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[COMPUTEX]ASUSがHDR対応のゲーマー向け液晶ディスプレイ2製品を披露。湾曲型とフラットな4Kモデルをラインナップ
ただ,PCにおいては,2016年から2017年にかけてHDR対応ディスプレイがほとんど発売されなかったこともあり,HDR表示の環境を構築しようとすると,HDR対応テレビを選ぶというのが一般的な状況である。
そこで本稿では,先陣を切ってHDR対応液晶ディスプレイの製品化を表明していたASUSTeK Computer(以下,ASUS)が,「Republic of Gamers」(以下,ROG)ブースに展示していたHDR対応液晶ディスプレイ2製品を紹介したい。
ROG SWIFT CURVE PG35VQ
まずは,5月30日のイベントで発表となった「ROG SWIFT CURVE PG35VQ」(以下,PG35VQ)から見ていこう。
PG35VQは,画面サイズが35インチで,解像度は3440×1440ドット。アスペクト比は21:9で,ディスプレイ部分が軽く湾曲しているのが特徴の製品だ。液晶パネルの曲率は1800R(=半径1800mmの円を描くカーブ)とのことで,湾曲型液晶パネルとしては,やや曲率が高いほうである。
PG35VQの液晶パネルはVA型で,ピーク輝度は1000nit。現在のHDRコンテンツにおける主流であるUHD Blu-rayのビデオコンテンツを視聴するにも十分な輝度と言えよう。
sRGB色空間カバー率は100%で,DCI-P3色空間カバー率は90%とのこと。この色域の広さは,量子ドット技術を利用した液晶パネルによるものであるとの説明を受けた。
量子ドット(Quantum Dot)とは,亜鉛やセレン,硫黄などを組み合わせた数nmサイズの微粒子のことで,これをフィルタに用いるとRGBの光からずれた周辺波長の光を吸収して,RGBを鮮鋭化できる。微粒子を含んだシートを液晶パネルに貼り合わせる場合と,液晶パネルの蛍光体に直接この微粒子を塗布してしまう場合もあり,その手法は液晶パネルメーカーによっていろいろある。
量子ドット技術は,Samsung DisplayやLG Displayといった韓国の大手液晶パネルメーカーがとくに力を入れている技術で,名前も格好よさげなので,今後,中堅クラスから上の液晶テレビや液晶ディスプレイで,採用する製品が増えてきそうだ。名前だけでも覚えておくといいいだろう。
筆者が見た印象では,PG35VQの映像は,まだ青がやや強いように見えたが,512エリア駆動により実現したコントラスト表現は,強烈と言えるほどであった。
ディスプレイとしての機能も見ていこう。ROGのPC向けディスプレイらしく,PG35VQはNVIDIAのディスプレイ同期技術「G-SYNC」に対応する。NVIDIAはG-SYNCのHDR対応版を「G-SYNC HDR」と名付けてブランティングしており,今回紹介する2製品にも,そのポップが付いていた。最大垂直リフレッシュレートは200Hzと高い。
G-SYNCや高リフレッシュレート表示といった要素は,HDRテレビにはない特徴であり,ゲーマー向け液晶ディスプレイならではと言える。
なお,ビデオ入力インタフェースとしては,DisplayPort 1.4入力とバージョン未公開のHDMI入力を備えていた。
発売時期は少々先で,2018年を予定しているとのこと。価格も未定だが,仕様からして安価な製品にはならないことだけは確かだろう。
ROG SWIFT PG27UQ
続いては「ROG SWIFT PG27UQ」(以下,PG27UQ)を見ていこう。2017年1月のCES 2017で発表され,年内に発売予定というHDR表示対応4K液晶ディスプレイである。
気になるバックライトのエリア駆動分割数は「384」。PG35VQよりも分割数が少ない理由は,PG27UQは画面サイズが小さいためとのこと。表示面積に対する分割エリアのサイズ自体は,ほぼ互角らしい。
こちらも量子ドット技術を採用した液晶パネルを使用しているため,対応する色域は広く,sRGBカバー率は100%,DCI-P3カバー率は90%で,PG35VQとまったく互角だ。
PG27UQも,やや青味が強い発色という印象を受けたが,これはROGのディスプレイ共通の個性なのかもしれない。
ビデオ入力インタフェースもPG35VQと同じで,DisplayPort 1.4入力と対応バージョン不明のHDMI入力の2系統となっている。
価格は未定だそうだが,おそらく2000ドル(約22万2148円)くらいになるだろうとのこと。ということは,PG35VQはこれよりも高くなるということだろうか。
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