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メカニカルスイッチ採用のDHARMAPOINT製ゲーマー向け日本語“フル”キーボード「DRTCKB102PBKS」「DRTCKB102UBK」レビュー掲載
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印刷2009/02/21 11:00

レビュー

DHARMAPOINT初の日本語メカニカルキーボード2製品,その価値を探る

DHARMA TACTICAL KEYBOARD
(DRTCKB102PBKS,
DRTCKB102UBK)

Text by 米田 聡

»  DHARMAPOINTのキーボード第2弾にして,初の10キー付き仕様,初のメカニカルスイッチ仕様を採用した製品のレビューをお届けしたい。PS/2接続モデルとUSB接続モデルの2種類が用意された意味,そしてそもそも,どこまでゲーム用途に最適化されているのかを,米田 聡氏がチェックする。


DHARMA TACTICAL KEYBOARD(DRTCKB102PBKS,
DRTCKB102UBK)

メーカー:DHARMAPOINT(シグマA・P・Oシステム販売)
問い合わせ先:シグマインフォメーションセンター 0120-917-498
実勢価格:1万2500円前後(DRTCKB102PBKS,2009年2月21日現在),1万1500円前後(DRTCKB102UBK,同)
画像集#002のサムネイル/メカニカルスイッチ採用のDHARMAPOINT製ゲーマー向け日本語“フル”キーボード「DRTCKB102PBKS」「DRTCKB102UBK」レビュー掲載
 シグマA・P・Oシステム販売が展開し,国内で製品の開発を行っているゲーマー向け周辺機器ブランド,「DHARMAPOINT」(ダーマポイント)。
 同ブランド初のキーボード製品「DHARMA TACTICAL KEYBOARD(DRTCKB91UBK)」は,東プレ製品「Realforce」をベースとしたカスタムバージョンだったが,第2弾となる「DRTCKB102」シリーズは,ZF Electronics(旧Cherry)の「MX」メカニカルキースイッチ,いわゆるCherry黒軸を採用し,さらには独自のキー配列を採用して底面積の省スペース化を図るなど,各所に“DHARMAPOINTらしさ”を出そうとした跡が見える意欲作だ。
 では,実際のところ,使い勝手はどのレベルに達しているのか。今回はそのあたりを掘り下げてみることにしよう。


日本の平均机上サイズを考慮した横幅379mm

カーソルキーなどは特殊配置に


DRTCKB102PBKSに付属するDRKBCN(写真左上)。PS/2メス−USBオスという仕様のコンバータだ
画像集#018のサムネイル/メカニカルスイッチ採用のDHARMAPOINT製ゲーマー向け日本語“フル”キーボード「DRTCKB102PBKS」「DRTCKB102UBK」レビュー掲載
 DRTCKB102シリーズには,PCとの接続インタフェースとしてPS/2を採用した「DRTCKB102PBKS」と,USB 1.1を採用した「DRTCKB102UBK」の2モデルが用意されている。両製品の基本仕様はまったく同じで,マニュアルも同じ。異なるのはあくまでも接続インタフェースのみだ。
 ただし,PS/2接続のDRTCKB102PBKSには,DRTCKB102シリーズと同時発売されたDHARMAPOINT製のPS/2−USB 1.1変換アダプタ「DRKBCN」が付属し,USB接続も可能になっているため,あえて上下関係をつけるなら,PS/2&USB両対応となるDRTCKB102PBKSのほうが上位モデル,ということになる。

DRTCKB102シリーズを正面から見たカット。これはDRTCKB102UBKのものだが,もちろんDRTCKB102PBKSもまったく同じ外観だ。なお,本稿では以下,インタフェース部分を除く写真について,両製品どちらを撮影したものか言及しないので,この点はあらかじめお断りしておきたい
画像集#003のサムネイル/メカニカルスイッチ採用のDHARMAPOINT製ゲーマー向け日本語“フル”キーボード「DRTCKB102PBKS」「DRTCKB102UBK」レビュー掲載

 上に示した写真を見ると分かるのだが,DRTCKB102シリーズの両製品は,「一般的なフルキーボードから,“カーソルキーや[Insert][Delete]キーなどの段”を削って,メインキーボードと10キー部をくっつけた」ようなデザインになっている。
 縦横のサイズは379(W)×150(D)mm。一般的なフルキーボードは横幅が440〜470mm程度あるので,ざっと60mm程度は短くなっているわけだ。

 キーボードの幅が狭ければ,その分だけマウスパッド用のスペースを広く取れるというのは言うまでもない。ただし,だからといってキーピッチを一般的な19mmよりも短くしてしまうと,打ちづらくなってしまう危険性がある。そこでDHARMAPOINTは,

  • 一般的な日本語109キーボード仕様をベースとし,10キー部を搭載すること
  • 一般的な19mmのキーピッチを確保すること
  • 机上サイズ(※机のサイズではない)の横幅を800mmと仮定したうえで,その半分となる400mmをマウスパッド用に確保し,ローセンシ志向のプレイヤーに不便さを感じないこと

以上3点を前提として,小型化を図った。その結果がDRTCKB102であると,製品マニュアルに用意された技術解説コラム「プロダクションノート #007」内で述べられている。
 もちろん,省スペース化に当たって,特定のブロックがまるまる削られている以上,犠牲になるキーは出てくる。具体的には,

[=]キーは,「[Shift]キー+[−]キー」をエミュレートしたキーで,繰り返し入力はされない。DHARMAPOINTによると,表計算ソフトにおける利便性向上のためだけに追加されたもので,ゲームとの関連性はないとのことだ。その意味で,[=]キーは,DRTCKB102において,唯一ゲーム的でない部分といえるかもしれない
画像集#004のサムネイル/メカニカルスイッチ採用のDHARMAPOINT製ゲーマー向け日本語“フル”キーボード「DRTCKB102PBKS」「DRTCKB102UBK」レビュー掲載
  • 左右[Windows]キー
  • [Menu]キー
  • 右[Alt]キー
  • [Home]キー
  • [End]キー
  • [Page Up]キー
  • [Page Down]キー

の八つ。[Windows]キーと,メニューウインドウ風のイラストとカーソルが描かれる[Menu]キー(※通称「アプリケーションキー」)が省かれているので,「日本語106キー配列から,5キーを省略したもの」と説明したほうが,より正確かもしれない。
 面白いのは,製品名にもあるとおり,102キー仕様であることだ。実は,10キー部分に,見慣れない[=]キーが追加されており(※手元のキーボードとと見比べてほしい),これにより,“109−8+1=102”となっている。


■[Windows]キーを省略するという英断


 省スペース化に当たって,どのキーを削り,どれを残すかについては,開発側もずいぶんとこだわったようだ。

左[Ctrl]キーと[Space]キーの間にあるのは,左[Alt]キーと[無変換]キーのみ
画像集#005のサムネイル/メカニカルスイッチ採用のDHARMAPOINT製ゲーマー向け日本語“フル”キーボード「DRTCKB102PBKS」「DRTCKB102UBK」レビュー掲載
 最大のものは,[Windows]&[Menu]キーが省略されている点である。
 ゲーム中に左[Ctrl]キーなどを押そうとしてうっかり左[Windows]キーを押してしまい,面倒なことになってしまった経験のある読者は多いだろう。ゲームプレイに当たって,[Windows]キーは明らかに不要なのだが,ゲーマー向けキーボードでも,完全に省略したものはほとんどない。何らかの方法で機能を無効化できるようにする――例えばDRTCKB91UBKだと,付属のキーストッパーを使えば物理的に押せないよう加工できた――ことで対応するのが普通だ。

 これに対してDRTCKB102では,[Windows]キーを省略したことで,こういった事後対応を行う手間がなくなっている。また,できる限りフルキーボード仕様に近づけたことで,(コンパクトキーボードやノートPCのキーボードでよく見かける)[Fn]キーも必要なくなり,結果として,左[Shift]と並んでゲームプレイ時に多用される左[Ctrl]キーが大きくなるという,副次的なメリットも生まれている。
 このあたり,DHARMAPOINTは前出のプロダクションノート内で,

現在においてWindows中心に動いている我々パソコン周辺機器業界ではWindowsキーのないキーボード開発など新製品においては,ほぼ考えられないのが実情だ。Windowsキーがあることで,一般のユーザーには現在のOSに則したウィンドウズ○○対応のキーボードとアピールすることもできる上に実用面においてもWindowsキーを使う便利なショートカットキーが目白押しでマーケティングサイドからいえば,拾わない手はないというほどのキーであり発売するにあたってWindowsキーが付いていないのは自殺行為とでも判断される世界なのである。(※原文ママ)

と,[Windows]キーを省略することに,かなりの議論があったことを振り返っているが,いくら一般ユーザー向けのメリットがあっても,“うっかり押すと,最悪デスクトップに戻ってしまう”という,ほとんど自爆ボタンのようなキーは,やはりゲームには不要なのである。この点で,[Windows]&[Menu]キーの省略と,[Ctrl]キーの大型化は,大いに賞賛したい決断といえるだろう。

左はDRTCKB102PBKS,右はDRTCKB102UBKの製品ボックス。「Designed for〜」とか「Certified for〜」とかいった,Windowsのロゴはどこにも貼られていない
画像集#006のサムネイル/メカニカルスイッチ採用のDHARMAPOINT製ゲーマー向け日本語“フル”キーボード「DRTCKB102PBKS」「DRTCKB102UBK」レビュー掲載 画像集#007のサムネイル/メカニカルスイッチ採用のDHARMAPOINT製ゲーマー向け日本語“フル”キーボード「DRTCKB102PBKS」「DRTCKB102UBK」レビュー掲載

画像集#008のサムネイル/メカニカルスイッチ採用のDHARMAPOINT製ゲーマー向け日本語“フル”キーボード「DRTCKB102PBKS」「DRTCKB102UBK」レビュー掲載
かなり特殊なカーソルキー周辺。個人的には,日常的に利用する右[Alt]キーが省略されたのは残念。また,“カーソルキーは[Enter]キーの右下”と憶えている人だと,カーソルキーに慣れるのは時間がかかるだろう。なお,省略された[Home]キーなどは,「[Shift]キー+10キー部にある対応キー」で代用可能
画像集#009のサムネイル/メカニカルスイッチ採用のDHARMAPOINT製ゲーマー向け日本語“フル”キーボード「DRTCKB102PBKS」「DRTCKB102UBK」レビュー掲載
本体にインジケータを取り付けるスペースがないこともあって,インジケータはキートップに埋め込まれている。手元が光るので,オン/オフが分かりやすい
 また,カーソルキーをメインキーボード部へ“統合”するため,右[Alt]キーの省略や右[Ctrl]キーの移動,右[Shift]キーの小型化がなされているのも重要なポイントだ。
 キーボードとしての利便性を考えると,確かにカーソルキーはあったほうがいい。カーソルキーでFPSをプレイする人が存在することも考えると,カーソルキーの周囲,指が届きやすい部分にキーが豊富なのも歓迎できるが,一方で,このあたりの配置が相当特殊なものになってしまい,慣れるまで時間を要するという減点材料もある。

 ところで,横幅を短くし,空いたスペースにキーを詰め込んだことで,LEDインジケータを埋め込む場所がなくなったため,[Caps Lock][Scroll Lock][Num Lock]キーには,それぞれ緑色LEDが埋め込まれているのだが,これが思いのほか便利だ。とくに[Caps Lock]キーは,うっかりオンになっていると,パスワードの入力ミスが発生したりすることもあるのだが,LEDにより,Caps Lockされているかどうかが直感的に分かりやすくなっているのはいい。


クセのないキーの並びと

黒軸スイッチは好印象


本体底面。写真だと,滑り止めは計10か所以上あるようにも見えるが,実際はチルトスタンドとその隣に貼られた長方形のゴム,本体手前(※写真左下)両端の丸いゴム,計6点のみが滑り止めとして機能する
画像集#010のサムネイル/メカニカルスイッチ採用のDHARMAPOINT製ゲーマー向け日本語“フル”キーボード「DRTCKB102PBKS」「DRTCKB102UBK」レビュー掲載
 本体の重量はケーブル込みで約1kg。ケーブルを重量計からどかしてみた参考値は約900gで,そのサイズに反し,かなりずっしりとした重みがある。本体底面には滑り止めのゴムが4か所貼られ,さらにチルトスタンドにもゴム製のカバーが取り付けられているので,チルトを立てたときも立てていないときも,十分な安定感が得られている印象だ。

 高さはチルトスタンドを立てない状態で,キートップを除き29mm(公称値)となっており,チルトスタンドを立てると本体の奥側が44mm(同)に持ち上がる。キートップの高さは実測で10mmだ。キーの配置は,手の形に沿ってわずかに湾曲しながら階段状に並ぶシリンドリカル・ステップスカルプチャ(Cylindrical Step Sculpture)仕様である。

キーの配置は,高級キーボードで一般的なシリンドリカル・ステップスカルプチャ仕様。前述のとおり,標準的な19mmキーピッチを採用することもあって,(特殊配列の部分を除けば)打鍵しづらさはまったく感じない
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キースイッチは,ハイエンドキーボードで定番の一つとなるCherry黒軸。メカニカルスイッチらしい,安定感と軽い操作感が特徴だ。キートップな滑らかな手触りのツヤ消し仕上げで,品質は上々。一方,本体の樹脂は大した塗装もされておらず,やや安っぽい
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 本稿の冒頭でお伝えしているとおり,キースイッチはいわゆるCherry黒軸。押し込むほど押下圧が高くなる「MX Linear action」というタイプのスイッチが採用されている。初めてこのスイッチに触れた人は多少重く感じるだろう。実際,公称の押下圧は60±20gと,同30gのDRTCKB91UBKと比べて,単純計算で2倍重いわけだ。
 ただし,ここで注目すべきは「±20g」のところで,DRTCKB102では実のところ,押し始めの押下圧は公称40g。コインを使った実測では,30g強くらいからキーが沈み始めるようで,実際の操作感は40gというスペックよりさらに軽い。

 したがって,DRTCKB102を使うポイントは――黒軸スイッチを搭載するほかのキーボードと同じだが――「底まで押し込まないこと」である。底まで押し込むクセがある人にはとても重く感じられるので,その場合,慣れるまでは操作に戸惑うだろう。

 ちなみに,キースイッチが反応する深さは約2mmほど。キーストロークは4mmあるので,半分ほど押し込んだところでスイッチが反応することになる。2mmというストロークは,最近のゲーマー向けキーボードとしては標準的で,一般的なキーボード製品と比べると浅い。軽いキーと浅いキーストロークにより,軽快な操作を行える。

幅広の[Space]キーなど,大きめのキーには,スタビライザーが埋め込まれており,安定した打鍵感が得られる
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 もう一つ,キースイッチと合わせて注目したいのが,[Space]キーや左[Ctrl]キー,[Enter]キー部に用意されたキースタビライザーだ。一般的なキーボードだと,針金製のバーとバネによる簡易的な機構で左右がぐらつかないよう支えられているのだが,キーの端のほうを押すと,キーが斜めに傾いて,スイッチが思うように反応しないことがある。ワンテンポ遅れる感じ,と述べたら伝わるだろうか。
 これに対して,ZF Electronics純正とされるこのスタビライザーは,キースイッチとほぼ同等の機構によってできており,キーのどこを押しても,同じようにキー全体が沈み込んでくれる。押下圧が,キーの中央と左右両端でほとんど変わらないのもポイントが高い。


PS/2モデルは16キーの同時押しに対応

PS/2−USB変換アダプタ,USBモデルも及第点


DRTCKB102PBKS(上)とDRTCKB102UBK(下)は,接続インタフェースが異なる
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 打ちやすさや軽さなど,総合的なキーの品質に関しては十二分に合格点を与えられるDRTCKB102シリーズ。だがゲーム,とくにFPSをはじめとしたアクションタイトルをプレイするときには,最低でも4キー以上の同時押しにしっかりと追従できることが求められる。
 この点,DHARMAPOINTは,DRTCKB102シリーズについて,「Nキーロールオーバー」仕様を採用したとしている。DHARMAPOINTは,Nキーロールオーバーについて「同時にキーを押した際にすべてのキーの入力を読み取れる機能」(※プロダクションノートより原文ママ)と定義しているので,要するに,三つのキーが押されたら,三つのキーすべてが読み取れなければならないというわけだ。

 ここで注意する必要があるのは,Nキーロールオーバーという仕様とは別に,PS/2接続のDRTCKB102PBKSは,PS/2−USB変換アダプタであるDRKBCN使用時に最大10キー,USB接続のDRTCKB102UBKは最大6キーと,同時押し対応の上限が定められていること。USBの仕様により,同時押し可能なキーの数は最大6※で,DRTCKB102UBKは仕様どおりというわけだが,DRKBCNがそうでないのは興味深い。

※多くの場合,USBキーボードが一度に転送できるデータ量は8bytesと規定されており,先頭の1byteは[Ctrl]や[Alt]などといった修飾キーの情報が入り,2byteめはreserved。残る6bytesに,押されているキーの情報が1byteあたり1個入るため,修飾キーを除くと最大6キー,ということになる。

 そこで今回は,データが明らかになっていないDRTCKB102PKBSのPS/2接続時も含め,2製品3パターンの同時押し対応数をチェックしてみることにした。具体的には,同時に押されているキーをDirectInputのAPIで調べる自作ツール「4Gamer Keyboard Checker」のβ版を用いて,実際に同時押し対応数を確認する。一般的なPCゲームタイトルと同じAPIでテストできる本ツールに関しては,最終の動作確認を経て,できるだけ早く公開する予定だ。

 というわけで,まずはDRTCKB102PBKSを,PS/2インタフェースで接続した環境での動作結果を示したのが,下の画面である。結果はご覧のとおりで,最大16キー。「全キー同時押し」というインパクトはないものの,指の数が10本ということを考えれば,まったく問題のないレベルであるといっていいだろう。

ツールでは,「押されている」ことを読み取ったキーが黒くなる。PS/2インタフェースで接続した場合には,ご覧のとおり最大16個のキーを検出できている。実はこの状態でほかのキーも押しているのだが,検出されなかった
画像集#017のサムネイル/メカニカルスイッチ採用のDHARMAPOINT製ゲーマー向け日本語“フル”キーボード「DRTCKB102PBKS」「DRTCKB102UBK」レビュー掲載

 続いて,DRTCKB102PBKSを,同製品に付属するDRKBCN経由でUSB接続したときの結果を示したのが下の画像だ。仕様では10キーのはずなのだが,実際には最大14〜16キーを検出できている。
 この理由は何だろうか。DHARMAPOINTに確認したところ,「Windowsは,11キー以上を同時に押すと,キーボードの種類,もしくはタイミングによって,2〜3キーがリピートされ,ユーザーの意図しないキー入力が発生する。そのため,問題の発生しない10キーまで(を仕様)としている」という回答が得られた。

DRTCKB102PBKS+DRKBCNだと,おおむね14キー程度が認識された。押すタイミング次第では,同時に16キーまで反応する
画像集#019のサムネイル/メカニカルスイッチ採用のDHARMAPOINT製ゲーマー向け日本語“フル”キーボード「DRTCKB102PBKS」「DRTCKB102UBK」レビュー掲載

 実際,テストを重ねると,(必ず発生するわけではないが)押していないキーが押されたかのように反応したり,押されっぱなしになってしまったりする現象
に出くわすことがあった。DRTCKB102PBKS+DRKBCNで,仕様とテスト結果に違いが生じたのは,この現象によるものだったというわけだ。つまり,この現象を無視すれば,10キーを超える同時押しも可能ということになるが,DHARMAPOINTの保証外になるのでご注意を。DRKBCNでサポートされるのは,あくまで10キーの同時押しまでである。
 ちなみにこの現象,100%の再現性があるわけではなく,限りなくバグっぽいのだが,現時点ではWindowsの仕様とされているようだ。DHARMAPOINTでは,Windows以外のOSだと,この問題が起きないことを確認しているという。

試しに,全キー同時押しに対応した「SteelSeries 7G」を用いて,全キー同時押しテストをしてみた結果。10数キーくらいまではほぼ問題ない(左)のだが,30キーくらい同時に押すと,その後,いくつかのキーが押されっぱなしになる現象を確認した。右は,指をキーボードから離した状態のスクリーンショットだ。6キーが“入力されたまま”になってしまっている
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DRKBCNとDRTCKB102PBKSのPS/2コネクタと接続したところ。なお,単体販売時の実勢価格は2900円前後(2009年2月21日現在)となっている
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 ちなみに,このDRKBCNは単体でも購入可能で,多くのキーの同時押しに対応した他社製PS/2キーボードをUSB変換するアダプタとしても利用できる。もちろん,2〜3キーの同時押しにしか対応しないキーボードと接続しても,10キー同時押し対応になったりはしないが,ノートPCなどでも,普段から使い慣れたゲーマー向けキーボードを接続したいという場合には,重宝しそうだ。

 さて,最後に,後回しになってしまったが,USB接続版のDRTCKB102UBKの検証結果も念のため掲載しておくことにしよう。ご覧のとおり,カタログどおりのテスト結果となっている。

USBインタフェースバージョンのDRTCKB102UBKではカタログ通り最大6キーが限度だった
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ゲームでの操作性は申し分なし

キー配列が気にならなければ買い


 以上,レイアウトやスイッチの品質,同時押しなどについて細かく見てきたが,実はここまでで,ゲームでの使い勝手に関するポイントは,一通り述べ終えた感じだ。現時点で筆者が最も慣れているFPSである「Enemy Territory: Quake Wars」(以下,ETQW)や,最近始めた「Quake Live」のβテスト版,いずれにおいても,DRTCKB102シリーズの操作性は高いレベルにある。

画像集#024のサムネイル/メカニカルスイッチ採用のDHARMAPOINT製ゲーマー向け日本語“フル”キーボード「DRTCKB102PBKS」「DRTCKB102UBK」レビュー掲載
 そのなかでも感心させられたのは,[Space]キーの使い勝手だ。ETQWやQuake Liveにおいて,筆者は[Space]キーをジャンプに割り当てているのだが,前述したスタビライザーの効果は抜群で,キーのどこを押しても安定した押し心地が得られる。左右に移動しながらジャンプし続けて敵の弾をよける,いわゆるバニージャンプ(あるいはバニーホップ)の精度は確実に上がる印象だ。

 同時押し数に制限が少ないことがゲームプレイにもたらす安心感も,ほかには変え難い。ちょっとしたこと,例えば「武器の変更」一つ取っても,一般的なキーボードを使っていると,同時押し数の制限に当たって,「武器変更のショートカットキーを押したはずなのに……」といったことがよく起こるが,DRTCKB102において,その心配は無用だ。右手でマウスを握っている限り,同時押し数が最大6のDRTCKB102UBKでも不安はない。PS/2接続で使いたい場合や,6キーでは不安という場合には,DRTCKB102PBKSを選択する,といった感じだろうか。
 キーボードサイズも,実際にディスプレイの前にマウスパッドとセットで置いてみると,その小ささを実感できる。極端に小さいというわけではないので,一般的なフルキーボードからの移行でないと,メリットとして感じるのは難しいかもしれないが。

 本製品に問題があるとすると,やはりそれはキー配列,ということになる。DHARMAPOINTがこだわり抜いた配列であり,そこに意味があることもよく分かるのだが,メインキーボード部右端が変則的であることは確かだ。
 [W/A/S/D]まわりには何のクセもないので,ゲーム中に違和感を覚えることはまずないだろう。また,メインキーボード部右端部分も,19mmピッチ自体は守られているため,慣れの問題といってしまえばそれまでかもしれない。

 ただ,これまで一般的なフルキーボードに慣れ親しんできたタイプの人だと,とくにゲームをプレイしていないときに,カーソルキーを使いづらく感じそうだ。また,[Delete][Insert][Page Up][Page Down]キーなどが,“普通に”配置されていることを前提として,フルキーボードを選んできた人だと,最初は相当な違和感と戦うことになるだろう。キーボードを買い換えるのに当たって,そういう「慣れる作業」を苦痛だと思う人には,残念ながら勧められない。

 逆にいうと,キー配列にハードルの高さを感じない人にとっては,間違いなく最良のゲーマー向けキーボードの一つだ。ハードウェアとしての完成度は非常に高く,かつ,Cherry黒軸仕様のメカニカルキーボードとしては価格もまずまず。ゲーム,そして一般的なPC用途にと,とことん使い倒せるハイエンドキーボードを探しているなら「買い」である。
  • 関連タイトル:

    DHARMAPOINT

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