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[OGC2008#15]「いい歳してゲームやって楽しいですか?」「楽しいです」そんなノリで大盛況の当世コンテンツ談義
「2ちゃんねる」「ニコニコ動画」のひろゆき氏と,日本技芸所属の若手論客・濱野智史氏,ゲーム/コンテンツ事情全般に明るいIGDA Japanの新 清士氏,そして現在は早稲田大学で客員助教授を務めるコンテンツ行政通の境 真良氏が打ち揃って,境氏の仕切りのもと,セッション名に関係あるんだかないんだか微妙な問答が繰り広げられた。
このセッションは,まさしくOGC 2008を締めくくるお祭りのような企画で,会場BとCの仕切りを取り払って前方中央にテーブルを置き,来場者のために合計220席ほどが用意されたものの,それでも若干の立ち見が出る盛況ぶりであった。ちなみに,仕切りの取り払い作業が遅れた関係で,セッションは20分遅れで開始された。
そんな口開けの話題をまるで生かすことなく(いや,あとで一部生きてくるのだが),文字どおりのフリートークが幕を開ける。濱野氏が話題展開のアングルとして梅田望夫氏とひろゆき氏を比較し,前者が「みんなシリコンバレー行ってインターネットで起業しろ」派なら,ひろゆき氏は「だらだら生きるためのWebサービス」派であると論評。当のひろゆき氏は「梅田さんに対談申し込んだら,断られたんですよね。今年はインプットの年にしたいからって。僕との対談はインプットにならないみたいで」と,軽妙な自己ツッコミで返し,早速会場を沸かせていた。
「2ちゃんねる」の成功理由を問われると,答えは「ほかに同じ機能のサービスがなくて,競争相手がいないからですね」で,そこから話題は「じゃあ,シェアを取りに行かねばならないニコニコ動画はどうなのか?」という方向へ展開する。ひろゆき氏は「もともとインターネットで動画を見る必要なんてないんですよ。画質も低いし」と,またも周囲を驚かす部類の正論から説き起こし,「それで,Webでしかできない楽しみ方を考えたうえで,みんなの“笑う姿勢”作りに努めたんですよ。いまからどの芸人が出てくるか分かってるとき,みんな笑う姿勢でいますよね?」と,ニコニコ動画の基本路線を説明した。
それはこういうことだ。官公庁の発行物や記録類に著作権がないことは,現行の著作権法にも明記されている。ところが,テレビで流される国会中継にはNHKの著作隣接権が生じてしまう。動画をアップロードした人に悪意がなく,また仮に国会議員が国会の模様を動画で見せることに賛成でも,NHKの権利がそれを許さず,事実上放送局の資産と化している。それは良いことなのか? というわけである。
「新さんはふだん何してます?」との問い返しに新氏が前述の「コールオブデューティ4」を挙げたところ,「齢を重ねてくると,FPSとか辛くありません?」これは穏当な2発目である。そこで新氏が「いや,僕は勝ててますよ」と意気軒昂に答えると,話の意外な転がり方が面白かったのか,ひろゆき氏は「いい歳してゲームやってて,それで楽しいものですかね?」と,挑発的に笑いを取りに行く。もちろん,ひろゆき氏もゲーム好きで知られているので,この切り返しはその座の全員へと跳ね返っていくものだ。
ひろゆき氏はオタク的生活様式がいつしか社会に公認されたことを含め,世の人々の感性がここ5年ほどで大きく変わったこと指摘し,それに合流する議論として新氏は,最近のゲームが「何か意味のありそうな図式」を提示することに,長けるようになってきている点を併せて挙げる。具体的には,ランキングや行動履歴をうまく使ってプレイヤーのモチベーションを刺激し,持続させるということだ。
ここまでで予定の時間を使い切っていたため,会場からの質問受付は1件に限定された。それに応じたのは駒澤大学の山口助教授で,ひろゆき氏に「2ちゃんねる,ニコニコ動画に続くのは,どんなものになると予想するか?」という質問をぶつけた。
ひろゆき氏は先ほどの視点や世代差の認識に基づきつつ,「2ちゃんねるは“活字的”メディアで,5年前の調査で利用者の平均年齢は30歳を超えていました。それに対してニコニコ動画は勝手に流れる動画に,これも流れていく『ちょwww』とかいうコメントを付けて笑いどころを共有する仕組みだから,もっと若い層を中心としている。その延長で考えると,言葉でなく,入力すらせずに,映画のクライマックスシーンを見たときの感情を,身近な何人かに伝えられるとか,そういうものが求められていくんじゃないかなあ」と,実にひろゆき氏らしい論理的な答えを導き出していた。
これを聞いた境氏が「じゃあこれから日本では,老人向け育成ゲームが流行し,失望したひろゆきさんが日本を出て行くという感じですね?」と,会場の笑いを取ったところで,セッションは終了となった。
こうして主な流れを整理してみても,やっぱりぜんぜんCGM談義ではなかったわけだが,いずれ劣らぬメンツを揃えた“雑談”だけに,日本のコンテンツ市場を構成するファクターや,その考え方が随所にちりばめられた,刺激的な会話になっていた。
テレビクルーも含めた聴衆二百数十人のなかには,「ひろゆき氏をぜひナマで見てみたい」という動機の人も多かったものと思われるが,その眼前で繰り広げられた会話は,エンタテインメント性と示唆性を併せ持つものだった。
チューターの境氏がフリートークの途中で述べた言葉「ゲームだけがゲームなんじゃなくて,あらゆるものはゲームとして展開できる」を地で行く感じの,不思議なセッションであった。
- 関連タイトル:
コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェア
- 関連タイトル:
Call of Duty 4: Modern Warfare(Macintosh)
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(C)2007 Activision Publishing, Inc. Activision and Call of Duty are registered trademarks and Modern Warfare is a trademark of Activision Publishing, Inc. All rights reserved.
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