［E3 09］根強いファンが多い人気クライムアクションの続編「Mafia II」が，遂にE3で初公開

　長いあいだ開発が続けられながら，なかなか我々の目の前に現れなかったサンドボックス型アクションアドベンチャーの最新作「Mafia II」が，ようやく今回のE3で公開された。
　前作「Mafia: The City of Lost Heaven」は，2002年5月にGathering of Developersからリリースされて話題となったものの，2001年末から2003年にかけてさまざまなプラットフォームで発売された「Grand Theft Auto III」の前には為す術がなかった。
　しかし，そのストーリーの深さや世界観のリアリズム，ドライビングシミュレーションとしてみてもかなりの完成度を見せていたことなどで，日本でも人気を呼んだ本作は，隠れた名作として多くのゲーマーの記憶に留められているはずだ。
　Mafiaシリーズを開発したIllusion Softworksは，謀らずもGrand Theft AutoシリーズのTake-Two Interactiveに買収され，2K Games傘下の2K Czechとなってしまったが，その分だけ，両ソフトの住み分けがしやすくなった部分はあるかもしれない。


　さて，今回紹介するMafia IIでは，1945年2月からゲームが始まり，1950年代半ばまでの主人公ヴィトのギャング家業を追っていく。
　貧しいイタリア系アメリカ人の家に生まれ，第二次世界大戦では負傷して除隊となった彼は，幼なじみの「ジョー」に誘われるがままにマフィアに加わることとなる。その後，さらに仲間に「ヘンリー」が加わって，やがてはエンパイアシティで勢力を張る，他のマフィアとの抗争に巻き込まれていくわけだ。

　そんな本作のデモを行ってくれたのは，2K Gamesのイギリスオフィスで同作のプロデュースを行う，Danby Grace（ダンビー・グレイス）氏である。Mafia IIは，前作同様，ストーリーにはかなり力を入れた内容になっており，比較的自由度の高さをウリにしていたGrand Theft Autoと比べると，話の流れに沿ってゲームを進めていくという趣向を強調しているのだという。
　そのため，1945年から50年代中期まで時代が進んでいく様子は，プレイ時間に合わせて時代（時間）が進んでいくのではなく，1945年中をある程度プレイした後（いくつかのミッションをクリアした後）で，時代が一気に移り変わるという手法になっている。天候もミッションに合わせて変更するスタイルが継承されているとのことだ。


　今回のデモで用意されていたのは，ヴィトら3人が借りた金を返さない“ファットマン”というあだ名の違法酒の密売業者を抹殺するというミッションだ。2月のエンパイアシティは雪が降り，路上も白くなっている。当然ながら，車はスリップしやすくなり，車の操縦もトリッキーな感じになっていた。
　主人公らがファットマンの工場の反対側にあるアパートに陣取ると，そこからドラマチックなスクリプトシーンが始まる。外の見える窓際で，ヴィトが経歴不明なヘンリーの出身地を聞き出すようなシーンなのだが，そんな会話を楽しみながらも，ファットマンを出迎えるために警護のチンピラ達が集まり出す外の風景も確認できる。
　ともあれ，そんな凝ったイベントシーンを堪能しているうち，護衛の1人がヴィトらの存在に気付く。そこからは，ファットマンの隠れる工場の部屋まで，激しい銃撃戦が行われることになる。

　本作のアクション部分で注目したいのは，プレイヤーキャラクターが木箱や柱などに近くと，自動的に背中を向けたりしゃがんだりという，最近のアクションゲームによく見られる“カバーリング行動”を取るところだろう。ジョーやヘンリーらと序々に進んでいく様子は，何か「Tom Clancy's Ghost Recon Advanced Warfighter」あたりの，スクワッドベース（小隊ベース）のゲームシステムを想像させるものだった。
　結局，ファットマンを殺した後にヘンリーが重傷を負ってしまい，医者のところまでヘンリーを運ぶために，燃え盛る工場を脱出。パトカーとカーチェイスしながら，長い橋の掛かった場所にまで行き着くが，そこで警察の張ったバリケードで立ち往生してしまい，大ピンチ……という状況でデモは終わった。

　ちなみにグレイス氏によると，今回はエンパイアシティだけで20以上の区画に分かれているなど，マップも非常に大きいものになるとのこと。昨今の箱庭ゲームの例に漏れず，かなりボリュームのある内容になりそうな雰囲気。大人向けのハードボイルドなアクションやストーリーを楽しみたい人には，うってつけのゲームとなりそうだ。
　発売日は，2010年前半を予定しており，対応プラットフォームはPC，Xbox 360，そしてPLAYSTATION 3の三つ。ぜひ日本でも発売してほしいタイトルだろう。