インタビュー
[TGS 2011]魅力的な世界観はRPGファンも注目すべき。「Metro: Last Light」開発スタッフインタビュー
Last Lightの世界は,前作同様に核戦争後の終末世界におけるモスクワが舞台だ。地上は人が住めなくなっており,生き残った人々は地下鉄の駅を中心に町を建設し,そこで暮らしている。前作は,ドミトリー・グルホフスキー氏の小説をベースにしたゲームだったが,今作は原作小説はなく,同氏が直接ストーリーを手がけている。
まだ日本での発売は未定とのことだが,今回来日していたTHQのスタジオ・コミュニケーション・リーダーのホウ・ベイノン(Huw Beynon)氏に,新作Last Lightを見せてもらい,さらに本作の話を聞くことができた。
「Metro: Last Light」公式サイト
本日は,よろしくお願いします。まず,本作は「メトロ 2033」の続編とのことですが,今回はどんなストーリーになるのでしょうか。
Huw Beynon氏(以下,Huw氏):
ストーリーはプレイヤー自身に体験してほしいので,詳しくは話せませんが,前作同様にアーチョムが主人公です。彼は普通の素直な青年であって,訓練を受けた戦士でも,スーパーヒーローでもありません。普通とは違う環境に置かれてしまった青年でした。前作から年月が経ったことで,年も取り知識も経験も積んで,地下世界のさまざまな派閥の闘争に巻き込まれています。
これらのストーリーは,ドミトリー氏のおかげで深みもあって,さまざまな要素が絡み合う面白いものに仕上がっています。それに合わせて,キャラクターも複雑かつ深みのあるものになりました。そういうのは,ほかのゲームではあまり見られないと思います。
4Gamer:
前作の原作者自らが,続編のストーリーを手がけるというのはあまりほかに例がないですね。ところで本作は,独特の終末世界を描いているということですが,具体的にはどういったところが違うのでしょうか。
Huw氏:
良くある終末世界では,非常に科学が発達していて,SF的だったりします。ですが東欧的な解釈だと,マジックや超常現象といった要素が介在する余地があるんです。東欧的な黙示録では,ソビエト後の現実主義や伝承,神秘主義が複雑に絡んでいて,「Metro」の地下世界にはゴーストが出てきたりもします。SFだけでなく,ホラー的な要素が絡んでいます。
世紀末のモスクワが荒涼としたイメージで描かれていますが,実は東欧出身のスタッフが多いです。そのため,彼らの独自の世界観が反映されています。ですので,「マッドマックス」のようなステレオタイプな西洋の終末世界とは異なり,生活感や現実感も表現できていると思います。
4Gamer:
なるほど,開発はウクライナの4A Gamesでしたね。これまでの情報では,ステルスが重要ということでしたが,本作のゲームシステムはステルスアクションが基本なんでしょうか。
Huw氏:
戦闘においてはプレイヤーに戦術的な選択肢を提供しています。ステルスを主軸に戦うのであれば,そういった仕掛けが用意されているので,まったく敵に気がつかれないように隠れてすり抜けて,戦いを避けるということも可能です。どちらを選ぶのかはプレイヤーの自由です。
4Gamer:
あくまで戦闘における選択肢の一つであると。では同様に,“光”についてもこだわりがあるとのことですが,光がゲームにどのような影響を与えるのでしょうか。
我々は非常に洗練されたライティングエンジンを持っていて,それによっていろいろな種類の光源を表現することが可能になっています。例えば炎で,トーチの光線,キャンドルの光,パラフィンランタンの光,さらに日光などといった,さまざまな光源の違いが表現できるのです。
そうした光源の違いにより,非常にリッチな環境表現が可能になっています。光の変化や揺れる炎の光による動的な演出などにより,シーンの美しさを際だたせることができるのです。
それとゲームプレイの中でも光の効果を使って,いろいろなことができるようになっています。例えば,電球を消したり,何かで覆って光を遮ることで,影を作り,その中に潜むことで敵に見つからないようにすることも可能です。
また,パラフィンランタンを意図的に倒すことで火事を起こして敵を倒してしまい,あとからそこをゆっくり探索することもできます。
ほかには,火のそばにある,水の入れ物を撃つことで,中の水が炎にかかり火を消すことができます。これによって辺りを暗くするという効果がありますが,警備している敵の注意がそちらに引きつけられるので,忍び寄って暗殺することも可能です。
ですので,美術的な側面からも,ゲーム的な側面からも,光が重要になってくるというわけです。
4Gamer:
最初から隠れる場所が用意されているわけではなく,プレイヤーが作り出すわけですか。先ほど,地下世界にゴーストが出てくるとおっしゃっていましたが,どんなモンスターとして登場するのでしょうか。
Huw氏:
ほとんどのクリーチャーは非常に凶暴で,こちらを見つけると襲ってきます。マスミュータントと呼ばれる彼らについては,新しいものも含めて,まだあまり情報を公開できる段階にありません。
ですので多くは語れないのですが,「Metro 2033」では,向かい合って目を合わせている限り襲ってこない“ライブラリアン”というクリーチャーがいました。向かい合って目を合わせた状態で,後退していけば襲われることなく回避できたわけです。今回も,そうした,クリーチャーごとに独特の行動パターンを用意しています。
また,人間同士であれば,もっと細かなインタラクションが用意されています。例えば,地下鉄の駅が都市として機能しているわけですが,そこでは人々がどのように生活しているかが分かるようになっています。彼らの話を聞いてみたり,彼らのビジネス手段について聞いてみたり,話してみたりすることで,ドミトリー氏のイメージする終末世界がよく分かると思います。
4Gamer:
話を聞いていると,光の使い方やモンスターの行動パターンなど,FPSというよりもまるでRPGの設定を教えてもらっているようです。
Huw氏:
RPGというわけではありません。ストーリーはしっかりしていますが,一本道ですし,なにより,武器やゴーグルのアップグレードはあるとはいっても,明確な成長要素があるわけではありませんからね。
4Gamer:
それだけ,非常に世界観がしっかりしていると感じたんですよ。ちなみにモンスターの行動パターン,つまりAIについてですが,こちらも進化しているそうですね。
Huw氏:
ええ,より洗練されて,複雑な行動をとるようになっているので,戦闘シーンが面白くなったと思います。前作では,戦闘における敵のAI処理が粗かったので,行動に一貫性がなく,プレイヤーをいらいらさせてしまいました。そこを改善した結果,プレイヤーが,どう戦略を立てて,アクションを起こしていけばいいか考えることができるようになっています。
4Gamer:
敵をよく見て戦うことが重要になりそうですね。しかし,これだけいろいろなことができるというのは,非常に楽しそうである一方で,ゲームが難しいのではないかと考えてしまいます。
Huw氏:
それは,プレイヤーに選択肢を与えたいと思って盛り込んでいるからですが,ゲームをクリアするための条件はそれほど厳しいわけではありません。難度設定も選べるようになっていますし,純粋にストーリーも楽しんでもらいたいと思っています。ハードなゲームというよりは,いろいろなことができる選択肢が広い,楽しいゲームと思っていただければと思います。
4Gamer:
なんだかゲームのボリュームが大きくなりそうですが,前作と比べるとどれくらいになっているのでしょうか。
Huw氏:
前作はシングルプレイゲームとしては長い部類に入ると思っていますが,今回も同じくらいのボリュームです。プレイ時間も同じくらいですね。ただ,現状では詳しいお話はできませんが,マルチプレイの要素を入れる予定です。
4Gamer:
それは楽しみです。ところで,今回見せてもらったデモは,E3で見たデモと同様のステルスの絡んだ戦闘や,トロッコでの銃撃戦などでしたが,この先はどんな情報の公開を予定しているのか教えてください。
Huw氏:
我々として見ていただきたいと思っているのは,地下にあるステーションシティと呼んでいる広大な空間ですね。今までとはまた違った組織が存在しています。また,ジェットコースター的なスピーディな展開とは対照的な,固唾を呑んで見守るような,緊張感であったり,恐怖感がより感じられるサバイバルホラーとしての部分をお見せしたいと思っています。
そういったところをお見せすることで,「Metro2033」のファンに,サバイバルホラーとしての部分も忘れていないですよとお伝えしたいんです(笑)。
4Gamer:
分かりました。それらの情報公開を楽しみに待っています(笑)。では,まだ「Metro」を知らないプレイヤーに向けて,本作のアピールポイントを教えてください。
Huw氏:
なぜ「Metro」シリーズが興味深いのかというと,ほかにはない没入体験ができるからです。一度プレイしてみていただければ,まるで実際にその世界を旅したかのように,記憶に残る体験になると思います。本当に,ひどい場所なですが(笑)。まるで違う世界を覗いているような,興味深い経験ができるはずです。
例えばですが,「ハーフライフ 2」のシティ17や「バイオショック」のラプチャーですとか,「ゼルダの伝説」のハイラル,「ファンタシースターオンライン」のラグオルをみなさんが訪れたときに感じたような,記憶に残るリアルな体験ができるものを目指しています。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
Huw氏は,本作はRPGとは違うと言いつつも,目標の一例として「ゼルダの伝説」や「ファンタシースターオンライン」も挙げているあたり,RPG的な魅力のある世界観を作ろうとしているようだ。国産RPGのように,イケメンキャラや萌えヒロインが登場することはないが,海外製RPGの世界観に興味があるゲームファンは,「Metro: Last Light」の発売の前に一度「メトロ 2033」をプレイしてみるのもいいかもしれない。
「Metro: Last Light」公式サイト
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