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因縁の対決を制したHollowMellowが新王者の座に。「クロスファイアチャンピオンシップ2012 Season3」レポート
大会の冒頭で登壇したアラリオ宣伝チームの松下健太郎氏によれば,今大会には前回を上回る130以上のクランがエントリーしたとのこと。松下氏は「選りすぐりのクランが集まりました。優勝チームを皆さんと見届けたいです」と挨拶し,大会がスタートした。
本大会の参加クランは7月14日からスタートしたオンライン予選を勝ち抜いた「ばきゅ〜ん東」「HollowMellow」「Infinity」「GeistGaming」と,前大会「Season2」のチャンピオンである「spline」の計5クラン。松下氏がいうように,文字通りの精鋭たちというわけだ。
優勝カップを返還したsplineのクランマスターsp.delave[2]選手は「チャンピオンクランなので強気に行きたい」と今大会への意気込みを語った。一方,チャレンジャーとなる4クランのうち,ばきゅ〜ん東,HollowMellow,Infinityは前大会も決勝トーナメントを戦っている。いわば因縁の対決というわけだ。
司会の篠田有香さん(左),実況のyukishiro氏(中央),解説のYamatoN氏(右)が会場を盛り上げた。 |
ジャンケンマッチも行われ,勝った人にはヘッドセットやマウスパッドなど協賛各社からの賞品が贈られた |
前回チャンピオンに挑むのはどこか?注目のトーナメント
大会は,まず予選を勝ち抜いた4クランがトーナメント戦を行い,その勝者がsplineとチャンピオン決定戦を争う,という形式で行われた。
トーナメント1回戦であり,同時に準決勝となる戦いは「チームマッチ」モードを使った5ラウンド先取の攻守交代制マッチ。攻撃側(BLACK LIST)は「爆弾を設置して起爆する」か「相手を全滅させる」と1ラウンドを獲得。逆に守備側(GROBAL RISK)は「爆弾を設置させずに守りきる」か「爆弾を解除する」もしくは「相手を全滅させる」と勝ちだ。選手は1度倒されると復活できないため,1キルの重みが大きい。また,前半戦と後半戦で攻守を交代するため,どちらの立場でも戦えるだけの技量も必要だ。
準決勝第1試合は,ばきゅ〜ん東対HollowMellow。舞台となる「port」マップは北米地域での大会で親しまれているもので,守備側が有利という特徴があるとのことだ。開始前に気合いを入れたHollowMellowは,HM’Qwake選手が1対4という数的不利の状態から3キルして押し返すなど,ばきゅ〜ん東を圧倒し,7対1という大差で見事に決勝進出を決めた。
第2試合はInfinity対GeistGamingで,こちらはInfinityの個人技の強さが目立つ戦いとなった。扱いが難しいはずのAK47を巧みに使いこなし,次々とラウンドを獲得。攻撃側のGeistGamingが落とした爆弾を3名のInfinity選手が守るという圧巻のシチュエーションも見られた。後半戦ではGeistGamingも追い上げたものの,8対5でInfinityの勝利。
前回チャンピオンに挑むクランを決めるトーナメント決勝戦はHollowMellow対Infinityという顔合わせ。中学生の頃からの知り合い同士による対決が実現するという,ユニークなカードとなった。
解説のYamatoN氏は,舞台となる「Mexico」マップについて「公式の解説には手投げ弾が通用しないとありますが,実際には,各種の手投げ弾をうまく活用しないと攻められないマップです。守備側が有利ですが,投げ物の使い方次第」と見どころを紹介した。
試合はYamatoN氏の言葉どおり,手投げ弾がさまざまな状況で活躍するという展開に。中には5対5の膠着状態からFLASHBANG(閃光を発して目を眩ませる手投げ弾)の一発で勝敗が決するラウンドもあった。結果は7対2でHollowMellowが勝ち,日本一を決めるチャンピオン決定戦へ駒を進めた。
アップデート情報も発表に。派手な黄金銃やアンデッドモード新マップを実装
チャンピオン決定戦を前に,クロスファイアにおけるアップデートの告知が松下氏から行われた。まず8月8日には「CFでポン!」(ガチャ)に新武器「HK 416C」と「D.E.-Royal Dragon」が追加される。後者はデザートイーグルに黄金の竜をあしらった派手な武器となっており,会場からも驚きの声があがった。その後,8月22日に「M4A1-S Ultimate Silver」,9月12日には「DSR-1 RUSTY」がそれぞれCFでポン!に登場する。M4A1-S Ultimate SilverはノーマルのM4A1から装弾数が5発アップ。DSR-1 RUSTYは錆び付いたような外観だがリロード時間が短縮されている。いずれも見た目が特徴的で,注目の武器となるのではないだろうか。
プレイヤー同士が協力してゾンビ兵と戦う「アンデッドモード」には,8月22日に「VENEZIA」(ヴェネチア)と「VALKYRIE LAB」(ワルキューレ研究所)という2つの新マップが実装される。廃墟となったVENEZIAに,不気味なカプセルが印象的なVALKYRIE LAB,どちらの戦いも盛り上がりそうだ。
このアップデート情報に加えて,8月8日にスタートする「スクショ・イラストコンテスト」も発表された。「クロスファイア」と「夏」をテーマにスクリーンショットやイラストの投稿を募集するというもので,優秀な作品の投稿者には前述した新武器がプレゼントされる。参加賞も用意されているので,気軽に参加してみるのも楽しそうだ。
発表会で行われたアトラクションの「CFルーレット」。会場から選ばれたプレイヤーがルーレットを狙い撃ち,その結果によってプレイヤーへの特典が決まるというもので,見事,期間中ゲームをプレイした全員にGP2倍という特典が付与されることが決まった |
王者決定戦は前回と同じカードに。雪辱なるか,それとも連覇か?
ついに日本最強クランが決まるチャンピオン決定戦。spline対HollowMellowというカードは前回season2の決勝戦と同じで,3か月を経ての再戦が実現したというわけだ。
ディフェンディングチャンピオンであるsplineは,チャンピオン決定戦の前に観客チームを相手としたエキシビションマッチをプレイした。キル数を競うデスマッチモードで,5人中4人が20キル以上を記録し,119キル対86キルという大差で勝利し,王者の貫禄を見せつけた。
対するHollowMellowは勢いに乗っており,解説のYamatoN氏も「個人技も強く,連携もあり,隙のない状態」と評するほどの仕上がりだ。
戦いに先立って攻守選択権を決めるジャンケンが行われ,HollowMellowが第1マップ「BlackWidow」と第3マップ「Ceyhan」,splineが第2マップ「Ankara」の攻守選択権を獲得した。
HollowMellowが大声で気合いを入れると,splineも同様に声を上げるなど,会場のテンションが上がる中,チャンピオン決定戦がスタートした。
BlackWidowマップで,HollowMellowは守備側を選択した。広いために攻撃側が有利とされるマップだが,ジャンケンで勝ちながらあえて守備側を選んだHollowMellowの出方が注目された。
チャンピオン決定戦ともなれば撃ち合いまた撃ち合いという派手な戦いを想像するが,両クランともに動きは慎重。残り1分になっても目立った撃ち合いが起こらないラウンドすらあったほどだ。
HollowMellowは,splineとの戦いに特化した「対splineシフト」とでも呼べそうな戦法を取った。やや引いた形で守りを固め,スナイパー2名を擁するsplineの打撃力を減じていこうという構えだ。この作戦は見事に的中し,試合の流れはHollowMellowの方に傾いていくが,splineもsp.DahLIA[5]選手が巧みなリコイルコントロール(銃の反動を制御すること)で3人抜きを2回も決め,王者の意地を見せた。
結局,第1マップは8対5でHollowMellowが勝ち,試合は第2マップAnkaraへと移行する。ここはWCGの決勝戦でも使われた,スナイパー有利とされるマップだ。splineの逆襲なるかと思われたが,HollowMellowの勢いは止まらなかった。
HM’Ayatsuji選手が怒濤の4人抜きをしたかと思えば,HM’Qwake選手が立て続けに3人を倒し,HM’NoriseN選手は巧みな立ち回りで相手の死角をつき,ハンドガンを使っての2キルを決めるなど,splineを圧倒。個人技に加え,連携の良さも発揮したHollowMellowが7対1という大差で日本最強クランの座をつかみ取った。
大会の最終結果は,1位HollowMellow,2位spline,3位Infinity,4位ばきゅ〜ん東,GeistGaming。また,MVPには巧みな立ち回りと正確な狙い,質の高い状況判断を見せたということでHollowMellowのHM’NoriseN選手が選ばれた。
HollowMellowのクランマスターHM’eferi選手は「前回大会の配信動画を見直して,まずい所を直す練習をしてきました。打倒splineを目指して練習してきたので,勝てて嬉しいです」とコメント。次なる挑戦者に対して「僕たちは勝ちます」と早くも闘志を燃やした。
そして松下氏の「またSeason4で会いましょう。皆さんのエントリーを待っています」という言葉と共にイベントは閉幕となった。
優勝したHollowMellowには,賞金30万円とM4A1-X Camo,ゲーム内バナー掲載権(約1か月),オリジナルデザインチャンピオンユニフォーム,チャンピオンの証 専用ネームタグ(60日)が贈られた |
参加クランが揃い,ノーサイドでの記念撮影。その表情には全力を出し切った満足感が漂っている |
「定期的なイベントでFPS業界を活性化したい」松下氏ミニインタビュー
4Gamer:
本日の手応えはどうでしたか。
松下氏:
今回でクロスファイアチャンピオンシップは3回目となりますが,来場者数は毎回増加傾向にありますし,クランのエントリー数も,ゲームに接続されるアクティブユーザー様の数も増えています。オフラインで行ったイベントの結果はオンラインに帰ってくるという手応えがありますね。
4Gamer:
オフラインイベントがオンラインのプレイヤーさんの満足度にもつながると。
松下氏:
そうですね。クロスファイアはジャンル的にユーザー様の大目標を設定しにくいんですが,単発ではなく,年初にスケジュールを告知するような定期的な大会としていくことでモチベーションを維持していこうと考えています。
4Gamer:
クランのエントリー数も増え続けているんですね。
松下氏:
はい。約10クランずつのペースで増えています。ただ,皆さんクランを結成するのに苦労されているようですので,公式サイトをリニューアルし,メンバースカウトなどの機能を付けてクランを作るお手伝いをさせていただいてます。
4Gamer:
FPSの大会を続けていく上での意気込みなどありますか?
松下氏:
会場で試合を見ることで,お客様が満足していただければFPS業界も盛り上がるのではないかと思います。選手の方に盛り上がる試合をしていただいて,それを快適な環境で見てもらうということが,我々の考え方の核にありますね。もちろん,ゲーム内が盛り上がることが最終目的です。オフラインとオンラインがうまく絡み合い,大きな循環というか,“竜巻”が起こればいいですね。
4Gamer:
ありがとうございました。
前回大会でsplineに敗れたHollowMellowがリベンジを果たした姿が印象的だったクロスファイアチャンピオンシップ。次回のSeason4は8月29日からエントリーがスタートし,決勝大会は10月6日に行われる予定だ。勝者はeスポーツ大会「World Cyber Games 2012」の日本代表となれるが,シードとなるHollowMellowが今回の勢いのまま勝つのか,それとも,今回苦杯をなめたsplineやそのほかのクランが優勝を奪い取るのか,これからの展開に注目したいところだ。
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