インタビュー
2周年を迎える「Web 恋姫†夢想」の新展開“俺の嫁”構想についていろいろ聞いてみた
本作は,メディアミックスで展開されている「恋姫†無双」の,キャラクターと世界観を共有するブラウザゲームだ。本家であるガマニアポータルだけでなく,ハンゲームやニコニコアプリでの展開も行われているので認知度は高く,同社のブラウザゲームでも一番の人気作となっている。ただ,新シーズンが開始されるときに細かなアップデートがあるものの,全体的に“動きが見えない”タイトルという印象はあった。
今回,2周年を前に今後の展開を含めた話を聞けるということで,Web 恋姫†夢想ディレクターの高井氏にインタビューを行った。
乙女武将を公式に“嫁”にできる「俺の嫁」システムとは
Web 恋姫†夢想のインタビューは,2011年9月の2ndシーズン開幕以来で久しぶりになりますね。
高井氏:
今まで,Web 恋姫†夢想がこれからどうなっていくのかといった今後の展望を,プレイヤーの皆様にお伝えすることがなかなかできませんでした。それは,Web 恋姫†夢想にはゲームとして未熟な部分が多々あり,サービス開始から今までの2年間は,不具合の修正や村ゲーとして不足している部分の補完に注力していたからです。しかし,それらの対応がひと段落し,4thシーズンが始まった今,ようやく先のことを考え,実行できる段階にきたのかなと考えています。
4Gamer:
今回は,これからどんなアップデートがあるのか“今後”の話を聞けるわけですね。
高井氏:
はい。Web 恋姫†夢想は皆さんご存じのとおり,コンシューマゲームやアニメなどにもなっている「恋姫†無双」という強力なIPを持ったタイトルです。ですので,恋姫†無双のキャラクターの魅力を掘り下げていくようなアップデートを今後展開していきたいと考えています。
4Gamer:
原作から入った人も多いでしょうから,キャラクター関連のアップデートを望むプレイヤーも多そうですね。
高井氏:
普通の村ゲーよりも,キャラクター(乙女武将)を愛でる楽しみは大きいタイトルだと思います。そんな状況を踏まえ,6thシーズン以降での実現を予定しているアップデートがありまして……キーワードは「俺の嫁」です。ゲームを楽しんでくださっているプレイヤーの皆様の間で「○○は俺の嫁」といった会話がよく行われているようなので,それをシステムでサポートできないか,と考えたのが企画の始まりでした。
具体的には,各乙女武将に対して“愛情度”というポイントを導入しまして,この数値が高まると対象のキャラクターとデートができるようになります。また,愛情度ランキングにて,各サーバーごとに,各キャラクターの愛情度1位になったプレイヤーは,自分の乙女武将を公式に“嫁”にできるよう検討しています。
4Gamer:
愛情度が上がるとどうなりますか?
高井氏:
愛情度を高めることでデートをしたり,各キャラクターとコミュニケーションを楽しむことができます。また,愛情度のポイントに応じてリアルグッズ──コミケで出展したような──をプレゼントするような展開も考えています。
4Gamer:
俺の嫁を達成できたときのメリットがあれば教えてください。
高井氏:
嫁にすることできたら,「○○の嫁」という称号が入手できます。また,各キャラクターごとに特別なアイテムが入手できることも……。愛情度の段階によって,デートイベントがショートストーリーの形で読めるのですが,最後の俺の嫁エピソードだけは,俺の嫁達成者にしか読めません。
4Gamer:
リアルグッズに関しては,最近“かるた”の読み札に使用するセリフを募集といった企画をしていましたが,ほかにも何か企画しているものはありますか。
高井氏:
企画段階のものは結構あるのですが……トイレットペーパーとか,一風変わったものも出せたらいいなと。クリアファイルなどの人気商品については,別のバージョンを制作したいです。ちなみに,今年の夏コミに出展した際は,皆さまのおかげで用意したリアルグッズは完売となりました。冬コミにも参加する予定ですので,そちらも期待していただければと思います。
同レベル帯でのマッチングが行われる新PvPモード「コロシアム」
俺の嫁システムで重要になってくる愛情度ですが,こちらはどうやって溜めていくのでしょうか。
高井氏:
愛情度は戦闘や領地の拡大といった既存の行動で溜めていくことができます。そのときに出撃枠に入れていた乙女武将の愛情度が高まっていくと。そのほかにも,俺の嫁システムと同時期に「コロシアム」という新しいPvPの舞台を導入する予定で,こちらで勝利することでも愛情度を増加させることができます。
4Gamer:
戦って奪い取る……というわけではないと思いますが,新しいPvPシステムというのは気になりますね。
高井氏:
今までのWeb 恋姫†夢想のシステムですと,ライトプレイヤー層とコアプレイヤー層の格差が顕著に出やすいものになっていました。コロシアムではそういった格差が出ないよう,同レベル帯でマッチングするようにし,誰でも気軽にPvPを楽しめるものにしたいと考えています。
4Gamer:
それは三国間の戦争ではなく個対個のPvPでしょうか。
高井氏:
そうですね。現段階では「夢想モード」「大乱戦・夢想モード」という2種類の戦闘方法を考えています。普通の夢想モードは,自由な時間にプレイヤー同士が1vs.1で戦うモードで,プレイヤーが参加のエントリーを行うと,あとは自動的にマッチングされて戦闘の結果がプレイヤーのもとに返ってくるイメージです。
大乱戦のほうは国家間の争いとなっていて,決まった時間に自動戦闘を行います。この自動戦闘については,参加のエントリーをする必要もなく,大乱戦が開始されるタイミングでログインしているプレイヤー全員が戦闘に参加し,それぞれが戦って勝利数に応じて勝利国が決まります。
4Gamer:
プレイヤーは自動で行われた結果を,好きな時間に読んで楽しむわけですね。
高井氏:
PvPに慣れていない方の中には,戦闘参加の登録をする勇気がないという人もいるでしょう。大乱戦・夢想モードでは,ゲームにログインしているだけで自動的に戦闘が行われますので,誰でも所属国の戦いに貢献しているという感覚を味わえると思います。“夢想ランキング”も併設して報奨の付与も考えていますので,自然とモチベーションも高まっていくのではないかと。
4Gamer:
コロシアムでは愛情度を高めるだけでなく,ランキング入賞によってアイテムを入手できる可能性もあるわけですね。ちなみに愛情度が高まるのは,使用したキャラクターのみでしょうか。
高井氏:
そうなります。
4Gamer:
俺の嫁を公式に宣言できるのは各キャラクター1位の人のみということでしたので,今まで実戦では使われていなかった乙女武将達も戦いに顔を出すことになりそうですね。
高井氏:
勝つためには強い乙女武将である呂布を使うといった風潮はありますが,一方で周瑜が好きだから強さとか関係なく使用するといった志向の方もおられます。ただ,単に穴狙いでマイナーな乙女武将を使うと,勝てなくて愛情度を上げられないようなこともあるかもしれません。
愛情度は勝たないと上げられないのですか。
高井氏:
コロシアムについてはそうですね。負けても下がることはありませんが,勝たないと愛情度は上がりません。ただ,領地の拡大,レベルアップ,鍛錬(合成)などでも愛情度は増えますので,コツコツプレイしていくのも手かと思います。
4Gamer:
ちなみに,今一番人気のある乙女武将は誰ですか。
高井氏:
恋姫†夢想をよく知っていらっしゃるプレイヤーの間では,いわゆるツンデレ孫権の人気が高いようです。原作を知らない方には関羽が人気ですね。
4Gamer:
俺の嫁争奪戦では,孫権,関羽,それと劉備や呂布あたりは競争率が高そうですね。
高井氏:
確かに,そういったメジャーどころの乙女武将については熾烈な戦いになるのではないかと思います。
まだまだ続くゲームバランス調整
4Gamer:
気がつくと俺の嫁話に戻っていますね(笑)。それほどまでに,タイトルの性格と合致してインパクトがあるキーワードということでしょうが。
高井氏:
実際に俺の嫁システムが入るのは6thシーズン以降ですが,5thシーズンからシステムの土台をアップデートしていきます。
4Gamer:
5thシーズンではどういったアップデートが行われるのでしょうか。また実装予定日はいつになりますか。
高井氏:
11月14日にサーバー10にて新サーバーとなる5thシーズンを先行スタートし,サーバー1〜3は11月22日と,その後順次各サーバーで5thシーズンを開始する予定です。
冒頭でも申し上げましたが,Web 恋姫†夢想はまだまだ未熟な部分がありますので,5thシーズンでもゲームの根本──ユーザーインタフェースや不具合など──の改善を継続して行っていきます。また,ゲームバランスについても調整を加えます。
4Gamer:
ゲームバランスについては,具体的にどういった調整が行われますか。
高井氏:
まず「待ち時間が長い」という意見を多数いただいておりましたので,派兵時ならびに輸送の際の移動速度を,ゲームバランスを壊さない程度に調整する方向です。輸送については輸送量も増やします。
乙女武将のレベルアップの必要経験値にも調整を加えます。こちらは,全体的に育成を簡単にすることで,始めて間もないプレイヤーの方でもコアプレイヤーの方に少しでも対抗できるようにという処置となります。
拠点のデザインも一新します。産業施設や軍事施設など施設の種類ごとにパネルカラーを区分して視覚的に分かりやすく,かつ拠点の成長が感じられるよう画面をリッチにしました。また,各施設の役割を見直して同じ系統の施設は統合させる予定です。例えば,今までは兵士/武器/防具の訓練・強化施設はそれぞれ別個に建てなければなりませんでしたが,アップデート後は一つの兵舎を建てるだけで各機能が使用可能になるといった具合です。拠点要素の変更に伴い,パネルの数が減り,建築物のレベル/必要資源/建築時間/効果なども新しくなります。
4Gamer:
統合を繰り返す村ゲーの場合,村を一から作り直すのが面倒だったりするんですよね。建築しなければならない数が減るのは地味に嬉しい変更点です。
施設の強化具合によってグラフィックスが変化するようになりましたので,見た目でも楽しめるようになったと思います。すべての施設を最大まで強化すると,村ではなく都といった雰囲気になりますよ。
あとは,乙女武将を愛でる方が多いことを踏まえ,待機可能人数を増加させます。こちらもプレイヤーの皆さまから多数ご意見をいただいていた案件でして,現在20名のところをアップデート後は30名まで将館に招待できるようになります。
4Gamer:
個人的には全乙女武将を手元に残したいと思ったりもしますが。
ゲームバランスを崩すおそれもありますので,まずは30名にし,プレイヤーの皆さまの意見を聞いてみようと考えています。
最後にもう一つ,これは5thシーズンの途中で追加する予定の要素ですが「はぐれ卑弥呼」というシステムも考案中です。
4Gamer:
卑弥呼ですか……。原作では自称”漢女(おとめ)”のマッチョなオカマという強烈なキャラクターでしたが。
高井氏:
そうです(笑)。その卑弥呼が稀に出現して,倒すと大量の経験値を入手できるというのが,はぐれ卑弥呼システムです。ネーミングからして,ゲーム好きの方ならなんとなくイメージできるとは思うのですが。具体的には,マップ上の小城へ進軍した際に,一定の確率で特殊武将となる卑弥呼が登場する仕組みです。このシステムは低レベルの方を対象としていて,乙女武将のレベルアップの促進が趣旨の要素ですね。
今までのシステムだと,有利な立地の場所に拠点を構えたら,そこを守り通すことが定石となっていました。はぐれ卑弥呼システムの導入により,立地条件に変化が加わりますので,陣取りに面白みが加わるのではないか,とも考えています。
4Gamer:
卑弥呼の出現場所はパターンがあるのではなく,完全にランダムになのでしょうか。
高井氏:
卑弥呼は倒されるとランダムで別の小城へと移動します。卑弥呼が出現している場所は見た目で分かるようになっていますので,現在卑弥呼がいる場所まで道を伸ばすか,または誰かが先に到達することを見越して別の場所へと道を伸ばすか。そういった駆け引きが生まれると思われます。
4Gamer:
“はぐれ”卑弥呼ということで,戦闘中に逃げだしてしまうことはありますか。
戦闘中に逃げ出すことはないですね。ちなみに,卑弥呼をメタリックカラーにしようという案もあったりしましたが,現在版権元と交渉中でどうなるかはまだ分かりません(笑)。
以上が5thシーズンでの追加要素ということになりますが,ゲームをより分かりやすく遊びやすく,そして“強さ”の底上げを徹底的に促進していく内容となっています。6thシーズン以降は,俺の嫁を巡る激しいバトルが展開されると思いますので,この機会に乙女武将の育成に励んでいただければと思います。
4Gamer:
プレイヤーから意見を取り入れたアップデートが今後行われるという話でしたが,現状でWeb 恋姫†夢想はプレイヤーからどういった評価を受けているのでしょうか。
高井氏:
プレイヤーの皆さまが一番楽しみにしているのは,乙女武将のイラストを含む,キャラクター関連の要素です。今後も新規イラストの乙女武将を追加しますので,期待していただければと思います。
10月の末に満足度調査という形でアンケートを実施しまして,イラストのテイストの方向性や,今までのサービス内容といったことをプレイヤーの皆さまにお聞きしました。それらの内容も踏まえて,今後のアップデートを行っていく所存です。
4Gamer:
ここ最近は“動きが見えない”タイトルだと感じることも多かったのですが。
高井氏:
実は今までも何度か新しい企画を立ち上げてはいましたが,サーバー負荷が大きすぎて実現できない,といったことがありました。この負荷問題が解決できたのが今年の中盤くらいでして,2周年を直前に控えました今,ようやくこうして将来的なアップデートの話ができるようになりました。プレイヤーの皆さまには,長らくお待たせいたしまして,本当に申し訳ないと感じております。
4Gamer:
アイデア段階でもいいのですが,今後追加したい要素などはありますか。
追加したい要素は山ほどありますが,現実可能なレベルではキャラクターの感情表現をもっと豊かにしていきたいなとは考えています。台詞のボリュームを増やすとか,キャラクターが生き生きとするような要素は入れていきたいです。また,版元であるBaseSonさんを巻き込んでの展開も何かしたいですね。いずれにせよ,プレイヤーの皆さまの意見も参考にしていきますので,ご要望もお待ちしております。
4Gamer:
最後にプレイヤーに向けたメッセージをお願いします。
高井氏:
今年の12月でWeb 恋姫†夢想は2周年を迎えることができます。これまで不具合や負荷という問題がありご迷惑をお掛けしましたが,遊び続けていただいたプレイヤーの皆さまには本当に感謝しております。
今後Web 恋姫†夢想は新たな展開を行っていきますので,現在遊んでくださっている方々には引き続き,途中で諦めてしまった方はもう一度Web 恋姫†夢想に触れていただけると幸いです。2周年には,オンオフ問わずさまざまなイベントを行っていきますので,そちらもご期待ください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「Web 恋姫†夢想」公式サイト
- 関連タイトル:
Web 恋姫†夢想
- この記事のURL:
キーワード
(C) BaseSon
(C) 2013 Gamania Digital Entertainment Co.,Ltd.