生徒会・オブ・ザ・デッド」
本作品内で，映画部が撮影を始めた新作8mm映画。顧問の先生の書いた脚本の監督を指示されていた主人公，神木くんが，それを無視して自分達の撮りたいものを撮ろうよと部員を説得してクランクインにこぎつけた。もちろん脚本は，神木くん扮する前田。原作では，武文の書いた青春モノを撮ることになっている