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[GDC 2009#18]OpenCLによる「Havok Cloth」に,ネットワークレンダリング,「Ruby 2009」制作発表も飛び出したAMDセッション
AMDとHavokの提携が実を結び,
布の表現を行う「Havok Cloth」をOpenCLで実装
まずは物理シミュレーション関係から紹介しよう。
物理シミュレーション(=物理演算)は,ゲームの内容とビジュアルの両面から注目されている。しかし同時に,ゲームにおける物理シミュレーションの抱える課題としては,
- GPUで行う場合,レンダリング能力と物理効果のトレードオフになる
- 現状のゲームとは違ったシステムになる
- ハードごとに互換性がない
- ツール不足や開発コストの問題がある
ただ,GPU Physicsを始めるに当たって,NVIDIAがAGEIA Technologiesを買収したことからも窺えるように,GPU Physicsというのは,素人が手を出して一朝一夕に実現できるようなものではなく,ある程度の知識と経験が必要だ。そのため,AMDは2008年6月の時点でIntel傘下のHavok.comと戦略的提携を行っていたのだが,今回のATI Stream Physicsは,その成果第1弾ということになる。
OpenCLは,数値演算を行うに当たって必要となる標準なAPIをまとめたもの。CPUやGPU,OSを問わずに利用できるため,業界標準規格として注目されているのだが,ATI Stream Physicsではその手始めとして,「Havok Cloth」の実装を行うという。
下に示したのは,OpenCLで書かれたという,Havok Clothのデモ「Samurai Warrior」を直撮りしたものだ。名前の割に全然侍じゃないのはご愛敬だが,キャラクターの衣服や槍の先に巻かれた布,幟(のぼり)などでHavok Clothが使われているという。ちなみに,このOpenCLデモは数週間という短期間で作られたそうだ。
AMD Fusion Render Cloudを推進するOTOYは
LightStageを使ってRubyの新作ムービーを制作へ
3月21日に,離れたところにあるPCのGPU性能をリモートで使えるようにする製品「ELSA VIXEL V200」のテストレポートをお伝えしているが,あれの接続先がデスクトップPCではなく,レンダリングサーバーになったようなものだと考えると分かりやすいかもしれない。
OTOY Fusion Render Cloudで採用される「FRCサーバー」(FRC:Fusion Rendering Cloud)では,DirectX 11もフルサポートされる予定だ。さらに将来的には,「無限の描画能力を持つサーバー」として構築される見込みという。
そんなOTOYは,セッション中,同社の「LightStage」を使ってRubyの新作ムービー,「Ruby 2009」(仮称)を制作すると発表した。「LightStageって何?」と疑問符が頭に浮かんだ場合は,ざっとでかまわないので,いったん2008年10月1日の記事に目を通してから戻ってきてほしい。
そういえば,AMDのGPU部門トップがそんな話をしていたなあと思い出した人もいると思うが,いろんな話がこんなところにつながっていたのである。
YEBISは,シェーダ業界の大御所である川瀬正樹氏が開発に参加していることで知られるエンジン。CEDECのレポートで何度か紹介したことのある“写真シミュレータ”(関連記事)などの機能も盛り込まれており,端的に述べてものすごい内容になっている。
余談だが,リアルタイムレイトレーシングによるRubyのムービーを紹介した記事で筆者は,「レンダリングクオリティは高いが,映像のデキは悪い。川瀬氏を見習うべき」と書いた記憶があるのだが,まさか本当に川瀬氏らと組むとは……。
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AMD Stream(旧称:ATI Stream)
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Havok
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