インタビュー
HTML5化してスマートフォンでも遊べるようになった「Livly Island」。リヴリー総合研究所のスタッフが語る,その背景とは
今回4Gamerでは,GMO GPで本作の開発・運営を手がけるリヴリー総合研究所の研究開発リーダーK氏と研究員S氏に,HTML5版リリースの経緯や,今後どう展開していくのかなどを教えてもらった。
Flashのサポート終了とスマートフォンの普及がHTML5化の背中を押した
「Livly Island」は,プレイヤーがWeb上に用意された島で「リヴリー」と呼ばれる架空の生物を飼育・育成するゲームだ。リヴリーにはエサを与えたり,ほかのプレイヤーの島へ遊びに行かせたりできる。
今回のHTML5版リリースには,Webサイトにインタラクティブ性を持たせる規格・Flashのサポートが,2020年内に終了するという背景もある。すなわち,「Livly Island」のようにFlashを使っているブラウザゲームは現在,2020年以降どうするのかの選択を迫られているのだ。
研究開発リーダーK氏:
当然,リヴリー総合研究所内でも議論がありましたが,「Livly Island」にはお客様がたくさんいらっしゃること,そしてリヴリーが生き物であることから,大切にしたいという意見が強かったですね。そこでHTML5版に移行し,Flashのサポート終了後もお客様にリヴリーを可愛がっていただこうと決めました。
「HTML5に移行するだけでしょ?」と思うかもしれないが,そう簡単なものではない。というのも,HTML5化にかかるコストを考えると,タイトルによっては「だったら新作を作ろう」となってしまう。たとえ黒字のタイトルであっても,HTML5化のコストが割に合わなければ,移行は無理だという判断を下されるケースもあるのだ。
研究開発リーダーK氏:
当初は,HTML5の研究を兼ねてスタートしたプロジェクトでした。「Livly Island」の場合,これまでのサービスで作られた膨大な数のアイテムを,HTML5で再現するのに長い時間が必要になるのですが,スタッフの熱意によって何とか実現することができました。
今後,Flash版にあるおおよその機能を段階的にHTML5版に実装していくのだが,その間はFlash版とHTML5版が並行する形でサービスされる。2019年内にはHTML5版に完全移行する見込みだ。
研究開発リーダーK氏:
HTML5版の最大のメリットは,スマートフォンが使えるので通勤・通学時にもリヴリーにエサを与えられることです。ユーザーインタフェースをスマートフォン向けに作り直しましたので,かなり遊びやすくなっています。
またPC限定ですが,HTML5版に完全移行するまでは,従来のFlash版のユーザーインタフェースに切り替えることも可能です。
「スマートフォンで遊びたい」という要望は,スマートフォンの普及に伴って多く寄せられるようになっていたという。とくにここ数年は自宅にPCがない,もしくは持っていてもほとんど起動する機会がないという理由で,「Livly Island」から離脱してしまうプレイヤーもいたそうだ。
研究員S氏:
ちょうど1年前の2018年3月に,「スマートフォン対応プロジェクト」と銘打って今回のHTML5化の開始を告知したのですが,非常に反響が大きかったんです。普段の告知に比べてRT数などの反応が桁違いでした。スマートフォンへの対応は待ち望まれていたことだったんだと,改めて実感しましたね。
現在の「Livly Island」のアクティブプレイヤー層は,約9割が女性で,さらにその半数近くが20代となっている。リヴリー総合研究所ではこの結果を,本作の全盛期に遊び始めた小中学生が,そのままずっと遊び続けているのではないかと分析しているそうだ。
研究員S氏:
スマートフォン対応プロジェクトの告知のときも,「小学生の頃やっていた」というような反応があったんです。おそらく小中学生の頃から,ずっとリヴリーと一緒にいてくれているのでしょう。
ここで,「そんなにスマートフォン対応が望まれていたのなら,HTML5版ではなく,スマホ専用ゲームにすればよかったのでは?」と思う人もいるかもしれない。しかし,これまでプレイヤーが培ってきたリヴリーとの思い出を完全に引き継ぐには,HTML5化しか選択肢がなかったのだ。
研究員S氏:
ずっと育ててきたリヴリーには愛着があります。新作または続編として「Livly Island Mobile」のようなものを作ったとしても,移行したいとは思えないでしょう。
HTML5版には独自機能やFlash版で人気のあった機能を段階的に追加していき,2019年内の移行を目指す
HTML5版「Livly Island」の開発にあたり,こだわったのは「全アイテムの再現」とのこと。リヴリー本体と島,設置アイテムの合計が数万種類におよぶため,HTML5版のリリース時にはすべてそろわないのだが,こちらも順次追加されていく予定だ。
また,HTML5版にはFlash版にはなかった独自機能も実装されている。
研究開発リーダーK氏:
HTML5だけの機能として,ズームが入っているのも見どころです。Flash版だと,ブラウザの機能を使って拡大することしかできませんでしたが,HTML5版ではリヴリーを拡大して隅々まで観察できます。
研究員S氏:
ショップの回遊もやりやすくなりました。Flash版ではショップがいろんな場所にあり,そこにリヴリーを連れていってお買い物をする形式でしたが,HTML5版ではたくさんのショップが1か所に集まっているので,すぐに自分のほしいアイテムにアクセスできます。
さらに今後は,Flash版で提供していた機能も順次追加されていく。最初はフレンド機能やチャットなどコミュニケーションに関わるものが中心となる予定だ。こちらもただの移植にとどまらず,より使いやすくフレンドとコミュニケーションが取りやすくしていくとのこと。
また,フレンドと参加するとメリットがあるイベントの開催も予定しているそうだ。
研究員S氏:
Flash版には大勢で集まってコミュニケーションを図れるパークがありますが,HTML5版でも皆で集まれる場所を再現する予定です。
HTML5版だけの新要素としては,リヴリーの飼育年数や性格に応じた「親密度」のようなパラメータを追加し,それによってイベントで取得できるアイテムが変わるといったことも実装します。
加えて,リヴリーと一緒に自分の島で植物を育てる新たな育成コンテンツも追加予定です。
Flash版では実装できなかった,リヴリーとより一層仲良くなれるような機能の実装も予定しています。
最後に,「Livly Island」の今後に注目する人に向けて,研究開発リーダーK氏と研究員S氏から贈られたメッセージを掲載して,本稿の締めとしよう。
研究開発リーダーK氏:
Flash版のアクセスログを解析すると,平日の昼休みに遊ぶお客様が圧倒的に多いです。逆に土日はアクセス数が下がります。つまり自宅でPCを使わないライフスタイルなので,多くのお客様は休みの日にリヴリーに触れていないんです。
でもHTML5版ならスマートフォンからアクセスできますから,ぜひ通勤・通学の時間帯や休日にもリヴリーと遊んであげてください。
研究員S氏:
今後はチャネリングを増やして,「Livly Island」に触れる機会を増やしていきます。
まだまだ夢の話ではありますが,ゆくゆくは海外展開やグッズ展開にもチャレンジしたいです。とくにグッズに関しては,全盛期にはリヴリーのプライズや食玩を出したこともあったので,ぜひもう一度やってみたいですね。
あとはオフラインイベントもやりたいと考えています。2016年までは毎年開催していたので,今回のHTML5版のリリースを機に再び実現できるよう,盛り上げていければと思っています。
「Livly Island」公式サイト
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