連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第477回「初心者向けって何だろう?」
これって,我々作り手がよく陥る罠なのよね。これすなわち,作る側が勝手に初心者向けだと思い込む現象。もう,ハッキリ言ってしまえば,作ってる人,とりわけ長くその世界に携わっている人って,大なり小なり感覚がマヒしているわ。ゼロから始めることってもはや想像しにくいのよ。だから,初心者向けに作っているつもりでも,実際のところ初心者向けになっていなかったりするものも多いわ。
昔,インターネットが普及するやしないやの時代に,「ゼロから分かるHTML」みたいな本があって,簡単なサイトを運営する必要があった私はその本を読んでみたの。すると,そこそこ最初のほうに「まずはこのサイトにアクセスし,定型文を右クリック後コピー&ペーストしてください」みたいな説明があったわけ。いや,こっちはゼロだからそのアクセスの仕方がそもそも分かんないわけだし,定型文をコピーするところの説明もちゃんとしてほしいところだし……って読みながら思った記憶があるわね。
いや,その本が悪いって言ってるわけじゃないのよ。ゼロから始まってないだろってだけで。結局のところ,初心者の基礎知識がどの程度のラインにあるのかなんて,想定してもキリがなかったりするのよね。この連載でもよく「初心者にもオススメ」って書いてきたんだけど,今思うと,初心者の定義がけっこうあいまいなケースが多かったわ。
今までゲイムをまったくプレイしたことがないって人の場合もあれば,パズルゲイムはよくプレイするけどほかのゲイムはあんまりって人の場合もある。スマホではゲイムに触れるけど,コンシューマゲームはあんまり遊んだことがないって人もいるでしょうね。自分でも初心者像がハッキリしてないのよね。オススメしといてアレだけど。
なので,最近はもう開き直って,“初心者=そんなに詳しくない人”っていう大ざっぱなくくりで考えることにしたわ。言葉の正しい正しくないは置いておくとして。そして,身も蓋もない言い方をすれば,初心者に伝わる伝わらないって話において重要なのは,“基礎知識だったりルールやしきたりだったりの説明”ではなくて,結局“楽しそうに見えるかどうか”なんじゃないかという気がしてるのよね。
細かいところはあとから学ぶとして,まずは興味を持てるかどうか。もちろん専門用語ばっかりで訳が分からな過ぎるのはとっつきにくいわ。私も,何か新しい趣味になりそうなものでも,覚えることが多そうだと気後れしちゃうし。
あとは,今から始めてもいいんだよ感。もう入れなさそうな輪が見えちゃうと,それもまた気後れしちゃう。なので,なるべくややこしさを減らしたうえで,楽しそうな感じと今からでも初めていいんだよ感を押し出すのが,一番建設的な“初心者向け”じゃないのかなと思うに至ったわけでございます。
なので,根本的な説明をすると,プレイヤーが道を引いたり電気や水道を通したりすることで,土地に人が住み始めて建物が建ち,街が発展していくというゲイム。初心者向けに,このゲイムの何が楽しいかを伝えるとすると,これはズバリ,街が徐々に形になっていくところでしょうな。
例えば,最初は水槽に2匹しかいなかったメダカがどんどん増えていったら楽しいでしょ? その街版。プレイヤーが環境を整えて,ゲイムがそれに応えてくれるのが楽しいのよ。でも,住んでいるのは人だから,さまざまな問題が出てくるのね。騒音だったり,治安だったり。そこも環境を整備し直すことで問題を解消していくわけね。
正直,かなり地味な楽しみ方ではあるんだけど,じんわりと面白い。かなり自由に街をレイアウトできるから,これ系のゲイムが好きな人だったら延々とプレイしていられるでしょうね。これを置いたら徐々にこうなる,でも,思いも寄らなかった問題が出てくるので,こうやって解決する。そういう,こちらが選択したことに対するゲイムからのリアクションが豊富で,それに対するこちらからの回答のバリエーションも多いゲイムよ。簡単に言えば,ゲイムとの対話を楽しむ感じのゲイムかしらね。……逆に伝わりにくくなった気もするわね。
ホント,すごく地味面白いのに,最初のナビゲイト不足だけは惜しい名作よね。本当は,こういう地味なゲイムが売れて,続編が出てほしいんだけど,なかなか手放しにはオススメしにくいジレンマ。
いや,ホント面白いんですよ。最初の分からなささえ抜けてしまえば。初心者に向けていないすがすがしさはちょっとカッコよくもあるんだけど,でもやっぱり惜しいわね。
どうしても気になる人は,このゲイムに関しては,PC版のプレイレポートを見ながらプレイしたほうがいいかもしれないわ。そうすることで要領を得て楽しくなってくると思う。
まとめるわね。シティーズ:スカイライン PlayStation 4 Editionは,すごく奥の深い街を作るゲイムだけども,初心者向けでは決してない。ここで言う初心者というのは,この手のゲイムに興味があるかなーぐらいの人。でも,そういう人でもほかの人の遊び方を参考にしたりすると,楽しみやすい。そして,一度波に乗ったらダラダラと時間を忘れてのめり込んでしまえるだけのポテンシャルはある。そういうゲイム。
誰にでも,初心者の時期ってあるのよ。どんな人でも。どんな趣味でも。いいじゃないか,にわかでも。確かにね,発信する側は仕事の場合だってあるよ。でも,仕事を楽しんではいけないなんてルールはどこにもない。発信する側もそれを受け取る側も,どちらも楽しそうに携わるのが結局は一番の“初心者向け”なのだと,今の時点の私は思っております。
そうやって初心者を増やして,好きなジャンルが発展すればいいじゃない。初心者に向けた場合,その趣味のベテランが思うところも出てくるのも分かる。結果,悲しいことだってあるだろうし,納得できないこともあるだろうよ。好きなモノの愚痴を言うなとは言わない。だから,吐き出すときは吐き出していい。
だけど,せめて他人の愚痴に引っ張られるのはやめよう。他人じゃなくて,自分がどう思うか。どう楽しむか。初心者もベテランも,そこは変わらず。自分の人生の時間なんだからね。楽しめばいいと思うよ。
今週は,シティーズ:スカイライン PlayStation 4 Editionを通じて,初心者に向けるって何なんだろうな? ってことを考えさせられた一週間でした。そんな感じでとくにオチもないまままた来週。
今週のハマりゲイム
PlayStation 4:「シティーズ:スカイライン PlayStation 4 Edition」
PlayStation Vita:「GOD WARS 〜時をこえて〜」
Nintendo Switch:「OPUS-地球計画」
ニンテンドー3DS:「牧場物語 ふたごの村+」
iOS:「ドラゴンクエストライバルズ」「ウイニングイレブン カードコレクション」
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