連載
インディーズゲームの小部屋:Room#459「Little Briar Rose」
近頃は立派な女神を目指しているツクモガミに言葉を教えることに余念がない筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第459回は,イタリアのElf Games Worksが開発した「Little Briar Rose」を紹介する。本作は,グリム童話の「いばら姫」をモチーフにしたアドベンチャーゲームだ。ああっ,ちっちゃいってことは便利だね……って,それは別の女神様だった(古い)。
ディズニー映画「眠れる森の美女」の題でも知られる「いばら姫」だが,どんなお話だったか記憶が定かでない人もいるかもしれないので,ざっとストーリーを振り返っておこう。
長く子宝に恵まれなかった王と王妃に念願の女の子が生まれ,その祝宴が開かれた際,ただ一人だけ招待されなかった魔女がいた。その魔女は仕返しとて,生まれたばかりの王女に「紡ぎ車が指に刺さって死ぬ」という呪いをかける。呪いはほかの魔女の祝福によって弱められたものの完全に解くことはできず,やがて予言どおり紡ぎ車に指を刺された王女は深い眠りに落ち,城は誰も近寄れないほどのいばらで覆われてしまった……。
その後,幾人もの人が城に入ろうと試みたものの,生きて戻った者は一人もいない。そして長い月日が経ち,隣国の王子が城へとやって来た。本作では,そんな王子となって,城に入る方法を探すことになる。
本作はいわゆるポイント&クリック型のアドベンチャーゲームで,操作はすべてマウスで行う。城の周りにある森にはドワーフや人魚族などが住んでおり,いばらの囲いを解いて先に進むためには,彼らの困りごとを解決してあげなくてはならない。本作の特徴であり,大きな魅力となっているステンドグラス風のグラフィックスはうっとりするほど美しく,童話の世界観にぴったりマッチしている。
基本的なゲームの流れは,森の住人達の話を聞き,あちこちのオブジェをクリックしてアイテムなどを集めていくというもの。ただし,謎解きの答えを間違えると,あわれ王子は別の生き物の姿に変えられ,城に向かったきり戻らなかった者の一人に加わってしまう。ええっ,マジですか……。可愛らしいグラフィックスとは裏腹に,微妙に残酷なところがグリム童話らしいとも言えるが,これにはびっくりした。
最初の王子が失敗すると,すぐに次の王子がやって来て,それまでに集めたアイテムを引き継いで冒険を再開できるが,その王子も失敗すると3人めがやって来て……という具合に,筆者はクリアまでに7〜8人の王子を犠牲にしてしまった。すまない,きっと君達は主人公じゃなかったんだ……。とは言え,ゲームの難度が高すぎるというわけではなく,次に何をすればいいか分からないときのためにヒント機能も用意されている。
ゲームとしては非常にオーソドックスだが,ステンドグラス風のグラフィックスはとにかく綺麗で,これだけでも一見の価値がある。ゲーム内のテキストは英語(もしくはイタリア語)だが,絵本を読み聞かせるように子供と一緒に楽しめるゲームなので,興味を持った人はぜひどうぞ。そんな本作はSteamにて798円で発売中だ。
■「Little Briar Rose」公式サイト
http://www.littlebriarrose.com/- この記事のURL:
キーワード