インタビュー
7周年を迎える「ブラウザ三国志」で大型アップデート実施。武将の性能に大きな変化をもたらす新機能「副将」について開発チームに聞いた
今回4Gamerでは,ブラ三のプロデューサーを務めるマーベラスの五味一郎氏と,ディレクターの勝木洋輔氏に,副将の概要と狙い,そして7周年を迎えての意気込みなどを聞いてみた。
「ブラウザ三国志」公式サイト
「体験イベント【副将の章】」特設ページ
覇勢力の武将と対等に渡り合うための
新機能「副将」
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
さっそくですが,副将がどのようなものなのか教えてください。
五味一郎氏(以下,五味氏):
ザックリ説明すると,武将カードのスロットにほかの武将カードを副将としてセットするシステムです。これにより,メインの武将はステータスがアップしたり,副将が持つスキルの一部が使えるようになったりします。
例えば,攻撃に特化している武将に速度の高い副将をセットすると,攻撃が強くて速度も速い武将になるというイメージです。
4Gamer:
各武将カードのスロットは,最初から空いているのでしょうか。
勝木洋輔氏(以下,勝木氏):
副将スロットは,同じ武将カード2枚を「副将スロット解放合成」することで空きます。なお,副将スロットは一つしか空かず,複数にはなりません。
4Gamer:
メイン武将に継承される副将の能力は,どのように決定されるのでしょう。
勝木氏:
武将には,「策」「武」「護」「博」「鋭」という五つの「職種」が割り当てられており,それに応じて副将としてセットしたときの能力が変わります。
策は副将の初期所持スキルの効果の一部を,メイン武将が使用できるようになります。また,武は攻撃ステータス,護は防御ステータス,博は知力ステータス,鋭は速度ステータスのそれぞれ一部がメイン武将に反映されます。
五味氏:
つまり,似たようなパラメータの武将でも,職種が違うと個性の異なる副将になるんです。例えば,もともと攻撃力が高い武将の場合,職種が武なら副将としての価値は高くなります。しかし職種が博だと,副将としてはちょっと使いにくいということになります。
まだ調整中ではありますが,最終的にはそういったジレンマをあえて持たせることで,特定の組み合わせに偏らないようにしようと考えています。
4Gamer:
メイン武将に副将をセットするにあたり,何か制限はありますか。
勝木氏:
副将スロットは,副将スロット解放合成をしたときに,セットできる副将の職種と,レアリティおよびコストの上限が抽選されます。つまり,これらの条件に合致した副将のみセット可能というわけです。
また,副将スロット解放合成をやり直せば,副将スロットの条件を書き換えることもできます。
4Gamer:
合成をやり直す場合は,その都度,同じ武将カードを用意する必要があるんですよね。
勝木氏:
やり直す場合は同レアリティのワイルドカードで代用することもできます。また,やり直す場合の副将スロットの条件は完全なやり直しではありません。まず職種を固定できますし,コストに関しては,例えば一度3.0が出たら3.0未満にはなりません。なお,レアリティに関しては,メイン武将としてのレアリティを超えることはありません。
社内テストで触った感じだと,わりと「本当は策が良かったんだけど,これでもいいか」みたいな妥協ができるバランスになっていますね。
4Gamer:
副将の登場で,ゲームの遊び方がどのように変わると予想していますか。
五味氏:
まず武将のトレンドが変わるでしょうね。これまで使えないと判断されていた武将の中から,副将として高く評価される武将が出てくるでしょう。
4Gamer:
すなわち,メイン武将としての性能と副将としての性能が,必ずしも同じ評価になるわけではないと。
五味氏:
そういうことです。今まで人気のなかった武将に,スポットライトが当たるような調整を心掛けています。
また,あまり人気のない武将はトレードで入手しやすいですから,それだけ副将スロット解放合成と,そのやり直しが容易になるというコストパフォーマンス面でのメリットが生まれます。もしも条件の良い副将をセットできるようになれば,最強クラスの武将に匹敵する活躍が期待できるかもしれません。
4Gamer:
その半面,メイン武将と副将の組み合わせによって,想定を超えるような高性能の武将が生まれてしまう可能性もありますよね。
勝木氏:
実を言うと,副将は「覇」勢力の武将に対抗するべく企画した機能なんです。覇の武将はスキルを四つ付けられたり,二つのステータスを2000ポイントまで振り分ける「両振り」が可能だったりと,性能的にちょっと尖った仕様となっているのですが,その結果,覇以外の勢力が目立たなくなってしまったんですよ。覇が登場する以前に,ほかの勢力の武将を育てていたプレイヤーの皆さんもけっこういらっしゃいますので,その状況を打破したいという意図がありました。
また,単なる性能の上限解放ではなく,もっと多くの武将に触っていただくにはどうしたらいいかとも考えていましたから。
五味氏:
上限解放だと,もともと人気のあった武将をさらに強く,人気のない武将はさらに弱く……という結果に陥りがちですからね。
また,長くブラ三をプレイされている方だと,今となっては前線で使えないけれども,思い入れのある武将もいるんじゃないかと思います。そういう武将に,再び脚光を浴びさせたいという狙いもあるんです。
4Gamer:
そういうことであれば,覇の武将と同程度の強さの組み合わせが出てくる分には問題はない,と。
勝木氏:
そうですね。覇の尖った部分をあえて残しつつ,バランスを取っています。ただ,どうなるのか読めない部分もあるので,まずは皆さんに触っていただいて,その結果あまりにも……というところがあれば,あとから調整を加えることになるでしょう。
4Gamer:
一つ確認したいのですが,今お二人がおっしゃった意図や狙いからすると,覇の武将には副将をセットできないということですよね。
そのとおりです。覇以外の勢力のための機能だとお考えください。
また,副将をセットできる武将は,段階的に解放していきます。例えば第1弾では,名前に「関羽」が入っている武将だけ,といった感じですね。まだすべて決まっているわけではありませんが,スペシャルな性能の武将はかなり後回しになる可能性があります。
4Gamer:
つまり,性能が低めの武将ほど,早めに副将の恩恵を受けられるようになると。
勝木氏:
ええ。これは,そのほうがバランスを調整しやすいという事情からです。もしかしたら,もともと強い武将の中には,覇以外の勢力であっても副将をセットできないということになるかもしれません。そこはまさにバランス次第です。
4Gamer:
そのほか,副将の特徴はありますか。
勝木氏:
攻撃力が高いメイン武将に,職種が武の副将をセットするといったように,特定のステータスに特化した強化をできる点です。覇の武将だとステータスの上限が設定されているんですが,副将をセットする際にはそれがありません。
スキルについても,これまでは自動発動のものが主流でしたが,職種が策の副将をセットすることで自動発動ではなくても,スキルを二つ同時に使えるようになるので,運用もかなり変わると思いますよ。
五味氏:
社内テストで副将を試したときは,ゲーム内の武将図鑑を久々にじっくり見ましたね。「コスト2.0かつ職種が護の中で,最強の副将になるのはどれだ?」みたいな感じで(笑)。
これまではコスト2.0の武将は使用頻度も低いので詳細を確認したりしなかったんですけど,このときは目を皿のようにして一つ一つチェックしました。「あ,こんな武将いたんだ」と気付くこともありましたし,意外に副将として性能が高いので「育成してもいいかな」と思える武将もいて,なかなか新鮮でした。
4Gamer:
意外な発見がありそうですね。
さて,副将を本実装する前に,その機能を先行体験できるワールドを用意するとのことですが……。
勝木氏:
イベントワールド「副将の章」ですね。これは制圧戦の仕様を応用したワールドで,あらかじめプレイヤーの皆さんが持っている武将カードをコピーして,副将の機能を19日間にわたって試していただくことができます。
副将の章では,副将スロット解放合成を何度も試していただくために,このワールドの中でだけ使えるCP(チャージポイント)を配布しますので,いろいろと確認できるかと思います。
また,このワールドでは制圧戦も行えますので,副将の効果がどのように戦争で発揮されるのかも見極められます。
4Gamer:
副将の章に持ち込める武将カードの数は,制圧戦と同じ100枚ですか?
勝木氏:
いえ,800枚持ち込めますので,手持ちの武将がどうなるのか,ほぼ確認できるんじゃないでしょうか。
4Gamer:
ということは,すべての覇以外の武将に副将スロットは空きますか?
勝木氏:
いえ,副将スロットが空くのは一部の武将のみです。それでも100枚以上が対象になりますし,対象の武将だけが出るブショーダスも用意します。
一方,職種はすべての武将に付与されますので,副将としてどんな性能になるのかそれぞれご確認いただけます。
五味氏:
もちろん,体験していただいた皆さんの意見や感想は,本実装に向けた調整に反映させます。「危険な組み合わせを発見しました!」みたいな報告も大歓迎です(笑)。
4Gamer:
副将の章を体験するためには,7月12日から始まった事前登録に応募する必要があるんですよね。
勝木氏:
はい。Yahoo!モバゲー系列とそれ以外の系列に分けて,二つのワールドを用意します。抽選という形式を取ってはいますが,各ワールドは1万 vs. 1万という構成で最大2万人が入れます。ぜひたくさんの方に7月28日から副将の章にご参加いただきたいですね。
五味氏:
実は,ほかのワールドのプレイヤーと「ブショーデュエル」ができるというのも,副将の章の隠れたポイントなんですよ。つまり今回は,ワールドの垣根を越えて誰が一番強いのかというランキングも出てしまうんですよね。
ただ,あくまでも副将がどんなものか試していただくのが本来の目的ですから,デュエルにはあまり入れ込みすぎないよう,ほどほどでお願いしたいところです。
4Gamer:
それでは,副将が本実装されるのはいつ頃になりそうでしょう。
五味氏:
副将の章で,どんな意見が出てくるか,それに沿った調整にどれだけ時間が掛かるか分かりませんから,まだ明言はできません。もちろん,可能なかぎりお待たせしないようにしようとは考えています。
サービスイン7周年の大きな思い出は
本名でプレイヤーと遊んだこと
4Gamer:
ところで,ブラ三もサービス開始から7周年を迎えますね。これまでを振り返ってみての思い出などはありますか?
勝木氏:
私がディレクターになったのは2012年のことでした。当時のブラ三は,約4か月のゲームサイクルの中でプレイヤーの皆さんが自由に戦争するという基本的な部分こそ良くできていましたが,逆に言うとそれ以外がないという状況だったんです。イベントもあるにはあったんですが,貧弱なログインボーナスだけだったり……。
そこでこの4年間は,データやバランスを調整しつつ,イベントなどの拡充に力を入れてきました。ほかにも,一人のプレイヤーとして荒削りだと感じていた部分を改修しています。
4Gamer:
プレイヤーにとって気になるであろう部分を,きっちり改修してきたわけですね。
勝木氏:
ええ。今では,以前なら考えられなかったようなコラボレーションもスピーディにできるようになりました。最近だと「聖闘士星矢 ビッグバンコスモ」とコラボしましたし,少し前ですが大阪王将とのコラボは個人的にも思い出深いです。チーム内で連れ立って大阪王将に餃子を食べに行ったりもしました。
僕は,本名プレイでプレイヤーの皆さんと触れあえたことですね。過去2〜3回,本名のアカウントでプレイしたのですが,その中で「あの五味さんですか?」みたいな感じで誘ってくださったプレイヤーさんがいて。プレイヤーの皆さんの中にも,誰がブラ三を運営しているのか気にかけてくださる方はいるんだと実感できて,すごく嬉しく思いました。
4Gamer:
それは嬉しいですよね。
五味氏:
プレイヤーさんがゴールデンウィーク中に戦争を始めたときは,旅行先からブラ三をプレイしたこともありますよ。「五味さんはそこで守っていてください」みたいな指示を受けたり(笑)。でも,そうした触れ合いは本当に良い経験だと思います。そういうことをできる空気が,ここ1〜2年くらいで形成された感じですね。
4Gamer:
では,大型アップデート関連で,何か思い出すことはありますか?
勝木氏:
ブショーデュエルの改修や大号令イベント,覇や新兵科の実装,制圧戦の実施などいろいろやってきました。……が,まだまだ荒削りな部分があると自覚しています。今後はそれらを細かくケアしていきたいですね。
4Gamer:
それでは,現在実施中の7周年記念キャンペーンについても,ひと言お願いします。
五味氏:
いろいろ展開していますが,とくにお伝えしておきたいのはカムバックキャンペーンです。
勝木氏:
同時に新ワールドも用意しましたので,ゲームを離れていた皆さんが新たにゲームを始めるには,非常に良いタイミングではないかと思います。また副将の章の事前登録期間も,カムバックキャンペーンの期間と重なっていますので,ついでに登録していただけると嬉しいです。
五味氏:
カムバックキャンペーンとして,6枚の武将カードセットを用意しました。これがけっこう豪華なんですよ。
勝木氏:
今主流のスキルを所持した武将や,勢力「覇」の武将などを織り交ぜたセットになっています。これを持っているだけで最近のトレンドを試すことができるので,カムバックするのにもオススメです。
4Gamer:
それでは,今後のブラ三の展開について,今お話できることがあれば教えてください。
具体的な実装時期はお約束できないのですが,優先順位の高いところでは武将カードの収納に関して検討を進めています。これは合成のやりやすさや,ブショーダスを引きたいのにカードがいっぱいで引けないといった状況の改善を目的とするもので,現在は倉庫のような形式にするのか,それとも特殊カードを別枠にするのかといった仕様を考えているところです。
もう一つはブショーデュエルの調整と,デュエルイベントの開催ですね。どちらもリクエストをいただいているので,優先順位高めで企画を進めています。
五味氏:
おかげさまで制圧戦の反響が大きいので,デュエルイベントを開催するタイミングを失ってしまったんですよね。決して忘れているわけではありませんので,デュエルがお好きな皆さんは安心してください。
4Gamer:
それでは最後に,ブラ三の8周年9周年,そして来たるべき10周年に向けた意気込みなどをお願いします。
勝木氏:
今やゲームと言えばスマートフォンといった感もありますが,ブラウザゲームにも面白い部分はいっぱいあると思います。地に足の付かない,浮き足だったことを目指すのではなく,今後も実際に遊んでくださるプレイヤーの皆さんに向けて堅実にやっていきたいですね。もちろん,隙あらば皆さんが驚くようなことも仕掛けていきます。
五味氏:
僕自身,一人のプレイヤーとしてまだまだブラ三を楽しんでますからね。今後も,自分で楽しみながら「こういう機能があればいいのに」と思うところを,積極的に取り入れていきたいと考えています。
Yahoo!モバゲーの新ワールドでも,本名でプレイする予定です。見かけたら,ぜひ仲間に入れてください。
4Gamer:
ありがとうございました。
「ブラウザ三国志」公式サイト
「体験イベント【副将の章】」特設ページ
- 関連タイトル:
ブラウザ三国志
- この記事のURL:
キーワード
(C)Marvelous Inc.