インタビュー
待望の日本〜東アジア実装で大きな飛躍を! 「大航海時代 Online 〜El Oriente〜」開発/運営プロデューサーインタビュー
本記事では,その直後に行った,運営プロデューサーの渥美貴史氏と,開発プロデューサーの竹田智一氏のインタビューをお届けする。
過去最大規模の拡張となる「El Oriente」は開発/運営にとっても待望の内容に
4Gamer:
本日は,よろしくお願いします。
まずは,発表会を終えた感想を聞かせてください。
一言でいうなら,ホッとしました(笑)。発表会でも述べたように,東アジアの実装は我々の夢でしたから,ベストな形で発表したいと常々考えていたんです。それをようやく実行できて,まずは一安心といったところです。
竹田智一氏(以下,竹田氏):
やっと,この日を迎えられたという思いです。
4Gamer:
El Oriente自体の実装が12月とのことですが,けっこう早い段階での発表ですよね。これにはどんな理由があるんでしょう?
渥美氏:
今回の拡張パックは,規模が大きく,また我々も非常に力を入れています。そこで最初に大きくドーンと発表しておいて,具体的な内容は順を追ってお見せしていこうと考えたんです。
このボリューム感をきちんとお伝えするためには,これくらいの期間が必要なんですよ。
4Gamer:
なるほど。発表された内容をすべて合わせると,確かに相当のボリュームになりそうですね。その中で,最もプッシュしたいものは何でしょう?
それは,もちろん東アジア地域の実装です。ずっと開かれていなかった海域ですから,プレイしている皆さんは,いつかは出るだろうとお考えになっていたはずです。とはいえ,それがいつになるかは予想がつかなかったんじゃないでしょうか。
というのは,ここのところ,南半球を使った世界一周をできるようにしたり,またExtra Chapterとしてガラパゴス諸島など太平洋の島々を冒険できたりといったアップデートを重ねていましたから。その延長で考えると,次は北米あたりに行くんじゃないかと予想していた方もいらっしゃったんじゃないかと思います。
4Gamer:
確かに,熱心に大航海時代 Onlineで遊んでいる人ほど,驚いたかもしれません。
渥美氏:
しかし我々としては,拡張パックもこれで第3弾になりますから,今回は非常に大きなものにしたいと考えたんです。それこそ,ホップ,ステップ,ジャンプのジャンプといった感じで。
そこで皆さんにとっても,我々にとっても待望の東アジアにしようと決めたわけです。
4Gamer:
東アジア実装に対するプレイヤーの要望も,これまで多く寄せられていたんですよね?
竹田氏:
何年越しになるんだろう? って,少し考えてしまうくらい前からありますね。
それこそサービス開始当初からですね。
発表会でもプレイヤーの皆さんからの質問という形で公開しましたが,東アジアと日本の実装は,本当に常に挙がってくるご要望でした。
竹田氏:
それを宿題という形で先延ばしにしてきたんですが,ようやくお見せできることになりました。
4Gamer:
そこまで期待されていると,何かプレッシャーのようなものを感じませんでしたか?
渥美氏:
いい意味でのプレッシャーにはなっていましたね。
東アジアを作るならいいものにしたいという気持ちは当然ですが,その発表もきちんと見合った形にしたい。そういった感じで,各所に気合を入れていたんです。
4Gamer:
では,東アジアの中で,とくにここを見てほしいという部分を教えてください。
渥美氏:
まずは街並みがどんなものになるか期待してください。
今はまだ作りこんでいる最中なので,イメージボードしかお見せできませんが,今後徐々に明らかにしていきます。
竹田氏:
東アジアは特有の世界観を持っていますから,それをうまく表現したいですね。ビジュアル面で独特なのは当然ですけれども,それに留まらないように……とくに日本の皆さんにとっては地元だったり近しい地域だったりしますから,「ああ,あそこか!」と思えるような表現を心がけています。
台湾島文化圏の街 |
朝鮮文化圏の街 |
華南文化圏の街 |
ドラマチックな戦闘と新造船システムで,航海者としての冒険をより深く表現
4Gamer:
ただエリアが追加されるだけでなく,ゲームシステムも刷新されるそうですね。
ええ,制作コンセプトの一つとして,「ゲームシステムの刷新」を挙げていますが,これも大きなポイントです。既存システムをリニューアルしたものもあれば,新しいものも登場します。
単に東アジア地域が開くというだけでなく,これまでの大航海時代 Onlineとはだいぶ異なる印象となるように──むしろ“生まれ変わる”といっていいくらいのものを目指しています。
4Gamer:
具体的には,どういった変化があるのでしょう?
竹田氏:
陸上戦に力を入れます。やはり本作は“海”を舞台にしたゲームですから,交易だけでなく,戦闘も主に海で行います。そうした理由から,これまでは洋上戦に力を入れてきたのですが,東アジアといえば武術や剣術が発達した地域です。また日本といえば,侍ですよね(笑)。
4Gamer:
ああ,侍は絶対外せませんよね。
竹田氏:
そこで今回は,陸上戦にも力を入れたというわけです。
戦闘のスピードを含む仕様そのものをかなり変えていきます。ただ,具体的なことに関しては,後日の発表をお待ちください(笑)。
4Gamer:
楽しみにしています。でも,どうして陸上戦も作り替えようということになったんですか?
竹田氏:
これまで以上に“航海者としての戦い”“冒険の障壁”を表現するためには,陸上戦も作り替える必要があったんです。そうすることで旅の過程や,行った先で何が起きるのかといった部分も表現できるんじゃないかと思います。
今回は新たに,「甲板戦」も登場するようですが,これは……?
渥美氏:
これまでにも,船と船が接舷した場合に,敵船に乗り込んで戦うところまでは表現できていたんですよ。ただ,甲板戦では,そこから決着をつけるというところを表現していきます。
竹田氏:
海賊映画なんかを観ると,クライマックスはお互いに切り込んでいって,提督同士が「来やがれ!」みたいに叫んで直接対決しますよね。ああいった場面を再現したかったんです。
4Gamer:
ああ,一番盛り上がるところですよね。
つまり,甲板戦をクライマックスとする,ドラマチックな戦闘の流れができるというイメージになると。
竹田氏:
そういうことです。「遺跡迷宮」の探索も同じですね。「インディ・ジョーンズ」を思い浮かべると分かりやすいですが,道中では主人公のインディが戦うじゃないですか。そういった,生身で戦うところを表現したいんですよ。
4Gamer:
単にダンジョンがあって,進んでいくとボスがいるというだけではなく,そこに至るまでの流れもきちんと描いていくというわけですね。
竹田氏:
はい。陸上戦や甲板戦を充実させることで,そういった表現を目指しています。
4Gamer:
そのほか,システム面の刷新についてお話してもらえることはありますか?
交易ですね。今まではインドから胡椒を持って帰るといった感じでしたが,今回はその単なる延長に留まらないようにしています。まずは当時の世界観に根ざし,これまでよりも難度の高い地域という位置付けにしようと考えました。日本は鎖国寸前でしたし,ほかの国も外交を閉ざしています。ヨーロッパ人からすれば,非常に高価な品があるのに,なかなか手を出すことができないといった状況です。今回,それを今までと異なるシステムで表現しました。
4Gamer:
それが有力者と親交を深めたり,あるいは一辺倒のやり方では通じなかったりといった部分ですね。
竹田氏:
そうです。
4Gamer:
従来のような,投資の結果としての友好度上昇や交易品の登場みたいなものとも違うんですか?
竹田氏:
ええ,東アジアの国々は,国と国との通商が禁止されているという政情なんです。ですから,投資や同盟港といった概念そのものがありません。そういう意味でも,本当にこれまでとは違うものなんですよ。
4Gamer:
そこをどうやってこじ開けていくか? という点が重要になるんですね。
……となると,東アジアの国々をプレイヤーキャラクターの出身国として選択できるようにはならないんでしょうか?
竹田氏:
将来的には考えていないわけではないのですが,大航海時代 Onlineというゲームは,ヨーロッパから世界へ向けて出て行くというのが基本コンセプトですから,まずはそういった形でお楽しみいただこうと思っています。
4Gamer:
分かりました。
では,造船システムの刷新についても教えてください。
これまでは決まったレシピに沿って各種の船を作ってきたわけですが,もっと作り手によって異なってくる部分を表現したいと考えました。船というのは,航海者にとって自分自身を表現する最大の手段です。そこで見た目にも,性能面でももっと作り込めるようにしています。
渥美氏:
今までよりも,はるかに自由度を高め,かつカスタマイズの深さを提供しています。その人がどこまで船に取り組んでいるか,パーツ一つとってもどこまで強化するか,というような部分を深く追求できるようにしました。
4Gamer:
見た目も,性能もこれまで以上のカスタマイズが可能,と。
竹田氏:
どちらかというと,まずは性能面のカスタマイズを充実させます。というのも,性能の差は,これまであまり表現できていなかったからです。
渥美氏:
これまでは,“とんがった”船を作りにくかったんですよね。主だった性能が決まっていて,そこにある程度のカスタマイズを加えるという感じだったのですが,今回は,そうなってしまわないようにしています。
初心者と上級者を繋げコミュニティを活性化する「メンターシステム」と「遺跡迷宮」
4Gamer:
上級者と初心者が一緒にプレイできる「メンターシステム」も導入されるそうですが。
はい。上級者であっても,初心者と同等のレベルで一緒にプレイできるというタイプのシステムを採用します。
これまで大航海時代 Onlineは,戦闘においては上級者の方がいると初心者に経験値が入らないといったシステムでしたから。ほかのタイトルでも使われているシステムですが,そこに大航海時代 Onlineらしい味付けをしていきます。
もちろん戦闘だけでなく,交易などでも上級者が初心者に協力できるものになりますよ。
4Gamer:
初心者と上級者が知り合うためのきっかけのようなものを,何かシステム的にサポートするのですか?
竹田氏:
ええ,ゲームの内容からすると,初心者はスタート地点に近いヨーロッパに集まりがちですが,上級者になるほど遠くで行動するようになります。そこで遺跡迷宮には,両者が同時に遊べる場としての側面を持たせています。
4Gamer:
ああ,なるほど。
例えば,ピラミッドに地下階層が見つかったとなれば,初心者か上級者かを問わず多くの方が集まってきて,付近のアレキサンドリアの街が探索の前線基地になります。
渥美氏:
発表会の内容だと,遺跡迷宮は東アジア地域を中心に配置されると思われたかもしれませんが,実際はヨーロッパなどにも用意します。なので,初心者のほうが行きやすい遺跡もあるんですよ。
4Gamer:
遺跡迷宮に入るためには,何らかの条件をクリアする必要があるんですか?
竹田氏:
はい,一人一人がそれぞれの条件をクリアしていくことで見つけられるようになるんですが,例えば艦隊の誰かが条件をクリアしていれば,一緒に入ることができるんです。
4Gamer:
では上級者が発見したところに,初心者が一緒に入れるということにもなるんですね。ヨーロッパなどでは,そういう遊び方も生まれやすそうです。
渥美氏:
そのあたりは運営イベントなどでもサポートする予定です。システムや,お祭り的な何かでヨーロッパに多くの皆さんを集めるような仕掛けを考えています。
4Gamer:
だいたいイメージは掴めました。
ところで発表会では,遺跡迷宮の説明のとき,スクリーンに安土城らしき城を映していましたよね。そういった日本の城の下層にも迷宮を作るのですか?
竹田氏:
そういったことも,あるかもしれませんね。そもそも日本の城は,城下町を迷宮っぽく配置していたんですよ。しかし,ゲームでそれを再現してしまうと街の使い勝手が悪くなってしまいますから,少しアレンジして。
渥美氏:
有名どころでは,真田の城には地下を通じた脱出経路が用意されていたといわれていますよね。それを誇張したようなものと考えるとイメージしやすいかもしれません。
4Gamer:
とはいえ,本当にそういったものが実装されるかというと,まだ分からない,と。
竹田氏:
ええ。ピラミッドにしても,ほかの遺跡にしてもまだまだ未知の階層がありますから,想像を膨らませていただくと楽しいんじゃないでしょうか。
副官にも船を! 導入当時の構想実現でより遊び甲斐のある内容に
副官を船長に任命できるというのも,大きなポイントとなりそうです。
竹田氏:
実は,最初に副官を導入したときから構想していたものなんですが,それをようやく実現できました。
スタンドアローンの「大航海時代」シリーズでは,仲間を船長にして,自分一人で艦隊を組むことができたんです。しかしオンライン版ではアレンジして,複数のプレイヤーで艦隊を組むように設計しました。
4Gamer:
そこはやはり,せっかくのオンラインゲームですからね。
竹田氏:
しかし副官を育成していると,船を持たせてあげたくなるのがプレイヤー心理というものですよね。
渥美氏:
このタイミングになったのは,同時に実装する遺跡迷宮が複数プレイヤーで遊ぶタイプのコンテンツだからです。副官船長は,どちらかといえばソロプレイ向けの仕様です。
4Gamer:
副官に船を任せるまでは,手間がかかりそうですか?
そこはご安心ください。ただ実装された直後に,即座に副官を船長にできるようなものでもありません。副官がどれだけ自分に信頼を寄せているかという部分を表現して,プレイヤーにも副官に対する愛着が生まれるような仕掛けを用意しています。
4Gamer:
複数の副官に船を与えられるのですか?
竹田氏:
いえ,同行している副官のうち,一人だけです。
4Gamer:
というと,一人艦隊の編成は無理なんですね。
竹田氏:
将来的には,考えている部分もあります。ただ今回は最初ですから,まずは一人の副官からスタートということで。
4Gamer:
副官の人数自体は変更されないんですか?
竹田氏:
はい,二人の副官のうちの一人が船長に格上げされるという形ですので,副官の人数は変わりません。ただ,船長になっても副官効果は継続されますので,そのあたりの不便さはないと思います。
4Gamer:
少し安心しました。
さて,El Orienteの実装までの期間に,プレイベントを開催するというお話でしたが,どんな流れになるんでしょう?
プレイベントは複数回に分けて実施します。El Orienteの実装に向けて,徐々に盛り上げていくような形ですね。具体的なスケジュールや内容については,まだお話しできないんですが,始まればきっと「おお,こんなものも入るのか!」と,El Orienteに向けての期待を高めていただけると思いますよ。
4Gamer:
では,そちらの続報も楽しみに待っています。
今回,“待望の”という枕詞が飛び交っていますが,El Orienteで大航海時代 Onlineの拡張は最後ってことはないですよね?
竹田氏:
もちろんです。ようやく中間地点に来たかな,というところですね。
渥美氏:
もう次の展開も,話し始めています。その中には新しい遊び方や,異なる方向性を模索する余地も当然出てくるでしょうし。
竹田氏:
El Orienteの内容がかなり大きくなっているので,実装してみてから動向を確認したいという部分もあるんです。それを見てから,次に何をするか具体的に決めていきます。
4Gamer:
プレイヤーにとっても,El Orienteで遊びながら次の方向性を想像する楽しみもありそうですね。
それでは最後に,大航海時代 Onlineのプレイヤーと4Gamerの読者に向けてメッセージをお願いします。
渥美氏:
我々が夢としていた日本実装をようやく発表することができて,たいへん嬉しく思っています。「日本へ行こう」を合い言葉にプレイベントを進めていきますので,新規の方も準備の段階からワクワク感を楽しんでいただけるんじゃないでしょうか。
この夏以降,いろんな方にプレイしていただきたいと考えています。よろしくお願いします。
竹田氏:
皆さんに背中を押されながら,見守られながらここまで来たという感じがあります。もちろん新規の方にも楽しんでいただける場も,これまで以上に作っていきたいと考えています。よろしくお願いします。
4Gamer:
ありがとうございました。
「次の拡張パックは,過去最大級」と,ことあるごとに聞かされてきたが,ようやく発表の運びとなったEl Oriente。インタビューは発表会の撤収作業で慌しいなか行われたのだが,上記のとおり,渥美氏,竹田氏とも実装される各要素の意図や概要を勢いよく話してくれた。
このタイミングでは話せないこともまだまだ多いそうだが,詳細は実装予定の12月に向けて,順次発表されるそうなので,そちらをお待ちいただきたい。
「大航海時代 Online」公式サイト
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