レビュー
シリーズファンも納得の基本システムと,末永く遊べる拡張性を秘めたトリロジー最終章
Gears of War 3
1作目から不動の人気を得ていたGoWシリーズだが,最新作となるGoW3では,TPSとしてスキのないゲームデザインに加え,遊びの幅が広がるオンラインマルチプレイ,キャラクター達の魅力を掘り下げた厚みのあるストーリーなど,あらゆる面が大きくパワーアップしている。発売から時間が経ってしまったが,本稿ではそんなGoW3を実際にプレイした印象を交えてその魅力を紹介しつつ,今後のDLC展開についてもあらためて紹介していこう。
「Gears of War 3」公式サイト
三つ巴の戦いがついに終結……?
マーカスやドムの物語の結末を見よ!
“ローカスト”を一掃するため,人類最後の砦であったハシントを水没させてから18か月。巨大な代償を払ったCOG(統一連合政府)軍だったが,第二の敵“ランベント”の出現により,戦況は悪化の一途をたどっていた。散り散りとなったCOG軍と,勢力を拡大しつつあるランベント,そして再び姿を現したローカストの三つ巴の戦いの中,マーカス・フェニックス率いるデルタ部隊は人類の命運を賭けた作戦を開始する。
以上が,GoW3の導入ストーリーだ。TPS(三人称視点のシューター)というアクション主体のジャンルでありながら,ストーリー面での評価も高いGoWシリーズ。最新作であり最終章でもあるGoW3では,前作以上にドラマチックな展開が,プレイヤーを待ち受けている。
ストーリーを盛り上げる上で欠かせないのは,なんといっても魅力的なキャラクター達の存在だ。今作は主人公のマーカス・フェニックスやドミニク・サンチャゴ(ドム),オーガスタス・コールといったお馴染みの面子に加え,これまではオペレーターとして活躍していたアーニャ・ストラウドなども武器を手に取っている。それに伴い,本作ではマーカスを含む8名のメンバーがシーンに応じて入れ替わりつつ,4人チームで敵と戦う。前作ではマーカスとドムのツーマンセルでゲームが進行していたので,この点はプレイフィールに小さくない影響(会話の増量や援護射撃の厚さなど)を及ぼしている。
ネタバレになってしまうので詳しい内容は割愛させてもらうが,ストーリー中盤から終盤にかけての盛り上がりはかなりのもので,登場キャラクターが増えているにも関わらず,それぞれがしっかりキャラ立てされている。物語の結末にどのような印象を抱くかはプレイヤー次第だが,個人的には「いつか新章を遊びたい」と思える内容だったのは確かだ。
基本システムに大きな変化はないが
随所に新たなアイデアが盛り込まれている
基本的なゲームシステムは前作から大きく変わっておらず,TPSを遊んだことのある人であれば,シリーズ作をプレイしていなくてもすぐに操作に馴染めるはずだ(ストーリーのつながりを考えると,もちろんシリーズ作を遊ぶことをオススメするが)。カバー・ポジションを軸とした攻防の駆け引きや,ランサーやレトロ・ランサーによる一撃必殺の接近戦などが生み出す,メリハリの効いたゲーム展開も健在である。
なお,カバーアクションが盛り込まれた作品は,膠着状態に陥りがちだったりすることもあるが,本作のカバーポイントは破壊されてしまうことがあるし,中途半端な遮蔽物では防げない攻撃なども存在する。爆発物や近接攻撃など,油断していると一瞬で戦況がひっくり返る攻撃手段もあるため,緊張感は思いのほか高い。
武器にはそれぞれ違った特色が備わっており,装填できる弾数やエイミング方法,威力といった要素だけではなく,接近戦においての効果なども異なっており,面白い。
鉄板で申し訳ないのだが,筆者的にオススメの武器はランサーだ。“射撃”という一点のみを捉えると,至って普通の武器なのだが,接近戦闘ではチェンソーに早変わりするこの極悪アイテムは,もはやGoWシリーズの代名詞といっても過言ではなく,多くのプレイヤーに愛用されている。チェーンソーで敵を一気にぶった切る爽快感は,撃ち合いで得られるそれとは大きく異なるものだ。また使う場面は少ないが,敵を火だるまにできる火炎放射器なども,大人向け(CERO Z)の作品が好きなゲーマーにとっては堪えられないものがある。
最終章に相応しいど派手な演出の数々
休む暇などないノンストップバトル
ゲームバランスについてだが,キャラクターは瀕死の状態になってもしばらくは生きているので,味方が回復してくれれば即座に前線に復帰できる。今回は2人組みではなく4人組みでの戦闘となるので,難易度「ノーマル」で遊んでいれば,ゲームオーバーになることがほとんどないのではないだろうか。
また,トルク・ボウやスナイパー・ライフルなど,一発の威力が大きい武器はそうでもないが,ランサーやショットガンといった基本武器の弾丸は,そこかしこで回収できる。ゲーム中に弾が尽きて身動きが取れなくなるような展開は滅多にない。
また移動中には,ギミックを解かなければ進めない場面にも出くわす。ギミックといっても,頭を使う謎解きのようなものではなく,ストーリーを繋ぐ演出としての意味合いが強いので,アクセントとしてはちょうど良い印象だ。
ローカストになって人類を殲滅!?
完成度の増したマルチプレイはやり込み要素満載
これは,最大5人のプレイヤーが協力し,ローカストやランベントを殲滅していくモードだ。バリケードを設置して敵の侵入を防ぐことができるなど,ストーリーモードには存在しない要素が楽しめる。またここでは,ストーリーモードでは操作できなかったキャラクターも使用可能となっている。
さらに今回から,“通貨”の要素が取り入れられている。通貨は,敵を倒したり,押し寄せる敵の猛攻(WAVE)を乗り切ったりすることで入手でき,弾薬,銃,バリア,タレット,シルバーバックといったアイテムを調達するのに必要となる。そのほか,経験値システムや勲章/メダル,武器/キャラクターのアンロックなど,やり込み要素も非常に充実しており,ストーリーモードを満喫したあとでもたっぷりと楽しめる。
使用できるローカストはかなり豊富なのだが,Wild Ticker(非力だがグレネードを飲み込むことができる)やWretch(叫びや飛びかかりが可能)といった特殊なクリーチャーは,使いこなすのにかなりの練習が必要かもしれない。
一方,Savage DroneやBloodmountなど,攻撃手段がさほど特殊ではないクリーチャーは,直感的に扱うことができ,初心者にもオススメだ。使えるローカストは徐々にアンロックされていくので,ときには気分を変えて,仲間とともにローカスト気分を味わってみてほしい。
基本システムは従来作から変わらないが,ストーリーや演出,やり込み要素など,さまざまな面でパワーアップしているGoW3は,トリロジーのフィナーレを飾るに相応しい力作だ。その魅力のすべてを本稿で伝えきることは難しいが,カバー制TPSとしての完成されたシステム,シリーズ最大のスケール感,そして充実しているにも程があるオンラインプレイは,すべてのXbox 360ユーザーにオススメできるクオリティに仕上がっている。
11月初頭には,ゲーム追加コンテンツ第1弾「Horde コマンド パック」の配信が開始されており,12月13日には早くもDLC第2弾「ラームの影」が配信される予定である(関連記事)。
ラームの影では,シリーズ第1作「Gears of War」におけるEデー直前の物語が描かれる。プレイヤーはマイケル バリックとなり,ミン ヤン キム(GoW),タイ カリーソ(GoW2),そして新たな女性兵士,アリシア ヴァレラが所属するゼータ部隊を率いて,リーダーラーム将軍率いるローカストどもと戦うことになる。本コンテンツでは,ラームを操作して“人類最後の砦への進撃”をも体験できるそうなので,シリーズファンならぜひとも押さえたいDLCだ。11月24日配信予定のマルチプレイヤー用マップ集「Versus Booster Map Pack」にも注目である。
トリロジーが完結し,GoWシリーズが一応の完結を迎えてしまったのは残念だが,筆者としては「新章」が生まれる可能性に期待しつつ,先述の充実したオンラインプレイを中心に,納得のいくまで本作をしゃぶりつくそうと思っている。幸い本作(日本語版)は,ワールドワイドサーバーでのマルチプレイが楽しめるので,DLCの配信タイミング前後であれば,対戦/共闘相手には事欠かないはずだ。
今後のDLC配信も含め,しばらくは「いつ遊んでも盛り上がれる」タイトルなので,シリーズファンもそうでない人も,興味を持ったら即プレイしてみてほしい。Xbox 360を代表するTPSシリーズであることは確実なので,未経験のユーザーはこの年末,1から3までを一通りチェックしてみてもいいかもしれない。
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