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インディーズゲームの小部屋:Room#608「Manifold Garden」
今年最後の3連休も終わり,あとはもう来年に望み(?)を託すだけの筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第608回は,William Chyr Studioの「Manifold Garden」を紹介する。本作は,エッシャーのだまし絵風の建物が無限に続く世界に,植物と生命を復活させていくというパズルゲームだ。働き方改革でどうにか週休3日にならないものか……。
シカゴに拠点を置くビジュアルアーティストのWilliam Chyr氏が,Unityを使ったゲーム開発の基本を勉強するために作り始め,2012年11月の開発開始から約7年の歳月をかけて完成させたという本作。その最大の特徴は,物理法則を越えた,現実にはありえない幾何学的な建物がどこまでも広がる,圧倒的な景観にある。
この世界は全方位に無限にループしている。上を見ても下を見ても,今自分が立っているのと同じ建物がどこまでも続いており,床から足を踏み出すと,どこか別の足場に降りない限り,そのまま永遠に落ち続けるはめに。高いところが特別苦手というわけでもない筆者でも思わず身がすくむので,高所恐怖症の人にはかなりスリリングな体験になるだろう。
ゲームの目的は,こんな無人の世界に植物と生命を復活させること。パズルの仕掛けはさまざまだが,序盤のうちは対応するスイッチを押したり,床に描かれた印の上に対応するブロックを乗せたりして扉を開けて,先に進んでいくことになる。しかし,この世界の建物は階段を上っていくと壁にぶち当たったりとだまし絵のようになっており,素直に探索するのは難しい。そこで重要となるのが重力の操作だ。
本作では重力を操作することで,それまで壁や天井だったところを床にして歩けるようになる。ただし,扉を開けるためのスイッチは,それが設置されているのと同じ面に立たなければ操作できず,ブロックを持ち運べるのも,それがもともと置かれていたのと同じ重力方向のときのみなど,さまざまな制約がある。パズルは最初のうちは簡単だが徐々に難しくなっていき,大いに頭を悩ませてくれる。
何より目を見張るのが,めまいを覚えるほどの“永遠”を感じさせる,圧倒的なスケールの世界観。どこまでも延びる階段を進んでいると,やがて自分が上っているのか下りているのかすら分からなくなってくる。仕掛けを解くことで世界が広がり,少しずつ生命が取り戻されていくときの演出も壮観だ。そんな現実では絶対に見られない景色に出会える本作は,Epic Games Storeで2080円で発売中。無限とか永遠という言葉の意味を身を持って感じたい人は,ぜひプレイしてみてほしい。
■「Manifold Garden」公式サイト
https://manifold.garden/- 関連タイトル:
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