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DFIに聞くLANPartyシリーズの製品展開――貫かれる独自の設計思想
企業規模の小ささを逆に利用した小回りのよさで勝負
新製品投入競争にには与しない
ハイエンド指向マザーボードの電源周りに“デジタルPWM時代”をもたらすきっかけを作ったのはDFI。X38搭載製品のLANParty UT X48-T3Rでは8フェーズのデジタルPWMを採用する |
PCI Express x16スロット1基あたり一つずつ,4ピン端子の補助電源コネクタが用意される |
Chang氏によれば,この理由は「基板スペースを有効に活用するため」。もっとも,氏が言うところの「有効活用」とは,純粋なコネクタのサイズのことではない。
ペリフェラル用の4ピンコネクタから複数のPCI Express x16スロットへ電力を供給するためには,パワープレーン(※Power Plane,基板内部で電力を供給するための層)に多くのスペースを割かねばならない。その点,「スロットごとに独立して電力コネクタを持たせれば,オーバークロック動作の妨げになるノイズ干渉対策や,PCI Expressシグナルの安定化のために基板スペースを使うことができる」(Chang氏)というわけだ。
Chang氏いわく,これは大型のチップクーラーを簡単に装着できるようにした結果とのこと。「欧州に多くいるオーバークロックマニアからは,ノースブリッジに大型のチップクーラーを取り付けたいという声がある。そこで,比較的規模の小さいマザーボードベンダーだからこそ実現できる小回りのよさを生かし,こうした声に応じられるよう,Thermalrightと新デザインの開発を進めてきた」と,氏はLANParty UT X48-T3R開発の背景を説明する。
“ベース”には,Thermalright製のチップセット用クーラー「HR-05 IFX」などを簡単に取り付けられる。マザーボード標準の冷却機構を生かせるのがミソだ |
ヒートパイプで運んだ熱をケース外へ逃がす背面のヒートシンクは,マザーボードをPCケースに固定したあとでも容易に取り付けられるよう,ネジ穴の位置が工夫された |
3月6日の記事でお伝えしているRS780D搭載マザーボード「LANParty DK 790GX-M2R」では,「LANPartyシリーズのユーザーにディスプレイ出力は不要」と,I/Oインタフェース部にディスプレイ出力を持たず,マザーボード上にDVI-I用を引き出すためのコネクタを用意するに留めている。Chang氏は「基本的に,『AMD 790GX』(※現段階で予定されている,RS780Dの製品名)のグラフィックス機能は,Hybrid Graphicsを使うユーザーのためのアクセラレータという用途でしか考えていない」と説明する。
AMDには,AMD 780Gと同じグラフィックス機能を統合しながらグラフィックス出力インタフェースを持たせず,あくまでHybrid Graphics用アクセラレータとして用いる“単体チップセット”「RD780H」(開発コードネーム)の計画がある。つまり,DFIがLANParty DK 790GX-M2Rで目指す「Hybrid Graphics用アクセラレータ」という観点では,RD780H=RS780Dであり,わざわざRS780Dを利用する価値はないようにも思える。
しかし「グラフィックス性能は,コアクロックなどが高い分,AMD 790GXのほうが上だ。アクセラレータとして使うにも,グラフィックス性能は高いほうがいいに決まっている。また,PCI Express 2.0 x8 ×2構成を採用し,2-wayのATI CrossFireX環境を構築できるメリットも大きい」と,Chang氏は,あくまでパフォーマンス重視のチップセット選定であると強調する。「Hybrid Graphics時の性能をさらに高めるため,Display Cache(オンボードのグラフィックスメモリ。Local Frame Bufferともいう)を搭載することも検討している」(同氏)とのことだ。
X48搭載のDDR2メモリ対応モデルとして4月半ばに市場投入される予定のLANParty DK X48-T2R |
Intel P45 Expressを搭載する次期主力モデル「LANParty DK P45-T2R」。市場投入は第2四半期以降 |
新しいチップセットが発表されるタイミングに合わせるのではなく,性能こそが“命”という不器用なメーカーだが,同社のこうした姿勢が,ゲーマーやオーバークロッカーから支持されてきたのも事実。DFI製品の優れたオーバークロック性能や安定感を体感したことのあるユーザーなら,新チップセットの登場ラッシュを迎える2008年上半期のLANPartyに注目しておいて損はないだろう。
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