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DirectX 11が加速するゲームの進化〜AMD,新世代DirectXのポイントとメリットを解説
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印刷2009/09/23 13:01

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DirectX 11が加速するゲームの進化〜AMD,新世代DirectXのポイントとメリットを解説

会場となったU.S.S Hornet Museum
DirectX
 AMDは,米カリフォルニア州アルメダ市のU.S.S Hornet Museumで開催した「ATI Radeon HD 5800」シリーズの事前説明会において,DirectX 11に対応した最新ゲームタイトルの開発状況や,新機能に関するアップデートも行った。
 製品概要や,パフォーマンスは別記事を参照してもらうとして,本稿では,DirectX 11の部分に絞って紹介していきたい。

[レビュー]「ATI Radeon HD 5870」レビュー。世界初のDirectX 11カードは「速い」だけに留まらない
[製品概要]AMD,世界初のDX11 GPU「ATI Radeon HD 5800」を発表。HD 4800の大幅な進化形

ゲームにおけるDirectX 11のメリットをまとめたスライドテッセレーションだけでなく,DirectComputeやポストプロセッシングによるビジュアルクオリティやパフォーマンスの向上も目玉となる
DirectX
 さてDirectX 11では,本格的なTessellation(テッセレーション)が標準サポートされることに加え,汎用演算処理機能であるDirectCompute(※DirectX Compute 11とも呼ばれる),マルチスレッディング,より進化したテクスチャ圧縮などといった新機能も利用できるようになる。これにより,ゲームグラフィックスの高品位な描画と高いパフォーマンスを両立できるようになるとともに,AIや物理演算機能の実装も,DirectX 11とOpenCLという“業界標準”の誕生により加速する――というのが,AMDの見方だ。
 DirectX 10は,リリース後もいっこうに対応タイトルが登場しないことで,ある意味注目を集めたが,DirectX 11タイトルは,2009年第4四半期にも登場予定で。DirectX 10時代とは異なるスピードで移行が進むと,AMDは強調する。


ゲームのグラフィックス品質と

パフォーマンスを引き上げるDX11


Neal Robison氏(Director, ISV Relations, AMD)
DirectX
DirectX 11では,一度描画したデータをそのまま流用し,後から加工を加えるレンダー・ポストプロセッシングを,より効率的に行えるようになる。これによって,オブジェクトにぼかしの効果を適用して遠近感を演出したり,エッジを検出してシャープさや滑らかさを加えたりすることもできるようになるわけだ
DirectX
オーダーインディペンデント・トランスペアレンシーを使ったAMDのデモ,Mech。64層もの透過オブジェクトの前後関係を,正確にシングルシェーダパスで描画できるようになるのも,DirectX 11の利点だ
 DirectX 11の強化ポイントは,テッセレーションのサポートだけではない。Shader Model 5.0で追加された新命令セットによって,より高精度なアンチエイリアシング処理や,テクスチャフィルタリング処理,16bitハイダイナミックレンジテクスチャ圧縮などが可能になるほか,DirectComputeのCompute Shaderを用いれば,Render Post-Processing(レンダー・ポストプロセッシング)による,より自然なシャドウレンダリングや被写界深度処理などの表現も行えるとしている(※ DirectComputeというと,GPGPUや各種演算処理のための追加機能という解釈が一般的だが,同時に拡張されたシェーダからのランダムアクセス機能が非常に有用であるため,従来ピクセルシェーダの範疇だった処理もDirectComputeの活用例として扱われることがあるようだ)。

 その一例として,ゲームデベロッパのAMD側サポートチームを統括するNeal Robison(ニール・ロビソン)氏が披露したのが,オブジェクトごとに独立した半透明化処理を施すOrder-Independent Transparency(オーダーインディペンデント・トランスペアレンシー)によって,64層もの透過オブジェクトを重ねたロボットを動かすデモ,「Mech」(メック)だ。
 従来のαブレンディングでは,透過オブジェクトの(視点から見た)前後関係が複雑になると,正確な描画ができなかったり,処理が遅くなったりしていた。これに対してDirectX 11のシェーダでは,バッファのランダムアクセスが可能になり,半透明オブジェクトを個別のバッファにレンダリングしておき,半透明ピクセルの重なり合いを1サイクルのシェーダパスで整理するA-Buffer風の処理ができるようになったため,複雑な透過オブジェクトの描画も高速に行えるようになる。この技術を使えば,より自然な炎や水面,草木,枝葉などの表現が可能となり,ゲームの環境表現をよりリッチなものにできると,Robinson氏はアピールする。


Ladybugデモより。詳細は9月10日の記事を参照してほしい
DirectX
 もう一つ,「いったんレンダリング処理を終えた画像に,さまざまな効果を適用できる」技術であるレンダー・ポストプロセッシングについては,日本でも先行公開された「Ladybug」(レディバグ)デモがある。レンダー・ポストプロセッシングを用いると,背景にぼかしを入れ遠近感を出したり,輪郭を強調したりシャープネスをかけたりという処理が容易になる……というのは,Ladybugのデモを見るとよく分かるが,影の周辺にぼかしを入れたり,影が投影されるオブジェクトの性質を影の濃さに反映したりといった,より写実的なシャドウレンダリングも,任意の4ピクセルを1命令でブレンドするGather命令の追加によって,効率よく実行可能になっている。

DirectX
レンダー・ポストプロセッシングを使ったシャドウレンダリングの例。DirectX 11では影の輪郭がぼけて,より自然な影に近づいているのが分かる
DirectX
DirectX 11では,16bitハイダイナミックレンジテクスチャを最大で6分の1に圧縮できるようになり,ビジュアルクオリティの向上に役立っている

「DirectX 11タイトルは,あなたが考えているよりも早く出てくる」と謳うスライド
DirectX
 事前説明会では,こういった効果を利用するゲームタイトルとして,2010年第1四半期に市場投入が計画されている「Aliens vs. Predator」や,北米市場では2009年12月11日にPC版が投入予定となっている「Colin McRae: DiRT 2」(以下,DiRT 2)などが紹介された。

 Rebellionが開発し,Sega of Americaからリリースされる予定になっているAliens vs. Predatorでは,キャラクターや背景描写にテッセレーションが採用され,より緻密な表現を実現するとのこと。また,光の反射などの環境光処理やシャドウレンダリングにDirectComputeを用いるなど,グラフィックス品質の向上に当たって,DirectX 11の新機能が積極的に活用されている。

Aliens vs. PredatorのDirectX 11周りについて語るRebellionのChris Kingsley氏
DirectX
Aliens vs. Predatorでは,背景描画にもテッセレーションが効果的に用いられる


DirectX 11では,High Definition Ambient Occlusionによって,キャラクターやオブジェクトの輪郭を検出することで,より自然な光の反射表現などが可能になる。従来だと,光が当たらない部分まで白くぼけてしまうようなことがあったが,それがなくなるという。2枚のスライドは,サムネイルだとちょっと分かりにくいが,拡大すると,キャラクターの装甲部に違いがあると分かる
DirectX DirectX

DiRT 2におけるDirectX 11の実装
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 一方のDiRT 2では,DirectX 11をプラットフォームレベルでサポートするとされており,旗が風になびくさまや,競技車両が水たまりを通過するとき生じる水面の変化などが,テッセレーションによって写実的に再現されるという。また,DirectComputeのレンダー・ポストプロセッシングとShader Model 5.0の機能を使って,緻密なシャドウ表現や被写界深度効果などを演出するとのことだ。

上段はテッセレーション適用前,下段は適用後。ポリゴン分割によって,風にたなびく旗が,より自然な印象になる
DirectX DirectX
DirectX DirectX

 ちなみに,開発&販売元であるCodemastersでは,DiRT2で,DirectX 11に対応したベンチマークモードを搭載する計画を持っているそうなので,年末以降,最新グラフィックスシステムの性能評価用リファレンスタイトルとなる可能性もある。


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 さらにRobinson氏は,GSC Gameworldの「S.T.A.L.K.E.R.:Call of Pripyat」やTurbineの「The Lord of the Rings Online: Shadows of Angmar」がDirectX 11に対応予定であることや,EA DICEの「Frostbite 2 Engine」(関連記事),Trinigyの「Vision Engine」といったゲームエンジンもDirectX 11対応に向かうことを紹介。「(DirectX 11では)Direct3DとDirectComputeをシームレスに実装できるほか,すっきりとしたマルチスレッディングの実装方式ゆえに大幅なパフォーマンス向上を果たせることから,各デベロッパが,積極的に製品開発を進めている」と説明する。


 氏は,ATI Radeon HD 5000シリーズを「DirectX 11開発プラットフォーム」として2009年6月に提供を開始したこと(関連記事)も,Windows 7&DirectX 11の登場後,すぐに対応タイトルが市場投入されるきっかけになったと自画自賛していたが,確かに,その側面は否定できないだろう。また,DirectX 11がWindows Vistaでもサポートされるため,より多くのPCで性能や3D描画品質の向上を図れるというのも,ゲームデベロッパ側の対応を後押ししたようだ。


DirectComputeとOpenCLが

ゲーム物理やAIも加速!?


AMDの物理エンジン対応や汎用コンピューティング環境を紹介したのは,かつてNVIDIAでCUDAの立ち上げを推進したDavid Hoff氏
DirectX
オープンソース物理エンジンとして,ゲームコンソールなどで採用が増えているBullet Physics LibraryをOpenCLベースでPCから利用できるようにする意向を表明したAMD。HavokとBullet Physics Libraryで対NVIDIA戦に臨む
 AMDは,DirectX11とOpenCLが,ゲーム物理やAIの実装も加速すると見ている。
 事前発表会で登壇した同社のDavid Hoff氏は,「デベロッパはかねてから“オープンスタンダード”を求めており,特定のベンダーが自社製品のために立ち上げた規格は,ことごとくベンダーに依存しないオープンスタンダードに置き換えられてきた」として,「OpenCLとDirectX 11がCUDAを置き換えることになる」と宣言。続けて,オープンソースのゲーム物理ライブラリで,ゲームコンソールの物理エンジンとしても定評がある「Bullet Physics Library」を,OpenCLベースの物理演算環境としてサポートすると表明するとともに,Pixelux Entertainmentとも戦略的パートナーシップを結び,OpenCLベースの並列コンピューティング環境を整備していくとも発表した。NVIDIAのCUDAを,オープンスタンダードで囲い込む戦略だ。
 AMDは,CUDAからの乗り換えを促すプログラミングコンテストも開催する意向で,ゲーム物理や並列コンピューティングで先行するNVIDIAを,業界スタンダードという武器で,追い落としたい考えを隠さない。




DirectX
 AMDはこれまでも,「ATI Radeon HD 2900 XT」の投入時に,「CTM」(Close to Metal)や「CAL」(Compute Abstraction Layer)によるGPUの汎用コンピューティング環境整備に取り組む意向を表明してきたが,成功を見ることはなく,結局は,業界標準を標榜するOpenCLとDirectX 11に賭けて,登場を待つことになった。そして,オープンスタンダード環境が整ってきた今になって,コンソール市場で頭角を現してきたBullet Physcs Libraryのサポートを表明することで,PCとゲームコンソールのクロスプラットフォームに対応してきたわけだが,こうしたAMDの姿勢を,「後出しじゃんけんで勝負に出たようなもの」と揶揄する業界関係者もいる。

 ただ,AMDがようやくゲーム物理に本格的な第一歩を踏み出したことで,ゲームタイトルの進化が加速すると話すゲーム業界関係者が,事前説明会の会場に多数見受けられたのも確かだ。ここ数世代,ゲームデベロッパとあまり良好な関係を築いて来られなかったAMDが,どれだけ巻き返すかに,同社のDirectX 11時代における成否はかかっているといっていいだろう。
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