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[COMPUTEX]エキスパートの意見を取り入れ,ゲーマー向けやオーバークロック向け製品を改善。MSIプレスカンファレンスレポート
とくにゲームやオーバークロック向け製品に関しては,市場からのフィードバックを積極的に取り入れ,製品の機能や品質を向上させていきたいと,Chiang氏は述べている。
この点について,MSIでマザーボードやVGA製品の開発を統括するDennis Achterberg氏は,Intel 8シリーズチップセットを搭載する製品の開発にあたって,さまざまなエキスパートの意見を,製品開発に積極的に取り入れたことを,実例を挙げて解説する。
たとえばオーバークロッキング分野の製品では,同社が開催したオーバークロックトーナメント「Master Overclocking Arena」にて,2009年から2011年まで3年連続チャンピオンとなった「Elmor」ことJon Sandstrom氏の意見を,ゲーマー向け製品では,MSIがスポンサーとなっているプロゲームチーム「Fnatic」のCGO(Chief Gaming Officer)であるPatrik Sattermon氏の意見を取り入れる,といった具合だ。
エキスパートの意見を取り入れ
扱いやすいオーバークロック機能を実現
説明会で最初に取り上げられたカテゴリは,オーバークロッキング向けの製品である。このカテゴリでは,液体窒素を利用した「エクストリーム・オーバークロッキング」にも耐えられる高品質な部品の採用のほかに,ハードウェアの状況を正確に認識できるデバッグLEDや電圧計測用ランドの装備といった要素に,オーバークロックユーザーの意見が反映されているという。
しかし,説明会に登壇したSandstrom氏は,「オーバークロッキングマザーボードを購入する人すべてが,プロのオーバークロッカーというわけではない」と指摘する。そして,そうした実情を踏まえたうえで,「オーバークロックの知識が十分ではない人でも,安全かつ高性能なオーバークロックが楽しめるように,電圧設定などのプロファイルを(私からMSIに)提供し,オンボードのオーバークロック機能『OC Genie』によるワンボタンオーバークロックに活用してもらっている」と述べた。
ElmorことJon Sandstrom氏(左)。手にしているのは,オーバークロックに関するマザーボード側の状態を表示する外付け機器「OC Dashboard」の基板 |
つまり,単にエキスパートが喜ぶ機能や仕様を取り込むだけではなく,エキスパートの知見をカジュアルなユーザーでも利用できるように,配慮した機能をMSI製品は備えているというわけだ。
Sandstrom氏は説明会場でも,Intel Z87 Expressチップセット(以下,Z87)を搭載したマザーボード「Z87 XPOWER」と,GeForce GTX 770を搭載したグラフィックスカード「GTX 770 Lightning」を組み合わせたPCで,CPUを5.8GHz,GPUはコアクロック1475MHz,メモリクロック4000MHzで動作させることに成功。その状態でベンチマークソフト「AquaMark3」を実行し,「453967」というスコアを叩き出すところを披露した。
Z87 XPOWERを利用した液体窒素冷却のデモシステム |
5.8GHz動作により,AquaMark3で453967のスコアを達成 |
プロゲーマーがゲーマー向け製品に求める要素とは?
ゲーマー向け製品についての説明では,FnaticのSattermon氏が登壇し,ゲーマーがマザーボードやPCパーツに求める要素について語った。
Patrik Sattermon氏(Chief Gaming Officer,Fnatic) |
MSIのゲーミングシリーズはドイツの品質検証機関で信頼性を検証し,MTBFが19〜25年という高耐久性の認証を受けた。ゲーマー向け以外の製品でも,同様の検証を行っているそうだ |
ゲーマー向けマザーボードの中堅モデル「Z87-G45 GAMING」 |
それを受けてMSIのAchterberg氏は,同社のゲーマー向けマザーボードは,ドイツの品質検証機関であるTUV Rheinland(テュフラインランド)に検証を依頼。70℃という高温下でも安定した動作が可能で,MTBF(Mean Time Between Failures,平均故障間隔)は19〜25年にも達することを証明した認証を獲得していると述べ,安定性の高さをアピールした。
一方,Sattermon氏はデスクトップPCだけでなく,ゲーマー向けノートPCがプロゲーマーにとっては重要なアイテムであると語った。「プロゲーマーがノートPCでゲームをするのか?」と疑問を持った人もいるだろうが,Sattermon氏によれば高性能なゲーマー向けノートがあることで,「年間100日以上をトーナメントツアーに費やすプロゲーマーにとっては,宿泊中や移動中もゲームを楽しんだり,攻略法を研究できる」という利点があるとのことだ。確かにそれくらいのプロともなれば,移動中でもトレーニングができるゲーマー向けノートPCというのは有用なのだろうと,思わず納得してしまった。
Z87-G45 GAMINGのCPUソケット周り。電源回路は8フェーズ構成だった |
こちらはPCI Expressスロットの拡大。x16×3スロットとx1が4スロットの構成で,CPU側の2本がPCI Express 3.0対応 |
来週発売予定の最新マザーボードをチェック
MSIのIntel 8シリーズ搭載マザーボードは,すでにその多くが日本でも販売されている。そこで今回は,6月15日に発売される予定の,オーバークロッキングカテゴリのフラグシップモデル「Z87 XPOWER」を紹介したい。
液体窒素などを利用したオーバークロックでは,高クロックで動作するCPUに多くの電力を供給する必要があるし,クロック変動などによる消費電力の変動も大きくなる。そこでZ87 XPOWERの32フェーズ電源回路では,より多くの電力を安定して供給できるよう設計されているとのことだ。
また,Z87 XPOWERではグラフィックスカードのオーバークロックも視野に入れているので,PCIeスロットへの安定した電力供給を実現するために,補助電源としてオンボードでPCIe 6ピンの電源コネクターを備えている。
メモリスロット脇には,電圧やクロックをボタン操作で変更できる「OC Essentials」を備える。また,二重化されたBIOSのどちらから起動するかを,ボタン操作で変更できる「MultiBIOS」機能も備えている。
一方で,有線LANコントローラに,Qualcomm Atheros製の「Killer E2200」を搭載したり,高音質を目指したサウンド機能「Audio Boost」をサポートしたりといった,ゲーマー向けマザーボードに通じる特徴も兼ね備えている。
オーバークロック用途を第一とした製品であることは疑いないが,オーバークロックで性能を限界まで引き上げたゲームPCを作りたいという人には,Z87 XPOWERのような選択肢もあるのではなかろうか。
MSI COMPUTEX TAIPEI 2013特設サイト(英語)
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