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id TECH 5が描く“荒廃した世界”の,圧倒的な空気感に注目。FPS「Rage」のメディア向け先行試遊会レポート
このRageは,小惑星の衝突により崩壊した近未来の世界を舞台に繰り広げられるFPSだ。プレイヤーは荒廃した大地へと降り立ち,襲いかかる野盗やミュータント,そして世界を支配する政府の兵士などを相手に戦いをくり広げていく。車を使ったビークルコンバットなども楽しめる本作は,「DOOM」や「Quake」を生み出したid Softwareの待望の最新作ということもあり,世界中のFPSファンから注目されている。
「Rage」公式サイト
「Locate Research Data」は,ミュータント実験が行われているという街で,プレイヤーがその証拠を探すことになる内容。4Gamerでも紹介済みのトレーラー映像で確認できたシーンで,ゲームのメインとなるシューター要素を,ミュータント相手にたっぷりと体験できた。
プレイヤーはアサルトライフル,ショットガン,スナイパーライフル,ロケットランチャーの4種の武器を装備していて,それをRボタンの長押しで簡単に切り替えることができる。基本操作は左スティックで移動,右スティックで視点移動,左トリガーで狙いをつけて,右トリガーで射撃というオーソドックスなスタイルだ。また方向パッドでアイテムを切り替えられ,グレネードのほか,自動射撃タレットやラジコンカー爆弾,ブーメランのように戻ってくる手裏剣などを選択して,Lボタンで使うことができる。
舞台となる荒廃した街は雰囲気満点。灰色と黒のコントラストが映える荒れ果てたコンクリートジャングルは,迷路のように入り組んでおり,道中にはグロテスクな肉塊が転がっていたりする。これも,ミュータント実験の痕跡なのだろうか。
そんな街中を移動していると,気味の悪い小鬼のようなミュータント達がどこからともなく現れた。このミュータント達は非常に耐久力が高く,アサルトライフルで応戦した筆者はかなりの弾丸を消費することになった。
その後,太い触手のような右腕を持った中ボス的な存在も登場。こいつの触手で攻撃されると,ダメージを受けるだけでなく,体液のようなもので一定時間視界が遮られてしまう。耐久力も非常に高く,ショットガンを連射しながらの接近戦でようやく倒すことができた強敵だ。
さらに,空中から攻撃してくる3人の兵士とも遭遇。それまでのミュータントとは違い近代的な装備で武装しており,最初は味方かとも思ったのだが,遠慮なく銃をぶっ放してくるので敵と判断し,戦うこととなった。プレイヤーはこのように,さまざまな種類の敵と交戦することになるようだ。
面白かったのは前述のアイテム群で,手裏剣やラジコンカー爆弾など,かなり変わったものが用意されている。手裏剣は音を立てることなくザコ敵の首をはね,一撃で倒すことができるが,周囲の硬いものに当たると壊れてしまう消耗アイテム。ラジコンカー爆弾は,使うと実際にラジコンカーを操作でき,狭いところや遠くの場所へ運ぶことができるが,障害物などに接触すると爆発するので慎重な操作が必要となる。このようにかなり個性的なアイテムが揃っていて,これらをいかに使いこなしていくかが,攻略のカギとなりそうだ。
もう一方の「Sponsorship Needed」では,プレイヤーが謎の男の手引きによって“Mutant Bush”なるTVショーに挑戦することとなる。複数の階層からなるアリーナで,次々に現れるミュータントを倒し,賞金を獲得していくのだ。各階層にはさまざまなトラップが仕掛けられ,それを回避したり,逆に利用したりしながら敵を倒していき,倒した数や命中精度,クリア時間などに応じた賞金がもらえるという仕組みだ。
武器はショットガンやライフルなどを持っているが,ここでは素手でのパンチ攻撃が行え,意外にもこれが非常に効果的だったのが印象深い。
なお「Sponsorship Needed」は,実際には街中で任意にチャレンジできるミニゲーム的なコンテンツとして実装されるそうだ。
これは余談だが,オールドゲーマーの筆者は,これを遊んでいてWilliams社の名作「スマッシュT.V.」を思い出した。悪趣味かつ殺伐とした雰囲気や,司会進行の声が響き渡る演出などが,プレイヤーを“その気”にさせてくれる。
面白いのは,目的はあくまで青いマーカーを通過することであり,ライバルの撃破ではないということ。バトルというよりもレース的な趣が強く,ゼニマックス・アジアのスタッフいわく「大人のマ○オカート(笑)です」。敵車を撃破すると派手に爆発して気持ちがいいので,目の前に敵車がいると思わず撃ってしまうのだが,撃破数は勝利に結びつかない。筆者は調子に乗って,ライバルを攻撃しまくっていたのだが,4人中3位という結果に終わってしまった。
体験版のプレイレポートはこんなところだが,プレイ終了後,ゼニマックス・アジアのゼネラルマネージャー 高橋 徹氏への質疑応答が行われたので,最後に興味深い話題をピックアップして紹介しよう。
高橋氏:
本作は「Fallout」シリーズのような,完全なオープンワールドゲームではありません。ストーリーは基本的に一本道で進行していくのですが,Locate Research Dataは,序盤から中盤にかけて体験することになるシーンです。ストーリーが一本道といっても,一度行ったことのある街には戻れるようになっています。一本道の展開の中でも,ある程度自由に行き来できるという感じですね。
――いわゆるビークル(車などの乗り物)は,シングルプレイではどのような場所で出てくるんですか?
高橋氏:
一つは,今お話しした街から街への移動手段として使います。プレイヤーは歩いて移動することもできますが,かなり距離があるので,車を使うのが無難ですね。街の中などでは,基本的に車を乗り回すことはできませんが,「Sponsorship Needed」のように,街の中のレース場でレースを楽しむことはできます。
――シングルプレイモードのボリュームは,プレイ時間で言うとどれくらいになりますか?
高橋氏:
現時点では,シングルプレイモードを寄り道せずに攻略した場合,15時間前後でクリアできるのではないかと想定しています。街中でのミニゲームなどをじっくり遊ぶとなると,その倍以上は楽しめるボリュームです。
――本作はid Softwareのゲームエンジン「id TECH 5」で制作されていますが,開発バージョンを見た印象はいかがですか?
高橋氏:
ジョン・カーマック氏が中心となって開発したid TECH 5の特徴の一つに,「メガテクスチャ」というものがあります。これにより,同じテクスチャーを繰り返し使うことなく,ハイレベルなグラフィックスが表現できるようになり,独特な世界観や背景の奥行きが感られるようになっています。このクオリティを維持したまま,PS3とXbox 360の両方で60フレームで動作するのはすごいですね。実際に動いているところを見ていただかないと,その凄さはなかなか伝わらないので,今回みなさんに体験していただく場を用意させてもらいました。なおid TECH 5は,今後弊社のほかのタイトルにも使用していく予定です。
――マルチプレイモードはどのようなものが用意されるのでしょうか?
高橋氏:
現在確定しているマルチプレイに関しては,今回遊んでいただいたバギーを使った対戦モードと,2人でプレイするCo-op(協力プレイ)があります。Co-opはシングルプレイのマップの一部を使って,まったく別のストーリーがプレイできます。シングルプレイの世界観やストーリーを,さらに深く楽しめる内容に仕上がる予定です。
――直接的に対戦するモードは収録されないのでしょうか。
高橋氏:
FPS形式での対戦モードは,収録しない予定です。
――DLCなどの予定はありますか?
高橋氏:
まだ発表できる段階ではないですが,当然ながら考えています。このゲームをさらに面白くするDLCはどんなものか,それを考えている段階ですね。
――日本版の発売はいつ頃になりますか?
高橋氏:
北米とヨーロッパでの発売が今年9月に決定していますので,そこからそう遠くない時期には発売したいと考えています。
――本作を期待している読者にメッセージをお願いします。
高橋氏:
非常に短い時間でしたが,今回の体験会を通じて,「Rage」というゲームの魅力の一端をお伝えできたかと思います。E3が行われる6月から,海外版が発売される9月にかけて,新情報をどんどん公開していきますので,期待してください。よろしくお願いいたします!
実際にプレイしてみて,id TECH 5が生み出すハイレベルなグラフィックスが印象的だった本作だが,FPSとしての楽しさや完成度も,現時点で満足のできるものだった。マルチプレイモードが対戦レースとCo-opのみという点については,少々残念に感じるファンもいるだろうが,その分,シングルプレイモードが充実している雰囲気なので,個人的には日本版の発売が非常に楽しみだ。E3にも出展されるとのことなので,4Gamerでもそのタイミングで,続報をお届けできるのではないかと思う。興味のある人はぜひ楽しみにしていてほしい。
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