連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ / 第52回:「プロレスラーが語るUFC」
著者近影
今さらだけど,私,男色ディーノはゲイのプロレスラー。そらまあ,このコラムを読んでる人は知ってるでしょうよ。でもね,やっぱ世の中には私を知らない人の方が多いもんだから,知らない人に対する応対が問題なわけ。
例えば,なんかちょっとした書類を作るとき,職業欄にはほぼ確実に「会社員」と書いてるの。あとは髪を切るときとか,タクシーの車内とか,お互いに薄っぺらいって分かりながら話をしなきゃいけない局面にも,私は「会社員」って答えるようにしてるわ。
別にプロレスという職業に対してコンプレックスがあるわけじゃないんだけど,説明が面倒くさいのね。プロレスラーってだけなら,質問した人の好奇の目を我慢すればそれで済む話なんだけど,私の場合はゲイってところが複雑なわけで。
散髪時に「何て名前でやってるんですか?」って聞かれたらもうゲンナリ。あまりにもしつこく聞いてくるもんだから,一度言ったことがあるんだけど,「ゲイということで相手の股間を狙う,男色ディーノという名前で活動している」と聞いた瞬間のカリスマ美容師見習いの無口になりっぷりといったら,露骨すぎたわ! そして不自然に話題変えるな!
そうそう,ただのプロレスファンだった若かりし頃も,そういう場で「プロレスが好き」なんて口を滑らせてしまった日には,「猪木好き? 馬場好き?」みたいな,英語の授業の「Is this a pen?」的な初歩過ぎる質問をされるのはザラだったわね。
でも最近だと,プロレスっつってんのに延々とK-1の話をされたりするの。それはもはやプロレスファンの宿命。分からないならその話をしようとするな! 仕事だから仕方がないにしても! だから,私は美容師やタクシーの運転手との会話が苦手なの。
で,何が言いたいかというと,美容師がどうこうって話ではなく,「UFC 2009 Undisputed」(PlayStation 3/Xbox 360)が異様に面白いってこと。プロレスとK-1と総合格闘技,それぞれ何が違うのか,という疑問に対して,私は明確に答えられるんだけれども,たぶん一般の人はあんまりその辺の差が分かってないと思うのね。
ただ,K-1やリングでやる総合格闘技なら,違いが分かりにくくてもまだ仕方ないと思えるんだけど,UFCとプロレスの何が違うのか? という質問に対しては,私のほうから逆に質問したい。どこが同じに見えるのか? と。
UFCは金網の中で闘っているわけだから,見た目からして違うわけで,唯一同じ点があるとすれば,大勢の観客の前で半裸姿をさらしながら敵と闘うという点のみ。あとはほとんどが違うのよ。K-1,総合格闘技とも違うんだけどね。
ちょっと話はずれるけれども,だから,たまにいる「自分はプロレスファンだから格闘技は嫌い」っていう人は,これはもう論法が完全に間違ってる。ゲイムで言いかえると「ドラクエが好きだからFFは嫌い」って言ってるようなもん。いやいやいやいや理由になってないよ。
「FFとドラクエではドラクエのほうが好き」。これなら分かる。片方が好きだから片方が嫌いとか,本当に意味が分かんない。両方面白いじゃん。合う合わないはあるけども。
でもこういうたとえ話をしていて気付いたんだけど,母親がゲイム全般のことを「ファミコン」で片付けてたのも同じことかもしれないわね。人と人が闘ってると,もう全部「プロレス」に見えちゃうのは仕方がないのかもしれない。母親にFFとドラクエの違いが分かるわけないのと同じで。
話を戻すと,UFCはプロレスとは競技の質が違うわけだから,当然見どころ=面白い点も変わってくるわけで。ま,今さらプロレスの面白い点を語るのも面倒くさいから,ここはUFCの魅力だけを語るとするけど,UFCの魅力は大雑把にいえば,相手をどのようにKOするかというところにあると思うの。
で,もうちょっと細かいことを言うと,UFCは見た目に反して将棋みたいな面があって,KOするにはいかに自分の打撃を相手に効果的に当てるか→いかに自分の距離を作るか→いかに相手が不利で自分が有利な位置を確保できるか。そこの主導権争いが見どころなわけ。
ということで,やっとゲイムの話に戻るんだけど,このUFC 2009 Undisputedは,その部分が本当によく再現できているの。グラウンドでの主導権争いは,確かに地味なんだけど,それがUFCの面白さなんだから仕方がない。だからこのゲイムって,UFCの何が面白いのかを理解し再現することに成功しているわ。基本,理詰めのスポーツなんだけど,たまに出るラッキーパンチで勝負の行方が変わってしまう可能性もあるから,緊張感もあるし。
あとは,ダメージによって顔が切れたり腫れたり。かの有名なボクシングゲイム「マイクタイソン・パンチアウト!!」もラウンド間でキャラクターの顔が変形していたけど,あの明らかに無駄でファニーなシステムがこのゲイムでは,必然性を持った形で見事に昇華されていると言ってもいいでしょうね。まあ,ほかにもダメージで顔が変形していくゲイムもあるんだけれど。
ただ,惜しむらくはロードが頻繁にあるところかしら。一つ一つのロード時間は決して長くないんだけど,回数が多いのよね。それさえなければ,本当にずっとプレイしていられる超いいゲイムよ。「みんなのスッキリ」ばりにスッキリするし,本気でおススメするわ。
どうでもいいけど,ミルコ・クロコップに負けて腹が立ったあたり,まだ私もプロレスラーとしての誇りを失っていなかった模様。
そうそう,先週RPGを同時に遊ぶのは云々言ってたんだけど,「アイアンマスター」までやってしまったわ。これは一応RPGってことにはなってるけども,どっちかといえばシミュレーションゲイムの要素のほうが強いわね。だから私も「これはシミュレーションだからノーカン! さらにRPGを抱えるわけではない!」っていうジャッジを下して自分ルールを守ってるつもりではいるんだけども,まあRPGよね……。
で,簡単にゲイムの内容について述べると,武器屋になっていろんな武器を作って売るゲイム。無理やり分類すれば「マリーのアトリエ」系といえなくもないんだけど,あれと一線を画すのは,武器を作るときにミニゲイムをこなさなきゃいけないっていう点。このシステムは非常に賛否が分かれるんじゃないかしら。
最初のうちはいいんだけども,作るたびにミニゲイムやんなきゃいけないから,正直めんどくさい。その部分さえなければ延々と気持ち良くプレイできるのに! また同じミニゲイムやんなきゃいけないと思ったら,武器の量産もおちおち出来やしない。
ミニゲイムは武器ごとに内容が違うし,面白くないわけじゃないの。でも,だからこそミニゲイムは最初に武器を作るときの一回だけで良かった気がするなぁ。その点が惜しい。武器屋っていう題材が面白いだけに。ゲイム自体も面白くないわけじゃないので,おススメレベルは「興味があれば」ってところね。
ってことで今週はこのあたりで。
それにしても今秋のゲイム豊作具合は何なのかしら? 「信長の野望・天道」も「FOREVER BLUE 海の呼び声」もまだ紹介してないし,「アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団」もまだプレイしてないし。
紹介し終わったタイトルも「イナズマイレブン2 脅威の侵略者 ブリザード」はまだクリアしてないし,「ポケットモンスター ハートゴールド」ももうちょい堪能したいし,「ラブプラス」はイベントに向けてまたプレイし直さなきゃいけないし。
ま,しょうがないわ。だって私,FFもドラクエも好きで,プレイしないと生きていけないようなゲイマーなんだもん。どちらかというとドラクエ派だけど。総合格闘技よりもプロレス派だけれども。
でも,UFCも面白いよってことでプロレスファンもそうでない人もここはぜひ一つ。
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