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[CES 2015]Mad Catzのハイエンドは変形が特徴? 新型マウス「R.A.T. PRO X」とワイヤレスゲームパッド「L.Y.N.X. 9」のことをいろいろ聞いてみた
同時に発表されたBluetooth接続型ゲームパッド「L.Y.N.X. 9 Mobile Hybrid Controller」の情報も合わせてレポートしたい。
掲載当初,David Patching氏と記載しておりましたが,正しくはRichard Neville氏でした。訂正してお詫びいたします(2015年1月15日)
左右側面パーツやホイール,パームレストまでカスタマイズ自在なR.A.T. PRO X
氏は元々,フライトスティックなどのメーカーであったSaitek時代からゲーマー向けデバイスに関わっていたそうだが,Saitekの製品も,ユーザーの好みに合わせて各部を細かく調整できる点が特徴の1つだった。R.A.T. PRO Xは旧Saitek譲りの要素を継承しつつ,「(従来の)R.A.T.のレベルを超えていくもの」(Neville氏)と位置付けられているそうだ。
そのR.A.T. PRO Xだが,いったいどれくらいの交換用部品が付属しているのか,箇条書きで並べてみると,以下のとおり計14個にもなる。
- センサーユニット 1種類(全3種類が登場予定)
- 本体右側面 3種類
- 左サイドボタンを含む本体左側面 2種類
- スクロールホイールを囲むリング 3種類
- パームレストのパーツ 3種類
- 底面のマウスソール 2種類
「3種類あるセンサーユニットの1つしか製品に付属しないということは,つまり,自分に適したセンサーはどの種類なのかを理解している人に向けた製品ということになるのか。そういうユーザーでなければ,どのセンサーを含む製品が自分に合うのか,分からないですよね」とNeville氏に質問してみたところ,「そのとおり。センサーの違いを理解しているユーザーに向けた製品である」という回答だった。あくまでも,ゲーマー向けマウスに慣れ親しんだユーザーが,さらに自分の手に馴染む製品を追求する場合の選択肢が,R.A.T. PRO Xであるということのようだ。
ちなみに,センサーモジュール単体の価格は未定とのことだが,「高いと思われる価格にはしたくない」(Neville氏)とのこと。ユーザーが新しいセンサーを気軽に追加購入できる程度にしたいと,Neville氏は述べていた。
それでは,各部のパーツによるカスタマイズについて説明していこう。まず右側面部品は,形状の異なる3つのパーツが同梱されている。1つめはストレートな側面を持つパーツで,2つめは底面側が広がったパーツ,そして3つめは1つめの改良型で,マウスを持ち上げるときに指をかけて,持ち上げやすくするフック状の部品が付いたパーツという内訳だ。
左側面部品は,3つのサイドボタンがついた2つのパーツが含まれる。見たところ,何が違うのかよく分からなかったのでNeville氏にたずねたところ,ボタンの厚みが異なっているとのことで,押しやすさが多少違うそうだ。
ボタンの機能は2つとも同じとのことだが,黄色に黒のマークが描かれたボタンは「Precision Button」と呼ばれており,押している間だけ,トラッキング解像度が設定したDPI値に変更されるとのこと。「割合で減らしていた従来までとは異なり,一定の値に変える機能になったので,押している間だけDPI値を上げることもできるよ」とNeville氏。
マウスソールが付いた底面パーツは,テフロン製ソール付きパーツとセラミック製ソール付きパーツの2セットが用意されている。セラミックのほうが固く,滑りやすいようになっているとのことだった。
ピンボケ気味の写真で恐縮だが,ホイール左側に見える赤い坑が,ホイールの回転具合を調整するネジ坑だ |
ホイール用の交換部品。右と奥側は通常サイズだが,左側に見えるリングは幅が狭く,チルト操作を重視する人用に位置付けられている |
さらに,通常の左右チルト機能付きスクロールホイールが,左右いずれかへのオン/オフを判定するデジタルスイッチであるのに対して,R.A.T. PRO Xのチルトホイールは左右の傾きをアナログ式に判定できるようになっているのだという。実際にゲームでどう生かすかは,設定ソフトでの調整次第になりそうだが,ギミックとしては興味深い。
また,このギミックに合わせて,ホイールを取り囲むリングも交換可能になっており,通常の太さを持つアルミ合金製,またはゴム製のリングに加えて,幅を狭くしてチルト操作をしやすくした細身のアルミ合金製という3種類が用意されているというのだから,気合いの入れ方がうかがえるだろう。
カスタマイズ性だけでなく,R.A.T. PRO Xは軽量化にも重点を置いて開発されたという。既存のR.A.T.シリーズはやや重い製品が多かったのに対して,R.A.T. PRO Xでは部品単位で各部の軽量化を行ったことで,重量は既存製品から34%も軽量化された約110gを実現できたと,Neville氏は述べている。この数字は,本体のみで約90gを実現した「R.A.T. TE Gaming Mouse For PC and Mac」よりは重いものの,それ以外のR.A.T.シリーズが約150gもあったことに比べれば,だいぶ軽くなっていることが分かる。
また,センサーユニット部にマクロ保存用のフラッシュメモリを内蔵し,最大で9種類のプロファイルをマウス本体に保存しておける点も新しい特徴とのことだった。
さて,興味深いギミックが満載のR.A.T. PRO Xであるが,気になるのが価格だ。現時点では価格や発売時期は公表されていないのだが,これだけ機能や付属部品が豊富となれば,どうしても高くならざるを得ないだろう。「為替相場が円安に振れていることもあって,(日本向けの)値段が付けにくい」とMad Catzのスタッフもぼやいていたが,機能のわりには手頃と思える程度の価格で販売してほしいものだ。
変形合体ギミックが魅力のワイヤレスゲームパッド「L.Y.N.X. 9」
なお,同社直販サイトでの価格は299.99ドルと,ゲームパッドとは思えないような値段で予約受付中だ。
基本形態のL.Y.N.X. 9は,外装を取り除いて骨組みを剥き出しにした「DUALSHOCK 3」とでもいう,なかなか異様な外観をしている。ボタンやスティックの配置はオーソドックスで,左側やや上にD-Pad,中央寄りの手前側に左右のアナログスティック,右側やや上に[A/B/X/Y]ボタンとなっている。
グリップの独特な形状には違和感を覚えたが,握りにくいということはないので,すぐに慣れそうだ。
タブレットを載せた状態では重さもあるため,正直にいってプレイしやすいとは思えなかったのだが,まあアイデアとしては面白い。
なぜこんなにも奇抜な製品を作ったのかとNeville氏に聞いてみたところ,「目的はフラッグシップの再定義にある」と氏は答えた。Mad Catzではすでに,PCおよびAndroid対応のゲームパッドとして,「C.T.R.L. R Mobile Gamepad」や「Micro C.T.R.L. R Mobile Gamepad」をリリースしているが,これらを超えた同社製ゲームパッドのフラッグシップとなる製品として,このL.Y.N.X. 9を作ったのだという。
遅延の程度は,Xbox One用の「Xbox One Wireless Controller」に匹敵するレベルであり,据え置き型ゲーム機品質の低遅延を実現しているのが競合他社に対するMad Catz製品の強みであると,Neville氏は自信ありげに述べていた。
ゲームパッドとしては破格な製品であるだけに,大量に売れるようなものではないだろうが,フラッグシップモデルとしてこういう製品をラインナップしてくるというのは,なんともMad Catzらしい。
日本で販売されるかは未定であるが,興味を持った人は国内投入を期待しておこう。
R.A.T. PRO X 製品情報ページ
L.Y.N.X. 9 製品情報ページ
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