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[GDC2008#02]MMOG界の伝道師ラフ・コスター氏が語る「理想の窓」
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印刷2008/02/19 17:15

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[GDC2008#02]MMOG界の伝道師ラフ・コスター氏が語る「理想の窓」

 ますます幅の広がりを見せているGame Developers Conferenceは,このところ「Serious Game Summit」や「Casual Game Summit」,そして2007年の「Mobile Game Summit」のように,さらに細分化された“サミット内サミット”が増加傾向にある。これは多様化していくゲーム業界のニーズに応えるためであり,2008年もMMORPGやバーチャルワールド関連の話題が一つにまとめられ,「World in Motion Summit」として,現地時間の2月18日に丸1日を使って開催された。

ラフ・コスター(Raph Koster)氏
画像集#002のサムネイル/[GDC2008#02]MMOG界の伝道師ラフ・コスター氏が語る「理想の窓」
 その基調講演を務めることになったのが,「Ultima Online」のリードデザイナーや「Star Wars Galaxies」のプロデューサーなど,一貫してMMORPG畑を進んできたラフ・コスター(Raph Koster)氏である。彼は現在,Areaeという自身の開発チームを率いて,誰でも簡単にゲームを作ってウェブ上に公開できるという新サービス「metaplace」を制作中だ。

 コスター氏は,スピーカーとしてのセンスがゲーム業界の中でもズバ抜けて優れた人物で,「ゲーム開発をせずに講演用のスライドばかり作っているのではないか」と思うほど,さまざまな引用文やイメージを使ったトークが巧みな人物である。今回の講演の議題は,「高い窓」(High Windows)というもので,最初のスライドは「残虐なイメージを含みます。健康に問題ある人は注意してください」という,ホラー映画の出だしなどに見られるような注意書きから始まり,いきなり入場者の興味をぐっと惹きつけた。

 コスター氏が言うには,「Club Penguin」「Second Life」そして「World of Warcraft」といった,オンラインのゲームビジネスというのは,“低い位置にある窓”だそうだ。現在のMMOゲームは,テキスト型オンラインゲーム「MUD I」の時代から根本的に変わっていることはなく,人々の見たい世界だけを見せる,もしくは開発者が見せたい自分の世界を見せるということに終始しており,その意義はディズニーランドのようなテーマーパークと何ら変わるところはないのだという。

 今回の講演において,コスター氏が最も重要なゲーム開発者達への問いかけとしていたのが,「我々の(最も価値を置くべき)規範とは何なのか」(What is our Imperative?)というものだ。ゲーム制作には,モラル,金銭,名誉,実用性など,開発者がそれぞれ異なる動機を持って臨んでいることは間違いないが,コスター氏は1980年代に零細企業が開発して(少しだけ)話題を呼んだ「飛ぶ車」を例に挙げて,「開発者としての夢,ひいては人々の生活を良いものにしようという信念」が,ゲーム開発の現場から失われているのではないかと危惧する。

画像集#003のサムネイル/[GDC2008#02]MMOG界の伝道師ラフ・コスター氏が語る「理想の窓」
 コスター氏は,これまではどちらかというとWeb 2.0時代に合わせたUCC(ユーザー・クリエイテッド・コンテンツ)を利用したコンテンツビジネスの話題に終始することが多く,彼の著書である「『おもしろい』のゲームデザイン - 楽しいゲームを作る理論」(Theory of Fun for Game Design)とは,どこかかけ離れたビジネス論になることが多かった。しかし,今回コスター氏がWorld in Motionサミットの基調講演として選んだのが,これまでに彼の口からは発せられることのなかった,コンテンツ制作者としての理想論だったのは興味深い。「高い窓」というのは,商業ビジネスであるゲーム開発に携わる人間が,たとえ届かなくても追い求めていくべき理想を表現した言葉なのだろう。

 コスター氏の母は,現在UNICEFに勤める職員であるらしく,アフリカのダルフール紛争やハイチの貧困といった社会問題は,常にコスター自身の頭の中にひっかかっているらしい。気にかかっていても「遠すぎるために忘れてしまいがちな問題」であり,それを身近な問題にしてくれるのは“バーチャル世界”以外にないのではないか,というわけだ。非常に重いテーマではあるが,「自分の好みの人生を,新しいコンテクストの中で再生させるだけなら進化とはいわない」とし,その意味で,先に「ディズニーランドと変わらない」と表現されたMMOゲームには,「さして未来はないのだ」と断言している。
 これが彼の新プロジェクト「Metaplace」と,どのように関わってくるのかは,この講演では深く追求されなかったものの(後日,コスター氏は別のセミナーを予定している),MMOゲームを一歩先に進めたようなメタバースの世界がつくれるのなら,そこにはより多くの窓,つまり高い場所に近づいていくための窓があるのだと,説いているようにも感じられた。
  • 関連タイトル:

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