インタビュー
下克上がテーマの新たな合戦とは?「戦国IXA」運営インタビュー。10〜11月のアップデートでさまざまな問題にも対応予定
スクウェア・エニックスとヤフーが共同で開発/運営を行っている,ブラウザ戦略シミュレーション「戦国IXA」。8月2日のオープンβテスト開始からはや2か月が経過して,プレイヤーからはゲームに対してのさまざまな反応が伝えられている。とくに公式ブログはコメントの書き込みが可能なので,プレイヤーからの厳しい意見も多く見られる。
そうした中で語られる,オープンβテストから2か月を経過して出てきた,国と国の“人数バランス”や“放置城”,“複数アカウント”などの問題点をどのように対処していくのか。また,1シーズン6か月の終わりに向けて,どのように今後展開していくのか。気になる10月〜11月に行われるアップデート情報を交えながら,スクウェア・エニックスの本作プロデューサー 藤井聖士氏,ディレクターの岡山博紀氏,アシスタントプロデューサーの李 潤玉(Yuno Lee)氏に聞いてみた。
「戦国IXA」公式サイト
下克上がテーマの新しい合戦が登場
国別ランキングはどんどん入れ替わる?
本日はよろしくお願いします。サービスが始まって1か月ほど(※編注:インタビューは9月初旬)が経ちましたが,まず,プレイヤーの反応/要望といったものには,どういったものがあったかについて教えてください。
岡山博紀氏(以下,岡山氏):
要望として一番多い部分は,やはり毎週のように行われている,合戦に紐づくものです。その一つが,織田/上杉/武田などの人気の高い国と,大友や足利といった,どちらかといえばマイナーで,プレイヤーが人数制限まで埋まるまでに時間がかかる国があり,それぞれの国のバランスが取れていないという意見ですね。
4Gamer:
コンテンツとして対人戦を持つ作品は,所属国の人気の違いによって生まれる,人数バランスの調整が難しいですね。
岡山氏:
そうです。これに加えて,オープンβテストの開始から時間が経ち,プレイを止めた人の城,つまり放置城をどうするのかという問題があります。
人数バランスと放置城はセットで語られることが多く,合戦のたびに話題になっています。ですので,9月はもちろん,10〜11月には,放置城についての対策と,全体の合戦機能の見直しをセットにして,大きな流れでアップデートを行っていきます。
4Gamer:
現段階では,放置城についての対策などはとくに行っていないのですか?
岡山氏:
放置城の削除については,まだルールを定めていませんでした。いま対策を行おうと思えば,人力でも削除できますが,当然削除の基準となるものは必要になるので,そこは慎重に行わなくてはなりません。
4Gamer:
プレイヤーの事情で長い期間に遊べなかった場合に,放置城だと思って消してしまったでは取り返しがつきませんね。
岡山氏:
ええ,実際にプレイヤーの遊ぶペースを考えると,1か月に毎日のようにログインしている人もいれば,1週間に1回しか入らない人,それこそ1か月に1〜2回遊ぶだけの人もいるはずです。
そんなプレイヤーごとの遊び方が,サービスを開始してちょうど1か月が経過して段々と見えてきました。これにより,その城が放置城かどうかの判断ができるようになりました。
4Gamer:
削除の基準というのは,城の人口の変動とか,プレイヤーのログイン率といったところになりますか。
岡山氏:
具体的には,人口が8人未満の城で,10日以上ログインしていない場合,削除対象になるというシステムを,10月6日に導入する予定です。(編注:公式ブログで発表済み)
4Gamer:
放置城についての批判には,どういった理由があるのでしょうか。
岡山氏:
放置城が増えると,その国が弱くなった気がするというプレイヤーの感覚的な部分があります。また,実際,楽に城を落とせる状態にあるので,防衛側になったときに,相手の戦功ポイントになるだけという二通りの理由があります。
4Gamer:
なるほど。たしかに,それはプレイヤーとして対処してほしいでしょうね。
岡山氏:
後者については,城の人口が50人以下だと戦功ポイントが1にしかならないので,攻められてもあまりポイントにならないのですが,50人を越えるまで成長させてから放置された城もあって,そちらが問題になります。もちろん,先ほどの話にあったように,そのプレイヤーさんが,たまたま長期間プレイしていなかったという可能性もあります。
4Gamer:
しかし,同じ国の人にとっては,そのあいだも敵国にポイントを献上してしまうことになりますよね。
岡山氏:
そういった事もあるでしょう。ですが,やはり育成された城の削除は慎重に行う必要があります。
加えて,もう1点重要なことがあって,友達をゲームに誘いたいけれど,国の上限に達しているので,同じ国では遊べないという問題があります。これを解消するためにも,遊んでいないプレイヤーの城は削除する必要があるのです。
4Gamer:
友達を同じ国に誘えないのは,プレイヤーには辛いですね。
岡山氏:
はい。以前,実際にワールド1の人数制限を緩和したのですが,そのときは一斉にプレイヤーが入ってきて,一瞬で新しい制限数まで埋まってしまいました。その動きを見ると,やはり一緒に遊ぼうと誘いたいのに,それができないプレイヤーが多いんじゃないかと。
4Gamer:
みんなスペースが空くのを待っていたんですね。ワールドの人数制限緩和もそうですが,ワールドを増やすことで,そういった問題に対処することも答えの一つになりそうですね。
岡山氏:
ええ,答えの一つではあるのですが,実はいま1週間に1ワールドくらいのペースで追加しているんですよ。しかし,ほかのワールドから横スベリで,新ワールドにやってくるプレイヤーも居ますが,新規プレイヤーの数がとにかく多くて,それでもすぐに埋まってしまっている状況です。
4Gamer:
それだけ新規で人が入ってきているというのは凄いですね。ワールドも増やし続けるわけにはいかないでしょうし,やはり放置城などの対策が重要になりそうです。ところで,放置城同様に一般プレイヤーの立場からも気になるところとして,一人のプレイヤーが複数のアカウントを所有する,いわゆる複アカ対策はどうなっていますか?
岡山氏:
もちろん,不正行為として取り締まっていきます。現在は,例えば銅銭を一つのアカウントに集めている行為だとか,そういったアカウントに対して何かしらの処置をさせていただく準備をしているところです。
4Gamer:
現状だとIPとプレイヤーの行動を見て,同一人物だろうといった判定をすることになるんですか?
岡山氏:
そもそも,銅銭を一人のプレイヤーに集めるってことはありえないですし。必ず,同じプレイヤーから買うというのも起きにくいですよね,確率もすごく低いはずなんです。
4Gamer:
そういった動き,ログから複数アカウントが疑われるということですね。ブラウザゲームは,複アカの問題が重要視されますよね,MMORPGなんかだと逆に普通……と言って良いかはわかりませんが,2台のPCを使って遊んでいる人もいます。
岡山氏:
戦国IXAなど,この手の長い期間をかけて遊ぶ,戦略シミュレーションみたいな作品はプレイヤーの行動一つ一つが世界に影響してしまうので,MMORPGよりも顕著に影響が大きくなります。
4Gamer:
たしかに,MMORPGの場合は結局,自分が強くなるだけで,周りには大きな影響はありません。
岡山氏:
やはり,戦略シミュレーションという部分が大きいでしょうね。
4Gamer:
もう一方の合戦のバランスについてもお聞きします。実際にプレイしていると,防御側になったときに,掲示板に「助けてー!」と叫んでいる書き込みがよく見かけられますよね(笑)。
全体的にみて,今の合戦はそれぞれ,戦う戦わないという立場が明確に分かれている場合が多いので,「ヤバイ!」とか「助けて!」と叫んでいることが,私も含めてありますね(笑)。
クローズドβテストのときは,戦いたい人は戦うといった感じでしたが,今はゲリラ戦と言えばいいのか,防御国側はどこもかしこも戦いになっていて,みんなが合戦に参加しているという感じが大きくなっています。
プレイヤーさんの中には,今は戦いたくないという人も少なくないと思いますので,今後は現在の合戦の良いところをちゃんと踏まえつつ,戦いから逃れたり,何かができたりといった要素を追加して,合戦をより完成に近づけたいと考えています。
4Gamer:
では,その完成に近づけるために,どのようなこと考えているのか教えてください。
岡山氏:
現在は,12か国がそれぞれ攻撃側/防御側に分かれて,6組の合戦が発生します。
今回のアップデートで行おうとしている新しい合戦の内容は,下位4か国のうち,9位と12位,10位と11位の国がそれぞれ手を組んで,(下位4か国以外に対して)必ず宣戦布告ができるというシステムになります。それを受ける方は1か国なので,1国対2国という合戦となります。宣戦布告を受けなかった残りの国は通常どおりの合戦が展開され,結果的に5組の合戦が発生するようになるわけです。
4Gamer:
1国対2国ということは,単純に攻め側の人数が増えるわけですね。
藤井聖士氏(以下,藤井氏):
全員が参加すればそうなる可能性がありますが,実際は上位国のプレイヤーはアクティブに戦う人が多く,一方,下位国になればなるほど,アクティブに戦うプレイヤーは少なくなる傾向があります。なので,上位の国と下位2か国という形で,アクティブプレイヤーの人数が同じくらいになれば,より面白い戦いになると考えています。
岡山氏:
なお,下位2か国で攻めて勝利したときの報酬は,2か国で分割されるわけではなく,これまでと同じ報酬が1か国ずつに分配されます。受けた国も,勝っても負けても,通常よりも多めに報酬が貰えるという仕様になっています。
4Gamer:
2国に攻め込まれた側も,それなりのメリットがちゃんとあるわけですね。
岡山氏:
また,合戦場で一番言われているのが,兵の削りあいをしても戦功にメリットが出ないということです。開発者ブログで募集したのですが,兵を削ったときに貰える攻撃/防御ポイントを一定数を満たしていると,全員に銅銭をプレゼントするというイベント合戦を先行して行いました。これは,新しい合戦のマッチングを導入するタイミングで,戦功だけではなく,ちゃんと兵を倒すことでも報酬を与えようと考えて制作しているものです。これを,11月の中旬に入れようと考えています。
4Gamer:
つまり,合戦のマッチングも11月の中旬になると。
岡山氏:
そうなります。これまでの合戦は,上位国,下位国に関わらず防御国側で行ってきました。そのため,戦いたい人が少ない国でも,全体が戦争に巻き込まれる理不尽さがあったのです。なので,もともと戦争に対してアクティブな上位国だから攻められるという理由付けと共に,下位国にはどう動いて自国のランキングを上げていくのかという部分を,プレイヤー達による国の意思で決めてもらいます。
4Gamer:
なるほど,これまではそもそも,戦いたくなくても防御国になって,そのまま戦力が削られていたわけですね。新しい合戦ルールでは下位国が戦場にならないので,国力もいずれ成長していくと。
岡山氏:
そうなると思います。この合戦のテーマは「下克上」としていて,下位国が,上位国に太刀打ちできるような施策を与えたいなという考えでスタートしました。
例え1回では順位が入れ替わらなくても,繰り返し戦いを挑んで活躍していればいずれは上位国になる……そして,今度は攻められる側になって,どう守ろうかといった感じで,各国の順位がくるくると入れ替わるようにしたいと思っています。
4Gamer:
ランキングの変動が止まらないのは合戦コンテンツとして魅力的ですね。プレイしていて気がついたんですが,逆に攻め側の場合も,相手が圧倒的に強い国で,自国のプレイヤーも参加率が悪いときに,下手に参加すると戦功を取られちゃうから参加しないようにしましょうという流れもありました。あれは,なるほどそういう動きもあるのかと思いました。
プレイヤーさんのいろいろな動きは,本当に新鮮ですね。システムに慣れてきたことで,こういうときは戦おう,戦わないでおこうといった戦略が生まれたのだと思います。
岡山氏:
でも,参加しないというのは,戦略的な判断としてもちろんありますが,武将カードの人気が高いこともあって,「やっぱり活躍したい!」というプレイヤーが,国の中に必ずいます。そのため,国全体の動きを必ずしも統制できるわけではないというのも楽しさに繋がっていると思います。
4Gamer:
全体を完全に統制するのは,相当に難しいでしょうね。
岡山氏:
このように,とにかく国のランキングが動くようになれば,多少の戦力差があっても頑張ろうと思えます。戦功を取るだけではなくて,相手の国には勝ちたいですし,より上位に行きたくなると思います。
また,これによって解消されることも多いと思っています。やはり防御側というのは嫌じゃないですか。ですが,上位の国だから防御側になるという明確な理由ができますし,ほかの国もプレイヤーの選択によって戦う相手を選べる範囲が広がり,みなさんの感じている気持ち的な部分はかなり改善されると考えています。これらは,プレイヤーのみなさんから頂戴した意見を参考にして出した,一つの答えです。
4Gamer:
ちなみに,合戦時の下位2国間での協調はどのように行うのですか。
岡山氏:
新しい合戦マッチングを導入する前に,交流できる掲示板を用意します。
4Gamer:
その掲示板は,2か国が共同戦線を組むときに使えるんですか?
岡山氏:
いえ,共同戦線のための掲示板というよりも,全員が使えるオープンな掲示板を用意するというイメージになります。掲示板自体は常に動いており,閲覧/書き込みができる国が決められた,交流用のスレッドが立つという感じです。
4Gamer:
なるほど。言われてみれば,そういった掲示板はなかったんですね。
岡山氏:
はい,現状は同盟掲示板しかありません。そのため,プレイヤー間の交流は,プレイヤーの掲示板やコミュニティに頼っている状態です。我々としてはゲームの外で盛り上がっているのは嬉しいのですが,一部の人しかそこに誘導されません。ですので,みなさんが楽しんでいただくために,質問掲示板や取引用,国全体の掲示板などを用意して,活発な交流を促せられればと思います。
4Gamer:
分かりました。新しい合戦が,プレイヤーにどう受け入れられていくのか,アップデート後が楽しみですね。
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