連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ / 第90回:「レッツ! サクセス!」
著者近影
人生にドラマチックなことなんて,そうは起こらないわ。あとになって考えてみたら,あれってドラマチックだったなぁ……なんてことはよくあるけど。やっぱね,人間って多くの場合,歳をとればとるほど普通に過ごそうとするから仕方がないのよ。
思い返してみて。あんたが子供の頃って,今よりも楽しい出来事や悲しい出来事がたくさん起こっていなかった? それが,大人になると社会に順応しなきゃ働けない,働けないと食っていけない,したがって基本的にはなるべく個ではなく組織なり社会なりの枠組みを考えるようになっていくわけね。
結果,ドラマチックなことは起こりにくくなる。それは,普通の変わらぬ毎日を送っていくことを良しとするわけだから,まあ,傾向としてはそうなるわよね。だから,トレンディドラマはいつの時代も人気があるし,みんな漫画を読む。なぜならそこにはドラマが詰まっているから。
要するに,人間みんな普段は起こりにくいことを見たり聞いたりするのが好きなのよ。結局,私がプロレスをヤっている理由もそこ。昔に比べてお金になりにくくなったけど,ドラマチックなことがアホほど多く起こるのよプロレスって。1試合のギャラ――数千円〜数万円。月の食費――10万円。ドラマチックな思い出――Priceless。お金で買えない価値がある。って感じでプロレスやってるわけね。
で,「実況パワフルプロ野球2010」のPlayStation 3版の話。
正直,ここ数年のパワプロシリーズは,サクセスモードよりもマイライフモードのほうが楽しみだったわけ。なぜだか分からないんだけど,サクセスモードをプレイするモチベーションが上がらなかったのね。で,ダラダラとプレイできるマイライフモード,または栄冠ナインモードを好んでプレイしてきたの。
でも今作のPS3版には,マイライフがないのよ。PSP版にはあるのに。それが発覚した瞬間の私の狼狽ぶりったらないわ。思わず「Oh! No!」って口に出しちゃったくらい。こんなフレーズ,頭に浮かぶことはあっても口にすることなんて,そうそうないわよ。最近ではサッカー日本代表に小野伸二選手が選ばれなかった瞬間に頭をよぎったくらいかしら。
そんな,ダジャレを言っても差し支えのないであろうタイミングですら口にしなかったぐらい,これまで避けてきたフレーズが自然と口から出てしまったほどショックだった……ってことが伝われば幸いです。
そういえば,かつて私の中では“パワプロ=サクセスモード”だったわね。スーパーファミコンの「実況パワフルプロ野球3」で,初めてサクセスモードが搭載されて以来,新作が出るたびに虜になってイった。
とくにニンテンドウ64版の「実況パワフルプロ野球4」に至っては,それまでちょっとは登校していた大学に,とうとう行かなくなってしまったほどヤり込んでいたわね。オールAの選手を18人揃えたくて。こんな経験をさせてくれたのは,4だけ。
まあ,昔の私は,それほどまでにパワプロのサクセスモードに首ったけだったの。それが,大学を6年で見事卒業し,大人になればなるほどサクセスモードから遠ざかっていって……。そしてサクセスモード自体もすごろくっぽくなったり,ルールが変わったりして……。
今にして思うと,私がサクセスモードの変化についていけなかったのね。それでマイライフモードに逃げるようになったわけ。でも,今作にはマイライフモードがなく,サクセスモードと向かい合わなければならなくなったってわけなのよ。
でも繰り返すけど,とても面白かったわ。理由としては,私の中でいつしか失われていた「サクセスモード内ドラマチック」が,バッチリ復活していたから。
今回のサクセスモードは12球団分のストーリーが用意されてるんだけど,今までのパワプロだったらそれぞれの球団によって,ルールが変わっていたと思うのよ。
例えば,ただ試合をやって勝てば強くなるルールもあれば,お金を稼いでアイテムで強くすることがメインのルールもあるといったように。でも,今回は球団ごとにそういった違いはなく,単純にストーリーで勝負してきてるのね。きちんと12球団分。
そこが私的にはとても素晴らしいと思ったわ。お金の概念もなく,ストーリーを追いながら単純に選手を強くするだけ。実に単純明快。
そして,どの球団のストーリーもドラマチックなのよ。もちろんフィクションだとは分かってるるんだけど,リアリティのあるお話から,ぶっ飛んだ展開まで,一つ一つが実にパワプロらしいの。このシンプルさは,一番ハマったパワプロ3,4あたりのサクセスモードと,同じ雰囲気を感じるわね。
だから,さっきも書いたとおり,“パワプロ=サクセスモード”だった私にしてみれば,今回のパワプロは実にパワプロっぽいと思えるわけ。
かつてオシム監督は,「日本のサッカーを日本化したい」という言葉を残したけども,それになぞらえて言うならば,「実況パワフルプロ野球2010は,パワプロのパワプロ化」が実現できているとすら思うわ。で,パワプロがパワプロらしくあれば,面白くないはずがないの。よって,今回のパワプロはとても面白い。そう考えるに至ったわ。
パワプロが好き,またはドラマチックがほしい人には,激しくオススメね。適度にイライラもできるし,その分上手くイった時の気持ち良さも半端じゃない。それって,いいゲイムの証拠でしょ?
というわけで,今週はパワプロウィークだったわ。だったんだけど,そんな中でもほかのゲイムをちゃっかりヤってるのが私のいいところ。
こっそりと「ゴースト トリック」ブームが来てるわ。以前紹介したときも面白いと感じたんだけど,ストーリーが乗ってくると俄然止まらなくなるわね。そうはいっても1日1章ずつしか進めてないんだけどね。朝の連続ドラマ小説っぽくて,この遊び方っていいのよ!
そういう意味では,意外と推理好きの人だけでなく,ドラマ,ストーリーものが好きな人にもオススメなんじゃないかしら。ホント,適度に頭使う具合が面白いわよ。
てなわけで,今週末の7月25日(日)には私の所属するDDTプロレスの大一番,両国国技館大会が開かれるわ。ここでも私なりのドラマチックを見せるので,機会とその気があれば是非見てみればいいと思うよ。
……あ,そんな大一番の前にゲイムばっかヤってんじゃねえっていう突っ込みはなしで。ゲイムでドラマの研究をしてたんですってば! ではまた来週!
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実況パワフルプロ野球2010
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