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「ASUSならDIMM 8枚差しでも大丈夫」。ASUS,X79マザーボードの品質と機能をアピール
今回は,都内で開催された報道関係者向け事前説明会の内容から,そのポイントをまとめてみたいと思う。
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「ASUSのX79マザーは,最下位モデルでも
Dual Rankのモジュール8枚差しに対応」
※Rank(ランク,Bankともいう)は,メモリコントローラがメモリモジュール(DIMM)上のDRAMからデータを入出力する単位。一般的なのはSingle RankとDual Rankで,Dual Rankモジュールの場合,占有スロットは1本ながら,メモリコントローラからは2つのSingle Rankモジュールと同じものとして扱われる。同じ容量のメモリチップを用いた場合,Dual RankはSingle Rank比で2倍の容量を実現できるようになっており,実際,世にある8GBモジュールはほとんどがDual Rankだ。そのため,メモリ容量を最大化したい場合には,Dual Rankモジュールを用いることになるだろう。ただし,メモリコントローラやマザーボードの仕様によって,扱えるRank数に制限がかかっていることもある。
さすがに対応モジュールは限定されるうえ,最下位モデルかどうかにかかわらず,MicroATXマザーボードなど,物理的に8本のDIMMスロットを用意できない製品も出てくる可能性はあるものの,「ASUSのX79マザーボードが基本的にDual Rankモジュール8枚差し対応」というのは大きなニュースだ。
なお,Sinting Chen氏によると,今回の独自拡張は,主に配線周りの最適化によってもたらされているとのことだった。「基板のレイヤーはIntelのガイドラインと同じ8層だが,配線時のノイズ――とくに電源ノイズを避けるための配線を行っている。Intelのガイドラインよりも厳しい設計基準で引いているのが大きい」(Sinting Chen氏)。
Rampage IV Extremeの細かな仕様が明らかに
電源周りやOC Key,Subzero Sense,VGA Hotwireなど
排他で2本のスロットを用意しているのは,「3スロットの仕様のグラフィックスカードを差しつつ拡張性を確保したい」とか,「4-wayのマルチGPU構成をとりたい」といったニーズの両方を満たすためとのことだった。
というわけでRampage IV Extremeでは,(排他の2本を1スロットと考えたときに)16+0+16+8もしくは16+8+8+8というレーン構成になり,CPU側が持つ40レーンのPCI Express 2.0インタフェースを使い切れる。X79では開発当初,PCIe 2.0 x4でCPUとつながるUplinkもサポートが予定されており,ASUSもCOMPUTEX TAIPEI 2011の時点ではUplinkを前提としたマザーボードデザインを行っていたから(関連記事),あれから数か月で対応してきた――あるいは設計し直した――ということなのだろう。
ASUSはIntel 6シリーズ搭載マザーボードで,CPUやチップセット,GPUの動作電圧を負荷に応じて制御し省電力化を図るというコントローラ「EPU」に,デジタルVRMたる「DIGI+ VRM」を追加し,デジタルVRMを実現していた。そして今回,アンコア部たるVCCSA,そしてDRAM用のDIGI+ VRMを追加し,メモリ周りも含め,主要な電源回路を低遅延で精度の高いデジタルVRMで制御できるようになったというのが,DIGI+ Power Controlのトピックだ。
Veronica Chen氏は,「(従来的な電源回路を採用した場合)X79マザーボードでDDR3-2000クラスのオーバークロック設定を行うのは難しいこともあるが,ASUS製品なら問題ない」とアピールしている。
なお,説明会では,ハードウェア的なOSD(On Screen Display)表示装置である「OC Key」のデモや,数百ドルクラスの温度計を不要にすると謳われる温度センサー「Subzero Sense」,そしてグラフィックスカードの電圧設定などをマザーボードから行えるようにする「VGA Hotwire」の展示もあった。
OC Keyのデモ機。SLI構成で,プライマリのグラフィックスカードにOC Keyが接続されている |
OC Keyからシステム情報をOSD表示させたところ。各種電圧やクロック設定を確認できる |
「3DMark 11」の実行中にベースクロックを1MHz,動作倍率を1段引き上げるデモが披露された |
一方,VGA Hotwireは,グラフィックスカードと半田づけすることで,グラフィックスカードの電圧設定を可能にするもの。VGA Hotwire用ケーブルは,先の記事だと製品に付属していたが,最終製品では別売りになるという。
Subzero Senseコネクタに温度センサーケーブルを差すイメージ。数百ドルクラスの温度計が不要になるとASUSは謳う |
VGA Hotwireの利用イメージ。半田づけ必須なので,利用しようとした時点でグラフィックスカードの保証が切れる点は要注意 |
Rampage IVシリーズでは,まず最上位のExtremeが登場し,その後,OC Keyや,(先の記事で紹介した)LGA1366用CPUクーラーを利用可能にする交換用ソケット「X-Socket」,4-way SLI&CrossFireXサポートなどを省いた「Rampage IV Formula」,そしてMicroATX版となる「Rampage IV Gene」も順次登場の予定だ。オーバークロックに興味のないゲーマー諸兄諸姉からすると,むしろFormulaやGeneのほうが本命かもしれない。
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TUFシリーズの新作は
新しい冷却機構「Thermal Armor」を搭載
TUFシリーズの新製品となるのは「SABERTOOTH X79」。「Intel P67 Express」搭載の従来製品「SABERTOOTH P67」だと,マザーボード全体を覆い,エアフローを誘導するカバー「Tactical Vest」が外観上の大きな特徴だったが,SABERTOOTH X79では,ホットスポットの熱をより積極的にボード外へ排出するための「TUF Thermal Armor」を搭載するのがポイントとなっている。
TUF Thermal Armorの詳細。マザーボードから熱を追いやる,というコンセプトだ | ||
電源部の熱はヒートパイプでI/Oインタフェースに運ばれ,ファンでPCケースの外へ追い出されるイメージ。ファンは止めることも可能だ。PCH側のクーラーはブロワー式となっている |
なお,SABERTOOTH P67で採用された12か所の温度センサー「TUF Thermal Radar」は,SABERTOOTH X79でも引き続き搭載されている。専用ツールを使えば,温度状況に合わせたファン回転数の自動制御や手動によるファン回転数制御なども可能だ。
独自機能が豊富な
P9X79シリーズ
最後にP9X79シリーズも簡単に紹介しておきたい。事前説明会で展示されていたのは「P9X79 DELUXE」「P9X79 PRO」「P9X79」の3モデルで,いずれもDIMMスロットは8本搭載。序盤で述べたとおり,すべてDual Rankメモリモジュールの8枚差しをサポートする。拡張スロット構成は上位2モデルが同じだ。
上で紹介したDIGI+ Power Controlは3モデルのすべてで搭載。さらに下記の機能が導入される予定だ。
- ASUS SSD Caching:追加のMarvell製コントローラ「88SE9128」によってもたらされる,SSDキャッシュ機能。Serial ATA 6Gbsポート×2にSSDとHDDを接続すると,X79でサポートされない「Intel Smart Response Technology」的に機能する
- ASUS BT GO! 3.0:追加モジュールなしでBluttooth 3.0に対応(※P9X79 DELUXEのみ)
- USB BIOS Flashback:USBフラッシュメモリにBIOSイメージを保存しておくと,I/Oインタフェース部のボタンを押すだけでアップデートできる機能
- DRAM SPD information:X58マザーボードでは,メモリモジュール側に問題があったとき,メモリコントローラは自動的に当該モジュールをdisabledにしていたが,UEFI BIOSからメモリモジュールの異常を検知できるようにした機能
- F3 Shortcut:UEFI BIOS上でよく使うメニューをショートカットとして登録し,[F3]キーから一括して読み出せる機能
- ASUS USB 3.0 Boost:ASMedia Technology製コントローラによりUSB 3.0の高速転送モード「UASP」(USB Attached SCSI Protocol)に対応。UASP対応のデバイスだけでなく,従来のUSB 3.0/2.0デバイスでも転送速度が向上すると謳われる
以上,要点をかいつまんでみたが,やはり注目は,Dual Rankメモリモジュール8枚のサポートが公言されているところだろう。他社製品だと最上位モデルでも4スロットだったり,8スロット利用時には制約があったりするので,それだけでもASUSを選ぶという人は増えてきそうな気がする。
最終的には価格も重要な要素になるとは思われるものの,少なくとも機能面からすると,ASUSのX79マザーボードは相当に有力な選択肢となる気配だ。
なお,14日に発売されるのは,SABERTOOTH X79,P9X79 DELUXE,P9X79 PROの3モデルで,予想実売価格は順に3万5000円前後,3万円前後,3万3000円前後。Rampage IV Extremeの発売は「12月以降」(ASUS)とされている。
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