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[AGDC 08#06]進化するEA DICE 〜 「Battlefield Heroes」がもたらした社風の変革
Battlefield Heroesは,「Free to Play」と欧米で呼ばれる基本プレイ無料のビジネスモデルを中核にした三人称視点型シューティングゲームだ。EA DICEのみならず,パブリッシャとなるElectronic Artsにとっても,初めてのFree to Playゲームとなる。新たな市場開拓を目指す,北米では実験的なビジネスモデルでリリース予定だ。
とはいえ,すべてが目論見どおりに運んだわけではない。本来なら企画やゲームエンジンのカスタマイズに3か月,制作に4か月,そしてβテストからローンチまでに2か月と,2007年末から始めて2008年8月中にはリリースされる予定だったのだが,いまもってプロのテスターのみによるクローズドβテストの段階であり,現在のところ2008年末リリースとだけアナウンスされている。
今回明かされたBattlefield Heroesの構成内容は,以下のようになっている。
軍の数:2
使用可能なキャラクター数:4 (※1アカウントにつき)
レベル:2
武器の数:22
武器の種類(クラス):11
乗り物の数:8
プレイヤー数:16
ゲームモード:1
オブジェクト:34
建物の種類:9
キャラクターアイテム:112
アニメーション:1528
ファイルサイズ:250MB
当然ながらこの数字は今後変更されるであろうし,ローンチ後にはマップやアイテムを随時追加予定というが,レベルが二つしかないことや,建物のパターンが九つしかないことなどは特筆に価するだろう。
プレイヤー数が16人というのも,Battlefield 2142の4分の1でしかないわけだが,「Battlefield Heroesのターゲット層は,これまでと異なる」として,それほど気にしていない様子。「FPSを知らない人達に,どう楽しんでもらうか」というEA DICEの意図は,ゲームモードがConquestの改良型一つしかないことからも伝わってくる。
そんなレネ氏の開発チームだが,最も苦労しているのが,70人余りにのぼるチームメンバー間のコミュニケーションだという。「このまま運営チームへと移行したくない」というプログラマー達や,アウトソーシング先のアーティスト達,そして本作のために雇い入れたWeb専門のプログラマーやアーティストら契約社員といったふうに,まとめ上げるのが非常に難しい陣容なのである。
開発ディレクターであるレネ氏は,そんな彼らに「我々はHeroesチームという一つのチームなのだ」と説いて回り,毎日のコミュニケーションを絶やさないようにしているとのこと。
本作の開発には,中核メンバーがいるスウェーデン本社,Webプラットフォームを開発するEA Redwood City本社に加えて,アートワークのEA Shanghai,ネットワークの調整を担当するEA UKの職員が参加している。また,テストやローカライズまで含めると,さらにアメリカのアトランタ,ブルガリア,インド,アルゼンチンなどが加わる。まさに世界を股にかけて開発が行われているのである。
レネ氏は「社内でほかのプレジェクトに関わる仲間達には,もうすぐHeroesの開発も終わるんだよな? と聞かれるんですが,実はそうではありません。我々Heroesチームは,この作品をローンチしてからがスタートだと思っています。ファンのことを優先に考えるなら,我々は自分達を開発チームではなく,サービスチームだと思わなければなりません。頭を切り換えるのは,早ければ早いほど良い」と,今回の講義を締めくくった。
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