インタビュー
可愛らしいキャラが変身して空を飛ぶ。MMORPG「TENVI」開発スタッフインタビュー(プレイムービー付き)
そのときのやりとりをお届けする前に,「TENVI」がどんなゲームか,簡単におさらいしておこう。大枠は横スクロールタイプのアクションRPGで,SF&ファンタジーモチーフが大きな特徴。キャラクターは2頭身で可愛らしい2Dグラフィックスだが,背景やボスモンスターは迫力のある3Dで描かれている。
ゲームの舞台は,地球ではないどこかの惑星にある「パブラワールド」。ここには三つの種族「アンドラス」「タリー」「シルヴァ」が住んでいたが,あるとき「宇宙連合」と呼ばれる,強大な敵が侵略を開始する。三種族は手を結んで,それぞれに従える守護者「ガーディアン」ともども,平和を守るための戦いに乗り出す。
アンドラスのガーディアンはロボット,タリーはダークヒーロー,シルヴァはドラゴン。それぞれ搭乗/変身/騎乗することで,戦闘能力が向上する。ガーディアンは所定のレベルで空を飛べるようになり,マップのなかには空からでないと進入できない場所もあるという。
横スクロールのライト系オンラインRPGとしては,SFモチーフが目新しい本作について,開発サイドから直接聞いた話をお伝えしよう。
「メイプルストーリー」よりやや上にターゲットを広げる
本日はよろしくお願いします。まず,TENVIの韓国でのサービス状況から教えてください。
ゴ・ガンイル氏:
2007年11月に2週間のクローズドβテストを行い,12月に行った1週間のオープンβテストを経て,2008年1月より正式サービスを開始しています。この7か月ほどで7,8回のアップデートが実施され,新コンテンツも追加されました。日本でTENVIのオープンβテストを実施する際には,クライアントを韓国と同じ最新バージョンにする予定です。
4Gamer:
プレイヤーの年齢層はどのあたりが中心でしょうか。
ゴ・ガンイル氏:
13歳未満が全体の40〜50%で,15歳以上になるとどの年齢帯も同じくらいという感じですね。
4Gamer:
10代前半が多いのは「メイプルストーリー」も同じだと思いますが,同じターゲット層を狙って,テイストの異なる新作を作ったと考えてよいのでしょうか?
いえ,TENVIにはパーティプレイが必要な場面もありまして,ゲームシステム的にも10歳以下の子供にはやや難しいと思われる部分もあって,メイプルストーリーよりは少し上の年齢層を狙っています。
4Gamer:
たいへん基本的な質問ですが,TENVIはステージクリア制なんですか?
オ・ミヨン氏:
いいえ。ジャンルはMMORPGで,マップはMMORPGらしく連続しています。町があって,その外にフィールドが広がっており,別途インスタンスダンジョンがあるという感じですね。
4Gamer:
1日平均何時間くらいのプレイを想定した,難度や成長バランスになっていますか?
オ・ミヨン氏:
いまのところレベルキャップは120で,そこへの到達にはだいたい1年から2年ぐらいかかるでしょう。
4Gamer:
先ほど話に出てきたインスタンスダンジョンを,普通のパーティで一つクリアするための所要時間はどのくらいでしょうか。
キム・ジンマン氏:
インスタンスダンジョンは5段階の難易度に分かれてまして,一番簡単なものなら10分以内でクリアできます。
4Gamer:
横スクロールのマップ同士はどうつながっているのでしょうか。
オ・ミヨン氏:
ポータルでつながっています。
4Gamer:
プレイヤーは一つのマップを攻略したら次のマップに移るという感じなのか,それとも次にどこへ向かうかある程度自由に選べるのか,どちらのイメージでしょうか?
ゴ・ガンイル氏:
どちらに進むべきというのはありませんが,ゲーム内のクエストを順番にこなしていくことを前提にすると,進行はある程度決まっていくと思います。
4Gamer:
では,一つのマップから次に移動可能なマップは,通常どれくらいありますか?
オ・ミヨン氏:
一つのマップからはポータルで,四つの別マップにつながっているのが典型的です。ポータル経由以外に,自動車に乗って移動する別の島などもあります。
ギルドとは別,より親密なコミュニケーションを狙う「ファム」
なるほど。では次に,ゲーム内でのコミュニティ機能について教えてください。
オ・ミヨン氏:
ゲーム内のコミュニティ機能には「ギルド」と「ファム」の二つがあります。また,これらとは別に,フィールドでプレイするためのコミュニティとして4名までの「パーティ」と,最大8名で組む「チーム」というものがあります。
4Gamer:
ギルドはある程度イメージできますが,ファムというのは耳慣れない言葉ですね。どんなものですか?
オ・ミヨン氏:
ファムは「ファミリー」というニュアンスです。とくに仲の良いプレイヤー同士が集まって作るもので,4名までしか登録できない,小さなグループになります。
4Gamer:
ギルドとファムの両方についてですが,そこに属している仲間がいまゲームに接続しているかどうかが一目で分かる,オンライン/オフライン表示機能などはありますか。
キム・ジンマン氏:
はい。接続状況はもちろん,相手がいまいる位置まで分かるようになっています。
4Gamer:
そうしますと,ギルドと別にファムというまとまりを作った狙いは,どこにあるのでしょうか。
ギルドには,メンバーだけが入れるマップといった独自のメリットがあるわけですが,一般にメンバーの数が多いので,何というか,人間関係が「重い」部分があると思います。
それに対してファムは――先ほど家族のようなものと言いましたが――本当に気の置けない友達だけを登録するもので,より気軽にチャットできるとか,ギルドより「軽い」存在になっています。
4Gamer:
ギルドマップという名前が出てきましたが,例えばPvPやGvGといった対人戦はできますか? もしできるなら,参加人数の単位を教えてください。
オ・ミヨン氏:
現在のところ,1 vs. 1での「決闘」に加えて,ゲーム内に「無制限決闘場」という場所が存在します。ここにチームやパーティを組んで入れば,自分達以外のチーム/パーティはすべて敵扱いになります。誰ともパーティを組まずに一人で参加すれば,自分以外すべてのプレイヤーが敵というわけです。ギルド同士のGvGの導入も検討中で,追加要素として実装される予定です。
4Gamer:
なるほど。ではゲームのプレイそのものと,シナリオ展開の関連についてお聞きします。TENVIに登場する三つの種族には共通の敵「宇宙連合」というのがいますね。ゲームをプレイしていくうちに,この宇宙連合の存在が明らかになる……といった謎解き要素はあるのでしょうか。また,今後のストーリー展開なども教えてください。
オ・ミヨン氏:
うーん,確かに基本ストーリーはありますが,全体としてストーリーに沿ってゲームが進行するというわけではありません。
4Gamer:
ではストーリーというよりは,背景世界設定でしょうか。
ゴ・ガンイル氏:
ただし,宇宙連合のボスが倒すべき敵としてクエストに登場する,といったことはあります。
4Gamer:
では,いかにもTENVIらしいクエストというのを,一つ具体的に教えてください。
オ・ミヨン氏:
最初に見ていただいたムービーの中に,プレイヤーがドラゴンと戦うシーンがあったと思います。あれは本来シルヴァ族と共存していたはずのドラゴンが,悪魔の力によってシルヴァ族を攻撃するようになってしまい,それを三つの種族が力を合わせて倒すというクエストになっています。
レベルアップごとに分岐/特化していく「覚醒」システム
ああ,そういうものだったんですね。次にキャラクターについてですが,種族のほかに職業の概念はありますか。
オ・ミヨン氏:
職業に似た「覚醒」というシステムがあって,どの種族でも4段階の覚醒が設定されています。タリーを例にすると,まずレベル10でローグ系とデバッファー系の二つに分岐し,それぞれ二つずつの固有スキルが習得できます。
次に,レベル30のタイミングでローグ系はダガー/クロウの二つに分かれ,デバッファー系も同様に召喚魔法か闇魔法の二つに枝分かれします。
また,固有スキルとは別に基本スキルがあり,これはローグ系,デバッファー系の両方を混ぜて習得することもできますが,特化しないとプレイ上は不利かもしれません。どちらか片方に決めて伸ばすのがベストでしょう。レベル30以降は,レベル70,レベル90,レベル110で分岐のタイミングがあります。
4Gamer:
種族ごとに異なるガーディアンですが,これはキャラクターのレベルや覚醒段階に応じて,一緒に能力や外見が変わっていくのでしょうか?
キム・ジンマン氏:
プレイヤーキャラクターのレベルが上がり,覚醒すると,使えるアイテムの幅が広がり,そのアイテムによってガーディアンの見た目が変わるという形ですね。
4Gamer:
覚醒に伴って,ガーディアン側に成長要素はないと。
ゴ・ガンイル氏:
能力が変わるのはあくまでプレイヤーであって,ガーディアンについてはアイテム装着による見た目と,アイテムのオプション以外に能力が変わることはありません。
4Gamer:
ガーディアンに騎乗したり,変身したりしていられる時間に制限はありますか?
ゴ・ガンイル氏:
いいえ。むしろガーディアンの状態で戦闘するのが基本システムになっていますので,制限時間はありませんし,ガーディアンに乗るために特殊なアイテムなども必要ないです。生産など,ガーディアンから降りなければできない操作が一部あるだけです。
ガーディアンを含め,キャラメイクの幅は広い
各種族で男女の性別や,髪型,顔のタイプなどは自由に選べるのでしょうか?
キム・ジンマン氏:
キャラクター作成時に男女の性別に加えて,外見についても顔/服の色,ヘアスタイル,ガーディアンの色などをカスタマイズできます。あとはカジュアルなオンラインゲームの定番といいますか,衣装を替えてプレイヤーの個性を出すことはTENVIでも可能です。
4Gamer:
ところで,三つの種族は違うアイランドに住んでいるという設定ですね。もしも友達と一緒にプレイしたいと思ったら,同じ種族を選ばないと,なかなかゲーム内で会えなかったりするんでしょうか。
キム・ジンマン氏:
マップ内の移動は自由です。ただ,他種族の村でクエストを受けても,褒賞でもらえるアイテムが種族専用の場合があるので,ちょっと損です。レベル20ぐらいまでは,各種族のアイランドでキャラクターを育てるのがよいと思いますので,初めから一緒にプレイしたいなら,種族を揃えたほうがよいでしょう。
4Gamer:
では今後のTENVIの方向性ですが,四つめ,五つめの種族が追加される可能性はありますか?
ゴ・ガンイル氏:
バランスの問題もありますので,しばらく種族を増やすことは考えていません。覚醒システムは韓国でも割と最近導入されたもので,これによって遊び方の幅はある程度広げられたと思います。
4Gamer:
日本でもアイテム課金制でのサービスが決まっているようですが,どんな種類のアイテムが販売されるのか教えて下さい。
キム・ジンマン氏:
有料アイテムは能力が上がるというよりも,おしゃれのためのアバターアイテムが中心になる予定です。
4Gamer:
獲得経験値が増えたり,ステータス値が上がったりする,いわゆるブースト系アイテムの販売はあまり考えてない感じでしょうか。
キム・ジンマン氏:
現時点では韓国でもブースト系アイテムの販売はしていません。とはいえ日本の有料アイテムラインナップは,今後ネクソンジャパンとの話し合いで決めたいと思います。
4Gamer:
それでは最後にみなさんから,日本でこのゲームに興味を持った人に向けて,アピールをお願いします。
MMORPGには難しくて複雑なものが多いというイメージがありますが,TENVIは分かりやすく,いろいろなお楽しみ要素が詰まっています。手軽に遊べるゲームなので,ぜひ日本のプレイヤーにも楽しんでほしいです。
ゴ・ガンイル氏:
三つの種族は,覚醒システムでさまざまなスキルを身につけ,レベルが上がるほどに,個性的なキャラクターが作れます。TENVIを好みのプレイスタイルで遊んでみてください。
キム・ジンマン氏:
横スクロールタイプのRPGというと,子供向けのゲームと思われがちだと思います。確かにTENVIも操作は簡単でとっつきやすいけれど,奥深いゲーム性も持ち合わせています。第一印象だけで子供向けと思わず,大人の方もぜひ時間をかけて,じっくり楽しんでください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
それはさておき。横スクロールライト系のオンラインRPGとして,「メイプルストーリー」はすでに定番の地位を確立したと思う。その良さ,つまりキャラクターの可愛らしさと操作の簡単さ引き継ぎつつ,新たにSFテイストで,より深いやり込み要素を持つのがTENVIだという。
まだ作品に触れられない現時点では,その深さがいかばかりのものかは分からないが,絵柄や動きを見る限り,確かに年齢/性別を問わず楽しめそうな雰囲気である。
ともあれオープンβテストはもうすぐ(8月21日)であり,彼らがアピールしたポイントが実際にどういう形で,どう楽しいのか確かめるまでに,さほど時間はいらない。楽しみに待ちたいと思う。
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