イベント
「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」の最新情報が明らかになったニコニコ生放送の現場をレポート。吉田氏へのショートインタビューも掲載
この番組は,MMORPG「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」(PC / PlayStation 3,以下,新生FFXIV)の現状と今後に関する情報などを,同作のプロデューサー兼ディレクターを務めるスクウェア・エニックスの吉田直樹氏が,直接,視聴者に伝えるというもの。 番組は,生放送ディレクターのひげおやじ氏を司会に,吉田氏とニコニコ動画管理人のひろゆき氏とのトークで進行した。本稿では,主に番組内で明かされた新生FFXIVの新情報について,お伝えしよう。
番組の冒頭では,吉田氏が,そもそもFFXIVとはどのようなゲームで,どういった経緯で新生FFXIVとしてリローンチ(サービス開始)することになったのかなどをあらためて紹介。その中では,新生FFXIVのαテスト参加者の約半数が日本から,残りが北米や欧州からログインしていることや,公式サイトのフォーラムには各国から多くの書き込みがあることなども明かされた。
続いて,新生FFXIVのαバージョンプレイデモ Part8となるインスタンスダンジョン「タムタラの墓所」の映像が,先行公開された(関連記事)。
このダンジョンは,レベル15以上のプレイヤーを対象とした,いわば初心者向け。ダンジョン内部を進んでいくと,設置された球体のオブジェクトが嫌でも目に付くのだが,吉田氏いわく,「アレをどうにかすると,何かが起きるのではないか」というギミックになっているとのことだ。
さらに,氏は新生FFXIVのインスタンスダンジョンについて,ファミコン/スーパーファミコン時代のFFシリーズのダンジョンを意識し,じっくり謎を解きながら,レベリングやアイテム収集ができるように作っていると説明する。
またスキル発動時などのエフェクトも,従来のFFシリーズを意識した派手なものとなっているが,フォトリアルな画像が求められる海外でも,こうしたエフェクトは“FFらしさ”の一つとして求められていると,吉田氏は話していた。
次のコーナーでは,以下のCPU/グラフィックスボード/OSで構成された3タイプのPCを使って,新生FFXIVがどのように動作するかの検証が行われた。画面は,最高品質のグラフィックス設定だ。
ハイスペック:
Core i7 3.5GHz/GTX 680/Windows 8 Pro(64bit)
ミドルスペック:
Core i5 750 2.66GHz/RADEON HD 5750/Windows 8 Pro(64bit)
ロースペック:
Core 2 Duo 3.0GHz/8800GT/Windows 8 Pro(64bit)
上記のハイスペックPCでは,LOD(レベルオブディテール)がオフでも,画面内に多数のプレイヤーが集中したときの動作の低下は見られない。ミドルスペックPCでも,若干,フレームレートが下がった感はあるが,あえて比較しなければハイスペックPCとの差は気にならない程度だった。
さすがにロースペックPCでは,プレイヤーが多数になると目に見えてフレームレートが落ちるが,グラフィックスを標準品質に設定し,LODをオンにすることで,ゲームプレイにも見た目にも十分なクオリティが得られていた。
ハイスペックPCでは,多数のキャラクターが走り回ったりジャンプしたりしても,最高品質のグラフィックス設定で常に快適なプレイが楽しめる |
ロースペックPCでも,通常のプレイであれば十分に最高品質のグラフィックスが楽しめるようだ |
こうした仕様について,吉田氏は,インゲームイベント開催時などに,できるだけ多数のプレイヤーを同時表示できるようにしたかったと述べ,「例えば自分が魚釣りをしているときに,向こうで同じく釣りをしているプレイヤーが見え,こっち側では木を切っているヤツがいて,その奥ではバトルのエフェクトが見える。そして,何かあったときには1か所に山ほど人が集まる。MMORPGでは,そういう感覚が好きです」と,その理由を説明した。
なお,現在,さらなるハイスペックPCを用意しているプレイヤーに向け,βテストから製品版のリリースにかけて,現在の最高品質を超えるグラフィックス設定を加える予定もあるとのことだ。
ここで番組の出演者3名が,実際に新生FFXIVのインスタンスダンジョン「タムタラの墓所」に挑戦することになった。しかし,番組を観ていた多数のαテスター達が,ゲーム内の吉田氏らのもとに集まったため,ゲームから落ちてしまうとログインしづらい状況に。最終的には,サーバーがダウンしてしまった。あまりの人数にかなりの負荷が掛かっていたようだ。ちなみに吉田氏によると,αテスト中の緊急サーバーダウンは実は4回しかなかったのだとか。
サーバー復旧中の雑談の中では,テレポで消費する「アニマ」を廃止し,代わりに移動距離に応じたゲーム内通貨「ギル」を消費するシステムを導入する構想があることなどが語られた。また,ゲーム内の「盗賊の砦」の奥にボスモンスターが潜んでいることも明かされた。
次に吉田氏は,開発中の情報として,クラフターの最終装備,ヒューラン女性,ルガディン女性,ミコッテ男性のモデリング画像を続々と公開。ちなみに一部の画像に映り込んでいるチョコボやボムはβテストで導入される予定で,吉田氏いわく「そんなに重くないコンテンツなので,期待しすぎないでください」とのことである。
続いて,番組出演者3名と,新生FFXIVのαテスター達が「キャンプ・トランキル」にて,巨大モンスターを討伐するインゲームイベントが実施された。マップ上には1000人以上のテスターが集まり,GMが出現させるモンスターを次々に討伐していく。最終的に,GMがレベル50のモンスターを同時に3体出現させ,群がるテスター達を返り討ちにしていく展開となった。
吉田氏は,このイベントについて,「αテストの目標は,1ゾーンで1000人が同時にバトルに参加してもサーバーが落ちないことでしたから,無事,目標達成できたと言えます」とコメント。図らずも,今回のイベントが負荷テストになったというわけだ。
なお氏いわく,αテストではキャラクターの表示を100体に制限しており,かつ表示の優先順位を付けていないとのことで,ボスモンスターから離れると,見えづらいといったことも。これはβテスト以降,順次調整を進めていくという。
番組のエンディングでは,吉田氏が,新生FFXIVもαテスターの協力を得て基礎設計が完成し,今はダンジョンの作り込みなど物量勝負の段階に入っていると説明。旧FFXIVをプレイした経験のあるひろゆき氏は,新生FFXIVがαテストの段階ですでに完成度が高いことに言及し,「今後,どうなっていくのか非常に楽しみ」と感想を述べる。また吉田氏は,今回のような番組を定期的に配信したとも話していた。
吉田プロデューサーへのショートインタビュー
番組終了後,吉田氏に対するメディア合同のショートインタビューが実施されたので,その模様をお伝えしよう。
──生放送,お疲れ様でした。ぜひ,今の感想を教えてください。
スクウェア・エニックスでも生放送(プロデューサーレターLIVE)をやっているのですが,それは身内でやっていることですし,またプレイヤー/テスターの皆さんを対象にしていますから,仮にトラブルが起きても何とかなります。
しかし今日は,ある意味,公的な放送ですから,新生FFXIVにあまり興味のない方もご覧になるかもしれません。なので事前には少し不安がありましたし,サーバーが落ちたときはヒヤッとしました。結果として非常に盛り上がっていただけて,僕自身もすごく楽しかったです。
──ひろゆきさんの印象はいかがでしたか。
吉田氏:
メッチャ楽しかったですね。今日,このまま一緒に飲みに行きたいくらいです(笑)。なかなかお会いする機会もなかったのですが,絶対,直接お話ししないと分からない方だと思っていたので,今日はドキドキしながらも楽しみにしていました。
とくに,以前,新生FFXIVに関して的確にコメントされていたのが,ものすごく印象に残っています。「(ゲーム内の)自然物をこれだけ前面に押し出してくるのは,自信がある証拠」と解説してくださったのは,印象的でした。
──生放送中で紹介した,Windows 8のタッチパネル対応について教えてください。
吉田氏:
Windows 8がかなり作り込まているのと,新生FFXIVの描画エンジンをフレキシブルに作ってきたことで,今日お見せしたところくらいまでは,意外とすんなりできたという感じです。正直,僕もあそこまでできているとは思っていなかったんですよ。ただ,タブレットでのプレイを考えると,チャットなどをするためにはソフトウェアキーボードが必要になります。したがって製品化は,サービスインよりあと,まだまだ先の話でしょうね。
ただ,今後の店頭プロモーションなどで,キャラクターメイキングの部分だけタッチ操作を体験していただく,というようなことは実現できるかもしれません。
──アニマの廃止にも触れていましたが。
吉田氏:
マップ上の「エーテライト」を確保していくと,ギルを消費してテレポが使えるようになるという形で考えています。やはり,フレンドから「今,すごいイベントが起きてるから,すぐ来いよ!」と言われたときに,アニマがなくていけないと切ないですよね。そこはもう,バンバン飛び回ってもらっていいんじゃないかと。
その一方で,乗り物については,きちんとコンテンツと紐付けたいという考えがあります。例えば飛空挺に乗ったら空賊に襲われたり,船に乗ったらクラーケンに襲われたり。それができて初めて,船や飛空挺などの乗り物が意味を持つと,僕は考えています。運営・開発を続けていく中で,そういった遊びが入るタイミングは必ず作ります。
──ちなみに乗り物の上にモンスターをポップさせることは技術的に可能なのでしょうか。
吉田氏:
ゾーンを用意しておけば可能です。新生FFXIVはパスではなく,ナビゲーションメッシュから移動ルートを生成するので,どこでもバトルを発生させられます(関連記事)。
──巨大モンスター戦で言及していた,キャラ表示の優先順位の調整はどうなるのでしょう。
吉田氏:
パーティメンバーが最優先,次にパーティメンバーに対してヘイトを持っているモンスター,そのモンスターとリンクしているモンスター,その次がフリーカンパニーのメンバー……というような順番になります。
また,今はキャラ表示を100体に制限していますが,実はハイスペックPCならもっと制限を緩くできます。キャラ表示数は,ハイスペックとロースペックの差がもっとも如実に出る部分ですね。
──では,PCスペックによって制限数をプレイヤーが100体,1000体,それ以上と設定できる可能性も?
吉田氏:
そうですね。検討しています。
──逆に,制限が100体以下,つまり70体や80体になったりはしますか。
吉田氏:
それはありません。αテストでは,安定性を優先するために制限をかけましたが,皆さんから送っていただいたPCスペックの内容や,テストの結果を見る限り,100体制限でまったく問題ありません。
──βテスト以降,推奨するPCスペックはどうなるのでしょうか。
吉田氏:
αテストでは,安定性の観点からハイスペックPCをお持ちの方を優先的にテスターとして選出し,徐々に裾野を広げていきました。βテストでは,低い環境ほど手厚く,確実に動作することを保証しながら広げていきます。逆にハイスペックPC向けにも,ベリーハイ設定などをどんどん供給していけると思います。
ただ,推奨環境が大きく変わることはありませんから,αテストを参考にしていただけるといいんじゃないでしょうか。
──βテストでは,最終的にどのくらいの人数がテスターとして参加できるのでしょう。
吉田氏:
フェーズ3から,ほぼ全部オープンに近いイメージになると考えてください。正直,グローバルで数十万人単位を想定しています。ちなみに,いわゆるオープンβテストは,最終フェーズのフェーズ4からになります。
──βテスト中,フェーズはシームレスに移行するのですか。
吉田氏:
公開するロードマップにもあるとおり,フェーズとフェーズの間には修正期間が入ります。やはり,僕らが想定していないフィードバックに対するバッファが必要ですから。今回は,いま遊んでいただいているお客様だけでなく,新しいお客様にも満足していただけるよう,徹頭徹尾,作り込みます。
──新生FFXIVに注目する人達が,今回のロードマップをどう受け止めると思いますか?
吉田氏:
βテストは,本当にたくさんの人に触れていただこうと考えています。例えば,フェーズ3からは「フリーカンパニー」でコミュニティを形成できます。これからどんどん新生FFXIVが完成していく様子を,プレイしながら味わえると捉えていただけるとうれしいですね。生放送中,「こんなαテストの終わり方はそうそうない」と言いましたが,βテストも同じです。途中から旧バージョンで育てたレベル50のデータが使えますし(笑)。そういう部分を,ぜひ,僕らと一緒に楽しんで,ときに厳しい意見をいただきながらサービスインを迎えたいですね。
またゲーム中では,βテストまでの期間が空くことでコミュニティ維持が難しくなるのではないかというご意見もいただきました。そういった真摯なお客様に「新生FFXIVが世界で戦えるゲームになった。それをオレ達が支えてきたんだ」と誇りを持っていただけるよう,僕らは今までの何十倍ものお客様を呼び込むべく注力しています。
正直,僕らも早く出してしまいたいと思うことがあります。でも負けたくないんです。少なくとも世界で戦えるゲームにしたい。それがすべてです。
──ありがとうございました。
「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」αテストプレイレポート
「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」βテストのロードマップ公開
「FINAL FANTASY XIV」公式サイト
- 関連タイトル:
FINAL FANTASY XIV(旧)
- 関連タイトル:
ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア
- 関連タイトル:
ファイナルファンタジーXIV
- この記事のURL:
キーワード
(c)2010 SQUARE ENIX CO.,LTD. All Rights Reserved.
※SQUARE ENIXおよびSQUARE ENIX ロゴ,ファイナルファンタジー/FINAL FANTASYは,日本およびその他の国における株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングスの商標または登録商標です。
※エオルゼア/EORZEAは,日本およびその他の国における株式会社スクウェア・エニックスの商標または登録商標です。
(C)2010-2016 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
© SQUARE ENIX
LOGO & IMAGE ILLUSTRATION:© YOSHITAKA AMANO