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男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第403回「アイドルって何だろう」
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印刷2016/10/27 11:00

連載

男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第403回「アイドルって何だろう」

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著者近影
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 はいこんにちは。木曜日がやってまいりました。ゲイレスラー,男色ディーノです。今週も残りわずか,これを書いている時点では始まったばかりだけど,頑張ってイこうかなーと思っております。

 ところでですね,私,男色ディーノはプロレスラーという人前に出る仕事に従事しておりまして。とはいえ人前に出る仕事でも,私なんざまだまだ認知度が高くなくてですね。比較的自由にヤらせていただいているわけです。逆にいえば,自由にヤっても世の中に影響を与えにくい程度の認知度ってことなんだけども。
 今の時代はね,失点を少なくすることが求められるものなのよ。それはどういうことかというと,国民一人一人に情報発信力があるからなのね。SNSを中心に。
 一昔前は,例え誰かが失言したとしても,おかしいなと思う人がいるだけで目に見えるような形にはならなかった。でも今は,SNSでそれに対する意見が言えてしまう。そしてその意見は文字として形に残り,いろいろな人の目に触れてしまうの。だから,ミスが許されなくなった。そしていつしか,得点をたくさん取るよりも失点を怖れるような世の中になってしまった。

 ……「ようになってしまった」という表現をしたんだけど,実は私,これが一概に悪いことだとは思っていないんだけどね。例えば,これってよくちまたで言われる「TVが面白くなくなった」って話に通じると思うの。
 TVが面白くなくなったというよりも,世の中のほうが賛否両論を許さなくなった。さっきも述べたとおり,昔以上に反対意見の声が形に残って拡散されてしまうから。だから,表現として無難なところに止めて置かざるを得なくなった。結果,TVが今の形に収束した。そりゃまあそうなるでしょうね。TVには公共性があるから。ただ,私はTVの今の形が悪いのかというと,必ずしもそうでもないのかなとは思うわ。“失点を怖れるようになってしまった”世の中が,必ずしも悪いことではないと思っているのと同じで。
 では,なぜ悪いことではないのかというと,選ぶことができるようになったから。昔は,TVからの情報って絶対的な印象があったじゃない? でも,今は違うわ。ネットでも情報や娯楽を選べるし,動画サイトでも映像を視聴することができるようになった。少なからず,自分の頭で考えながら情報の取捨選択ができるようになった。こんな選択の幅広い今の状況って,そんなに悪くないと私は思うのよね。
 人前に出てパフォーマンスを見せる側にとってはたいへんなんだけど。だって,“視聴者が選べる=選ばれるようなコンテンツを作らなければ生き残れない”ってことだから。

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 はい。そうなのです。今しれっと本題に入りましたよ私。最後の“人前に出て見せる側からしてみればたいへん”のくだりがそう。要は「アイドルデスゲームTV」の話なんだけどね。
 ゲイムの説明をしておくと,このゲイムはアドベンチャーゲイムです。で,アイドルグループのセンターを巡ってほかのアイドルとサバイバルを行うっていう内容。そこでもし脱落してしまうと,処刑が待っているっていう,なかなかとがった設定なのね。
 ぶっちゃけ,私はまだ途中までしかプレイしてないんでストーリーがどうってことは言えない。ただ,プレイする前とプレイしてからの印象はずいぶん変わったってことは私の中での事実だから,そこを掘り下げてお伝えしようかなと。ゲイレスラーだけに掘って下げてみようかな,と。厳密には下げてから掘るんだけども。まあいいや。
 まずね,このゲイムをプレイする前は,アイドルがデスゲームを通じて醜い人間性を見せていく蹴落とし合いをイメージしていたのよ。でもね。若干違ったわ。蹴落とし合いはするんだけど。それでも一人一人に人生があって,ちゃんとそれが描かれているのよね。ゲイムシステムとして,暴露合戦的なバトルがあるんだけども,それをただの罵り合いじゃなくて人間としての背景を暴露することで,より相手の人生を際立たせる効果があるの。
 不思議なもので,その人の背景を知ってしまうと,どのアイドルにも感情移入できちゃうのよね。つまり,アイドルだって人間だってこと。現実の世界でもそうなんだけど,これってみんな分かっているようで分かっていないと思うの。繰り返すけど,アイドルは人間なのよ。人間だから,きれいな部分も醜い部分もある。でも,両面あるはずなのに片面は決して見せてはいけない。そういう職業なのね。

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 別に私は,アイドルだって人間なんだから醜い部分があっても許してやれって話をしてるんじゃないの。むしろ逆。そういう職業なんだから,見せるべきでない部分は見せちゃいけないわ。ただ,自分自身が売り物なの。自分の人間性で商売してるの。だから,自分が売り物だという自覚がないとダメだと思うの。歌を売ってるんじゃない。歌ってるあなた自身を含めた売り物なの。
 だから,きれいな部分もそうでない部分も含めて,売り物にしないといけない。そのためにも,見せてもいいものは見せる。見せてはいけないものは絶対に見せちゃいけない。見られてしまったら,それすらも売り物にする。いつだって買ってもらうに値する自分でいなければならない。要は,アイドルってそういう覚悟がないと務まらない厳しいお仕事なんだなって思ったわ。
 そしてアイドルデスゲームTVは,そんな覚悟を持った人間を描いた作品なのね。ケツ末はまだ知らないけど,たぶんそう。処刑の過激さやアイドルのポジション争いに焦点が当たっているから見落としがちだけど,意外と人間の奥深いところがテーマなんじゃないかなってプレイしながら感じたわ。
 アイドルって何なのか,人間って何なのか。ひょっとしたら私が勝手に深く考えているだけかもしれないけど,逆にいうと深く考えさせられる作品だということも言えるわ。こういうのって,万人にオススメできる面白さとはちょっと違うけども,気になった人はプレイしてみてもいいんじゃないかしら。

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 というわけで,今週はアイドルデスゲームTVを通じて,“人前に出る覚悟”について考えてみました。最終的に人間そのものを売っているんですね,人前に出る我々は。それを受け入れてもらえるかどうか。売り物になっているかどうか。いろいろ考えさせられますな。人と違うことは売り物にはなるけど,人と違うことで叩かれもする。他人に見せるための“人と違うこと”の取捨選択の難しさよ。
 ゲイムってそんなことを考えさせてくれる瞬間もあるから,私は好きなんだよね。ということをかみしめつつ,また来週。

今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 4:「ウイニングイレブン 2017
PlayStation 3:特殊なDVD ※死亡確認→復活予定
PlayStation Vita:「アイドルデスゲームTV
PSP:「サモンナイト5
Wii U:「Splatoon(スプラトゥーン)
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン
ニンテンドー3DS:「モンスターハンター ストーリーズ
Xbox 360:「剣の街の異邦人 〜白の王宮〜

■■男色ディーノ(プロレスラー)■■
ディーノ選手が所属するDDTプロレスは,今週末の10月30日に大阪・大淀コミュニティセンター大会「Road to DAIICHI 2016 in OSAKA 〜ドラマティック・ドリーム・天六〜」を開催します。ディーノ選手は石井慧介選手とのタッグで,赤井沙希選手&トランザム★ヒロシ選手と対戦予定。ちなみにディーノ選手は11月23日の後楽園ホール大会で,DDT EXTREME級チャンピオンとして赤井選手の挑戦を受けます。ディーノ選手は「タイトルマッチまで赤井を接待していい気分にさせてやるわよ」と不敵な笑みを浮かべながら語っていました。
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