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ようこそサンセット・バレーへ! いよいよ発売される「ザ・シムズ3」のインプレッションを掲載
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印刷2009/06/02 11:50

レビュー

ようこそサンセット・バレーへ! いよいよ発売される「ザ・シムズ3」のインプレッションを掲載

画像集#001のサムネイル/ようこそサンセット・バレーへ! いよいよ発売される「ザ・シムズ3」のインプレッションを掲載
 私は家が好きである。できることなら一生家の中で過ごしたいと思っているほどだが,会社へ行ったりしなくてはならないので,なかなかそうはいかない。会社の中に家があれば便利だと思うのだが,どうだろうか?

 というわけで,私はこれまでシム人がたいそううらやましかった。なぜなら,世界的人気シミュレーションゲーム「ザ・シムズ2」はPC専用ゲームながらワールドワイドでセールス一億本を達成したにもかかわらず,登場人物達は,ほとんど外出しないからだ。
 そりゃ,定期的に謎の車がやってきて謎の職場へ行く場合もあるが,拡張パックの「ザ・シムズ2 ハッピーショップライフ! データセット」を買えば,家庭にいながらいろいろな商売ができるようになるし,「ザ・シムズ2 シーズンズ! データセット」を買えば,家庭菜園で収穫した果物や池の魚による自給自足生活も可能になり,しかも「ザ・シムズ2 ホットナイト! データセット」を買えば,妻以外の女性とも交際できるのだ。まあ買わなくてもできるので,最後のはあまり関係なかったかもしれないが,しかし,どうやらシム人本人はあまり家の中だけの暮らしに満足していなかったらしい。

 というわけで,ここからが本題となるのだが,2009年6月4日,ファン待望の「ザ・シムズ3」が発売されるというわけ。第一報として,ここに簡単なインプレッションをお届けしよう。

画像集#002のサムネイル/ようこそサンセット・バレーへ! いよいよ発売される「ザ・シムズ3」のインプレッションを掲載


自由。それはフリーダム


画像集#003のサムネイル/ようこそサンセット・バレーへ! いよいよ発売される「ザ・シムズ3」のインプレッションを掲載
 Electronic Artsがシムズシリーズの最新作の制作を正式に発表したのは日本時間2008年3月19日のこと。それに先立つアメリカ時間2月22日には,カリフォルニア州Redwood cityのEA本社で各国のメディアに向けた説明会が行われていたのだが,そのとき挙げられたザ・シムズ3最大の特徴は,なんといっても「家の外をほっつき歩ける」ことだ。

 ドアを開け,さんさんと光の降り注ぐおんもへ飛び出そう。歩いている人はあまりいないけど,新たな街の名前は「サンセット・バレー」。説明会では“Pleasant Valley”だったなんて話はどうでもいいのだが,前は海,うしろは山の風光明媚な土地である。前作ザ・シムズ2では三つの街が用意されていたので,それに比べてたった一つというのはやや寂しい印象を受けるが,街には図書館やレストラン,ジムや警察,病院などさまざまなビルが建ち並んでおり,ディテールははるかに豊かだ。当然ながらゆるやかに時間が流れていて,朝には日が昇り夕べには日が沈む。グラフィックスは前作に比べてさすがに向上していて,時間によって変わっていく景色を見ているだけでもなんとなく楽しい。

 もっとも,そのぶんそれなりのスペックを持ったPCが要求されるのは間違いない。「中程度のPCでも動く」こともまた開発目標の一つだったが,設定をすべて最高にするとやはり重めだ。画面内に登場するキャラクターが増えれば,AIの関係上さらにヘビーになってくるので,美しい風景を堪能したいけど持ってるPCは無印Pentiumの75MHzマシンだなどという人はちょっとフンパツする必要があるだろう。それじゃ,Windows XPも動かないけど。
 そういえば,ザ・シムズ2も登場した2004年にはかなり重量級のゲームだったが,5年後の今ではそれほどでもない。技術の進歩には驚かざるを得ないなあ。

画像集#004のサムネイル/ようこそサンセット・バレーへ! いよいよ発売される「ザ・シムズ3」のインプレッションを掲載


画像集#005のサムネイル/ようこそサンセット・バレーへ! いよいよ発売される「ザ・シムズ3」のインプレッションを掲載
 話を戻すが,より高い自由度もザ・シムズ3の特徴であり,具体的には,キャラクター作成および家具の配置や建物の建築が前作より好き放題にできるわけだ。キャラクターの容姿は髪の毛や眉やまつげなど,詳細なカテゴリーに分けられ,そのほとんどで色を自由に変えられるうえ,スライドバーでの微妙な調節が可能だ。しかも着るものまで豊富に用意されている。私は昔から人間のように見えればなんでもいいという立場を採用しているので,いまいちピンとこないものの,キャラメイク好きの人は,それだけでご飯三杯はいけるのではないだろうか。

 私が気になるのは「特質」という新機軸だ。特質は「精神面」「肉体面」「社交面」そして「生活面」の四つに分けられ,それぞれに「ぼんやりしている」「興奮しやすい」「爆睡する」「超ロマンチスト」「仕事中毒」などの特質が全部でえーと……,60種類以上用意されているのだ。プレイヤーはそれらから五つを選んで自分のシム人に組み込めるというわけだ。

 プレイを始めたばかりなので,この特質がゲームにどのように影響してくるかはまだよく分からないのだが,「笑いのセンスあり」「笑いのセンスなし」という相反する特質を同一人物に装着した場合どうなるのかとか,「天才」だの「幸運」だの「魅力的」だのといったイカした特質だらけにすればゲームが有利に進むのか(有利不利があるようなゲームではないが)とか,興味は尽きない。ちなみに私のキャラクターは「負け組」だが「野心家」という比較的アヴァンギャルドな特質を具備させてみたが,どうなるのだろう?

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ちょっと不満もありました


画像集#009のサムネイル/ようこそサンセット・バレーへ! いよいよ発売される「ザ・シムズ3」のインプレッションを掲載
 とりあえず,豊富なカスタマイズ機能を駆使して望みの彼,もしくは彼女を作成したら,サンセット・バレーに家を買い,住まわせるわけだ。彼,もしくは彼女の冒険はいよいよここから始まるという寸法であるが,それ以外にもカタログにあらかじめ用意されている世帯を街に引っ越しさせたり,すでに生活を営んでいる世帯をクリックして続きを遊んだりという方法がある。このへんは,ザ・シムズ2とほとんど一緒だ。

 さて,いくばくかの支度金も家やベッドやテレビを買ってしまうと,すぐに底をつく。かくして,プレイヤーはどこかに就職して金を稼がなくてはならなくなるのだ。古いコトワザにもあるように「働かざる者食うべからボンバザル」というわけだ。
 就職するには従来同様,新聞を読んだりPCでネットにアクセスして望みのキャリアを選ぶわけだが,今回はそれ以外に「直接出かける」という方法も採用された。すなわち,家を出てとあるビルまで歩いていき,直接就職するというダンドリだ。各キャリアそれぞれに建物が用意されており,例えば「医療キャリア」を望むなら「聖ひ臓記念病院」へ,「警察キャリア」を邁進したいのであれば「警察署」へというアンバイだ。

 ちょっと難しいのは「犯罪キャリア」で,これは「際立った市民の倉庫社」という,名前からではなんだかよく分からないところへ行かなくてはならない。さすが犯罪者。

画像集#010のサムネイル/ようこそサンセット・バレーへ! いよいよ発売される「ザ・シムズ3」のインプレッションを掲載 画像集#011のサムネイル/ようこそサンセット・バレーへ! いよいよ発売される「ザ・シムズ3」のインプレッションを掲載

 就職してしまえば,あとは定時に車が自宅にやってきて,送り迎えをしてくれるというところは,これまた前作同様。とはいえ今回は,車の跡を追ってどこまでも行けるところが新鮮だ。前作では謎と神秘に満ちていた彼らの職場。そこではおそらくさまざまな人間模様が渦巻くアラベスク……と思ったが,残念。職場の中には入れないのだ。

 これは本作の惜しい点だと思うのだが,さまざまな建物が用意されているのに,その中で起こっていることが見られない。例えば,料理のスキルを上げるため,レストランの料理教室を受講すると思っていただきたい。彼はドアを開けてレストランの中に入り,彼のスキルバーはジリジリと上昇するものの,プレイヤーは建物を外から眺めているだけ。やがて,講習を終えた彼がドアの外に出てくるという流れになっている。
 せっかく面白そうな建物がたくさんあるのに,これは残念だなあ。気が早すぎる気もするが,拡張パックに期待したい。

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 というわけで,予定よりちょっと長くなってしまったので,今回はこのへんでカンベンしてあげよう。以上のように,いくつか不満はあるものの,ゲームはまだ始まったばかりで,これからさまざまなサプライズに遭遇するはずだ。するといいなあ。

 全体としてザ・シムズ3は,前作のごく正統な拡張であり,ザ・シムズ2の面白い点は大胆にそのまま残し,いくつかの新機能を付け加えた内容だ。それだけに「シムピープル」からザ・シムズ2へ移ったときのようなドラスティックな変更や,「こ,これはすごい」という革新性には乏しいものの,前作のプレイヤーならほぼマニュアルレスでプレイできるだろう。彼らのアニメーションやディテールも細かくなり,さらに人間味が増している。

 新しい街,サンセット・バレーには見るべきものがたくさんあり,まだ出会っていない多くの人がいるはずだ。こっそり他人の家を覗いちゃうということもできるらしいが,まだ挑戦していない。結婚もぜひしてみたい。というわけで,詳しくはいずれまた。

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