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[TGS 2009]セガ名越氏,カプコン稲船氏,そしてKONAMI小島氏が「Project Natal」に見たゲームの未来とは
・セガ R&D クリエイティブオフィサー CS研究開発統括部 統括部長/チーフプロデューサー 名越稔洋氏
・カプコン 常務執行役員 開発統括本部長 稲船敬二氏
・コナミデジタルエンタテインメント 専務執行役員 小島プロダクション 監督 小島秀夫氏
泉水氏も「この3人が揃うことは初めてなのではないか」と言及するほど豪華な顔ぶれだが,各国から集まった記者達は,世界でもとくに著名な小島氏が登場したことに感嘆していたようだ。
会場では,まず米Microsoft インタラクティブ エンターテイメント ビジネス シニア バイスプレジデント ドン・マトリック氏が,ビデオメッセージにて今回のパネルディスカッションの主旨を述べた。マトリック氏は,日本のクリエイター達はこれまで幾度もゲームの限界を広げ,それを世界に発信してきており,またXbox 360も発売以来4年間の歴史の中で大きく発展してきたと述べた。
そして今回,日本のクリエイター達が新技術のNatalを使うことで,さらに市場を牽引するだろうと展望を述べるとともに,具体的な成果──すなわち,Natalを活用したコンテンツについては,今後に期待してほしいと締め括った。
セガ R&D クリエイティブオフィサー CS研究開発統括部 統括部長/チーフプロデューサー 名越稔洋氏 |
カプコン 常務執行役員 開発統括本部長 稲船敬二氏 |
コナミデジタルエンタテインメント 専務執行役員 小島プロダクション 監督 小島秀夫氏 |
パネルディスカッションは,7月にNatalのデモに初めて触れたときの,各々の感想から始まった。「最初はマイクロソフトがセンサーを? と思って,『こんなものだろう』と予想していた。しかし,実際に見終わったときには『今くれるのか? いつ手に入るんだ?』に変わっていた」と語ったのは名越氏。
稲船氏も「すごく忙しい時期にシアトルまで呼ばれて,しょうもないもんだったらどうしてくれよう」と思っていたが,やはり実物に触れると「多分こういうもの」という予想をはるかに超え,「これなら,こういうことができる」というアイデアが続々と湧き出たという。
また小島氏は,大きな衝撃を受けたとし,それを例えて「グラフィックスが2Dから3Dに変わったとき,物の裏側まで見られるようになったのが凄かった。Natalにはそれくらいの衝撃がある」と表現。さらに「各分野で進められているであろう画像解析の技術が,ここまで進んでいるとは思わなかった」と付け加えた。
また名越氏は,ハードウェアやコントローラが増えると,それだけ作り手としてもできることが増え,また過去に完成させたものを,新たなものとして再構築できる点を可能性として挙げた。さらに名越氏は,Natalは空気中がすべてスイッチとなり得る点を挙げ,とっ散らかってしまう可能性を指摘しつつも,そこが面白い部分であるとコメントした。
さらに小島氏は,Natalの可能性はゲームに留まらず,例えば銀行の振り込みやスーパーの買い物,広告媒体,手術への応用といった「ゲームの先にある未来」への展望を述べる。しかし一方では,そのサンプルを作るゲームクリエイターが半端なものを作ってしまうと,その先の展望も消えてしまうと,責任の重さを指摘した。
Natalによってゲームがどう楽しくなるかについて,稲船氏は,ゲームのグラフィックスは恐ろしいほど進化してきたが,コントローラはそれに追いつけなかったと指摘。しかしNatalでは,今まで指先でボタンを押すことでしか表現できなかった感情を,例えばより身体を使った形で表現できるのではないかと言及する。
それを受けた形で名越氏は,奥ゆかしいとされる日本人の感情表現も,ひょっとするとNatalの普及によって変化するかもしれないと述べる。
加えて小島氏は,Natalは単に面白いものではなく,一つの発明であると評価。曰く,インタラクティブのグレードを一段階引き上げるものであり,これまでゲームをやらなかった人を惹きつけるのはもちろんだが,その一方ではコアなゲームユーザーに対して今までできなかったアプローチも可能になるのではないか,と展望を述べる。
また具体的にどう活用するかについて,稲船氏は,Natalが作り手によって差の出るコントローラになるであろうことを指摘。先を考えて感情まで取り入れるような仕様にすることで,今後,ゲームの本質が変わるかもしれないとも付け加えた。
名越氏は,例えば「なでる」という行為一つをとっても,何かをいとおしくなでるようなドラマが必要になるだろうと言及し,「いい物を作ろう,伝えよう」という人にとってはいいデバイスになり得るとコメントした。
そのほか,両手での操作を前提にしていた従来のコントローラと異なり,片手でもゲームがプレイできるようになる点など,Natalのさまざまな可能性と展望が,3氏によって次々と挙げられた。具体的なコンテンツがないので,やや漠然とした話ではあるのだが,それでも日本のトップと称されるクリエイター達が集って,これだけ熱く語りあう新技術というのもあまり例を見ない。それだけNatalという存在は,クリエイティブな欲求を掻き立てる魅力に満ち溢れているということなのだろう。それでは最後に,3人のNatalに対するコメントを掲載しよう。
「映画は目で見てるだけなのに,凄く感動します。ゲームはインタラクティブの面では勝てているのに,指先を使うがゆえに映画ほど感情に入り込めなかった。Natalでは,例えば倒れている人を助けるにしても,今までとは違った表現ができる。そこに映画を越えられる可能性があります」(稲船氏)
「生命感,命を感じるようなコンテンツを作りたい。まあ,分かりやすいものもやりたいですけれども(笑)」(名越氏)
「自分を理解してくれるゲーム,コンピュータ。表情も含めて,考えていることなども家族以上に自分の状態を分かってくれる,そういうものを作りたいです。ロボットというとちょっと違うのですが,そういうコンピュータ,AIを作るのが子どもの頃からの夢でした。それがNatalである,と」(小島氏)
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