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「League of Legends」の日本サービスが正式に準備中。Riot Games日本法人の社長にインタビュー
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印刷2014/09/25 12:32

インタビュー

「League of Legends」の日本サービスが正式に準備中。Riot Games日本法人の社長にインタビュー

 東京ゲームショウ2014のロジクールブースにて,世界的に大きな人気を誇るMOBA「League of Legends」の国内リーグ決勝戦が行われた。この場には,運営/開発元のRiot Gamesの日本法人となる,ライアットゲームズの社長・乙部一郎氏が登壇した。もともと,League of Legendsの日本サービスに関する噂はちらほら流れていたものの,こうした公の場に日本法人の人物が登壇するのは,今回が初めてのことだ。そもそも,いつの間にライアットゲームズなる会社が立ち上がっていたのだろうか。
 4Gamerでは,League of Legendsの日本サービスがいったいどのようなものになるのか,乙部氏にインタビューを行ってみた。

4Gamer:
 よろしくお願いします。今回の東京ゲームショウでは,国内リーグの決勝戦となる「LJ LEAGUE GRAND CHAMPIONSHIP」が行われましたが,まずはその感想を教えてください。

ライアットゲームズ社長/CEO 乙部一郎氏
画像集#001のサムネイル/「League of Legends」の日本サービスが正式に準備中。Riot Games日本法人の社長にインタビュー
乙部一郎氏(以下,乙部氏):
 非常に盛り上がっている様子を直接見られて嬉しかったですね。まだ日本で正式にローンチをしていないタイトルであるにも関わらず,ここまで皆さんが集まってくれたことに興奮しましたし,これから日本で活動していくにあたって,心強さを感じました。

4Gamer:
 ロジクールブースには,多くの人が集まっていましたね。
 今回,初めて乙部さんがこうした公の場に姿を見せたわけですが,Riot Gamesの日本法人について教えてください。これまで,League of Legendsの日本サービスは,海外でのコメントなどから「準備中」という話がちらほら聞こえていたものの,実際はなかなか目に見える動きがなく,日本のプレイヤーからすれば「本当に日本でサービスするの?」という状況だったと思うんです。そんな中で,大会の場に乙部さんが出てきたということは,日本サービスは本当に行われる,ということでいいんですよね?

乙部氏:
 もちろんです。そのためにRiot Gamesの日本法人ができたのですから。

4Gamer:
 今のところ,プレイヤーからは「Riot Games Japan」などと呼ばれていますが,正式な社名としては,何と呼ぶべきなのでしょう?

乙部氏:
 カタカナで「ライアットゲームズ」が日本法人の正式な表記となります。

4Gamer:
 ライアットゲームズが立ち上がったのは,いつ頃になるんですか?

乙部氏:
 2014年4月になります。私が入社したのもこのときですね。

4Gamer:
 ということは,日本サービスに向けての具体的な動きは,まだまだ始まったばかりということですか。日本サービスがまだ噂だった段階では,「国内のパブリッシャと接触している」というお話もちらほらありましたが,最終的には自社パブリッシングになったんですね。

乙部氏:
 実は「日本のパブリッシャがサービスを……」みたいな話は,根も葉もない噂なんですよ。まったくコンタクトのない会社に対して,「打診があった」というような噂まで流れていました。

4Gamer:
 そうなんですか?

乙部氏:
 Riot Gamesとしては,私の知る限りではずっと自社パブリッシングを予定していました。もしかしたら,当時,日本の市場調査で国内のパブリッシャとお話をしていたですとか,そういったことが拡大解釈されて,日本のサービスはパブリッシャにお願いするという噂になっていたのかもしれません。

4Gamer:
 なるほど。乙部さんがライアットゲームズの社長となった経緯はどういったものだったのでしょう?

乙部氏:
 Riot Gamesからヘッドハンティングされたんです。当時は,アドバンテッジパートナーズという,プライベートエクイティの会社にいました。ただ,その前はスクウェア・エニックスの米国法人にいたので,おそらくその関係で声が掛かったのだと思います。それで,Riot Gamesに実際に行ってみて,創業者とお話をして,非常に良い文化を持っている会社ということが分かり,ライアットゲームズで働くことを決めました。
 ちなみに,Riot Gamesの創業者は2人いるんですが,どちらもとんでもないゲーマーです。そのため,基本的に「ゲーマーが欲しいものを提供するためには自らがゲーマーであることが必要」という考えがあって,Riot Gamesの社員はゲーマーばかりだったりします。社長の秘書の女性も,League of Legendsがとんでもなく強くてびっくりしました。

4Gamer:
 乙部さんの名刺にもSummoner nameが書かれているんですが……。

乙部氏:
 いえ,私は上手ではないです(笑)。もちろんゲームは大好きですけど。でも,Riot Gamesの社員だって,League of LegendsのRankが「Bronze」や「Silver」のプレイヤーはいっぱいいますよ。楽しんで遊んでいることが重要ですから。

4Gamer:
 ちなみに,ライアットゲームズにおいても,社員はゲーマーにするというのは一緒ですか?

乙部氏:
 ええ。でも,人数は集まってきてはいますが,プレイヤーサポートにコミュニティ担当,マーケティング……日本サービスに向けてまだまだ社員が必要なので,ライアットゲームズで働いてみたい方は,ぜひお声がけください

4Gamer:
 現在も絶賛募集中なわけですね。「こういう人に来てほしい」というのはありますか?

乙部氏:
 これまでの伝統的なゲーム会社とはかなり違ったアプローチをする会社なので,業界経験者よりも,「ほかの業界でカスタマーサポートをやっていました。そしてゲームが大好きです!」という人のほうが,もしかすると向いているかもしれませんね。
 それと,Riot Gamesは,「コアゲーマー向け」であることを戦略に活動している会社でもあります。Riot Gamesって,あまり広告を出さないんですよ。

4Gamer:
 なぜですか?

乙部氏:
 例えばテレビに広告を出すとしますよね。そうすると,League of Legendsというゲームに向いていない人も多く入ってきて,すぐに挫折してしまう。同時に,それで人がたくさん入ってきたとしても,今いるプレイヤーにとって良い環境になるわけではありません。ですから,基本的には楽しんでいる人の口コミがメインなんです。認知のために広告を出すことがあっても,ゲーマーの目に留まる媒体などを選ぶでしょう。
 日本のライアットゲームズにおいても,「コアゲーマー向け」という方針は変わりません。

乙部氏のライアットゲームズの名刺の裏には,「Blood Moon Akali」が描かれていた。日本風のイラストだからだろうか。Riot Gamesには日本好きが多く,プライベートで日本に遊びに来ている人が数多くいるのだとか
画像集#005のサムネイル/「League of Legends」の日本サービスが正式に準備中。Riot Games日本法人の社長にインタビュー


日本サービスでは,テキストの日本語化はもちろん,日本語ボイスの収録も検討中


4Gamer:
 日本サービスについて具体的な情報もお聞きしたいと思います。まずはサービス開始の時期ですが……。

乙部氏:
 それはこの場では勘弁してください(笑)。
 もちろん,目指している時期はありますが,まだ会社も立ち上がったばかりで,ここでお話したタイミングで本当にサービスができるとは限らないので,もう少し予定が決まってからでお願いします。

4Gamer:
 分かりました。それでは質問を変えて,日本サービスでは,どこまで日本に向けてローカライズを行うのでしょうか?

乙部氏:
 日本語化して,日本サーバーでサービスという形になります。

4Gamer:
 日本語化というのは,どのレベルになるのでしょう? 例えば,一番シンプルなものでいえば,スキルやアイテムの説明やチュートリアルの文章などを日本語にするというものです。ただ,その先で言えば,キャラクター(Champion)の音声も日本語にする,あるいは中国サーバーのようにイラストも日本向けにするなども考えられるので,どの程度の規模のローカライズになるかは,プレイヤーの皆さんが気にしている部分だと思うんです。

乙部氏:
 なるほど。まずイラストに関しては,基本的に世界共通なので,変更は予定していません。中国サーバーでは,最初はいくつか専用のイラストが使用されていましたが,今はそれが世界共通のイラストとして適用されています。日本サービスも,日本だけ違うイラストが使われるということはないでしょう。
 一方で,変更が必要な「ローカライズの範疇に入るもの」は,可能な限りすべてやりたいと思っています。文章の日本語化はもちろんですが,音声も日本語にしたいですね。

4Gamer:
 音声も含まれているんですね。

乙部氏:
 英語のままで字幕を入れるというのも,ちょっと違うかなぁと。

4Gamer:
 キャラクターやアイテムの名前の表記はどうなるんですか?

乙部氏:
 それは今まさに悩んでるところなんです。

4Gamer:
 そのままカタカナにすると,あまりかっこよくないキャラクターも出てきてしまいそうですよね。

乙部氏:
 それが,日本っぽいキャラクターも辛いんですよ。一番困っているのは「Yasuo」です。

刀を持つ日本風のキャラクター「Yasuo」。日本風だからこそ,ローカライズが難しいのだとか……
画像集#003のサムネイル/「League of Legends」の日本サービスが正式に準備中。Riot Games日本法人の社長にインタビュー

4Gamer:
 ああ,確かに。ひらがな,カタカナ,漢字,どれに変えても微妙な気が……。日本人のセンスだと,あのビジュアルと設定のキャラクターに「Yasuo」はないですよね。

乙部氏:
 しかもYasuoって,「日本語っぽく聞こえる独自の言語」をしゃべるじゃないですか。なので,日本語ボイスを入れるにしても,本当に日本語をしゃべらせて良いものか困っています。

4Gamer:
 その割に,あの見た目でスキル名は「Steel Tempest」だったりしますしね……。

乙部氏:
 あとは,全体的にスキンの名前も難しいですね。そのままカタカナにすると,意味が分からなくなってしまうスキンが多いんですよ。「High Noon Yasuo」みたいな名前を分かりやすく表現するというのは,難しい課題です。

4Gamer:
 やっぱりYasuoなんですね(笑)。

乙部氏:
 どういった形で日本語にしていくかは本当に悩んでいるので,プレイヤーの皆さんからの意見もぜひいただきたいです。
 日本のLeague of Legendsプレイヤーは,ずっと右肩上がりで増え続けていて,その人気を実感しています。良い国内サービスをお届けできるよう,皆さんと一緒に作っていきたいと考えていますので,期待してください。

「League of Legends」公式サイト

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