プレイレポート
マフィアの生き様を描く「Mafia II」ファーストインプレッション。デモ版をプレイしつつ,リアルな世界をムービーに収めてみた
2K Gamesが手掛ける本作は,1940〜50年代のニューヨークやサンフランシスコなどをモデルとした架空の都市「Empire Bay」(エンパイア・ベイ)に巣食うマフィアのアンダーグラウンドな生き様を,美麗なCGと物理シミュレーションによって体験させようという意欲作だ。
英語版の発売予定は8月27日。残念ながら日本語版の発売予定は今のところ立っていないようだが,ひとまずファーストインプレッションということで,デモ版をプレイしてみた印象をお伝えしてみたい。
リアルに作り込まれた街並みと
PhysXベースの物理効果は没入感満点
主人公が自宅を一歩出ると,そこには「平和に暮らす人々」がおり,公園のベンチでくつろぐ人,商売をする人,車を修理してる人など,彼らの何気ない生活がある。これが,写実的なグラフィックスと相まって,リアリティを高めているのだ。
止め絵でも写実感は十分にあるのだが,動いているときの迫力というか,没入感はさらに圧巻。というのも,Mafia IIは物理シミュレーションエンジンとして「NVIDIA PhysX」(以下,PhysX)を採用し,GPUによるPhysXアクセラレーションにも対応しているからだ。
なお,シングルGPU構成において,Medium適用が推奨されるGPUは「GeForce GTX 470」以上。「GeForce GT 240」以上のGPUをPhysXアクセラレーション専用のセカンダリGPUとして組み合わせたときは,衣類のシミュレーションは全キャラクターに適用されるという。また,Mediumではパーティクル数が3000のところ,Highではこの数が1万となり,推奨ハードウェアは,3Dレンダリング用がGeForce GTX 470以上,PhysXアクセラレーション専用GPUが「GeForce 8800 GT」以上となる。
ちなみに,衣服やパーティクルの表現には,PhysXをベースとした物理シミュレーションの規模を実行プラットフォームに合わせて自動的に制御する「NVIDIA APEX※」(以下,APEX)も採用されているとのことなので,PlayStation 3版やXbox 360版では,APEXにより,ゲーム機側の性能に合わせた規模でこれらのシミュレートが行われるはずである。
※Applied PhysX Extensionの略で,カタカナ読みでは「エイペックス」。布や爆発,自然の風景といった物理シミュレーションがモジュールとして用意されるフレームワーク(=枠組み)のことだ。詳細は解説記事を参照してほしい。
カーチェイスや銃撃戦などのミッションで
マフィアの世界を満喫せよ
見た目の話はこれくらいにして,ゲーム内容について触れていこう。
マフィア仲間のJoeからの電話に出ると,合流地点へ来いという最初のミッションが提示される。ここで普通はガレージにある車に乗って目的地へ向かうことになるのだが,別に走って向かっても構わないし,道路に駐車されている他人の車を盗んで乗っていくこともできる。
それどころか,指示されるルートとは正反対の方向へ進んでドライブを楽しんだり,サンドイッチ屋で買い食いしたり,通行人と喧嘩したり,スピード違反が見つかってパトカーとカーチェイスしたりと,移動方法というより,行動そのものの自由度が非常に高い。どんな行動を選んでもゲームの進行には関係なく,むしろ「警官に射殺されてゲームオーバーとなる確率が上がる」という意味において,攻略面では逆に手間が増えるだけなのだが,精巧に作られた街に立っていると,ついついこういう行為をしたくなってしまうのだ。このあたりは非常に“GTA的”といえるだろう。
そんな感じで,本筋から遠ざかるような寄り道をしてはゲームオーバーという行為を何度か繰り返したあと,ようやく最初のミッションの目的地に到着。するとストーリーが進行して次のミッションが指示される。ミッションを淡々とこなしていくことでストーリーが進むという基本的な流れは,前作から変わっていないようだ。
物陰に隠れるカバーアクションを駆使しながら,仲間のマフィアを援護したり,逆に援護されたりしつつ,敵のリーダーを追い詰めていく。ピストルが相手なら数発まで耐えられるので単身強行突破も可能だが,相手が火炎瓶やトミーガンとなると,うまく隠れてかわしつつ仲間と連携する必要が出てくるのである。
なお,ゲームプレイに関しては,前作から変更されている点がいくつかあるようだ。あくまでもデモ版から読み取れる範囲ではあるのだが,
- 体力が数値式からゲージ式に。ヘルスパックはなくなったようで,負ったダメージは時間経過で自動回復する方式が採用されていた。ただし,最大体力はダメージを負うごとに減少する
- 自動車を盗むとき,鍵がかかっていない車ならそのまま盗める。かかっていても,窓ガラスを割れば盗むことができる。いわゆるLockPickの技術の有無は不明。また,運転できる自動車の種類に制限はなくなったようだ
- 移動中に犯罪を犯して警察に追われる「Wanted」状態になっても,目的地に到着すればシナリオは進行する
というところか。デモ版だと,ミッションの遂行中,シナリオが進むごとに自動セーブされ,ゲームオーバーになった場合はそこから再スタートになる仕様で,手動でのセーブ/ロード機能は用意されていなかったのだが,このあたりが製品版でどうなるかは不明だ。
話を進めるだけならサクサク,
本題を忘れて遊びすぎてしまうのが嬉しくも辛い
もっとも,上で述べたとおり,そのあまりの自由度から,「ミッションの目的達成を目の前にしながら“いらないお遊び”をしたくなって,うっかり警官に射殺されゲームオーバー。またやり直し」ということも多々あったので,ついつい脇道にそれがちという性格の人は,気を付けないといつまで経っても先へ進めないかもしれない。いや,街並みの没入感が半端なく,ブラブラしているだけでも楽しいため,ミッションそっちのけになるのは仕方がないような気もするのだが。
デモ版は,いかにも絶体絶命なシーンで「続きは製品版で!」と幕を下ろすので,先が気になるストーリー展開ではある。英語版だとどうしても言語の壁があるため,できることなら,PhysXアクセラレーションが効くPCで日本語版をプレイしてみたいと思った。
これまでのマルチプラットフォームタイトル(の多く)と同様,最高の環境でプレイしたいなら英語PC版,日本語でプレイしたいならコンシューマ版ということになるのだろうか。日本語PC版発売の朗報があるといいのだが。
Mafia II公式Webサイト
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