インタビュー
10周年を迎えた「AVA」運営チームに10年間の思い出と“これから”を聞いた
「AVA」10th ANNIVERSARY 特設サイト
「AVA」は韓国Redduckが開発し,ゲームオンが日本で展開しているオンラインFPSだ。10年もサービスが続いているだけあり,多彩なルールで遊べるのも特徴だが,それ以上に国内外での大会や,縁日を思わせる屋台も出る「AVAれ祭」,全国のネットカフェをめぐる「AVAネットカフェキャラバン」といった,オフラインでの活動が盛んなタイトルでもある。
そんなAVAが10周年という節目の年を迎えたということで,これまでの10年と“これから”について,今年5月に井上洋一郎氏からプロデューサーを引き継いだ日本運営チームの大濱学士氏と,氏が率いる「アヴァレンジャイ」に聞いた。
なおインタビューの最後に,AVAのゲーム内アイテムが入手できる読者プレゼントをゲームオンに用意してもらったので,ぜひ最後まで読み進めてほしい。
AVAプレイ歴9年の大濱氏。アヴァレンジャイのメンバーには古参プレイヤーも
4Gamer:
よろしくお願いします。まずは,皆さんがAVAに携わるようになったきっかけと,AVAのプレイ歴も教えてください。
5月から日本運営プロデューサーをやっている大濱です。もともとは社内の別タイトルを運営していましたが,個人でAVAをプレイしていたことからスカウトされました。プレイ歴は9年です。
KeNNy氏:
AVA公認アドバイザーのKeNNyと言います。2010年にプロデューサーだった井上氏からお声掛けいただき,公認アドバイザーに就任しました。プレイ歴は8年になります。
アヴァブルー氏:
アヴァブルーです。8年ほど前に友達に誘われ,2年ほどAVAをプレイしていました。AVAの運営に携わってからは1年ほどになります。
アヴァオレンジ氏:
アヴァオレンジです。10年前にゲームオンに入社し,初めて配属されたのがAVAの運営です。個人でも,10年間ずっとAVAをプレイし続けています
アヴァグリーン氏:
どうも! 配信でお馴染みのアヴァグリーンです! AVAに携わったきっかけは,前職でAVAネットカフェキャラバンの運営をお手伝いしたことです。プレイ歴は1年くらいで,初心者の感覚を理解できるよう,人口の多いライフルマンで遊んでます。
4Gamer:
プロデューサーがAVAを9年プレイしている上,KeNNyさんが8年,アヴァオレンジさんが10年と,古参プレイヤーが運営チームの中心にいるんですね。これは,プレイヤーにも心強いことだと思います。では,それぞれのお仕事についても教えてください。
大濱氏:
日本運営プロデューサーの仕事は,開発元であるRedduck社との交渉や,日本AVAにおける年間運営の立案,そして日本運営チームの調整や管理です。“プレイヤーの皆さんと密にコミュニケーションを取る”ことがAVAのポリシーですから,大会やAVAネットカフェキャラバンなどで日本中をめぐったりもします。
KeNNy氏:
各種大会の企画立案や,配信関連の運用・管理をしています。
アヴァブルー氏:
オンラインイベントやキャンペーンの企画立案です。
アヴァオレンジ氏:
オフラインイベント関連の取りまとめや,AVAネットカフェキャラバンのMCなどを担当しています。
アヴァグリーン氏:
僕はSNSに関する企画立案,ネット配信番組への出演などです。
4Gamer:
それぞれの視点から見たAVAの魅力とは何でしょうか。
大濱氏:
なんといっても,コミュニティの力です。ゲームの中でつながったプレイヤーさん同士が,AVAネットカフェキャラバンなどのオフラインイベントで知り合って関係を深めていくようなところでしょうか。
KeNNy氏:
兵科が3種類あるので,プレイヤーさんのスタイルに合わせた遊び方を見つけられるのが魅力ですね。
アヴァブルー氏:
易しすぎず,難しすぎず……と,いい感じに難しいところです。
アヴァオレンジ氏:
FPSもいろいろありますが,銃弾を敵に当てたフィードバックを強く味わえるのが魅力じゃないでしょうか。
アヴァグリーン氏:
僕はいろんなゲームを遊ぶんですが,AVAの魅力はシンプルさにあると思っています。“銃をいかにうまく扱うか”“いかに狙うか”というところにフォーカスされていて,やればやっただけ上達が実感できますから。
FPS運営のノウハウがない中,ゼロからのスタート
4Gamer:
運営スタッフとして1番楽しかったこと,辛かったことについても聞かせてください。
楽しかったのは,2011年に韓国で行われた「IeSF国際大会」に同行したことですね。日本からは「SunSister」というクランが出場したんですが,トラブルに見舞われ朝から深夜までずっと試合が続くという過酷な状況でした。しかし,選手たちはもちろん,クランの関係者も諦めることなく頑張って,大会参加8か国の中から当時日本代表クラン最高順位の快挙となる世界2位になったんです。本当に感動しましたし,こうした場に立ち会えたのも運営のお仕事をしていたからですね。
辛かったのは,初期のAVAネットカフェキャラバンで全国をめぐった際,オフラインイベント開催のノウハウがなかったので,無謀なスケジュールを立ててしまったことですね。例えば,宮崎でイベントが終わった後,そのまま夜行バスに飛び乗って,広島でまたイベントをする……機材の持ち運びも大変でした。
4Gamer:
それは辛い。国内外でいろいろな大会を開いているAVAならではですね。
KeNNy氏:
楽しいのは,プレイヤーさんとの交流です。普通の会社員をしていてはなかなかできない経験だと思います。大変なのは新たな配信機材への対応でしょうか。機械がどんどん新しくなって高機能になると,それだけ操作も難しくなりますから。
アヴァブルー氏:
オフラインイベントで直接プレイヤーさんの声を聞けることは楽しいですね。一方,“先輩たちが築いたものを進化させなければならない”というプレッシャーもあるんですけど,これは辛さと楽しさの両方が含まれますよね。
思い出深かった出来事は,チーム「DeToNator」のRobiN選手が舞台裏で男泣きしているのを見たことです。RobiN選手がソロで活動を始めたころから知っているんですが,努力してDeToNatorに入り,初の優勝を飾った後,舞台裏で代表と抱き合って泣いていたのを見てグッときました。こうした場に立ち会えたこと,そして大会やイベントで選手が活躍できる環境を作れたことが嬉しかったですね。
大変だったのは,サービス開始当初はオンラインFPSを運営するノウハウがなくて,みんなで苦労したことですね。人数も少ない中で,効果的な施策や運営を行うため,毎日終電まで会社に残って頭を絞っていましたから。
アヴァグリーン氏:
僕の場合,楽しいのも辛いのも,イベント関連です。イベントのアイデアを考えるのは楽しいんですけど,思いつきをすぐに実行できるわけじゃありません。他社の方々が関っておられますし,機材の調達もあるので,前もって準備を進めていかないといけないんです。その分,プレイヤーさんが喜んでいるのを目の前で見られるのは楽しいですね。
4Gamer:
オフラインイベントはとくに外部との調整が大変な印象があります。だからこそ,アヴァグリーンさんのような専従スタッフが必要なんでしょうし。
大濱氏:
ええ。それに弊社ではイベント案に対する社内審査も厳しいんです。そもそもAVAは10年続いていますので,大抵のアイデアはすでに使われていることが多くて。言い換えれば,自分の中の引き出しという引き出しを全て使って立案したものが,社内で厳選されてプレイヤーさんのところへ届いていることになります。社内の意見で中身がガラッと変わってしまうこともありますけど。
4Gamer:
それは想像以上に大変そうですね。そんな運営の中で,何か大きなトラブルが起こったことはありますか。
トラブルというと,運営の初期に,とある「ユーロBOX」を出した際にアクセスが集中し,ゲームオンでサービスしているタイトル全体が不安定になってしまったことですね。ユーロBOXは,アイテムがランダムで出てくる箱をゲーム内通貨で買えるというものですが,問題のBOXには,通常なら課金でしか手に入らない武器が入っていたため,想定以上のプレイヤーさんからのアクセスがあったんです。
4Gamer:
それはぜひとも欲しいですよね(笑)。
大濱氏:
ええ,これ目当てにアカウントを大量に作った方もおられたようで(苦笑)。プレイヤーさんにご迷惑をおかけしたのはもちろん,ほかのタイトルにも影響が出てしまいました。弊社は業界でもトップクラスに強いサーバーを使っているんですが,それでも捌ききれませんでした。
ただ,こうしたトラブルについてはメンバー内でしっかりと情報を共有し,再発の防止に努めています。ユーロBOXについては,一定の階級以上にならないと利用できないという制限を加えました。
4Gamer:
武器といえば,10年の歴史を重ねたタイトルでは避けられない話題がバランス調整だと思います。銃器のバランスはRedduckとゲームオンのどちらが主導しているのでしょうか。
大濱氏:
基本的にはRedduck社ですね。ただ,日本でも2018年初頭にアンケートを取ったところ,プレイヤーさんの7割が現在の銃器バランスに不満を持っていることが分かりましたので,改善に向けての取り組みを始めているところです。
4Gamer:
バランス調整はセンシティブな問題とはいえ,7割というのは見過ごせない数字ですね。
大濱氏:
改善とは別に,10年前のバランスで遊べる「CLASSIC」チャンネルを2018年12月5日に実装します(※インタビューは11月21日収録)。これは10年前の銃器・防具・アイテムだけを使えるというもので,日本主導の企画なんですよ。現時点ではイベント的な開催ですが,皆様の声が大きければ,より良い形にしていきたいと考えています。
「Alliance of Valiant Arms」,サービス開始10周年を記念して,昔の武器やマップで戦う特別チャンネル「CLASSIC」が期間限定実装
ゲームオンは本日,サービス中のオンラインFPS「Alliance of Valiant Arms」にて,サービス開始10周年を記念して特別チャンネル「CLASSIC」を実装した。約10年前の,サービス開始当時の環境で戦えるチャンネルで,この装備のみで行われる公式大会のエントリーも始まっている。
4Gamer:
CLASSICチャンネルの銃器は当時のバランスになるのでしょうか。
大濱氏:
基本的には当時のままのバランスですが,“タップ制限”だけは使えません。高速にタップして発砲すると,本来のリコイルを無視して集弾できるという現象が当時ありましたが,これは後のアップデートで修正していますから。
4Gamer:
“タップ制限”については,修正当時は大きな反響がありましたね。10年前を再現するとはいえ,さすがにそのまま遊ぶことはできないと。
アヴァオレンジ氏:
それ以外は当時のままの感覚を楽しんでいただけます。とくに,相手の頭を意識して撃たなければならないあたりは,昔を思い出させる感じになっていますよ。
AVA運営として,オフの時にもパワーと知識を充電する
4Gamer:
仕事をしていないオフの時に,運営の仕事に役立てるためにアンテナを立てている,みたいなことはありますか。
大濱氏:
スマートフォンアプリをプレイするのはもちろん,ゲーム実況の動画を見て,いろいろな企画をAVAに持ってこられないかと考えたりしています。アンテナを立てるというより,自然にやってしまっているところがありますね。
僕は,オフライン大会を中継する際にゲーム内のカメラ位置を操作しているので,参考のためにほかのゲームの大会を見ます。おかげで,ゲームの映像に選手の様子をワイプしたり,撃ち合っている以外のメンバーがどうしているかを映すなどの改善を加えることができ,分かりやすくなったというお声もいただいています。
4Gamer:
確かに,チームプレイが重要なAVAの大会では,個人技をクローズアップしているだけだと試合展開が分かりづらいですよね。
アヴァブルー氏:
私は動画サイトやSNSを見る中で情報収集をしてます。キャンペーンのことを覚えておき,AVAの施策に生かすんです。
4Gamer:
ゲームに限らず?
アヴァブルー氏:
そうです。“自分が参加したいと思ったこと”を基準にして,AVAにどう取り入れていけるかを考えます。
アヴァオレンジ氏:
自分は,コラボもののキャッチコピーを書くので,街で見たいいキャッチコピーを覚えておくことでしょうか。以前は広告会社に勤めていたので,キャッチコピーの重要さは身に染みて理解してますから。
アヴァグリーン氏:
僕も個人的に広告が好きで,チェックしてしまいますね。いろいろな広告やキャンペーンを見て“お金がかからず,僕の立場でも実現できそうで,プレイヤーさんが新しさを感じてくれそうなもの”をAVAに取り入れてます。
4Gamer:
そうした取り組みでうまくいった例はありますか。
“Twitter鬼ごっこ”ですね。プレイヤーさんに特定のキーワードを呟いていただいた後,僕は“緑鬼”になって検索しまくるんです。検索で見つかった=鬼に見つかったということで,最後まで見つからなかった方にプレゼントをさせていただきました。
これは人力でやれるし,お金もかからない。おまけに,僕が検索してる様子を動画配信すれば話題性もアップする。まあ,なんていうか体を張っている感じですね。プレイヤーさんは僕がひどい目にあうところを見たいらしいので(笑)。
4Gamer:
でも,そういう役回りも大事だと思いますよ(笑)。ところで皆さんにとって,AVAに携わる上でのターニングポイントと言えるような出来事は何かあったのでしょうか。
大濱氏:
個人的には,井上からプロデューサーを交代した今年ですね。サービス開始からずっとプロデューサーを続けて来た井上の存在は大きなものがありましたから,お客様をがっかりさせないようにしなければいけないと思いました。
KeNNy氏:
AVAの公認アドバイザーになったこと自体がターニングポイントですね。前職でも別のFPSに関わっていたんですが,この時はコミュニティをゼロから立ち上げるというものでした。対して,AVAは確立したコミュニティに後から入っていく形になったのですが,それでも少しずつ受け入れていただけたのが嬉しかったです。
アヴァブルー氏:
入社して1年ですので,今がターニングポイントですね。KeNNyさんのいうコミュニティですが,現在はクランの入り方が難しかったりして,ゲーム内で触れあう場所が足りないので改善したいです。
2011年に,ボクシングの聖地・後楽園ホールでイベントを行い,満員にできたときですね。これだけの会場でイベントをできるゲームということで,プレイヤーさんもAVAの価値を再確認できたと思います。実際に新規プレイヤーさんも増えましたし,トッププレイヤーさんをフィーチャーした大会をどんどんやっていこうということになりましたから,そこがまさにターニングポイントだと思います。
アヴァグリーン氏:
AVA自体ももちろんですが,シューティングというジャンルにターニングポイントが訪れたのが,この数年だと思っています。ほかのオンラインFPSが終わる中,AVAはサービスを続けさせていただいていますし。ブルーたちと力を合わせて,ここから新しい時代を作っていくという意味でも,2018年がターニングポイントだと思います。
4Gamer:
確かに,ここ数年は,シューティングに新たな流れが生まれたという意味でもターニングポイントかもしれませんね。カジュアルに遊べて低年齢層も引き込んだ「スプラトゥーン」だったり,「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」や「FORTNINE」といったバトルロワイヤルものが大流行しましたし。それが「荒野行動」や「PUBG MOBILE」といったモバイルゲームにまで広がっています。こうした激変の中,AVAがサービスを続けていくために必要なものは何だと思いますか。
大濱氏:
運営の努力だと思います。“シューティング戦国時代”という感がありますが,その中でAVAを選んでいただかなければいけないわけですから。
王道のFPSであるAVAが見せるのは撃ち合いの楽しさです。11年目以降を迎えるためには,先の銃器バランスなど長くサービスしているがゆえの不満点に向き合い,ちゃんと遊べる土台を再構築した上で,新しいコンテンツを追加していかなければいけないと思います。
4Gamer:
11年めは地固めと再構築の年になりそうですね。ところで,10周年をお祝いした企画などはあるのでしょうか。
大濱氏:
ログインしていただくだけでAVA BOXのプレイチケット10枚分を全員に差し上げるほか,アカウントを作られてから時間が経っているほど豪華になるプレゼントや,CLASSICチャンネルを使ったオンライン大会を考えています。
4Gamer:
アカウントを作ってからというのは,途中でプレイを中断していても有効なんですか?
大濱氏:
もちろん,間が空いていても大丈夫です。
アヴァオレンジ氏:
2018年12月5日からは,PCやデバイスなどのリアルグッズと総額1億円分のアイテムが当たったり,毎日10連ガチャができるという企画も行います。
「AVA」10th ANNIVERSARY 特設サイト
4Gamer:
分かりました。では,これからの20周年に向けての意気込みをお願いします。
KeNNy氏:
「AVAが面白い」と思っていただけるようなサービスをこれからも続けていきます。
オフラインイベントに参加すると,いかにAVAが愛されているかを肌で感じます。ほかのオンラインゲームを遊んでいても,いつか戻ってきたくなるのがAVAですから,これからも長く続けられるよう頑張ります。
アヴァオレンジ氏:
AVAの撃ち合いは面白いですし,そうした面白さを見せる場を増やしていきたいです。
アヴァグリーン氏:
10周年記念放送も行いましたので,ぜひアーカイブで見てください。来年からは,放送を通じて新しいAVAを知ってもらえるように頑張ります。
大濱氏:
おかげさまで10周年を迎えることができました。数々の企業様やクラン,そしてプレイヤーさん達,本当にいろいろな方々に支えていただいたと思っています。プロデューサーの交代でこうした美風が失われることのないよう,運営一同で頑張っていきたいと思います。
プレイヤーさん主催のイベントも,もっとサポートしていきたいですし,韓国や台湾とのエキシビションマッチもやっていきたいと考えています。これからもAVAを応援してください。
4Gamer:
ありがとうございました。
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https://ava.pmang.jp/media_cooperative_events/1812/4gamer
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