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[COMPUTEX]エキスパートの意見を取り入れ,ゲーマー向けやオーバークロック向け製品を改善。MSIプレスカンファレンスレポート
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印刷2013/06/06 21:01

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[COMPUTEX]エキスパートの意見を取り入れ,ゲーマー向けやオーバークロック向け製品を改善。MSIプレスカンファレンスレポート

 COMPUTEX TAIPEI 2013開幕前日の6月3日,MSIは台北市で記者説明会を開催し,新たな製品戦略を説明するとともに,日本未発売製品を含むIntel 8シリーズチップセット搭載マザーボードなどを公開した。ここでは同社の戦略と,ゲーマー向けやオーバークロック向けといった,尖った特徴を備える製品開発への取り組みや,実際の製品についてチェックしてみた。

新生MSIの新しい製品カテゴリ
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 まず,同社の製品戦略について説明した上級副社長のCharles Chiang氏は,MSIブランドの新しい戦略として,製品を「オーバークロッキング」「ゲーミング」「クラシック」の3カテゴリに分けたうえで,製品展開を進めていくというプランを示した。

 とくにゲームやオーバークロック向け製品に関しては,市場からのフィードバックを積極的に取り入れ,製品の機能や品質を向上させていきたいと,Chiang氏は述べている。
 この点について,MSIでマザーボードやVGA製品の開発を統括するDennis Achterberg氏は,Intel 8シリーズチップセットを搭載する製品の開発にあたって,さまざまなエキスパートの意見を,製品開発に積極的に取り入れたことを,実例を挙げて解説する。
 たとえばオーバークロッキング分野の製品では,同社が開催したオーバークロックトーナメント「Master Overclocking Arena」にて,2009年から2011年まで3年連続チャンピオンとなった「Elmor」ことJon Sandstrom氏の意見を,ゲーマー向け製品では,MSIがスポンサーとなっているプロゲームチーム「Fnatic」のCGO(Chief Gaming Officer)であるPatrik Sattermon氏の意見を取り入れる,といった具合だ。


エキスパートの意見を取り入れ

扱いやすいオーバークロック機能を実現


 説明会で最初に取り上げられたカテゴリは,オーバークロッキング向けの製品である。このカテゴリでは,液体窒素を利用した「エクストリーム・オーバークロッキング」にも耐えられる高品質な部品の採用のほかに,ハードウェアの状況を正確に認識できるデバッグLEDや電圧計測用ランドの装備といった要素に,オーバークロックユーザーの意見が反映されているという。

 しかし,説明会に登壇したSandstrom氏は,「オーバークロッキングマザーボードを購入する人すべてが,プロのオーバークロッカーというわけではない」と指摘する。そして,そうした実情を踏まえたうえで,「オーバークロックの知識が十分ではない人でも,安全かつ高性能なオーバークロックが楽しめるように,電圧設定などのプロファイルを(私からMSIに)提供し,オンボードのオーバークロック機能『OC Genie』によるワンボタンオーバークロックに活用してもらっている」と述べた。

画像集#003のサムネイル/[COMPUTEX]エキスパートの意見を取り入れ,ゲーマー向けやオーバークロック向け製品を改善。MSIプレスカンファレンスレポート 画像集#004のサムネイル/[COMPUTEX]エキスパートの意見を取り入れ,ゲーマー向けやオーバークロック向け製品を改善。MSIプレスカンファレンスレポート
ElmorことJon Sandstrom氏(左)。手にしているのは,オーバークロックに関するマザーボード側の状態を表示する外付け機器「OC Dashboard」の基板

 つまり,単にエキスパートが喜ぶ機能や仕様を取り込むだけではなく,エキスパートの知見をカジュアルなユーザーでも利用できるように,配慮した機能をMSI製品は備えているというわけだ。

 Sandstrom氏は説明会場でも,Intel Z87 Expressチップセット(以下,Z87)を搭載したマザーボード「Z87 XPOWER」と,GeForce GTX 770を搭載したグラフィックスカード「GTX 770 Lightning」を組み合わせたPCで,CPUを5.8GHz,GPUはコアクロック1475MHz,メモリクロック4000MHzで動作させることに成功。その状態でベンチマークソフト「AquaMark3」を実行し,「453967」というスコアを叩き出すところを披露した。

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Z87 XPOWERを利用した液体窒素冷却のデモシステム
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5.8GHz動作により,AquaMark3で453967のスコアを達成


プロゲーマーがゲーマー向け製品に求める要素とは?


 ゲーマー向け製品についての説明では,FnaticのSattermon氏が登壇し,ゲーマーがマザーボードやPCパーツに求める要素について語った。

ゲーマー向けマザーボードの最上位モデル「Z87-GD65 GAMING」。COMPUTEX TAIPEI 2013では,マザーボード部門では最高位となるベストチョイス金賞を受賞
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Patrik Sattermon氏(Chief Gaming Officer,Fnatic)
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MSIのゲーミングシリーズはドイツの品質検証機関で信頼性を検証し,MTBFが19〜25年という高耐久性の認証を受けた。ゲーマー向け以外の製品でも,同様の検証を行っているそうだ
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ゲーマー向けマザーボードの中堅モデル「Z87-G45 GAMING」
 Sattermon氏はまず,「性能もさることながら,安定性の高さはトーナメントを勝ち抜くうえでも重要だ」と指摘。「チームメンバーの1人でも,トーナメント中にシステムにリセットがかかってしまえば,大きなリスクになる」と,なによりもまず安定したシステムを構築できるマザーボードの重要性を説く。氏の意見については,同意するゲーマーも多いのではないか。

 それを受けてMSIのAchterberg氏は,同社のゲーマー向けマザーボードは,ドイツの品質検証機関であるTUV Rheinland(テュフラインランド)に検証を依頼。70℃という高温下でも安定した動作が可能で,MTBF(Mean Time Between Failures,平均故障間隔)は19〜25年にも達することを証明した認証を獲得していると述べ,安定性の高さをアピールした。

 一方,Sattermon氏はデスクトップPCだけでなく,ゲーマー向けノートPCがプロゲーマーにとっては重要なアイテムであると語った。「プロゲーマーがノートPCでゲームをするのか?」と疑問を持った人もいるだろうが,Sattermon氏によれば高性能なゲーマー向けノートがあることで,「年間100日以上をトーナメントツアーに費やすプロゲーマーにとっては,宿泊中や移動中もゲームを楽しんだり,攻略法を研究できる」という利点があるとのことだ。確かにそれくらいのプロともなれば,移動中でもトレーニングができるゲーマー向けノートPCというのは有用なのだろうと,思わず納得してしまった。

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Z87-G45 GAMINGのCPUソケット周り。電源回路は8フェーズ構成だった
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こちらはPCI Expressスロットの拡大。x16×3スロットとx1が4スロットの構成で,CPU側の2本がPCI Express 3.0対応


来週発売予定の最新マザーボードをチェック


 MSIのIntel 8シリーズ搭載マザーボードは,すでにその多くが日本でも販売されている。そこで今回は,6月15日に発売される予定の,オーバークロッキングカテゴリのフラグシップモデル「Z87 XPOWER」を紹介したい。

オーバークロッキング向けの最上位モデルZ87 XPOWER(左)。右は日本でも発売中の「Z87 MPOWER MAX」
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Z87 XPOWERの32フェーズ電源回路
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 Z87 XPOWERの特徴のひとつは,32フェーズのPWMコントローラを搭載する点にある。ご存じのとおり,Haswellこと第4世代Coreプロセッサは,CPUコアや統合型グラフィックス機能などに電源を供給するための電圧レギュレータ(VR:Voltage Regulator)を,CPU内に搭載している(関連記事)。そのため,Intel 8シリーズ搭載マザーボードでは,CPUソケット周辺の電圧レギュレータは従来ほど多種多様な電源を生成する必要がなくなり,オーバークロックへの取り組み方も,多少変化が出てくると思われる。
 液体窒素などを利用したオーバークロックでは,高クロックで動作するCPUに多くの電力を供給する必要があるし,クロック変動などによる消費電力の変動も大きくなる。そこでZ87 XPOWERの32フェーズ電源回路では,より多くの電力を安定して供給できるよう設計されているとのことだ。

PCIe x16スロットは5本も装備している
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 PCI Express(以下,PCIe)スロットは,x16サイズのスロットを5本も備えており,PLX Technology製のPCIeブリッジチップを使用することで,4本がPCI Express 3.0接続をサポートする。複数グラフィックスカードへの対応は,x16×2,x16×1とx8×2,またはx8×4の構成が可能で,4-way SLIや4-wayのCrossFireX構成が可能となっている。
 また,Z87 XPOWERではグラフィックスカードのオーバークロックも視野に入れているので,PCIeスロットへの安定した電力供給を実現するために,補助電源としてオンボードでPCIe 6ピンの電源コネクターを備えている。

 メモリスロット脇には,電圧やクロックをボタン操作で変更できる「OC Essentials」を備える。また,二重化されたBIOSのどちらから起動するかを,ボタン操作で変更できる「MultiBIOS」機能も備えている。
 一方で,有線LANコントローラに,Qualcomm Atheros製の「Killer E2200」を搭載したり,高音質を目指したサウンド機能「Audio Boost」をサポートしたりといった,ゲーマー向けマザーボードに通じる特徴も兼ね備えている。

 オーバークロック用途を第一とした製品であることは疑いないが,オーバークロックで性能を限界まで引き上げたゲームPCを作りたいという人には,Z87 XPOWERのような選択肢もあるのではなかろうか。

MSI COMPUTEX TAIPEI 2013特設サイト(英語)

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