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ついにバージョン1.0となる「World of Tanks」。本作のAPACリージョナル・パブリッシング・ディレクターAlexsander de Giorgio氏のインタビューをお届け
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印刷2018/03/27 00:00

インタビュー

ついにバージョン1.0となる「World of Tanks」。本作のAPACリージョナル・パブリッシング・ディレクターAlexsander de Giorgio氏のインタビューをお届け

 Wargaming.netの人気タイトル「World of Tanks」。クローズドβテストから数えると約8年,日本でのサービスだけでも5年以上もサービスが続いている本作だが,2018年3月27日に過去最大規模のアップデート「World of Tanks 1.0」が実装される。
 これまで公式サイト上などでは「9.x」などの数字で書かれていたと思うが,これは省略表記でクライアント上のバージョン表記は「0.9.x」となっていた。つまり,まだ1.0に到達していなかったのである。
 今回のアップデートで,ついにWorld of Tanksが1.0になる。なぜ今,1.0になるのか,それは「World of Tanksで表現したいことが実現できた」関連記事)からだという。

会場となったのはAdisorn Camp Cavalry Center
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 そんな,World of Tanks 1.0の実装に先駆け,タイのバンコクにてプレスツアーが開催された。そこでアジアパシフィック・リージョナル・パブリッシング・ディレクターのAlexsander de Giorgio氏に話を聞けたので,その内容をお届けしよう。

関連記事:「3月27日に配信する「World of Tanks 1.0」の記念イベント「WoT 1.0 Secret Gathering」が開催。WoT開発陣が最新バージョンを解説,ファンからの質疑応答も」


「World of Tanks 1.0」特設サイト

「World of Tanks」公式サイト


アジアパシフィック・リージョナル・パブリッシング・ディレクターのAlexsander de Giorgio氏
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――今回のプレスツアーはなぜタイなんですか。

Alexsander de Giorgio氏(以下,Giorgio氏):
 World of Tanks 1.0のためにいろんな場所でプロモーションをしているのですが,タイで今までこういったイベントをしたことがなかったんです。
 戦車に乗れる場所となると,場所の選定も難しく,APAC(アジア・パシフィック)だとオーストラリアとタイしかないんです。プレス向けのイベントなのですが,ぜひとも戦車に乗ってもらいたくて,オーストラリアでは何度か,こういったイベントをしていたので,行ったことのない場所であるタイで開催することを決めました。

――タイのプレイヤーは沢山いますか。

Giorgio氏:
 アジアで見るとタイのユーザーベースは大きいですね。それもこの場所を選んだ理由です。
 World of Tanks 1.0は,アジアでの展開に特に力を入れているため,こうしたイベントを開催しました。

――World of Tanks 1.0の一番の魅力はなんですか。

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Giorgio氏:
 一番の魅力は没入感ですね。グラフィックス,ミュージックなど技術的な部分があるんですけど,総合的に見たときに,今までと同じプレイフィールを維持しながら,プレイヤーがよりゲームに入り込みやすくなることを肝にして開発しました。

――その中でも特にすごい部分は?

Giorgio氏:
 やはり,CORE Engineです。構想に1年,開発に3年をかけたんですが,初めてCORE Engineの説明をミンスクのオフィスで説明を聞いたとき,実像をふんわりとしかイメージ出来ていなかったんですよ。
 ですが,実際に完成してゲームを見たとき,想像以上のものだったので非常に驚きました。

――CORE Engineで実現したことはありますか。

新マップ「Glacier(氷河)」
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Giorgio氏:
 1つは新しいマップ「Glacier(氷河)」です。実はこのマップ,3年前にも開発したんです。でも,私たちが目指していた雪の表現が上手くできなくて実装までには至りませんでした。戦車が雪を踏んだりだとか,雪と接触したときの表現が難しかった。それがCORE Engineを導入することで,我々が満足いく表現ができました。

 もう1つは物理エンジンです。以前のバージョンではHavokを導入したとしても,建造物の破壊などを導入することが難しかったんです。実際に破壊表現を導入すること自体は可能なのですが,それらを既存のエンジンで導入すると,ゲームが非常に“重く”なってしまうんです。それがCORE Engineによって最適化されることで,より細かい破壊表現を演出することが可能になりました。

 1番重要なことはそれらを導入しても“ゲームプレイが変わらない”ようにしたことです。表現力があがったことで,今まで出来ていた戦術が取れなくなったり,ゲームのセオリーが変わってしまう,ということを避けるように,かなり気をつけて開発しました。

――CORE EngineがもたらすWorld of Tanksの拡張性・発展性は何がありますか。

Giorgio氏:
 CORE Engineを導入したことで,今までHavokと連携していてもできなかったことができるようになったことが最大の拡張性・発展性でしょうか。やろうと思えばなんでもできるようになりました。
 例えば建物の破壊だけでなく,マップそのものが砲撃で変わったり,戦闘中に雨が降ったり,嵐が来たり,といった天候変化も可能になりました。
 実現可能にはなったのですが,それをゲームに導入するかどうかは別問題で,ゲームに影響をどの程度与えるのか,もし導入する場合は慎重に検討していく必要があると思っています。

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――CORE EngineをWargamingの他のタイトルで導入する可能性はありますか。

Giorgio氏:
 開発チームが別々なので,今の段階で導入する予定はありません。それぞれのチームで開発のワークフローがあるので。
 もちろん,自社エンジンなので自由に使えるはずなのですが,開発チームごとに導入を検討していく形になると思います。現状ではPC版「World of Tanks」のみになりますね。

――World of Tanks 1.0でアジア向けに何か特別なことをしてたりしますか。

Giorgio氏:
 もちろん,各国向けのローカライズやプロモーション,イベントなどは行っています。
 ブートキャンプ(チュートリアル)モードなどの新規プレイヤー向けのコンテンツも,2017年にようやく準備できました。新しい人も遊びやすい状況を整えているので,この機会に遊んでみてほしいです。

――1.0は低スペックのPCでもある程度のクオリティで動くんですよね。

Giorgio氏:
 そうですね。私が担当しているアジア地域の場合は,国によってPCの平均的なスペックが大きく違います。我々はそのスペックの垣根を可能な限り取り除きたいと考えています。
 1.0で最適化することで,スペックの低いPCでも比較的快適に遊べるようになりました。今までスペック不足で快適に遊べなかった人も,遊べるようになると思うので,よりプレイヤー層が広がるのではないかと思っています。

――コンソール版にあるストーリーモードもそうですが,対CPU戦みたいな,ソロプレイモードを実装する可能性はありますか。

Giorgio氏:
 “可能性”でいえばあります。いろいろなゲームモードのテストを行っていますし,実際,PC版開発チームの中で「コンソール版のストーリーモードは面白い」という話もあがってます。今は何か言えるような状況ではなく,“可能性としてはある”としか言えないです。
 ゲーム内にすでに実装されている,ブートキャンプだったり,トレーニングモードはCPUと対戦するものがあるので,ないわけではないのですが,それが発展して実装される可能性は未知数ですね。
 例えばですが,対CPU戦を実装して,PvEからPvPに初めて挑戦するプレイヤーが出た場合,あまりの違いに,恐らく大きなショックを受けると思うんですよ。
 せっかくWorld of Tanksを遊んでもらえるのなら,PvPをしっかりと遊んでもらいたい思っているので,その体験の差をうまく解決できないだろうかと考えています。

――日本と中国以外のアジアの戦車ツリーが実装される可能性はありますか。

Giorgio氏:
 なくはないと思います。2つの可能性があって,1つは普通にツリーとして追加する場合,もう1つはプレミアム戦車として実装する場合です。
 現時点では今年いっぱいの開発スケジュールは,ほぼ確定してしまっているので,今年実装するのは難しいです。そろそろ,その次の開発プランを考える時期なので,そこにねじ込むように頑張るのが私のミッションになりますね(笑)。

――既存の車両を集めて自分のオリジナルツリーとか作れると楽しそうですね。

Giorgio氏:
 いいアイデアですね。考えてみます。

――気の早い話ですが,World of Tanks 2.0を作るとしたら,どのようにしたいですか。

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Giorgio氏:
 2.0? ずいぶん気の早い話ですね。何年後だろう(笑)。
 2.0でこういう風にしたいというのは,まだ考える段階ではないと思っています。ただ,1.0から2.0に向けて,やっていきたいことはあります。ゲームの土台は1.0でできたので,例えば新しいゲームモードを増やしたり,ルールを増やしたり,プレイヤーがゲームをより楽しめる方法というのを追加していきたいと考えています。
 またアジアに関してはeスポーツも大きな要素となってきています。これらに関しても,いろいろと変更を加えているところですが,どんどん手を入れて,世界的に盛り上げていきたいと思っています。

 World of Tanksは戦車で15対15の対人戦を行うという非常にニッチなゲームでした。今もニッチなことには変わりありませんが,より一般の人に広げていくことが私の目的の1つです。

――日本のプレイヤーに特徴はありますか?

Giorgio氏:
 数字で分かる日本プレイヤーの特徴では,ゲームのログイン時間の中で「コミュニケーション」に割く時間が多いことですね。そうしたこともあって,日本のコミュニティはアジアの中でも大きく育っています。
 日本のプレイヤーはあまり意見を言わない印象を持っていたのですが,積極的にフィードバックを出してくれるので非常に助かってます。オフラインイベントの参加率も非常に高く,参加者も多いですね。すごくコミュニケーションを大事にしてくれています。
 批判的な意見の場合でも,他の国だと批判の一言で終わったりするのですが,日本のプレイヤーはその理由まで書いてくれるので,非常に助かっています。

―World of Tanks 1.0のβテストを長くやっていますが,フィードバックで多かったものは何ですか。

Giorgio氏:
 いろいろなフィードバックがあったのですが,多かったのはマップの変更点に関することでしょうか。以前戦えてたやり方ができなくなったというものですね。実はこれ,殆どがプレイヤーの勘違いなんです。
 特に変更を加えていないのですが,ライティングやグラフィックスの向上で見え方が変わったために,できないように感じているだけで,実はそのままできます。ですので,それらのフィードバックひとつひとつに実は変わってないんですよ,と返答していきました。

――なるほど。面白い出来事ですね。本日はありがとうございました。


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Carden Loyd Tanketteに搭乗して嬉しそうなGiorgio氏
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