連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第343回「流行が流行を呼ぶ」
流行させることって,難しい。
すでに流行しているモノが,なぜ流行したのかを分析することはできるけど,これから流行させたいモノに対して,どうすれば流行させられるか,その根拠を説明するのは難しいわ。それが出来たらみんなヤってるって話だし。
ゲイムの場合,面白いモノが必ずしも流行するとは限らない。プロレスの世界も実は同じで,強い人が必ずしも人気があるとは限らないの。
なぜかと問われても,「分からない」としか答えられないわ。売れたり流行したりする背景には,いろいろな条件があるから。どうやったら売れるかっていうのが分かっていたら,みんながそれをヤればいいって話だからね。
ただ,一つだけ分かっていることがあって,それは流行しているモノがさらに流行するってこと。どういうことかというと,「流行しているからヤってみよう」という層が世の中には多いの。だから,我々の業界でいうところの,“流行している感”さえ伝われば,それがさらなる流行を生む可能性は高いのね。
流行が流行を呼ぶ,とでもいうのかしら。この世で流行しているモノって,そういう一面があるんだと思うの。芸人さんで例えれば分かりやすいかな。一発屋と呼ばれる人達,あれも同じことよね。ネタが面白いかどうかというより,流行しているからTVに出る,TVにいっぱい出るから,さらに流行するっていうサイクルだと思うの。
で,一通りTVに出たら画面から姿を消す。台風みたいなもんね。一時期荒らすだけ荒らして,過ぎ去ってしまうとなかったことのように扱われる。
もっとも,私は一発でも当たったら凄いじゃんと思っているんだけどね。とはいえ一般的には,メディアに顔を出さなくなった途端に落ちぶれたような印象を持つ人が多い。一発ギャグってそういうリスクがあるんだと思うわ。面白さよりもインパクト勝負。インパクトは慣れてしまうと薄れてしまう。
そう考えたとき,売れ続けるというのは,どれだけ難しいことなのかって話になるわけ。売れるってことは,売る物があるってことだからね。インパクトだけではなく,ちゃんとほかにも売り物がある。それは凄いことだと思うのよね。
で,ゲイムに話を戻すと。ゲイムに関しては芸人さん的な一発屋っていう概念は,あまりないと思うのよ。とくにパッケージのゲイムの場合,一本を作るのにそれなりの時間がかかるわけで。一瞬,流行したからといって,それから次を作り始めたのでは,旬を過ぎてしまう。だから,ある程度の計画性が必要で,その計画通りに売れるか売れないかっていう話。そして計画通りにきっちり当てたら,それはもう偉業よ。もちろん,その次がまた当たるかどうかっていうのは別問題ではあるんだけど,少なくとも次が出る以上は,なかったことのようにはならないわけで。
売れたよねー,妖怪ウォッチ。そして流行しているよねー,妖怪ウォッチ。クロスメディア戦略が見事に当たったよねー。これ,本当に凄いことだと思うのよ。最初に述べたとおり,流行したものに対する理由付けなら,誰でもできるものなのよ。見たりプレイしたりした感想を述べればいいだけだから。
でも,流行させようとして行う活動って,かなりの恐怖があると思うの。「これで滑ったらどうしよう」って考えちゃうでしょ。だって人間だもの。自分の中でいくら自信はあっても,実際に大衆に受け入れられるかどうかなんて,まったく保証はないわけだから。
したがって,それを成し遂げた妖怪ウォッチはとても凄いと思うのですよ私は。偶然じゃないからねコレ。クロスメディアってことは,何が何でも流行させるっていう気概がないと企画を走らせられない。それこそリスクを考えたらこのヤり方は怖くて仕方がないと思う。それでも企画を断行して,実際にはやらせた。ホント,これは凄いとしか言いようがない。ええ,ここまでは妖怪ウォッチ全般の話。
で,ここからが妖怪ウォッチバスターズの話なんだけども。これもまた凄いのよ。というのも,ちゃんと「妖怪ウォッチの何が受け入れられたのか」っていうのを分析したうえで作られている。
妖怪ウォッチと妖怪ウォッチバスターズの違いを説明すれば,分かってえもらえるかしら。もともと,妖怪ウォッチバスターズは,「妖怪ウォッチ2」内でプレイできたミニゲイムの「妖怪ウォッチバスターズ」を,一本のゲイムとして独立させたものなんだけどね。妖怪ウォッチが純RPGなのに対して,妖怪ウォッチバスターズはアクションRPG。
そして,妖怪ウォッチの主人公は,あくまで人間のケータなんだけど,妖怪ウォッチバスターズは違うのよ。妖怪達が主人公。ここがポイントだと思うの。結局,妖怪ウォッチがゲイムでもアニメでも流行したのって,妖怪達が魅力的だからこそだと思うのね。
とくにアニメにおいて,登場キャラクターを愛せるか愛せないかって非常に重要だと思うの。考えてみて。昔も今も好きなアニメって,必ず登場キャラに感情移入できているでしょ? 出てくるキャラクターを好きになれるかどうか,これがアニメの生命線だと私は思っているのね。
妖怪ウォッチの場合,キモである登場妖怪はちゃんと愛せるキャラクターなのよ。で,妖怪ウォッチバスターズでは,ちゃんと妖怪達の群像劇としてストーリーが描かれている。そりゃ面白いわいって話ですよ。
そしてゲイムとしても,キャラクターやストーリーをちゃんとアシストするような作り方になっている。ミッション制でゲイムが進行していくんだけど,一回のプレイに必要な時間は10分程度。
で,何が憎いってミッションをクリアするごとにご褒美があるんだけど,それがおみくじのようになっていて,大当たり,中当たり,小当たり,外れの4種類がランダムで手に入るの。そのミッションでしか入手できないものがあったりするから,お目当てのご褒美が出てくるまで,何度もプレイしちゃうのよね。
そのほかにも,ともだちにできる妖怪がやたら多いとか,武器を作る要素があったりとか,とにかくプレイヤーの鼻先にニンジンをぶら下げるのがうまいのよ。
もう,簡単に言うとめちゃくちゃ面白い。スピンオフと侮ることなかれ。妖怪ウォッチ全般を嫌いでさえなければ,誰がプレイしても面白いはず。私にオススメされなくても,すでに流行してるんだし何を今さらって話ではあるんだけど,それでもオススメしたいわ。
いや,凄いですよやっぱり。私なんざ,ゲイレスラーというキワモノなんで,真っ当に売れることに対して強い憧れがあるのよね。ほら,要は私って,ターゲットを絞ることで生まれる面白さを利用しているだけなの。でもそうじゃなくて,普通に誰が見てプレイしても面白かったり,流行したりっていうのは,狙ったとしても簡単にできることじゃない。
そういう意味で妖怪ウォッチは,ゲイムやアニメのくくりだけじゃなくて,世の中に貢献している作品なんじゃないかしら。はやるってことは,みんなに楽しんでもらえるってことだからね。そういう意味で羨ましい。
私もターゲットを絞っている身ではあるけど,より多くの男性に楽しんでもらいたいという気持ちはあるわ。女性は……まあいいじゃないか(これがダメなんだけど)。
でも,どの会社でも妖怪ウォッチを生み出せるわけではないし,また全員が全員,妖怪ウォッチを目指すのもつまらないとは思う。結局のところ,自分にできる楽しませ方を突きつめるのが大事なんじゃないかなと。それっぽいことでまとめつつ,今週はこの辺で。また来週。
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 4:「トロピコ 5」
PlayStation 3:特殊なDVD ※死亡確認→復活予定
PlayStation Vita:「不思議のクロニクル 振リ返リマセン勝ツマデハ」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「ゼルダ無双」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「妖怪ウォッチバスターズ 赤猫団」
Xbox 360:「剣の街の異邦人 〜白の王宮〜」
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- 関連タイトル:
妖怪ウォッチバスターズ 赤猫団
- 関連タイトル:
妖怪ウォッチバスターズ 白犬隊
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(C)LEVEL-5 Inc.
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